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子ども手当における地方負担をめぐる混乱に関する質問主意書
参議院 第177回 第33号
質問本文
民主党は先の衆議院選挙の際、全額国庫負担の「子ども手当」をマニフェストの目玉にしておきながら、政権交代後の民主党政権は平成二十二年度に従来の児童手当の修正の形でこれを実施し地方負担を求めた。さらに、平成二十三年度においても地方からの是正要望を無視して、当該地方負担を存続しようとしている。これに対し、横浜市、川崎市等、神奈川県内の多くの市町村が反発し、当該地方負担を拒否する予算案を各議会に提案するという混乱を招いている。このような中、昨年十二月十日及び同月二十七日には神奈川県から、地方財政法第十三条第二項の規定に基づき、国会両院議長宛の「子ども手当の支給に要する費用の県費負担に係る意見書」(以下「神奈川県意見書」という。)が内閣に提出されている。また、本年一月二十一日には神奈川県町村会から、子ども手当を全額国庫負担とするよう修正を強く求める緊急要望書が提出されている。
そこで、以下質問する。
一 政府が平成二十二年度から子ども手当を実施したことは、地方財政法第十三条第一項に規定する「地方公共団体又はその経費を地方公共団体が負担する国の機関が法律又は政令に基づいて新たな事務を行う義務を負う場合」に当たるのか。その理由とともに明確に示されたい。当たるのであれば、神奈川県意見書は何時ごろ内閣の意見を添えて国会に提出されることになるのか、具体的見通しを明確にされたい。
二 地方財政法第二十一条第一項では、地方公共団体の負担を伴う法律案については、閣議を求める前にあらかじめ総務大臣の意見を求めなければならないと規定され、また、同条第二項では、総務大臣は、このうちの重要なものについて意見を述べようとするときは、地方財政審議会の意見を聴かなければならないと規定されている。これらの規定に基づき、総務大臣は「平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案」の閣議決定に当たって意見を求められたのか。求められたのであれば、どのような意見を述べたのか。その際、総務大臣は地方財政審議会の意見を聴いたのか。それぞれ明らかにされたい。
また、平成二十三年度の子ども手当についても、平成二十二年度と同様に地方負担を前提とした制度となっているが、総務大臣は「平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する法律案」の閣議決定に当たって意見を求められたのか。求められたのであれば、どのような意見を述べたのか。その際、総務大臣は地方財政審議会の意見を聴いたのか。それぞれ明らかにされたい。
三 神奈川県意見書にあるように、「現金給付の負担は国、現物給付の負担は地方」という考え方は、保育所整備から小児医療費助成まで現物給付のニーズは地域により差異があることから妥当だと考えられるが、菅内閣の見解を明らかにされたい。
四 平成二十三年度の子ども手当について、仮に、地方負担を求めず、同年度予算案に計上した国費だけで実施した場合、その毎月の給付額は、おおよそいくらとなるか。三歳未満と三歳以上とに分けて、それぞれ積算根拠とともに明らかにされたい。もし、概数ですら明らかにできない場合には、その理由を国民にわかるよう明確に説明されたい。
五 菅内閣は「平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する法律案が本年三月末までに成立しなければ、支給を担当する市町村の現場で混乱が生じる」としているが、具体的にどのような「混乱」が生じるのか。子ども手当の制度的基盤であり、かつ、時限的制度ではない「児童手当」との関係を含め明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
平成二十二年度における子ども手当の支給に要する費用を負担する事務は、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律(平成二十二年法律第十九号)に基づく事務であるため、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第十三条第一項に規定する新たな事務に該当するものである。また、神奈川県知事提出の地方財政法第十三条第二項の規定による平成二十二年十二月十日及び同月二十七日付けの意見書については、平成二十三年二月四日に内閣の意見を添えて国会に提出したところである。
二について
総務大臣は、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案の閣議決定に当たり、意見を求められ、異議を述べなかったところである。その際、総務大臣は、地方財政審議会に対し、平成二十二年度の子ども手当の制度やその費用負担を説明し、意見を聴いたところである。
また、総務大臣は、平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する法律案の閣議決定に当たり、意見を求められ、異議を述べなかったところである。その際、総務大臣は、地方財政審議会に対し、平成二十三年度の子ども手当の制度やその費用負担を説明し、意見を聴いたところである。
三について
子育て支援に係る施策に要する費用については、各施策の国と地方の役割分担や事業内容を踏まえ、国、地方公共団体及び事業主が適切に負担をすべきものと考えており、その費用負担の在り方については、必ずしも現金給付であるか現物給付であるかのみによって一律に決められないものと考えている。
なお、平成二十四年度以降の子ども手当の制度設計に当たっては、五大臣合意(平成二十二年十二月二十日国家戦略担当大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣及び内閣府特命担当大臣(少子化対策)合意)に基づき、「厚生労働省をはじめとする関係府省と地方公共団体の代表者による会議の場において、子ども手当及びそれに関連する現物サービスに係る国と地方の役割分担及び経費負担のあり方を含め、子ども・子育て新システムの検討との整合性を図りつつ、幅広く検討する」こととしており、その際、国と地方の信頼関係を損なうことのないよう、地方の意見を真摯に受け止め、国と地方が十分な協議を行い、結論を得ることとしている。
四について
平成二十三年度予算における子ども手当の国庫負担分(以下「国庫負担」という。)のみを平成二十三年度の子ども手当の財源とした場合について、子ども一人一月当たりの支給額を三歳未満の子どもに対する支給額が三歳以上の子どもに対する支給額より七千円多いものとして機械的に試算すると、三歳以上の子どもについては、約一万円となる。これは、国庫負担の総額約二兆二千七十七億円から全額を国庫の負担としている三歳未満の子ども手当の増額分約二千八十五億円を控除した額約一兆九千九百九十二億円を、平成二十三年度の子ども手当の支給対象となる子どもの総数約一千七百二十万人及び十二月で除した額である。また、三歳未満の子どもについて同様に試算すると、その一人一月当たりの支給額は三歳以上の子どもに対する支給額である約一万円に七千円を加えた約一万七千円となる。
五について
本年一月二十八日に国会に提出した平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する法律案が仮に本年三月末までに成立しない場合には、児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)に基づき児童手当を支給する必要がある。しかしながら、同法に基づく児童手当は所得制限を設けているため、その支給に当たっては児童手当の支給を受けようとする者全員の所得を把握する必要があり、また児童手当を支給するための電算処理システムの改修が必要となることから、同法第八条第四項ただし書の規定による支給すべき事由が消滅した場合の支払期月でない月における児童手当の支払が困難となる。また、子ども手当及び児童手当の適用等について、住民からの多数の問い合わせが市町村に寄せられることが予想されるが、その対応が困難となるおそれがある。
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