ことばで探す › 参議院 第169回
カーボン・ナノチューブへの安全対策や予防策に関する質問主意書
参議院 第169回 第138号
質問本文
二〇〇八年三月七日、毎日新聞は「電気製品などへの応用が期待される筒状の炭素ナノ材料・カーボン・ナノチューブを投与したマウスに中皮腫ができたことを、国立医薬品食品衛生研究所などが確認した。厚生労働省はナノ材料の安全対策や製造現場での予防策について報告書をまとめる方針。」という記事を報じた。
また同年五月二十一日、アイティーメディア・ニュースは「英・米の研究者らが五月二十日、ナノ素材として期待がかかるカーボン・ナノチューブだが、ある種のチューブを吸引した場合、アスベストと同様に作用し、悪性中皮腫を引き起こす可能性があると発表した。」と報じた。
加えて、英国BBCは現地日付五月二十日、「アスベスト警報がナノチューブに」という見出しで、「成長著しいナノ・テクノロジー産業の象徴である、カーボン・ナノチューブがアスベストと同様の病気を引き起こす可能性があることを、研究が指摘した。」と報じた。
アスベストの危険性が学術的に指摘されながら対応が遅れたために、わが国でも大きな被害が起き、尊い人命が失われたことは周知の事実である。これを踏まえ、カーボン・ナノチューブに同じような危険性があるのなら早急に対策を採る必要があり、今、進行している危険を食い止める努力が必要である。
よって、以下質問する。
一 カーボン・ナノチューブが、どのように作られ、どのように使用され、どのように廃棄されているのか、政府は、国内の現状を把握しているのか。
二 政府は、危険性についての各現場への周知を行っているのか。
三 政府が行っている安全対策や製造現場での予防策を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
経済産業省が主要な製造企業に対して行ったヒアリング及び独立行政法人労働安全衛生総合研究所と独立行政法人産業技術総合研究所が合同で行ったアンケート調査によると、カーボン・ナノチューブの製造に当たっては、製造工場建物の外部に漏れないような除去フィルタの設置、労働者へのばく露を防止するための呼吸用保護具、保護手袋及び作業衣の着用等の対策が講じられており、また、当該ヒアリングによると、カーボン・ナノチューブの廃棄に当たっては、焼却処分されているとのことである。また、その使用の現状については、当該ヒアリング及び厚生労働省において平成十九年度に調査会社に委託して行った「ナノマテリアル安全対策調査」によると、その大半が樹脂等に混練された上でリチウムイオン電池の電極添加剤や半導体トレイ等に使用されているとのことである。
二について
カーボン・ナノチューブについては、一定の条件の下でマウス等に影響を与えることを示唆する報告がなされているものの、ヒトに対する有害性は明らかになっておらず、我が国を含めた各国の研究機関等においてその解明に取り組んでいるところである。今後、更なる知見の集積が必要であるが、カーボン・ナノチューブを含むいわゆるナノマテリアルに関する現時点の対策としては、厚生労働省において、「ナノマテリアル製造・取扱い作業現場における当面のばく露防止のための予防的対応について」(平成二十年二月七日付け基発第〇二〇七〇〇三号厚生労働省労働基準局長通知。以下「局長通知」という。)を発出し、関係事業者団体に対して、会員その他関係事業場にばく露防止対策について広く情報提供するよう要請するとともに、「ナノマテリアル製造・取扱い作業現場における当面のばく露防止のための予防的対応について」(平成二十年二月七日付け基発第〇二〇七〇〇四号厚生労働省労働基準局長通知)を発出し、都道府県労働局長に対して、関係事業場においてばく露防止対策が広く周知されるよう徹底を図ることを指示しているところである。
また、経済産業省において、平成十八年度に調査会社に委託して「ナノテクノロジーの研究・製造現場における適切な管理手法に関する調査研究」を行い、「研究・製造現場におけるナノテクノロジーの適切な管理手法のガイドライン」を作成し、これをナノテクノロジー関連団体の会員企業に対して周知するとともに、ガイドラインに沿った自主的な取組を促しているところである。
三について
厚生労働省としては、局長通知において、ナノマテリアル製造・取扱い作業現場に従事する労働者へのばく露防止対策として、①製造装置は原則として密閉構造とし、これが困難な場合においては局所排気装置を設置すること、②製造工程以外の工程においても密閉化・無人化・自動化によって労働者がばく露しないようにすることが望ましいが、これが困難な場合には局所排気装置を設置すること、③ナノマテリアルの取扱いに関する作業規程を作成すること、④ナノマテリアルの吸引を防止するため、適切な呼吸用保護具を必要な数量備え、有効かつ清潔に保持すること等を示しているところである。なお、厚生労働省としては、本年三月に「ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会」を設置し、ナノマテリアルに係る労働者のばく露防止対策の更なる検討を行っているところである。また、同月に「ナノマテリアルの安全対策に関する検討会」を設置し、ナノマテリアルの安全性の評価手法、安全対策の在り方等について検討を行うとともに、必要に応じ、両検討会を合同で開催しているところである。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。