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国家戦略特別区域における医学部新設に関する質問主意書

参議院 第190回 第17号

提出者
参議院
提出日
2016年1月19日
内閣転送 2016年1月25日
答弁書受領日
2016年1月29日
提出から10日
答弁の項目数
4
質問 1,692字/答弁 1,212字

質問本文

政府は、国家戦略特別区域における医学部新設に関して、「国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針」(平成二十七年七月三十一日内閣府・文部科学省・厚生労働省決定。以下「方針」という。)を定め、また、平成二十七年十一月十二日、方針に基づき、「文部科学省関係国家戦略特別区域法第二十六条に規定する政令等規制事業に係る告示の特例に関する措置を定める件」(平成二十七年内閣府・文部科学省告示第一号。)を定めた。

その後、同月二十七日に東京圏の国家戦略特別区域計画が認定され、今後、千葉県成田市において、学校法人国際医療福祉大学が医学部の設置の認可を受けた上で、平成二十九年四月から国際的な医療人材を育成するための医学部を新設する予定となっている。

そこで、国家戦略特別区域における医学部新設に関して以下の質問をする。

一 方針の「目的」において、「世界最高水準の「国際医療拠点」をつくるという国家戦略特区の趣旨を踏まえた、国際的な医療人材の育成のための医学部新設の方針を定める。」とされている。これを踏まえて政府の見解を問う。

成田市における説明「国家戦略特区における医学部新設について」(平成二十七年九月二十七日成田市企画政策部国家戦略特区推進課)によれば、千葉県内の医学部は千葉大学の一校のみであり、人口十万人当たりの医師数は全国最下位レベルにあるなど医師不足は将来的にも厳しい状況が続くと見込まれることに鑑み、こうした状況を改善し、地域医療の崩壊を未然に食い止めるためとして、成田市は、国家戦略特別区域を活用した医学部新設を提案したとされる。

他方、政府作成の方針においては、「一般の臨床医の養成・確保を主たる目的とする既存の医学部とは次元の異なる、上記の目的に沿った際立った特徴を有する医学部とすること。」とされている。

政府作成の方針には地域医療の充実強化の視点は見受けられないが、成田市における医学部新設の説明はこれと矛盾するものになっている。このことについてどのように考えるか。

二 方針の「方針・進め方」において、「成田市分科会における議論を踏まえ」とされている。これを踏まえ、以下について政府の見解を問う。

1 成田市分科会の出席者の大半が国、成田市及び学校法人国際医療福祉大学等の関係者であるが、成田市民の代表者や地域医療関係者も出席させ、意見を議論に反映させるべきではないか。

2 成田市分科会はこれまでに計五回開催されているが、審議時間は合計約四時間と非常に少ない。住民や地域医療関係者の意見は無視する形で形式的な議論により結論が導き出されているのではないか。

三 方針の「留意点」において、「自律的な運営のための具体的な計画が立てられている等、実現可能性が認められること。」とされ、また、「教育上必要な基準等」において、「現行の設置基準のほか、過去の基準や既存の医学部の水準を参酌して必要な教育環境を整備することはもとより、大学附属病院の病床数の確保や、その他校地・校舎等の確保に関する所要の手続を含め、世界最高水準の医学教育を実施することができる教育環境を整備する。」こととされている。これを踏まえ、以下について政府の見解を問う。

1 医学部新設事業において、成田市の財政負担は最大で約百三十億円超と見込まれているが、当該事業に係る国から成田市に対する財政措置は検討されているか。また、財政措置が検討されている場合、具体的な国の負担額はいくらか。

2 財政措置が検討されていない場合、国家戦略特別区域制度を活用した医学部新設という国家的事業において、成田市及び市民が多大な事業費負担を強いられることは不合理であると考える。政府は、財政措置を検討すべきではないか。

四 医療従事者及び関係団体からは、国家戦略特別区域における医学部新設に関して、医師不足対策にはならず、また、地域医療の再生を妨げるおそれがあるなどとして強く反対する旨の声明が発表されている。政府は、こうした反対意見や懸念に対して納得のできる説明をする必要があると考えるが、見解を問う。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御指摘の千葉県成田市における説明資料「国家戦略特区における医学部新設について」(平成二十七年九月二十七日成田市企画政策部国家戦略特区推進課)において、地域医療に関する同市の見解が示されていることは承知しているが、御指摘の「国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針」(平成二十七年七月三十一日内閣府・文部科学省・厚生労働省決定。以下「方針」という。)は、東京圏国家戦略特別区域会議成田市分科会(以下「成田市分科会」という。)における議論を踏まえ、国内外の優れた医師を集め、最高水準の医療を提供できる、世界最高水準の「国際医療拠点」をつくるという国家戦略特区の趣旨を踏まえた、国際的な医療人材の育成のための医学部新設の方針として定めたものであり、この方針に掲げる医学部新設の目的について、政府と同市との間で認識は一致していると考えている。

二について

成田市分科会においては、医療分野におけるイノベーションの創出を担う国際的な医療人材を育成するという観点から、内閣府、千葉県成田市及び民間事業者の三者に加え、国家戦略特区ワーキンググループの民間有識者を構成員とし、文部科学省、厚生労働省及び千葉県をオブザーバーとして、医学部新設に係る検討を行ってきたものであり、その過程では、地域医療や医学教育に知見を有する専門家からも意見を聴取するなど、慎重かつ適切に検討を重ねてきたものである。

三について

千葉県成田市における医師の養成に係る大学の設置は、国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号)第二条第二項第一号の特定事業として、規制の特例措置の適用を受けるものであり、財政上の支援を行うことは予定しておらず、御指摘のような措置は検討していない。

四について

内閣府、文部科学省及び厚生労働省としては、方針の留意点において、「医学部新設及び附属病院設置のための教員や医師、看護師の確保に際し、引き抜き等により地域医療に支障を来さないような方策を講じること」としており、千葉県成田市における医師の養成に係る大学の設置を実施すると見込まれる者である学校法人国際医療福祉大学の当該留意点への対応状況については、平成二十七年十一月二十日に、地域医療に知見を有する専門家の意見を聴取した上で、確認を行ったところである。

また、厚生労働省としては、当該留意点の重要性に鑑み、同月二十六日に開催された国家戦略特別区域会議合同会議において、同省から事業の実施主体である同大学に対し、同大学の教員への応募については、海外からの応募の場合を除いて、応募者の所属機関に対し、応募者が同大学へ転出することで当該所属機関の医療活動に与える影響がない旨の書面の提出を求めること及び同大学の教員等の確保が地域医療に与える影響について検証及び評価を行うことを要請したところであり、当該留意点への対応状況について、引き続き注視していく考えである。

参議院の原文

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