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同一価値労働同一報酬に関する質問主意書
参議院 第171回 第58号
質問本文
労働の場における男女差別を撤廃するための取り組みは、労働行政における長きにわたる課題である。しかし、今なお就労における性別に基づく格差は多く残されており、なかでも大きな格差は労働報酬の格差である。
二〇〇八年三月一一日に発表されたILOの条約勧告適用専門家委員会報告(以下、「委員会報告」という。)では、日本政府に対して男女賃金格差を是正する方策を示すよう求めている。このことは、我が国では依然として性別による賃金格差や待遇の格差があること、そしてその事実に対して諸外国が注目していることを示している。実際、平成一九年度の男女の賃金格差は、男性一般労働者を一〇〇とした場合、女性一般労働者は六八・一、女性短時間労働者では四七・七しかない。また、男性では正規職員・従業者割合が八割を超えているのに対して、女性の正規職員・従業者割合は五割以下であり、多くの女性は低賃金で不安定な非正規労働という不利な立場に置かれている。
このような性別による報酬や待遇の格差、特に女性の低賃金は、女性の自立を著しく困難にしている。近年、問題化しているいわゆるDVの問題でも、女性が自活できないために離婚等の対処ができないケースがみられる。また、母子家庭の母親は、子育てと必要な収入を得るための就労を両立することが困難な状況に置かれており、たとえ職に就くことができたとしても低賃金であることが多く、貧困状態から疲弊していく例も多い。このことは男女の平等という点で問題であるのみならず、将来の社会を担う子どもたちへの影響という観点からみた場合に、世代を超えた貧困の固定化という危険性をも孕んでいる。このような男女の報酬・待遇に格差が存在することは、我が国の憲法が保障する男女平等や健康で文化的な最低限度の生活を営む権利の侵害にもつながるため、早急な是正策が必要である。
よって以下質問する。
一 現在の男女間の賃金格差を政府はどのように考えているのか、見解を問う。また、賃金格差是正のため、現在実施している施策内容とその目標、進捗状況を示されたい。
二 委員会報告に対して、政府はどのように対処するつもりなのか、見解を示されたい。
三 委員会報告では、労働基準法第四条が、日本が一九六七年に批准した「同一報酬条約」にある同一価値労働同一報酬の原則を十分に反映していないと指摘している。この指摘に対する政府の見解を問う。また、委員会報告では「委員会は(日本)政府に対し、男女同一価値労働同一報酬の原則を規定するための法改正措置を講ずるように求める。委員会は政府に対し、(同一報酬)条約の原則に影響を及ぼすような労働基準法第四条が規定する賃金差別に関する新たな判例の詳細な情報を提出することを求める」と要求している。この要求は労働基準法第四条の改正、および労働基準法第四条にかかわるすべての訴訟の判例の提出を求めていると理解できる。政府はこのILOの要求に対して、どのような回答を行ったのか、示されたい。
四 委員会報告では「委員会は、男女同一価値労働同一報酬の原則は必然的に、男女が行う仕事や労働を技能、努力、責任、労働環境といった客観的な要素に基づいて、比較することを含むことを強調する」と指摘しているように、性別にかかわらず、技能、努力、責任、労働環境という観察可能な四項目に基づいて報酬を決定するという、いわゆる客観的職務評価に基づく賃金決定が導入されるべきであると指摘している。このような性に中立的な客観的職務評価に基づく賃金決定について、政府の見解を示されたい。
五 政府として、質問四で述べた性に中立的な客観的職務評価に基づく賃金決定に関する調査研究、あるいは諸外国や関係機関等からの情報収集を行っているのか。行っている場合は、その内容についても明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
我が国における男女労働者間の賃金格差(以下「男女間賃金格差」という。)については、おおむね縮小傾向にあるが、欧米諸国と比較すると依然として大きく、その縮小のためには、より一層の取組を進める必要があるものと認識している。
具体的には、昇進等の機会の均等が十分に確保されていないこと等による職階の格差や出産等により離職する女性が依然として多いこと等により生じる勤続年数の格差といったことが男女間賃金格差の要因としてあると考えられることから、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)等に規定する義務を適切に履行するよう、事業主に対する指導等を行うとともに、女性のいない職務や役職へ女性を登用するといった、事実上生じている男女間の格差を積極的に縮小するための事業主の取組の推進や職業生活と家庭生活との両立を支援する施策の充実に取り組んでいるところである。
また、男女間賃金格差の縮小のためには、個別の企業において労使が賃金管理の見直し等に取り組むことが重要であることから、「男女間の賃金格差解消のための賃金管理及び雇用管理改善方策に係るガイドライン」を作成するなど、その取組を支援するとともに、男女間賃金格差の現状やその変化を取りまとめた「男女間の賃金格差レポート」を定期的に公表し、男女間賃金格差の問題について、労使団体等に対する啓発を行っている。
さらに、近年の男女間賃金格差の状況を把握するとともに、企業における賃金・雇用管理制度やその運用が男女間賃金格差に与える影響について分析し、男女間賃金格差縮小のためのより効果的な対応方策について検討を行うために、昨年六月より「変化する賃金・雇用制度の下における男女間賃金格差に関する研究会」を開催しているところである。
二について
政府としては、平成二十年三月に公表された国際労働機関(以下「ILO」という。)の条約勧告適用専門家委員会の意見については、ILOに対する次回の政府報告において、我が国の立場を明らかにする予定である。
三について
同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約(昭和四十二年条約第十五号)上においては、「同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬」を、「性別による差別なしに定められる報酬率」と定義しているところ、男女同一賃金の原則について定めた労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第四条は、同条約上の同一価値労働同一報酬の原則を反映しているものであると認識している。
また、御指摘の委員会からの要請については、ILOに対する次回の政府報告において回答を行う予定である。
四及び五について
御指摘の客観的職務評価については、性別等による差別なしに賃金を決定するための有用な方法の一つであると認識しているが、具体的な賃金制度の導入については、個別の企業における労使の議論を踏まえてなされるべきものであると考えている。
また、お尋ねの職務評価に関する調査研究や情報収集については、現在、企業等において行われている職務評価の事例等の収集を行っているところである。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。