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岩国市に対する新市庁舎建設補助金等の支給に関する質問主意書
参議院 第169回 第80号
質問本文
岩国市に対する新市庁舎建設補助金は、米軍再編に伴う岩国基地への空母艦載機移転に反対する意思を明らかにした井原勝介前市長のもとで支給凍結された結果、同前市長が辞任したうえ、艦載機移転容認か否かをめぐっての市長選挙まで行われ、移転反対を訴えていた井原前市長が移転容認の福田良彦新市長に敗れるという結果になった。しかし、地方自治体の市長が米軍再編に協力すると補助金を支給し、協力しなければ補助金を凍結するとなれば、国が、いわば補助金凍結という手段によって地方自治体の生殺与奪権を握ることになってしまう。これでは地方自治体は、法律上、国と対等といいながら実質的には国の支配下に置かれるに等しい。二〇〇〇年四月施行の地方分権一括法によって国と地方は対等となった以上、同法の趣旨をゆがめるような補助金支給の運用は厳しく戒めなければならないと考える。
よって、以下のとおり質問する。
一 岩国市に対する新市庁舎建設補助金は、一九九六年の日米特別行動委員会(SACO)の合意に基づき、米軍普天間飛行場から空中給油機十二機と米兵約三百人を受け入れる見返りとして、二〇〇六年度までの二年間で計十四億円が支給されていたと理解しているがそのとおりか。つまり、もともとは米軍再編とは必ずしも関連してはいなかったものではないか、明らかにされたい。
二 二〇〇六年二月に岩国市で実施された住民投票の結果を受けて井原前市長が米軍再編に伴う岩国基地への空母艦載機移転反対の姿勢を示し始めるや補助金の支給を拒否するようになったが、補助金支給凍結の理由は何か。艦載機移転を容認しないことが補助金支給凍結の理由になったのではないか、明らかにされたい。
三 政府は、二〇〇七年になって、前記一の補助金の名目を米軍再編の協力自治体に支給する「再編交付金」と同等の扱いに変更したのではないか。変更したとすれば、それはどのような法的根拠によって行ったものか明らかにされたい。また、変更していないとすれば、前記一の補助金の性格内容には全く変化はないと理解して良いか、政府の見解を示されたい。
四 井原前市長が艦載機移転反対の姿勢を明らかにしたのは、もともと岩国基地の米軍兵力拡充強化について、歴代防衛庁(当時)長官が約束していた地元への事前相談を無視したことを契機に、これ以上の基地機能強化は受け入れ難い旨の表明からであった。とすれば、元はと言えば、国と地方との信頼関係を先に破壊したのは国ではないかとも考えられ、こうした点をも考慮すれば、国が艦載機移転を容認しなければ補助金を凍結するということは、まさに地方分権一括法によって対等とされた地方自治体の存在を劣位に置くものであり、同法の趣旨に反するものと考えるが、政府の見解を求める。
五 政府は去る三月一二日、福田新市長に、凍結していた新市庁舎建設補助金と再編交付金の支給を伝えたとの報道がなされている。補助金の凍結解除及び交付金の支給に至った理由を明らかにされたい。
六 政府は、今後とも政府の方針に従わない地方自治体への各種補助金の支給については、支給の凍結を強行する意向であるか、それとも補助金の支給の有無に当たってはあくまで国と地方は対等であるとの原則を遵守して決定する意向であるか、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
平成十五年度から平成十八年度までの岩国市庁舎整備事業に対する補助金については、「沖縄に関する特別行動委員会」(以下「SACO」という。)の最終報告に盛り込まれた普天間飛行場のKC-一三〇空中給油機の岩国飛行場への移駐に伴う騒音の影響を防音工事により緩和するとともに、SACO最終報告の円滑な実施に資するものとして、合計約十六億円を支出してきたところである。
二から四までについて
平成十八年五月の日米安全保障協議委員会の際に発表された「再編実施のための日米のロードマップ」において、今般の米軍再編の一環として、普天間飛行場のKC-一三〇空中給油機は、岩国飛行場を拠点とし、訓練及び運用のため海上自衛隊鹿屋基地やグアムに定期的にローテーションで展開することとされたほか、厚木飛行場の空母艦載機の岩国飛行場への移駐等が盛り込まれ、SACO最終報告の内容が変更された。
防衛省としては、岩国市庁舎整備事業に対する補助金については、SACO最終報告の内容が変更されたにもかかわらず、継続事案であることのみをもって交付し続けることは適当ではなく、むしろ右に述べたような米軍再編の円滑かつ着実な実施を前提に、その一環として実施される空母艦載機の移駐等に伴う騒音の影響緩和を目的として補助することが適当であると判断したものである。しかしながら、米軍再編について岩国市の理解が得られておらず、補助の前提条件が満たされていない状況であったため、前提条件が満たされるまで補助金の交付を見送ることとしたものである。
岩国市庁舎整備事業に対する補助金の交付に当たっては、適切に判断しており、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成十一年法律第八十七号)の趣旨に反するとも考えていない。
五について
岩国市庁舎整備事業に対する補助金については、岩国市長が、平成二十年三月十二日に防衛大臣に対し今般の米軍再編に理解と協力をする旨の発言をしたことを受け、米軍再編の円滑かつ着実な実施という補助の前提条件が満たされたことから、当該事業に係る補助金の交付を認めるとの判断に至ったところである。
また、御指摘の「再編交付金」については、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法(平成十九年法律第六十七号)第五条第一項に規定する再編関連特別事業を行うことが岩国飛行場における米軍再編の円滑かつ確実な実施に資するため必要と認めたことから、同項の規定に基づき、平成二十年三月二十一日に岩国市を再編関連特定周辺市町村として指定したところである。
六について
政府としては、今後とも、各種補助金の交付に当たっては、関係法令に従い、適切に実施してまいりたいと考えている。
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