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武器輸出三原則等に関する質問主意書

参議院 第183回 第73号

提出者
参議院
提出日
2013年4月8日
内閣転送 2013年4月10日
答弁書受領日
2013年4月16日
提出から8日
答弁の項目数
11
質問 1,862字/答弁 2,418字

質問本文

戦後我が国は、武器及び武器技術の輸出について、平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、武器輸出三原則等に基づき、厳格・慎重に対処してきた。

しかし、平成二十三年十二月二十七日、野田佳彦内閣(当時)はこの政策を見直して、平和貢献・国際協力に伴う案件及び防衛装備品等の国際共同開発・生産に関する案件(以下「二つの案件」という。)については、従来個別に行ってきた例外化措置に代わり、包括的な例外化措置を講じることとする「『防衛装備品等の海外移転に関する基準』についての内閣官房長官談話」(以下「包括的例外化措置談話」という。)を発表した。

また、安倍晋三内閣は、本年三月一日、国内企業が製造等に参画するF-35の機体及び部品(以下「部品等」という。)の輸出に関して「F-35の製造等に係る国内企業の参画についての内閣官房長官談話」(以下「F-35の部品等の例外化措置談話」という。)を発表した。

これらの「包括的例外化措置談話」及び「F-35の部品等の例外化措置談話」(以下「二つの措置談話」という。)により、国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則等が形骸化するのではないかと危惧している。そこで、以下質問する。

一 これまで個別の例外化措置を講ずる際には、「内閣官房長官談話」又は「関係省庁了解」で対応してきたが、この「関係省庁了解」はいかなるときに行っているのか。

二 包括的例外化措置談話については、安全保障会議の審議、閣議報告を経て、発表されている。他方、F-35の部品等の例外化措置談話については、同日の内閣官房長官記者会見によれば、安全保障会議の審議の後、「閣議においても了解を得られました」とのことであったが、同日の定例閣議案件にはそのような記載は見当たらない。F-35の部品等の例外化措置談話の閣議における扱いはどのようなものであったのか。また、二つの措置談話の閣議における扱いが異なったのはどのような理由からか、政府の見解を明らかにされたい。

三 包括的例外化措置談話について

1 個々の案件がこの包括的例外化措置談話の対象となるか否かの判断は、誰が、どのようにして行うのか。平成二十四年十二月に実施された「ハイチにおける自衛隊施設機材等の譲与」のように毎回閣議決定により行うのか。

2 平和貢献・国際協力に伴う案件については、我が国政府と相手国政府との間で「枠組み」を取り決める旨記載してあるが、この「枠組み」とはどのようなものか。

3 防衛装備品等の国際共同開発・生産に関する案件については、「目的外使用や第三国移転について我が国政府による事前同意を義務付ける」とあるが、どのような方法で「義務付ける」のか。また、「当該第三国が更なる移転を防ぐための十分な制度」とは、具体的にどのようなものか。

4 これらの二つの案件については、「国際紛争等を助長することを回避するという平和国家としての基本理念」には基づかないで輸出(海外移転)を行うことになるのか。

四 F-35の部品等の例外化措置談話について

1 F-35の部品等の輸出(海外移転)を、「包括的例外化措置談話」で行わなかったのはどのような理由からか。

2 F-35の部品等の例外化措置談話のタイトルにある「製造等」の「等」とは何か。

3 F-35の部品等の例外化措置談話「三」中の「F-35に係る役務の提供」の「役務の提供」とは何か。

4 F-35の部品等の例外化措置談話「三」中では、米国による「厳格な管理が行われることを前提」としているが、それはどのように担保されているのか。また、今後F-35ユーザー国が増えた場合にはどのように担保するのか。

5 F-35の部品等の例外化措置談話「三」中の「国連憲章の目的と原則に従うF-35ユーザー国」の「国連憲章の目的と原則」とは何か。また、「国連憲章の目的と原則に従」っていることを判断するのは我が国ではなく米国なのか。

6 F-35の部品等の例外化措置談話「三」中では、「国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念は維持していく」とあるが、これまでの包括的例外化措置談話等において、この「国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念」の文言が使われたのは初めてか。また、従来の内閣官房長官談話等で使われている「国際紛争等を助長することを回避するという平和国家としての基本理念」との違いは何か、政府の見解を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

武器輸出三原則等の例外措置(以下「例外措置」という。)については、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)に基づく国際平和協力業務に伴うもの、国際緊急援助隊の派遣に関する法律(昭和六十二年法律第九十三号)に基づく国際緊急援助活動への自衛隊の部隊等の参加に伴うもの及び自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)に基づく在外邦人等の輸送に伴うものについては関係省庁の了解により講じ、その他のものについては内閣官房長官談話により講じている。

二について

平成二十三年十二月二十七日の「「防衛装備品等の海外移転に関する基準」についての内閣官房長官談話」(以下「平成二十三年の談話」という。)は、それまで個別に行ってきた例外措置における考え方を踏まえ、平和貢献・国際協力に伴う案件及び我が国の安全保障に資する防衛装備品等の国際共同開発・生産に関する案件について包括的に例外措置を講ずるものであったため、安全保障会議における審議を経た上で、閣議報告を行い、閣議案件として公表したものである。他方、平成二十五年三月一日の「F―三五の製造等に係る国内企業の参画についての内閣官房長官談話」(以下「平成二十五年の談話」という。)は、F―三五の製造等に係る国内企業の参画という個別の案件について例外措置を講ずるものであり、安全保障会議における審議は経たが、閣議案件としては公表する必要がないと判断したものである。

三の1について

個々の案件が平成二十三年の談話による包括的な例外措置の基準を満たすものであるか否かの判断は、その都度閣議決定によるわけではなく、関係省庁において協議して行うこととなる。なお、ハイチ共和国において国際連合平和維持活動に従事した我が国の施設部隊の資機材の一部のハイチ共和国に対する贈与に関しては、当該資機材について、軍事目的に使用されないこと、同国政府以外の第三者への移転について日本国政府の書面による事前の同意を得ること等の厳格な管理を担保する枠組みを交換公文により定めたが、当該交換公文の署名を、他の国際約束と同様、閣議決定を経て行ったものであり、例外措置そのものについて閣議決定を行ったものではない。

三の2について

御指摘の「枠組み」とは、我が国から移転する防衛装備品等について、これが厳格に管理されることを担保するため、我が国政府と相手国政府との間で、交換公文等により、我が国政府による事前同意なく、当該交換公文等で定められた事業の実施以外の目的に使用しないこと、第三国に移転しないことなどを取り決めるものである。

三の3について

御指摘の「義務付ける」については、交換公文等により行うこととなる。また、御指摘の「当該第三国が更なる移転を防ぐための十分な制度」とは、我が国から他国に移転する防衛装備品等を当該他国が我が国政府による事前同意を得て更に第三国に移転する場合に、当該第三国による更に別の国に対する移転を適切に規制することを可能とする、当該第三国の貿易管理制度等を指している。

三の4について

平成二十三年の談話により平和貢献・国際協力に伴う案件及び防衛装備品等の国際共同開発・生産に関する案件について例外措置を講ずるに当たっては、国際紛争等を助長することを回避するという平和国家としての基本理念は維持していく考えである。

四の1について

F―三五については、全てのユーザー国が世界規模で部品等を融通し合う国際的な後方支援システムであるALGS(Autonomic Logistics Global Sustainment)が採用されている。

ALGSは、米国政府の一元的な管理の下、ユーザー国以外への部品等の移転が厳しく制限される一方で、ユーザー国間ではいずれの国がどの部品等を製造したのかという区別なく部品等が柔軟かつ効率的に流通される新たな方式である。このような特徴を持つALGSを前提としたF―三五の製造等に係る我が国国内企業の参画は、平成二十三年の談話の発出時には想定されていなかったため、平成二十三年の談話による包括的な例外措置によらず、個別に例外措置を講ずることが適切であると判断したものである。

四の2について

御指摘の「製造等」の「等」は、平成二十五年の談話中の「製造若しくは保管」の「保管」及び「F―三五に係る役務の提供」を指すものである。

四の3について

御指摘の「役務の提供」は、F―三五に係る修理、オーバーホール等を指すものである。

四の4及び5について

国際連合憲章(昭和三十一年条約第二十六号)は、第一条において、国際連合の目的として、国際の平和及び安全を維持すること等を挙げており、また、第二条において、国際連合及びその加盟国が従わなければならない原則として、国際紛争の平和的解決等を挙げている。御指摘の「国連憲章の目的と原則」は、これらを念頭に置いたものである。

ALGSにおいては、F―三五の部品等については、米国政府の一元的な管理の下で、ユーザー国以外への移転が厳しく制限されること、移転は国際連合憲章の目的と原則に従うユーザー国に対するもののみに限定されること等を、米国政府が保証することを確認している。

四の6について

武器輸出三原則等に係る内閣官房長官談話において、「国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念」という表現が使われたのは初めてである。

これは、平和国家としての基本理念を維持することに変わりはないが、国際社会において、テロリズムの防止及び根絶に向けて、その解決のために取り組まなければならない紛争があること等を踏まえ、国際の平和及び安全を維持することや国際紛争の平和的解決等を定めている国際連合憲章に言及する形で、これを遵守することが平和国家としての基本理念であるとした方が適切であると判断したものである。

参議院の原文

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