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防衛装備移転三原則及び運用指針の改正と憲法の平和主義に関する質問主意書
参議院 第221回 第109号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
国産完成品の防衛装備の海外移転を五つの類型(救難、輸送、警戒、監視及び掃海)のみとする制約(いわゆる五類型)は、二〇二六年四月に防衛装備移転三原則及び運用指針が改正されたことに伴って撤廃された。今後、戦闘機、護衛艦、潜水艦など全ての完成品の海外移転が原則可能となる。
この改正は、これまでの政府の答弁を踏まえても、憲法の平和主義に違反するものであり、断じて容認することができないことから、以下質問する。
一 二〇二四年五月二十一日の参議院外交防衛委員会において、政府は、「我が国が行う防衛装備移転は憲法の平和主義の精神にのっとったものでなければならない」と答弁し、「のっとったというのは、憲法前文の、だから、平和主義に矛盾するようなことがあってはいけないし、憲法前文の平和主義の趣旨に整合する、矛盾してはいけなくて、整合する、そういう閣議決定でなければいけないと考えているという、そういうことでよろしいですね。矛盾、整合という言葉を使って答弁してください。」との私の質問に対し、「のっとったものであると。それは、整合していないものであってはならないということでございます。」と答弁した。
1 この政府答弁について、見解に変更がないか示されたい。
2 この政府答弁にいう「平和主義の精神」について、定義を示されたい。
二 二〇二六年四月二十一日の参議院外交防衛委員会において、小泉進次郎防衛大臣は、二〇二六年四月の防衛装備移転三原則及び運用指針の改正においても、「日本国憲法の精神に立ち、国連憲章を遵守するとの平和国家の基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを堅持する、この姿勢はいささかも変わりません。」と答弁した。
政府は、国連憲章を遵守するとの平和国家の基本理念という表現を用いるが、国際紛争等を助長することを回避するという表現を平和国家の基本理念の説明で用いない理由は何か。また、今回の改正で、防衛装備移転三原則及び運用指針に「国際紛争の助長を回避」という文言を用いなかった理由は何か。
三 殺傷性を有する自衛隊法上の武器を輸出することは、国際紛争を助長することにつながるのではないか。国際紛争を助長しないと主張するのならば、その理由を論理的に示されたい。
四 二〇二六年四月の防衛装備移転三原則及び運用指針の改正に当たり、防衛装備移転と憲法の平和主義との関係について整理をした文書はあるか。文書があるのであれば、その文書のタイトル及び内容について示されたい。
五 殺傷性を有する自衛隊法上の武器の輸出を解禁した二〇二六年四月の防衛装備移転三原則及び運用指針の改正が憲法前文の平和主義を含め憲法に違反しない理由について説明されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
お尋ねの答弁において示された政府の見解に変更はない。
一の2について
憲法の基本原則の一つである平和主義については、憲法前文第一段における「日本国民は、・・・政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」の部分並びに憲法前文第二段における「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」及び「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」の部分がその立場に立つことを宣明したものであり、憲法第九条がその理念を具体化した規定であると解している。
二について
お尋ねについては、平成二十五年三月一日の内閣官房長官談話を公表した当時において、平和国家としての基本理念を維持することに変わりはないが、国際社会において、テロリズムの防止及び根絶に向けて、その解決のために取り組まなければならない紛争があること等を踏まえ、国際の平和及び安全を維持することや国際紛争の平和的解決等を定めている国際連合憲章(昭和三十一年条約第二十六号)に言及する形で、これを遵守することが平和国家としての基本理念であるとした方が適切であると判断したものであり、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえ、お尋ねの「改正」においても「防衛装備移転三原則」(平成二十六年四月一日閣議決定、令和八年四月二十一日一部改正)において「国際連合憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念及びこれまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持」すると記載することが適切であると判断したものである。
三及び五について
お尋ねについては、令和八年四月二十一日の参議院外交防衛委員会において、小泉防衛大臣が「防衛装備移転三原則は、個別の案件ごとに厳格審査を行い、かつ、移転後の適正管理を確保することで国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を担保しているものであり、憲法の平和主義の精神にのっとったものであると考えておりまして、それは今回の改正後も変わりはありません。」と答弁したとおりである。
なお、憲法第九条については、憲法の基本原則の一つである平和主義の理念を具体化した規定であると解しているところであるが、戦争の放棄等について定めたものであり、お尋ねの「自衛隊法上の武器の輸出」について規律するものではないと考えている。
四について
お尋ねの「防衛装備移転と憲法の平和主義との関係について整理をした文書」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、内閣官房のホームページに掲載している資料「防衛装備移転三原則及び運用指針の改正について(基本的な考え方)」において、「今回の見直し後も、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを堅持していくとの政府の立場はいささかも変わりません。」と記載している。