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性犯罪・性暴力被害者等の医療費負担等に関する質問主意書
参議院 第208回 第62号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1
質問本文
法務総合研究所が平成三十一年に実施した「第五回犯罪被害実態(暗数)調査」によると、性的事件に係る過去五年間の被害申告率は十四・三%にとどまっており、大多数の性的事件の被害者が事件を顕在化させず、泣き寝入りを余儀なくされていることが推測される。多くの被害者は、緊急に医療機関へ受診する必要がある状況に置かれても、他者へ知られることを恐れて受診せず、又は経済力の乏しさから医療費を負担できないこと等を理由に受診できない状況にあるおそれがある。
本年四月から成年年齢が引き下げられ、特に若年層に性的被害が及ぶ危険性が高まる中、性犯罪・性暴力被害者等となった若年層が、将来への懸念や経済力の乏しさ等のため適切な医療を受診できない等の状況を早急に改善すべきとの観点から、以下質問する。
一 警察庁「都道府県警察による医療費及びカウンセリング費用の公費負担制度」について
1 当該制度の対象となる性犯罪被害者が医療機関を受診した場合は、保険適用の対象となるのか。
2 前記一の1に関し、適用対象である場合、保険適用について性犯罪被害者以外の者が受診した場合と異なる点はあるか。
3 前記一の1に関し、適用対象である場合、性犯罪被害者が匿名で保険診療を受けることができるのか。また、性犯罪被害者が匿名を望むことを理由に保険診療を拒否した場合は、保険が適用されず医療費を全額負担することとなるのか。
4 前記一の1に関し、適用対象外である場合、その理由について示すとともに、今後は保険を適用して性犯罪被害者が匿名で受診できる制度を構築すべきと考えるが、政府の認識を示されたい。
5 内閣総理大臣発各都道府県知事宛「性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金(性犯罪・性暴力被害者支援事業)の交付について」(令和三年三月三十一日府共第一九四号)によると、「やむを得ない事情により警察に相談をすることができなかったことによって「都道府県警察による医療費及びカウンセリング費用の公費負担制度」が適用されない被害者に対し、」とあり、都道府県警察に相談できず当該制度が適用されない性犯罪被害者が存在することが示されている。
これに関し、都道府県警察へ相談した性犯罪被害者数及び公費負担額の近年の推移を示すとともに、性犯罪被害者が警察に相談できない、やむを得ない事情の具体的な例を示されたい。
また、これらの状況を踏まえ、一人でも多くの性犯罪被害者が都道府県警察に相談することができるよう必要な環境を整備すべきと考えるが、そのための政府の具体的な取組について示されたい。
6 警察庁ホームページ「犯罪被害者等施策」では「医療機関から「犯罪被害については保険が利用できない」と言われた」との問いに対して「法律上、医療機関が保険診療を拒否することはできません。」と記述されている。このことを踏まえ、性犯罪被害者の受診に保険が適用されることについて、医療機関に対しさらなる普及啓発が必要と考えるが、政府の認識を示されたい。
二 内閣府「性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金」について
1 当該交付金の対象となる性暴力・配偶者暴力被害者等が医療機関を受診した場合は、保険適用の対象となるのか。
2 前記二の1に関し、適用対象である場合、保険の適用について性暴力・配偶者暴力被害者等以外の者が受診した場合と異なる点はあるか。
3 前記二の1に関し、適用対象である場合、性暴力・配偶者暴力被害者等が匿名で保険診療を受けることができるのか。また、性暴力・配偶者暴力被害者等が匿名を望むことを理由に保険診療を拒否した場合は、保険が適用されず医療費を全額負担することとなるのか。
4 前記二の1に関し、適用対象外である場合、その理由について示すとともに、今後は保険を適用して性暴力・配偶者暴力被害者等が匿名で受診できる制度を構築すべきと考えるが、政府の認識を示されたい。
5 医療費等公費負担事業について、国の予算額及び決算額、都道府県別の交付決定額の近年の推移を示されたい。
6 被害者相談支援運営・機能強化等事業の交付率が二分の一であるのに対して、医療費等公費負担事業の交付率は三分の一である理由及び同交付率を二分の一に引き上げる必要性及びその予算の確保について、政府の見解を示されたい。
7 当該交付金は国から都道府県に交付されるものであるが、性暴力・配偶者暴力被害者等個人に対して直接支給する等の補助の在り方を改善することにより、医療機関を受診する性暴力・配偶者暴力被害者等の窓口負担を軽減し、安心して継続的に的確な診療を受診できるようにすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
三 性犯罪及び性暴力・配偶者暴力は、夜間や人目の付かないところ、家庭内など周囲と連絡を取りにくい場所で発生し、直ちに被害者が救済を求めることが困難な場合や、周囲に知られることを恐れ、都道府県の区域を越えて遠隔地で支援を求める場合等が考えられる。
これらの被害者に対する支援について、都道府県の区域を単位としたり、被害者が都道府県警察や「性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金(性犯罪・性暴力被害者支援事業)交付要綱」に規定する相談センターに相談に来ることを要件としたりすることで、迅速な医療救済が困難となる恐れもある。
例えば、緊急避妊薬(アフターピル)は七十二時間以内の服用という時間的な制約もあり、行政区域や被害者からの相談の有無等にかかわらず、緊急の対応を要するこれらの被害者が経済的な負担等を気にすることなく直接医療機関を受診することができるよう必要な支援策を講ずるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
四 性犯罪・性暴力被害者等の救済に向け、警察庁では、都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国共通番号「♯8103(ハートさん)」を、また内閣府では、最寄りの性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターにつながる全国共通番号「#8891(はやくワンストップ)」を設けている。
1 「性犯罪・性暴力被害相談のための啓発カード」の裏面には、両方の番号が記載されているが、性犯罪・性暴力被害者等は、どのような被害についてどちらに相談すれば良いのか、それぞれの番号の特徴及び相違点と合わせて具体的に示されたい。
また、この点について国民へのさらなる周知広報が必要であると考えるが、今後の政府の取組についても示されたい。
2 警察庁及び内閣府は、それぞれの番号に寄せられた被害相談に係る情報を共有しているのか。共有している場合、両者でより適切な対処方法を検討するなど、連携して対応しているのか。
3 国民の利便性の観点から、窓口となる番号を統一すべきと考えるが、政府の認識を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1から4までについて
犯罪の被害を受けたことにより生じた傷病は、御指摘の「都道府県警察による医療費及びカウンセリング費用の公費負担制度」(以下「公費負担制度」という。)の対象者に係るものであるか否かにかかわらず、健康保険法(大正十一年法律第七十号)等において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象としている。また、被保険者等が保険給付を受ける場合には、被保険者証を提出するなどの方法により被保険者の資格確認を受け、当該給付を受けるものとされている。
一の5について
お尋ねの「都道府県警察へ相談した性犯罪被害者数」については、その具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、強制性交等及び強制わいせつの認知件数に関し、例えば、過去三年間の推移をみると、警察庁の犯罪統計によると、罪種別では、平成三十一年及び令和元年中は強制性交等が千四百五件及び強制わいせつが四千九百件、令和二年中は強制性交等が千三百三十二件及び強制わいせつが四千百五十四件、令和三年中は強制性交等が千三百八十八件及び強制わいせつが四千二百八十三件である。また、公費負担制度に関する「公費負担額」に関し、例えば、過去三年間の推移をみると、性犯罪被害者の緊急避妊等に要する経費に係るものとして、令和二年度は六千五万七千円、令和三年度は六千百十五万九千円、令和四年度は六千百十五万九千円を、性犯罪被害者を含む犯罪被害者等のカウンセリング費用に係るものとして、令和二年度は二千八百六十七万九千円、令和三年度は二千八百六十七万九千円、令和四年度は二千八百六十七万九千円を、警察庁においてそれぞれ予算措置し、都道府県に補助している。
お尋ねの「性犯罪被害者が警察に相談できない、やむを得ない事情」については、例えば、被害者が自身の心情に応じ、警察への相談を希望しない場合等が想定される。
警察においては、「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」(令和二年六月十一日性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議決定)等に基づき、都道府県警察の性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置を推進するとともに、性犯罪が発生した場合に捜査に当たる性犯罪指定捜査員として女性警察官等を指定しているほか、各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国共通番号「#8103」を二十四時間運用し、その国民への周知を図るなどして、性犯罪被害者が相談をしやすい環境の整備に努めている。
一の6について
厚生労働省において、犯罪の被害を受けたことにより生じた傷病は、健康保険法等において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象としていることについて、医療機関に対して、地方厚生局(地方厚生支局を含む。)を通じて周知している。
二の1から4までについて
犯罪の被害を受けたことにより生じた傷病は、「性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金(性犯罪・性暴力被害者支援事業)」の医療費等公費負担事業(以下「医療費等公費負担事業」という。)による支援が受けられる者であるか否かにかかわらず、健康保険法等において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象としている。また、被保険者等が保険給付を受ける場合には、被保険者証を提出するなどの方法により被保険者の資格確認を受け、当該給付を受けるものとされている。
二の5について
医療費等公費負担事業について、例えば、過去三年間の推移をみると、国の予算額及び決算額は、令和元年度は九百七万八千円及び三百十五万四千円、令和二年度は九百十八万円及び三百七十九万四千円、令和三年度は千七百十七万円及び四百七十九万八千円であり、①令和元年度、②令和二年度及び③令和三年度における都道府県別の交付決定額をお示しすると、それぞれ次のとおりである。
北海道 ①二十九万七千円 ②二十九万七千円 ③二十五万四千円
青森県 ①十一万九千円 ②十万五千円 ③九万八千円
岩手県 ①九万二千円 ②九万四千円 ③九万二千円
宮城県 ①十五万六千円 ②二十一万五千円 ③二十九万八千円
秋田県 ①四万二千円 ②三万九千円 ③三万七千円
山形県 ①一万五千円 ②一万七千円 ③一万七千円
福島県 ①三十万円 ②三十万円 ③三十一万九千円
茨城県 ①十九万五千円 ②二十万円 ③二十万円
栃木県 ①八万円 ②五万円 ③四万円
群馬県 ①十四万六千円 ②十四万六千円 ③十七万円
埼玉県 ①三十万円 ②三十万円 ③三十八万六千円
千葉県 ①三十万円 ②三十万円 ③七十八万六千円
東京都 ①三十万円 ②三十万円 ③百五万四千円
神奈川県 ①三十万円 ②三十万円 ③四十九万八千円
新潟県 ①七万円 ②七万円 ③七万円
富山県 ①十八万五千円 ②十九万四千円 ③二十一万円
石川県 ①十二万三千円 ②十二万三千円 ③十二万三千円
福井県 ①十九万九千円 ②十九万九千円 ③十九万九千円
山梨県 ①二十三万八千円 ②二十三万八千円 ③二十万九千円
長野県 ①五万六千円 ②七万二千円 ③十一万円
岐阜県 ①三十万円 ②二十九万三千円 ③二十七万四千円
静岡県 ①三十万円 ②三十万円 ③三十六万三千円
愛知県 ①なし ②二十九万九千円 ③二十九万九千円
三重県 ①八万七千円 ②九万千円 ③七万五千円
滋賀県 ①二十万円 ②二十万円 ③二十万円
京都府 ①三十万円 ②三十万円 ③五十二万四千円
大阪府 ①なし ②三十万円 ③三十万円
兵庫県 ①三十万円 ②三十万円 ③二十八万三千円
奈良県 ①二十五万円 ②十九万五千円 ③十四万七千円
和歌山県 ①三十万円 ②三十万円 ③五十二万四千円
鳥取県 ①二十二万千円 ②二十一万二千円 ③二十一万二千円
島根県 ①十九万二千円 ②十九万二千円 ③十九万二千円
岡山県 ①なし ②なし ③十五万四千円
広島県 ①二十七万八千円 ②三十万円 ③五十二万六千円
山口県 ①二十八万八千円 ②二十八万三千円 ③四十万七千円
徳島県 ①九万七千円 ②九万七千円 ③九万七千円
香川県 ①三十万円 ②三十万円 ③三十六万三千円
愛媛県 ①十二万三千円 ②十二万三千円 ③三十万円
高知県 ①十七万二千円 ②十七万二千円 ③十七万三千円
福岡県 ①三十万円 ②三十万円 ③百二十万六千円
佐賀県 ①なし ②なし ③なし
長崎県 ①十六万九千円 ②十四万二千円 ③十四万四千円
熊本県 ①八万円 ②五万円 ③五万二千円
大分県 ①三十万円 ②三十万円 ③五十一万円
宮崎県 ①二十一万四千円 ②二十一万四千円 ③二十一万四千円
鹿児島県 ①二十万円 ②二十万円 ③二十万円
沖縄県 ①三十万円 ②三十万円 ③六十二万七千円
二の6について
医療費等公費負担事業については、被害者保護及び性犯罪の潜在化防止の観点から、公費負担制度とのバランスを考慮して交付率を定めているところであり、引き続き、必要な予算の確保に努めてまいりたい。
二の7について
御指摘の「補助の在り方を改善することにより、医療機関を受診する性暴力・配偶者暴力被害者等の窓口負担を軽減」の意味するところが必ずしも明らかではないが、医療費等公費負担事業により、性犯罪・性暴力被害者の医療費等の負担軽減を図っているところであり、引き続き、当該事業により被害者負担の軽減を図ってまいりたい。
三について
性犯罪・性暴力被害者に対する急性期の医療費支援については、「夜間休日対応のコールセンター設置に伴う相談対応の整備及び性犯罪・性暴力被害者に対する急性期の医療費支援について(通知)」(令和二年十二月二十五日付け府共第六百八十九号内閣府男女共同参画局男女間暴力対策課長通知)により、急性期の医療的支援を必要とする被害者が、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(以下「ワンストップ支援センター」という。)を通じて医療機関を受診した場合には、被害者の居住地及び被害の発生地にかかわらず、当該ワンストップ支援センターを所管する都道府県において医療費支援の対象とするよう依頼している。
四の1及び3について
全国共通番号「#8103」については、各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる番号であり、全国共通番号「#8891」については、緊急避妊薬の処方、証拠採取等の医療的支援、弁護士を紹介するなどの法的支援、相談・カウンセリング等の心理的支援等、地域における性犯罪・性暴力被害者支援の中核的な役割を担うワンストップ支援センターにつながる番号であり、いずれの番号に相談した場合でも必要な支援が受けられることとなっている。
被害者が自身の心情に応じて、いずれにも相談できるようにすることが重要と考えており、引き続き、これらの番号の周知・広報に努めてまいりたい。
四の2について
全国共通番号「#8103」については、各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる番号であり、全国共通番号「#8891」については、都道府県のワンストップ支援センターにつながる番号であるため、警察庁及び内閣府はそれぞれの番号に寄せられた個々の情報の内容等を把握していないが、被害者からの申出等に応じ、都道府県警察と都道府県のワンストップ支援センターとの間で速やかに情報共有が行われる体制が構築されるなど、緊密な連携が行われているものと承知している。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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