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独立行政法人水資源機構に関する質問主意書
参議院 第186回 第146号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×9
質問本文
水資源開発促進法は、我が国の産業の開発又は発展及び「都市人口の増加に伴い用水を必要とする地域に対する水の供給を確保する」(第一条)ために昭和三十六年に成立した法律である。
国土交通大臣は第一条で規定する地域について「広域的な用水対策を緊急に実施する必要があると認める」ときに、「水資源の総合的な開発及び利用の合理化を促進する必要がある河川の水系を水資源開発水系として指定する」(第三条)。
独立行政法人水資源機構(以下「機構」という。)は、同法に基づいて指定された水資源開発水系として指定された地域について決定された「水資源開発基本計画」を遂行する組織である。
しかし、機構は、水資源開発公団から平成十五年に改組された際に、「水資源の開発又は利用のための施設」を新築する際は、「水の供給量を増大させないものに限る」と業務が限定された。それからさらに十年以上が経過し、経済、財政、社会、自然環境もさらに変容した中で、機構の存在意義が問われていると考えることから、以下質問する。
一 機構は「広域的な用水対策を緊急に実施する必要がある」ときに指定された水資源開発水系における基本計画に基づく事業を実施するため誕生したにもかかわらず、その業務では「水の供給量を増大させないものに限る」と限定されたことは矛盾しているのではないか。
二 「広域的な用水対策を緊急に実施する」の「緊急」とは期間で言えば、どの位の期間のことを意味するのか。
三 平成十五年の改組時から現在に至るまで継続中の未完成事業には、南摩ダム、川上ダム、丹生ダム、小石原川ダム、木曽川水系連絡導水路がある。各事業の予備調査が開始されて以来、それぞれ何年が経過しているか明らかにされたい。
四 平成二十年に国土審議会水資源開発分科会調査企画部会は、国土交通大臣に対し、総合水資源管理への転換の必要性を訴え、「総合水資源管理について(中間とりまとめ)」を答申し、「従前の水資源開発による量的な充足を優先する開発を主とする方策」から「多くの課題の解決を図る総合的なマネジメントへと施策を転換する」とした。その後、機構において、同答申をいかし、総合的なマネジメントによって、新たな水資源開発事業を中止した事例はあるか。ある場合は事業名を明らかにされたい。ない場合は開発からマネジメントへと転換できなかった理由を示されたい。
五 機構が三重県において進めている川上ダム事業では、今日までに水道の利水計画から、奈良県、西宮市が撤退、伊賀市が縮小し、三重県も発電事業から撤退したため、唯一残った利水計画は、縮小された伊賀市の水道のみである。同じ水系内での水利権の調整など総合的なマネジメントによって利水計画を中止できない理由を明らかにされたい。
六 機構は、前記五の川上ダム事業の目的として、砂のたまった他の既存のダムの長寿命化対策を挙げている。他のダムの長寿命化を行うために新しいダム建設を行うとすれば、その受益は誰が受け、負担は誰が負うのか、具体的に明らかにされたい。
七 前記六に関して、既存のダムの長寿命化対策のためのダム建設は、独立行政法人水資源機構法の第何条に基づいて行っているものか。
八 機構の現在の理事長である甲村謙友氏の最終官歴は国土交通技監であり、副理事長の岩村和平氏の最終官歴は農林水産省農村振興局付である。水資源開発公団の設立時の総裁から、機構に改組されてから現在の甲村理事長に至るまでの歴代全ての総裁及び理事長の最終官歴を明らかにされたい。また、機構(及びその前身)を退職した後に、国の事業を受注している公益法人及び民間事業へ再就職している場合は、各総裁及び理事長ごとにその公益法人名又は民間事業者名を明らかにされたい。
九 機構は河川官僚の天下り組織であり、その維持温存のために存在する組織ではないかとの批判がある。前記八の実態を明らかにした上で、その批判に対する政府の見解を明らかにされたい。
十 機構(及びその前身)が支出してダム建設費を支払い始め、完成後に受益が発生した年から自治体が利息付きで償還をする際に生じる利ざやは「利益剰余金」又は「経営基盤強化積立金」(以下「経営基盤強化積立金」という。)と称されている。経営基盤強化積立金の累積額を明らかにされたい。
十一 経営基盤強化積立金の残高は平成二十一年度末の時点で千三十三億円あるとされ、平成二十二年十月に行政刷新会議(当時)からは、国庫に返納すべきものと要請されたが、現在までに機構が国庫に返納した額を明らかにされたい。
十二 機構が平成二十五年六月に公表した「平成二十四事業年度業務実績報告書」(以下「報告書」という。)によれば、機構は経営基盤強化積立金の使途として、中期計画に「新築及び改築事業並びに管理業務等に係る負担軽減を図るなど、利水者等へのサービスの向上や機構の経営基盤の強化に資する業務とする」と記した。国庫へ返納せずにこうした使途へと変更した理由を明らかにされたい。
十三 報告書によれば、機構は、平成二十四年度だけでこの経営基盤強化積立金から約十三億千二百万円を支出したことになっている。
その使途は多岐にわたっており、その一つが「国際会議への参加、海外の水資源に関する情報収集等」である。「国際会議への参加」及び「海外の水資源に関する情報収集」に支出した総額をそれぞれ明らかにされたい。
十四 前記十三で明らかにした「国際会議への参加」については、合計で何か国へ何人で出向き、機構としてどのような成果を得られたのか明らかにされたい。
十五 「国際会議への参加」と「海外の水資源に関する情報収集」は、中期計画で記した「利水者等へのサービスの向上」のために行ったものか、それとも「機構の経営基盤の強化に資する業務」として行ったものか。
十六 「国際会議への参加」と「海外の水資源に関する情報収集」は、独立行政法人水資源機構法の第何条に基づいて行ったものか明らかにされたい。また、「広域的な用水対策を緊急に実施する」こととの関係について明らかにされたい。
十七 機構の在り方については、国土交通省の独立行政法人評価委員会と総務省の独立行政法人評価分科会が評価を行っているが、それぞれの評価の機会に、経営基盤強化積立金の使途に関する評価を詳細に行ったことはあるか。ある場合には、「国際会議への参加」や「海外の水資源に関する情報収集」がどのようにして機構の設立目的に合致し、必要であると判断したのか、その判断基準を示されたい。
十八 報告書で明らかにされた経営基盤強化積立金の支出内容には、「ダム貯水池の堆砂対策技術に係る調査、検討等」、「施設の耐震性向上のための検討」、「緊急時における水の供給手法の検討等」、「貯水池における富栄養化対策等の水質対策技術の検討」、「ダムの設計、堤体材料に関する調査、検討」もある。これらは、国土交通省でも行っているため、納税者から見れば、二重行政である。これらは国土交通省と機構の両者で行う必要があるのか。
十九 機構に限らず、独立行政法人の評価は、第一に独立行政法人独自の評価、第二に監督官庁の独立行政法人評価委員会での評価、第三に総務省政策評価・独立行政法人評価委員会における評価と何重にも渡っているが、このようなことが毎年行われていることを知る国民も少なく、マンネリ化している。行政改革と住民参加の点から、評価制度の抜本見直しが必要だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、独立行政法人水資源機構(以下「機構」という。)の前身である水資源開発公団(以下「公団」という。)は、水資源開発促進法(昭和三十六年法律第二百十七号)の規定による水資源開発基本計画(以下「基本計画」という。)に基づく水資源の開発又は利用のための事業を実施すること等により、国民経済の成長と国民生活の向上に寄与することを目的として設立され、その後、公団が機構に移行するに当たり、独立行政法人水資源機構法(平成十四年法律第百八十二号。以下「機構法」という。)第十二条第一項第一号等の規定により、原則として、機構が行う同号イに掲げる施設の新設については、「水の供給量を増大させないものに限る」こととされたが、「水の供給量を増大させないもの」とは、基本計画に定められる水の供給の目標を増大させないものと解している。
二について
お尋ねの「緊急」とは、具体的な期間を指すものではなく、お答えすることは困難である。
三について
お尋ねの南摩ダム、川上ダム、丹生ダム、小石原川ダム及び木曽川水系連絡導水路については、予備調査の開始後、それぞれ、五十年、四十七年、四十六年、三十四年及び十四年が経過している。
四及び五について
国土審議会水資源開発分科会調査企画部会が平成二十年十月に取りまとめた「総合水資源管理について(中間とりまとめ)」(以下「中間とりまとめ」という。)の公表以降、機構において、基本計画に基づく水資源の開発のための事業(以下「水資源開発事業」という。)について中止したものはない。
また、御指摘の「開発からマネジメントへと転換できなかった」及び「利水計画」の意味するところが必ずしも明らかではないが、中間とりまとめにおいて、「気候変動を見据えた水源開発も含め、多くの課題の解決を図る」必要性が示されており、御指摘の「総合的なマネジメント」は、必ずしも水資源開発事業の中止を意味するものではない。
六について
御指摘の「砂のたまった他の既存のダムの長寿命化対策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、機構法第十三条第一項の規定に基づき作成された「川上ダム建設事業に関する事業実施計画(第二回変更)」(以下「事業実施計画」という。)において、川上ダム建設事業の目的の一つとして、高山ダム、青蓮寺ダム、布目ダム及び比奈知ダム(以下「既設ダム」という。)の堆砂除去のための代替補給による流水の正常な機能の維持が挙げられている。
既設ダムの堆砂除去による受益者は、既設ダムによる洪水調節又は流水の正常な機能の維持による受益者である。また、その費用の負担者は、事業実施計画において、国並びに大阪府、京都府、奈良県及び三重県とされている。
七について
お尋ねの「既存のダムの長寿命化対策のためのダム建設」の意味するところが必ずしも明らかではないが、川上ダム建設事業は、機構法附則第四条第一項の規定に基づき実施されている。
八について
公団の歴代の総裁の氏名は、進藤武左ヱ門、柴田達夫、山本三郎、望月邦夫、高秀秀信、川本正知及び近藤徹であり、それぞれの者の最終官職は、資源庁長官(当時)、建設事務次官(当時)、建設事務次官(当時)、近畿地方建設局長(当時)、建設事務次官(当時)、建設省河川局長(当時)及び建設技監(当時)である。また、機構の歴代の理事長の氏名は、近藤徹、青山俊樹及び甲村謙友であり、それぞれの者の最終官職は、建設技監(当時)、国土交通事務次官及び国土交通省技監である。
国家公務員の退職後における再就職の状況は、公務を離れた個人の情報であり、一般に政府が把握すべき立場にないことから、お尋ねのすべてにお答えすることは困難であるが、機構を退職した者の再就職の状況については、「独立行政法人整理合理化計画」(平成十九年十二月二十四日閣議決定)等に基づき、機構において、平成十六年度から平成二十五年度までの各年度の状況を「独立行政法人から関連法人への補助・取引等及び再就職の状況の概要」等に記載し、機構のホームページで公表している。
九について
機構は、基本計画に基づく水資源の開発又は利用のための施設の改築等及び水資源開発施設等の管理等を行うことにより、産業の発展及び人口の集中に伴い用水を必要とする地域に対する水の安定的な供給の確保を図ることを目的とし、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)及び機構法に基づき設立された独立行政法人であり、御指摘のような批判は当たらないと考えている。
十について
お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、機構の利益剰余金は、平成二十五年三月三十一日現在で、九百八億千百九十七万九百八十三円である。
十一について
お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、機構が、その設立以降、利益剰余金を国庫に納付した事実はない。
十二について
お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、機構は、通則法第三十条第一項の規定に基づき、独立行政法人水資源機構第二期中期計画(以下「第二期中期計画」という。)の変更の認可を受け、第二期中期計画の「七(三)積立金の使途」に「維持管理費等に係る利水者等の負担軽減を図るため、新たに管理システムの更新整備等に活用する。」旨を追記しており、国土交通大臣等においては、この認可に先立ち、国土交通省独立行政法人評価委員会(以下「国土交通省評価委員会」という。)等の意見を聴いているところである。
十三について
お尋ねの「国際会議への参加」及び「海外の水資源に関する情報収集」に支出した総額は、それぞれ、約五百万円及び約千百万円である。
十四について
お尋ねについては、計八か国で開催された国際会議に、機構の職員延べ二十七人が参加しており、機構と水資源管理を担う海外の機関との間で、水資源に関する技術情報及び知識を共有すること等を通じて、技術力の維持及び向上が図られたものと認識している。
十五及び十六について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、機構の職員の国際会議への参加及び機構による海外の水資源に関する情報収集は、第二期中期計画を踏まえ、機構法第十二条第一項の規定に基づき、機構と水資源管理を担う海外の機関との間で、水資源に関する技術情報及び知識を共有すること等を通じて、技術力の維持及び向上を図ることにより、利水者等の負担軽減につなげることを目的として、機構の積立金を活用して実施したものである。
十七について
お尋ねの「評価」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではなく、また、お尋ねの「判断基準」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
なお、機構の積立金の使途については、通則法第三十二条第一項の規定に基づき、機構は、国土交通省評価委員会の評価を受け、当該評価の結果については、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会(以下「政策評価・独立行政法人評価委員会」という。)が評価を行っているところであり、平成二十四年度における機構の業務の実績に関する評価については、国土交通省評価委員会は、「独立行政法人水資源機構
平成二十四年度業務実績評価調書」における「業務運営評価(個別項目ごとの認定)」の「評定理由」において、「積立金の使途については、将来の経常的な管理経費の縮減や維持管理費負担の抑制のために、適切に使われており、評価できる。」と評価しており、政策評価・独立行政法人評価委員会は、機構の職員の国際会議への参加及び機構による海外の水資源に関する情報収集に関して、同条第五項の規定に基づく意見を述べていない。
十八について
お尋ねについては、機構は、自ら行う施設の管理等に関する具体的な課題について、当該施設のある地形、地質、環境等の特性を踏まえて調査、検討等を行っているものであり、御指摘の「二重行政」には当たらないものと考えている。
十九について
独立行政法人の評価制度については、国民に対する説明責任を果たしつつ、評価手続の効率化を図るとともに、目標設定及び業績評価の実効性を高めるため、主務大臣が独立行政法人の業績評価を行い、総務省に新たに設置する独立行政法人評価制度委員会が主務大臣による業績評価結果等を点検する仕組みに改めるなどの抜本的な改革を行うための独立行政法人通則法の一部を改正する法律(平成二十六年法律第六十六号)等が平成二十六年六月六日に成立し、同月十三日に公布された。政府としては、平成二十七年四月一日からの同法の施行に向け、所要の準備を進めているところである。
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