Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 参議院 第219回

地方公共団体による介護職員の直接採用に関する質問主意書

参議院 第219回 第5号お答えすることは困難 ×3

提出者
参議院
提出日
2025年10月21日
内閣転送 2025年10月27日
答弁書受領日
2025年10月31日
提出から10日
答弁の項目数
4
質問 2,247字/答弁 1,496字

質問本文

都道府県が第九期介護保険事業計画(二〇二四年度~二〇二六年度)の介護サービス見込み量等に基づき推計した介護職員の必要数は、二〇二六年度が約二百四十万人、二〇四〇年度が約二百七十二万人であり、二〇二二年度の介護職員数約二百十五万人と比較すると、二〇二六年度に約二十五万人、二〇四〇年度に約五十七万人が必要となる見込みである。一方、二〇四〇年には、六十五歳以上の高齢者数がピークを迎える。また、生産年齢人口の減少が見込まれることから、介護人材確保に向けた対策が喫緊の課題となっている。

また、「二〇四〇年に向けたサービス提供体制等のあり方について、高齢者等に係る施策や、他の福祉サービスも含めた共通課題等の検討を行うため、「二〇四〇年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会」が開催され、二〇二五年七月二十五日に「二〇四〇年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめ」(以下「とりまとめ」という。)が公表された。とりまとめでは、「国や地方における介護人材確保に向けた取組」として、「介護人材確保は最大の課題であり、(中略)近年の物価高や賃上げに対応し、全産業平均の動向も注視した上で、賃上げや処遇改善の取組を推進していくことが必要である」と指摘されている。

こうした状況に対応する方策として、一部の有識者は、特に不足が深刻であるヘルパーを念頭に、介護職員を賃金水準が高く身分も安定している公務員として採用することで、「介護職員は低賃金」というイメージの払拭や地方の人口流出の防止につながると指摘している。

以上を踏まえて、以下質問する。

一 介護職員に安定した賃金水準を保障し、不足が見込まれる介護人材を確保するため、地方公共団体が介護職員を直接採用するという方策は今後の実施に向けて検討されるに値すると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 参議院厚生労働委員会(二〇二一年四月八日)において、訪問介護職員を公務員化することに関する質疑に対し、政府は、持続可能性の観点から考えると、一部の地方公共団体では可能かもしれないが、一般化は難しい旨答弁した。これは、全国の地方公共団体で一般化するに際して必要となる財源確保の持続可能性を勘案した答弁と考えるが、介護職員を公務員化する場合の課題を詳細に示されたい。

三 地方公共団体が介護職員を直接採用する方策を独自に採った場合、政府が財政的支援を行う考えはあるか示されたい。また、政府として財政的支援を行う考えがない場合、地方において介護人材が不足する状況から脱却を図り、介護人材の定着・確保により安定的な介護サービス提供体制を整備するための方策を具体的に示されたい。

四 地方から都市部への若者の流出に関して、「地方創生二・〇基本構想」(二〇二五年六月十三日閣議決定)では、若者にも選ばれる地方をつくるため、十年後に目指す姿として、「若者が地方に残りたい(中略)と思うことができる。また、地方に魅力的な学び場、働き場があり、若者が地方で学びたい、働きたいと思うことができる」と示されている。地方公共団体が介護職員を直接採用する方策を採った場合、採用された介護職員は地方公共団体職員と同様の給与体系で処遇されると考えられるため、安定した給与水準が担保されると考える。若者に選ばれる地域づくりを進めるため、前記の方策は、地方における安定的な雇用の創出という観点からメリットがあると考えるが、政府の見解を示されたい。

五 「二〇二四年「老人福祉・介護事業」の倒産、休廃業・解散調査」(東京商工リサーチ)によると、二〇二四年の介護事業者の倒産が過去最多の百七十二件に達し、業種別では「訪問介護」が最多となった。現在、民間の営利法人が介護サービス事業所の経営主体の多くを占めており、当該調査結果は、雇用の安定性という観点で、介護職員の将来に不安を与えると考える。地方公共団体が介護職員を直接採用した場合、一般職の地方公務員同様の身分保障が行われることで、雇用先の倒産を始めとする将来への不安を払拭することが可能になると考えるが、政府の見解を示されたい。

六 経済産業省が公開した「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」によると、介護離職や介護発生に伴う物理的、精神的負担等によって引き起こされる労働生産性の低下(経済損失額)は、二〇三〇年には、約九兆円に上る見込みとされる。地方公共団体が介護職員を直接採用する方策を採ることで、地方における介護職員が確保され、遠方に住む親等の介護に起因する労働生産性の低下や介護離職の発生による損失を減少させることが可能になると考えるが、政府の見解を示されたい。

七 介護保険制度導入以前の措置制度下では、国・地方公共団体に採用された介護職員は、国・地方公共団体の一般職員に準ずる給与・退職金等を支払う旨の通知(昭和四十六年七月十六日社庶第一二一号)に基づき給与等が保障された。また、社会福祉法人に採用された介護職員も国・地方公共団体に採用された介護職員に準ずる給与等が保障された。給与水準の保障は、介護職員の安定的な確保に寄与するものであったと考える。介護サービスの主体を担う事業者が少ない地方公共団体においては、措置制度下のように国・地方公共団体の一般職員に準ずる給与等を保障した上で地方公共団体等が介護職員を採用する方策を再度取り入れる余地があると考えるが、政府の見解を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一、二及び七について

御指摘の「地方公共団体が介護職員を直接採用するという方策」、「介護職員」の「公務員化」及び「介護サービスの主体を担う事業者が少ない地方公共団体においては、措置制度下のように国・地方公共団体の一般職員に準ずる給与等を保障した上で地方公共団体等が介護職員を採用する方策」については、現時点では具体的に検討及び評価は行っていないことから、これらの実施に当たっての御指摘の「詳細」な「課題」等についてお答えすることは困難であるが、例えば、「規制改革についての第二次見解」(平成十一年十二月十四日行政改革推進本部規制改革委員会公表)において、「多様な事業主体による多様なサービスの提供を確保することは、介護保険法の重要なねらいの一つ」及び「多様なサービス提供主体の参入を促し、介護サービスの供給量を増加させる」とされていること等を踏まえ、慎重な検討が必要であると考えている。

三について

「財政的支援を行う考えはあるか」とのお尋ねについては、「地方公共団体が介護職員を直接採用する方策」の具体的な内容等によるため、一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、お尋ねの「介護人材の定着・確保」については、令和七年五月二十六日の参議院決算委員会において、福岡厚生労働大臣(当時)が「担い手の確保は喫緊の課題だというふうに思います。そのために、新しく入っていただく方を増やすこととその定着支援を進めること、この両方に取り組んでいく必要がございます。厚生労働省では、累次にわたる処遇改善の取組を始め、ICTを活用した生産性向上の推進による介護現場の負担軽減、職場環境の改善、今、なかなか現場はもうそれ以上に忙しくというお話ありました。更なる改善するためにはどういうやり方があるのかも含めて検討を進めていくとともに、職員の方々のキャリアアップのための研修受講支援など、介護人材の確保に向けた総合的な対策を進めてまいりたいと思います。加えて、令和六年度補正予算に計上した賃上げに向けた支援なども実施してございます。さらに、介護のやりがいの発信であったり社会的評価の向上を図っていくこと、このことも重要でありますため、介護職などが主体となり、自らの声で仕事の魅力、やりがい、誇りを発信するコンテンツの企画、制作などを行い、それをプラットフォームで発信する、介護の仕事、魅力発信ポータルサイトで発信するなど、現場の最前線で活躍されている方の視点からその魅力を広く発信するなどの取組を行わせていただいています。こうした様々な取組を通じまして、人材確保に努めてまいりたいと思います」と答弁しているとおりである。

四及び五について

お尋ねについては、一般論として、御指摘のような「地方における安定的な雇用の創出」及び「雇用先の倒産を始めとする将来への不安を払拭すること」のような「メリット」や可能性を否定するものではないが、いずれにせよ、一、二及び七についてで述べたとおり、慎重な検討が必要であると考えている。

六について

御指摘の「介護に起因する労働生産性の低下や介護離職の発生による損失を減少させる」ためには、介護の受皿の整備、介護人材の確保、仕事と介護の両立支援等の総合的な対策に取り組むことが重要であり、これらの取組の一つとして、御指摘の「地方公共団体が介護職員を直接採用する方策を採る」ことについては、現時点では具体的に検討及び評価は行っていないことから、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、一、二及び七についてで述べたとおり、慎重な検討が必要であると考えている。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×3

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる