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医師の長時間労働規制の在り方に関する質問主意書

参議院 第193回 第132号趣旨が明らかではない ×1承知していない ×1

提出者
参議院
提出日
2017年6月13日
内閣転送 2017年6月16日
答弁書受領日
2017年6月20日
提出から7日
答弁の項目数
11
質問 2,625字/答弁 2,413字

質問本文

新潟市民病院に勤めていた女性研修医が平成二十八年一月に自殺したのは、長時間の時間外労働による過労が原因だったとして、平成二十九年五月、新潟労働基準監督署は労災を認定した。疲労が蓄積している医師による医療行為は、患者の利益にならないという観点から、以下質問する。

一 政府は、働き方改革実行計画において、医師への時間外労働規制の適用は改正労働基準法の施行期日の五年後を目途とし、二年後を目途に規制の具体的な在り方等を決定するとしている。また、厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書」(以下「検討会報告書」という。)では、短時間労働や時差勤務の導入といった勤務体系の見直しや、偏在是正を目的とした外来医療の提供体制の最適化、医師の業務を他職種に移管する「タスク・シフティング」の推進など、医療従事者の働き方について多岐にわたる提言がなされた。今後、厚生労働省は医療機関についても時間外労働の監督を強化するとしているが、医療機関で働く者のうち、医師のみ時間外労働規制の適用が猶予されてしまうと、時間外労働規制が適用される他の医療職への監督強化により、タスク・シフティングに支障が出るのではないか。

二 医療法第三十条の十九において、「病院又は診療所の管理者は、当該病院又は診療所に勤務する医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に資する措置を講ずるよう努めなければならない」とされているが、努力義務では不十分であり、義務とすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 厚生労働省は、医療従事者の勤務環境改善に取り組む医療機関を支援するため、各都道府県に医療勤務環境改善支援センターを設置し、同センターにおいて医療労務管理アドバイザー等が専門的・総合的な支援を行うこととしているが、実際のところは、医療機関の使用者や管理者への影響が強いとされる各都道府県の医師会に同センターの業務を委託している例が多いと聞く。そのような状況で、果たして、医療従事者の勤務環境の改善を目的とする同センターの実効性を担保できるのか。

四 救急医療で働く医療従事者(以下「救急医療従事者」という。)の負担軽減策について、検討会報告書では詳細な言及がなかった。新潟労働基準監督署が前記の労災認定の後に行った是正勧告を受けて、新潟市民病院では、新規外来患者を抑制するとの方針を打ち出したと聞くが、救急医療従事者の負担軽減策として、医療を供給する側が診療機能を自ら制限するような方策をとるようになれば、医療アクセスが制限されることになり、ひいては国民の利益にならない。政府は、救急医療従事者の負担を軽減するため、いわゆるコンビニ受診の抑制以外に、何か別の具体的かつ効果的な方策があるのか。また、具体的にどのようなプロセスで救急医療従事者の負担軽減を進めていくつもりなのか。

五 厚生労働省は、「いきいき働く医療機関サポートWeb(いきサポ)」で、複数主治医制度など、医療機関の勤務環境の改善に役立つ各種情報や医療機関の取組事例を紹介しているとのことだが、厚生労働省として、いきサポが医療機関等から十分に活用されていると認識しているか。

六 労働安全衛生法に基づく産業医制度に関し、病院長が産業医を兼務している問題については、一昨年の参議院厚生労働委員会における指摘を受けて労働安全衛生規則が改正され、病院長が産業医を兼務しないよう措置されているとのことだが、病院長と産業医の兼務状況について、実態を把握するための調査は行っているか。また、新潟市民病院では、平成二十八年一月時点において病院長が産業医を兼務していたかどうかを明らかにするとともに、当該産業医は産業医として期待される役割を果たしていたと評価できるか、政府の見解を示されたい。

七 勤務医を含めた医療従事者の当直は、他業種における当直と同様に取り扱われ、労働基準法第四十一条第三号における断続的労働だとされている。しかし、たとえば、勤務医、勤務薬剤師などの当直は、断続的労働とはいえないものが多く、実際には、通常の労働と変わらないほどの業務量をこなさなければならないというが、そのような状況にあるにもかかわらず、各診療科や薬剤科などの労働三法への無知もあって、「当直制」のままであることが多い。医療現場の実状に照らすと、「当直制」を導入できるのは極めて限定された状況であることを医療現場に周知し、医療現場の実状にあった就業環境へと改善すべきと考えるが、政府として具体的な改善計画などをもっているのか。

八 平成二十九年五月十日、厚生労働省は、週八十時間以上の長時間労働など労働関係法令に違反した疑いで送検された企業などの一覧を公表したが、複数の事業所を有する企業のみが当該公表の対象となっており、多くの医療機関や医療提供施設などは当該公表の対象外となってしまう。医師など医療従事者の長時間労働の深刻な実態を踏まえれば、医療機関や医療提供施設については、事業所を一つしか有していない場合でも当該公表の対象とすべきではないか。

九 労働基準局監督課は、平成二十八年十一月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の実施結果を平成二十九年三月に公表しているが、同実施結果の統計上「保健衛生業」との分類があるのみであることから、「保健衛生業」のうち、さらに医療機関に特化した統計もまとめるべきではないか。

十 青少年の雇用の促進等に関する法律に基づき、平成二十八年三月から、企業が新卒者等であることを条件とした募集・求人申込みを行う場合に、前事業年度の月平均所定外労働時間を含む職場情報を提供する制度(以下「職場情報提供制度」という。)が開始されているが、医療機関における職場情報提供制度の実施状況はどうなっているか。時間外労働が多く、過酷な労働環境にあるといわれる「研修医」になることを希望している者にも当該職場情報は提供されていると理解してよいか。

十一 企業における前事業年度の月平均所定外労働時間の情報は、新卒者等であることを条件とした募集・求人申込みを行う企業だけでなく、募集・求人申込みを行う全ての企業に対して公表義務を課すべきではないか。また、前事業年度の月平均所定外労働時間の職種ごとの状況について公表することも検討すべきではないか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

平成二十四年就業構造基本調査によると、労働時間が週六十時間を超える雇用者(年間就業日数二百日以上の正規職員をいう。)の割合は全職業平均が十四・○パーセント、医師が四十一・八パーセントであるのに対し、例えば看護師(準看護師を含む。)についての当該割合は五・四パーセントとなっており、御指摘の「他の医療職」において医師のように極端な時間外労働が常態化しているわけではないことから、御指摘の「タスク・シフティングに支障が出る」との懸念は当たらないものと考えている。

二について

医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の十九の規定については、病院等(病院及び診療所をいう。)の管理者が医療従事者(同法第四条第一項第一号に規定する医療従事者をいう。)その他の職員の協力の下に一連の過程を定めて継続的に行う自主的な勤務環境を改善する活動を促進する趣旨のものであることから、現時点において、御指摘のように「義務と」する必要はないものと考えている。

三について

御指摘の「医療勤務環境改善支援センター」の「業務を委託」できる者については、医療法第三十条の二十一第二項の規定に基づく医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号)第三十条の三十三の十一の規定において、同法第三十条の二十一第一項各号に掲げる事務を「適切、公正かつ中立に実施できる者として都道府県知事が認めた者」とすると定められているため、各都道府県において適切に当該委託を受ける者が選定されていると認識している。

四について

御指摘の「救急医療従事者の負担軽減」としては、不要不急の救急医療機関の利用による救急医療機関の負担を軽減することに加えて、一部の救急医療機関に患者が集中することによる救急医療機関の負担を軽減することが重要であると考えている。

厚生労働省においては、都道府県に対し、消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第三十五条の五第一項に規定する実施基準に基づく適切な傷病者の搬送及び医療機関の受入れが可能な体制、患者の状態に応じた適切な救急医療の提供が可能な体制等を構築する必要があること、救急の医療体制に求められる医療機能を担う医療機関の名称等を記載した医療計画(医療法第三十条の四第一項に規定する医療計画をいう。)を住民に分かりやすい形で公表する必要があること等を示しているところである。また、夜間の小児の急病等に関して、地域の小児科医等が電話相談に応じる体制の整備について、地域医療介護総合確保基金により支援を行っている。

加えて、医療勤務環境改善支援センターの実効性の向上等に努めていくことで、引き続き救急医療の現場を含めた医療機関の勤務環境を改善してまいりたい。

五について

全国の病院を対象として実施されたアンケート調査によると、「いきいき働く医療機関サポートWeb」(以下「いきサポ」という。)の認知度が平成二十七年度の十八・七パーセントから平成二十八年度の三十六・七パーセントに増加するとともに、いきサポを閲覧したことがある者のうち九十二・三パーセントが「非常に参考になる」又は「参考になる」と回答していること等から、医療機関においていきサポは適切に活用されているものと考えている。引き続き、いきサポの内容の充実及び周知に努めてまいりたい。

六について

お尋ねの調査については、平成二十七年十一月に全国の医療機関等を対象として産業医の選任状況に関するアンケート調査を実施したところである。

後段のお尋ねについては、個別の医療機関に関することであり、お答えを差し控えたい。

七について

お尋ねの「当直制」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省としては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第四十一条第三号に規定する断続的労働としての宿直等の勤務について、医療勤務環境改善支援センターにおいて必要な助言等を行うとともに、労働基準監督機関において必要な周知等を行っており、引き続き医療従事者の勤務環境の改善に努めてまいりたい。

八について

御指摘の「週八十時間以上の長時間労働など労働関係法令に違反した疑いで送検された企業などの一覧」においては、労働関係法令違反の疑いで送検され公表されれば、事業所を一つしか有していない医療機関や医療施設等も御指摘の「公表」の対象となる。

九について

平成二十九年三月十三日に公表した「平成二十八年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果」においては、御指摘の「重点監督」(以下「重点監督」という。)の結果について分かりやすい広報を行う観点から、労働基準法別表第一に掲げる業種を基準として、一定数以上の事業場に対して重点監督を実施した業種に限定して集計し、公表している。

お尋ねの「医療機関」は「保健衛生業」に含まれるが、「保健衛生業」を細分化して集計及び公表を行うと業種ごとの傾向が不明確となるため、現時点においてこれ以上細分化することは考えていない。

十について

お尋ねの「医療機関における職場情報提供制度」の実施状況については、把握していない。

十一について

青少年の雇用の促進等に関する法律(昭和四十五年法律第九十八号)第十三条及び第十四条の規定による学校卒業見込者等に対する青少年雇用情報の提供義務等については、学校卒業見込者等の適職選択の重要性に鑑み設けられたものであり、御指摘の「前事業年度の月平均所定外労働時間の情報」について「募集・求人申込みを行う全ての企業に対して公表義務を課す」ことは考えていない。

なお、賃金構造基本統計調査では、当該調査の対象となっている職種について毎年六月分の平均の超過実労働時間数を調査し、公表している。また、毎月勤労統計調査では、毎月の月間所定外労働時間数を調査し、産業別に一人当たり平均の月間所定外労働時間数を公表している。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×1承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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