ことばで探す › 参議院 第177回
禁煙促進に関する質問主意書
参議院 第177回 第17号お答えすることは困難 ×1
質問本文
二〇〇五年二月「WHOたばこ規制枠組条約」が発効し、国民の中に禁煙と受動喫煙防止への意識と行動が広がっている。
このような中、二〇一〇年一月に言い渡された「たばこ病損害賠償等請求訴訟」横浜地方裁判所判決は、原告の請求を棄却したものの、たばこの有害性について、JTの「肺がんの原因と発生機序のすべてが解明されない限り因果関係を肯定することができない」という主張を明確に排斥した上で、「喫煙が肺がんの極めて有力な原因となっているという定性的な意味での因果関係を肯定するには十分」であり、「肺気腫についても、たばこが肺気腫のリスクを著しく高めるという限度では、上記認定から優に認めることができる。」と認定した。また、たばこの依存性についても、「禁煙を試みながらこれに成功しない者が少なからず存在するなど、たばこの依存性は決して軽視することができない程度のもの」と踏み込んだ判断を示した。
そこで、禁煙、分煙のさらなる促進など、たばこの害から国民の健康をまもる立場から以下、質問する。
一 二〇一〇年に未成年者の喫煙をゼロにするという政府目標についての達成状況を明らかにされたい。また、未成年者の喫煙をゼロにするための政府の今後の方針を示されたい。
二 政府が把握している喫煙に起因するがんによる死亡者数、同じく肺気腫など慢性閉塞性肺疾患による死亡者数、同じく脳疾患、心臓疾患などの死亡者数(推計も含めて)を明らかにされたい。また、これらの数値の今後の推計についても明らかにされたい。
三 今年度におこなわれたたばこ税の引上げは、「国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって、税率を引き上げていく必要があ」(「平成二十二年度税制改正大綱」)るとしているが、たばこ税増税によるたばこの消費の抑制はどの程度になると見込んでいるか。また、たばこの消費の抑制のためには禁煙指導の充実が求められているが、政府の取組と今後の方針について明らかにされたい。
四 未成年者の喫煙に対する治療について
1 未成年者はたった一回の喫煙でニコチン依存症になることが多く、未成年者の喫煙は大人以上に深刻なニコチン依存症となるという指摘もあり、未成年者の喫煙に対しては早期治療が必要であると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
2 禁煙治療への健康保険適用要件の一つであるブリンクマン指数が二〇〇以上であるという要件は若年者にとっては厳しい条件であり、とりわけ未成年者は禁煙治療を健康保険でうけることが事実上できなくなっている。日本禁煙学会などから同要件の廃止または緩和の意見も出されており、同要件は廃止または緩和すべきではないか。政府の見解を明らかにされたい。
五 受動喫煙予防についての新たな通知「受動喫煙防止対策について」(二〇一〇年二月二十五日付け健発〇二二五第二号厚生労働省健康局長通知)が出されたが、これは罰則のない健康増進法第二十五条にもとづくものである。健康増進法第二十五条は努力義務を施設管理者に課しているだけで、「たばこ規制枠組条約第二回締約国会議」で採択された「たばこの煙にさらされることからの保護に関するガイドライン」が受動喫煙防止のための立法措置について施設管理者及び喫煙者の責任を定め、違反行為に対して金銭的罰則を盛り込むべきとしていることに照らして不十分である。同ガイドラインに沿った措置を具体化するために日本政府としてどのような検討をおこなっているか明らかにされたい。
六 たばこ税の増税分については、喫煙被害者対策やたばこ病の医学的研究や予防に充てるべきではないか。政府の見解を明らかにされたい。
七 民主党は二〇〇九年の総選挙で「たばこ税については財源確保の目的で規定されている現行の「たばこ事業法」を廃止して、健康増進目的の法律を新たに創設」(民主党政策集INDEX二〇〇九)という公約を掲げている。今回のたばこ税増税を契機に国民に広く禁煙を呼びかけ、禁煙対策をより充実させて、受動喫煙の被害をなくすべく実効ある措置を講じると同時に、この公約の実現をはかるべきだと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
平成二十二年度における未成年者の喫煙の状況については、現在、「未成年者の喫煙・飲酒状況に関する実態調査研究」(平成二十二年度厚生労働科学研究費補助金循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)において調査中である。なお、「未成年者の喫煙・飲酒状況に関する実態調査研究」(平成二十年度厚生労働科学研究費補助金循環器等生活習慣病対策総合研究事業)における調査によると、同年度において、毎日喫煙する者が高校三年生男子で七・二パーセント、高校三年生女子で二・四パーセントとなっている。
未成年者の喫煙を防止するためには、喫煙が健康に与える悪影響について、正しい知識を学ばせることが重要であると考えており、小学校、中学校、高等学校等においては、学習指導要領等に基づき、喫煙と健康との関連について指導しているところである。文部科学省においては、こうした喫煙防止教育の充実を図るため、喫煙が健康に与える悪影響等について解説する教材を作成し、小学校五年生、中学校一年生及び高等学校一年生の全ての児童生徒に行き渡るよう各学校に配布するなどしているところである。また、警察庁及び財務省においては、未成年者がたばこを購入することを防止するため、全国たばこ販売協同組合連合会会長等に対し、「未成年者喫煙防止のための対面販売時における年齢確認等について(再要請)」(平成二十二年四月十九日付け警察庁丙少発第一一号・財理第一七二四号警察庁生活安全局長及び財務省理財局長連名通知)を発出し、たばこの対面販売時における未成年者と思われる者に対する年齢確認の徹底等の取組を要請したところである。
二について
一般に死亡の原因を喫煙と特定することは困難であるが、厚生労働科学研究費補助金循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業「たばこに関する科学的知見の収集に係る研究」(平成十七年度から十九年度)によると、喫煙に起因する疾患により死亡した者の推計数は、平成十八年度において、男性十一万千人から十六万二千人、女性一万八千人から三万三千人となっている。また、主な疾患別では、全がんで男性六万六千人から七万六千人、女性六千人から七千人、全循環器疾患で男性二万四千人から三万六千人、女性一万人から一万四千人、全呼吸器疾患で男性一万二千人から二万二千人、女性二千人から四千人、全消化器疾患で男性千人から九千人、女性百人未満から二千人となっている。なお、これらの今後の数値については推計されていない。
三について
平成二十二年十月一日のたばこ税の税率引上げによる需要減については、平成二十二年度の税制改正による増減収見込額(平年度)の計算において、たばこの課税見込数量が二十二・三パーセント減少するものと見込んでいる。
お尋ねの禁煙指導の充実のための取組としては、厚生労働省において、地域の保健事業担当者等を対象とし、喫煙に係る健康教育を行うために必要な基礎知識、その実施方法等について解説した禁煙支援マニュアルを作成し、地方公共団体に配布するとともに、学校保健担当者等を対象とした未成年者の喫煙防止に効果的な教育方法等を指導する講習会等を実施する地方公共団体に対する補助を行っているところである。
厚生労働省としては、引き続き、これらの取組を推進し、禁煙指導の充実に努めてまいりたい。
四の1について
未成年者に対しては、まずは、学校等における指導等により喫煙防止を徹底することが重要であると考えるが、ニコチン依存症となった場合には、適切な治療が必要になると考える。
四の2について
御指摘のニコチン依存症指導管理料の算定基準については、当該医療行為の有効性、安全性、費用対効果等を勘案し、中央社会保険医療協議会の議論等を踏まえ、適切に設定されているものであると考えている。
五について
厚生労働省においては、御指摘のガイドラインが採択されたことを受けて開催した「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会」の検討結果を踏まえ、今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性として、公共の場は原則として全面禁煙であるべきことなどを記した「受動喫煙防止対策について」(平成二十二年二月二十五日付け健発〇二二五第二号厚生労働省健康局長通知)を発出したものである。
また、職場における受動喫煙防止対策については、事業者の取組が十分とは言えない状況であるため、御指摘のガイドラインの採択も踏まえ、今後の職場における受動喫煙防止対策の在り方について、労働政策審議会において審議がなされ、平成二十二年十二月に厚生労働大臣に対し建議が行われたところである。建議においては、職場の全面禁煙又は空間分煙等による受動喫煙防止対策を行うことを事業者に義務付けることなどの提言がなされたところであり、今後、当該建議を踏まえ、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の改正を含め、職場の受動喫煙防止対策の強化について検討することとしている。
六について
平成二十二年十月一日のたばこ税の税率引上げによる増収分については、御指摘のような使途に充てることは考えていない。
七について
政府としては、世界禁煙デーに合わせたシンポジウムなどを開催し、国民に広く禁煙を呼びかけるとともに、国民の健康の観点から、健康増進法(平成十四年法律第百三号)等に基づく受動喫煙防止対策の促進に取り組んでまいりたい。
また、お尋ねのたばこ事業法(昭和五十九年法律第六十八号)については、「平成二十三年度税制改正大綱」(平成二十二年十二月十六日閣議決定)において、「平成二十四年度税制改正以降の税率引上げにあたっては、たばこの消費や税収、葉たばこ農家、小売店、製造者等に及ぼす影響等を十分に見極めた上で判断していきます。その過程で、たばこ法制について、現行のたばこ事業法を改廃し、たばこ事業のあり方について、上記のたばこ関係者の生活や事業の将来像を見据えて、新たな枠組みの構築を目指すこととします。」としており、現在、平成二十二年十月一日に実施した一本当たり三・五円の税率引上げに伴う影響等を見極めているところである。
同法の改廃については、当該引上げに伴う影響等を十分に見極めた上で、たばこ関係者の生活や事業の将来像を見据えて判断してまいりたい。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。