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昭和40年度東北開発事業計画に関する質問主意書
参議院 第47回 第1号お答えすることは困難 ×3
質問本文
昭和四十年度東北開発事業計画に関する質問主意書
東北開発促進の問題は、長い間地域的後進性によつて苦しめられてきた東北住民の切実な要求である。特に最近の状況は、おくれた地域をより積極的に開発し、東北の生活水準及び産業水準を全国平均並みに向上せしめるという積極的先行投資開発の精神に貫かれている東北開発三法の基本精神に反し、はなはだしい地域格差拡大を生じている。このような事実にかんがみ以下の諸点について政府の具体的かつ明確な答弁を要求する。
一、組織的な国土調査、資源調査の実施
1 地域開発を計画的に実施するにあたつて、国土調査法に基づく国土調査を全面的かつ早急に実施し各分野における土地利用区分を設定すると同時に、地下資源その他の資源調査を組織的に行なつて資源実態を正確に把握し、これに基づいて積極的な開発計画を樹立する必要があると思うが、政府にその計画があるかどうか、又、あればその概要を説明されたい。
2 以上の目的を達成するために政府は十分な予算を計上するとともに必要な法的措置を早急に講ずべきと思うが如何。
二、公共投資の大幅な増大
東北の後進性の最も基礎的な条件は、産業基盤育成に対する投資がきわめて少なく、この面で他の地域と比較して著しく立ち遅れているということである。従つて、次の事項については重点的に大幅な予算並びに公共資本を注入し、短期間で最も基礎的な基盤整備を完遂せしめる必要があると思うが政府の施策を明示されたい。
1 東北縦貫高速自動車道の早期建設をはかるため、少なくとも来年度五十億円の予算を計上して着工し、向後五カ年間で東京・青森間の高速自動車道建設を完了すると同時に、関連支線の早期完成をはかるべきであると思うが如何。
2 広大な冬季積雪地帯をもつ東北は、道路輸送にのみ依存し切れない面が多く、特に冬季期間の輸送力増強と、最近ひんぱんになつた都市間の輸送、通勤通学輸送力の増強のための国鉄計画を繰り上げて、その電化及び複線化の全線早期完成をはかるべきと思うが如何。
3 以上の投資と並んで、東北における産業基盤形成上重要な一級、二級国道及び地方道の改修ほ装延長・港湾整備事業・河川改修事業等に対しては、他の地域に比して飛躍的な予算の増額を行ない従来に比べて少なくとも五割以上の年間促進をはかるべきと思うが如何。
三、農業の近代化促進と農業融資の拡大
東北の産業において最も重要な産業は農林漁業である。それにもかかわらず、池田内閣以来の工業偏重政策によつて農業が最も政府施策のラチ外に置かれた産業として取り残されている。佐藤新内閣はその所信表明の中で農業の近代化及び地域格差の是正を述べているが、次の各事項についての具体的施策を明示されたい。
1 東北地域に対しては、地域経済問題調査会の農業近代化を促進するに必要な公共投資、大農業機械のサービスセンター、農産物市場の情報センター、試験研究機関、食品加工工場、農産物及び農業資材のストックセンター等の施設を有機的に設置するとともに、営農研修所の設置等にも必要な助成を政府は講ずべきと思うが如何。
2 経済審議会の農林漁業分科会の報告にもあるように、従来の全国画一的に進められてきた農業構造改善事業実施の反省の上に立つて、広域農業振興地域の設定が提唱されているが、この審議会の答申を尊重し、東北地方を広域農業振興地域に指定して新たなる施策を講ずべきと思うが如何。
3 従来の農業金融特に制度金融を超えて実態に即した諸施設運営に対する政府の補完措置として、政府はすみやかに北海道東北開発公庫法を改正し、農林漁業の近代化促進のため、従来の制度金融と融資率差、償還条件差等を内容とする長期低利融資の道を新たに開くべきと思うが如何。
四、東北開発株式会社のあり方
東北開発株式会社はその設立以来、不良資産の引継ぎと経営不振により赤字が累増して巨大な金額となつている。同社の経営不振の責任は直接的には同社経営陣に帰すべきものであるが、基本的には政府の政策によつて左右される同社の責任は第一義的に政府がその最高責任を負わなければならない。政府はこの際如何なる方策でもつて局面にあたろうとしているのか、次の各事項について答えられたい。
1 同社が積極的に東北開発に資するために、現在のいわゆる事業縮小、分割切り売りを内容とする再建方針を根本的に再検討すべきと思うが如何。
2 地域開発に資する新規事業の積極的かつ具体的な開発構想については如何。
3 長い間の惰性として社内に瀰漫してきた情実人事、紐付き人事、無気力な事業意欲の低下という社内の弊風はすみやかに改善する必要があると思うが如何。
五、砂鉄事業について
政府は青森県むつ市においてむつ製鉄株式会社の設立を認可したが、設立以来約二カ年になろうとする今日、いたずらにペーパー・プランの作成を繰り返すばかりでいまだに事業着手に至つていない。この間青森県及びむつ市は、工場予定地に工場敷地整備、港湾整備、その他工場設置に必要な関連工事を行ない、苦しい地方財政の中から多額の先行投資を行なつている。又、むつ製鉄株式会社は創立以来多額な創業費の外毎月一千万円ずつの経費赤字を累積して今日に至つている。政府は一日も早く事業開始の決定を指示するとともに明年度予算に必要な公共資本等を計上すベきと思うが、政府にその用意あるや否や。あるならばその具体的内容について詳細に明示されたい。
六、岩手セメント工場公害について
岩手県東磐井郡東山町にある東北開発株式会社所有のセメント工場から発生発散する粉塵によつて東山町一帯における農作物及び生活環境悪化の公害ははなはだしいものがある。この事実を重視し、社会党東北開発特別委員会の公害問題小委員会は本年二月十五日から二日間にわたり現地調査を行ない、その被害状況を確認するとともに、東山町及び町民代表・会社側代表によつて構成する調査会を設置し、早急に損害の補償を行なうとともに、収塵装置を設備してこれの抜本的な改善を行なうべきことを申し入れた。これに対して当時それぞれ善処する旨約しながら、加害者の立場にある会社側が今日依然として誠意ある態度を示していないことははなはだしく信義に反するものである。このような会社側の態度について、四の項で述べた如く、最高責任者たる政府に対して本問題の早急かつ誠意ある答弁を要求する。
七、その他産業開発・企業誘致についての特別措置について次の各事項に対する政府の見解を明示されたい。
1 新産業及び農産加工コンビナート地帯における地価高騰を防止するための有効な抑制策を早急に講ずべきと思うがその具体策は如何。
2 企業誘致にあたつて一定限度の不動産取得税、固定資産税の減税措置をとつた自治体に対しては、国がそれを肩替りすべきであると思うが如何。
3 地域開発に資する特定の新規企業に対しては、電力料金の軽減を行なうための政策料金設定のための特別措置を講ずべきと思うが如何。
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政府答弁書
一、国土調査については、従前より国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)に基づき実施されてきたが、その緊急性にかんがみ、計画的な実施をはかるために、国土調査促進特別措置法(昭和三十七年法律第百四十三号)に基づく国土調査事業十カ年計画を昭和三十八年五月十日に閣議決定し、現在この計画に沿つて、地籍調査、土地分類調査等の事業を推進し、土地利用の効率化に資することとしており昭和三十八年度以降順調に実施されている。
また、東北地方は比較的地下資源に恵まれているため、探鉱開発のための調査を積極的に推進する方針であり、現在地質調査所において秋田県北鹿地区を中心として基礎的な地質調査を行なう一方、この調査に基づき金属鉱物探鉱促進事業団においてボーリングによる調査を行なつており、また石油、天然ガスについても地質調査所が秋田、山形、新潟県について埋蔵基礎調査を実施している。
二、(1) 国土開発縦貫自動車道については、前国会において予定路線の決定した東北縦貫自動車道等五路線のうちとくに緊急を要する区間については、できるだけ早く建設に着手し得るよう検討をすすめたいと考えている。
(2) 国鉄は、昭和三十六年度を初年度とする第二次五カ年計画において、幹線輸送の強化に重点をおき、その一環として東北本線の複線化、電化を進めてきたが、目下第三次長期計画を検討中で第二次五カ年計画にひき続き幹線輸送強化に重点をおき、全国主要幹線の複線化、電化を進める方針であり、東北地方においては計画期間中に東北本線の残余区間と羽越本線については全線複線化・電化、奥羽本線、磐越西線等の複線化を実施する予定である。
(3) 東北地方の道路、港湾、河川改修事業等については、それぞれ重点を明確ならしめ、事業の効率的促進をはかる方針である。
道路整備事業については、旧一級国道を中心に、その他地域開発の根幹となる主要路線に重点をおいて、大幅な事業費の増大をはかる等それぞれ計画に基づいて実施することとしており、港湾整備については、拠点性の強い地域の港湾を中心に事業の促進をはかる方針である。
また河川改修事業については、東北地方の河川の特性にかんがみ、水害の多発する地域の河川および農業構造改善事業等地域の総合開発のため緊急に改修を要する河川等に重点をおき、極力事業の促進をはかる方針である。
三、(1) 農業地域において農業近代化のための施設を重点的かつ有機的に整備することは、地域の農業近代化を促進するうえに必須の方策であり、この観点からも昭和三十八年度および三十九年度に「農業経済圏設定調査」を実施し、農業の主産地形成の現状およびこれに対応する広域農業近代化施設の現状と問題点について調査を行なうこととし、とくに東北地方については各県とも調査を実施している。
今後は、この調査結果にもとづき、広域的観点に立つて農業近代化施設の整備の実施について、早急に具体的な検討を進める方針である。
(2) 経済審議会農林漁業分科会報告に提案されているいわゆる農業振興地域の構想について、農業経済圏の構想にも関連があるので、慎重に検討する方針である。
(3) 農業金融については逐年融資枠の拡大をはかる等その充実改善につとめてきたが、農業近代化に対応する農業金融の緊要性にかんがみ、低利長期資金の円滑な供給について、一層の充実をはかる方針であるが、北海道東北開発公庫に農業金融を行なわせることについては、同公庫の性格上困難である。
四、(1) 東北開発株式会社は東北開発三法の精神に基づき地域開発の責務を果すべく努力してきたが、昭和三十八年度末累積欠損金約三十六億円を計上するにいたつた。
その赤字原因は経済情勢等の変化にもよるが、同社の支出に占める人件費、金利、償却費の割合がきわめて高く、また直営事業部門のうち構造的に斜陽化しつつある業種を含んでいる等のためである。
上述の赤字原因を解消し、将来の飛躍的発展を期するため五カ年計画を作成し、企業合理化を推進するとともに中核事業部門であるセメント事業、ハード・ボード事業については、積極的に拡充強化をはかり、また化工事業部門についても、将来有機合成部門ヘ転換できるよう各種の合理化を行なつている。
一方金利、償却負担の軽減をはかるため政府出資(昭和三十九年度十二億円払込済)を行ない、会社の体質改善と発展的基盤の強化に努力している。
したがつてこの計画に即して、所期の目的を達成することといたす方針である。
(2) 東北開発株式会社は計画に基づく再建を軌道にのせることが当面の急務であつて、再建の確実な見通しなしに新規事業を実施させるべきではないと考えている。
同社の企業基盤が脆弱のまま新規事業に手をつけてゆくことは、経営基盤をますます弱めるばかりでなく、当該新規事業の発展を期待することも困難であると考えるからである。
将来再建の成果があがり、企業基盤が確立されれば新規事業を推進させる意向である。
(3) 本年四月会社経営の衝にあたる役員を一新し、あらたに有能な民間出身者を任命した。目下社内人事を刷新し、新理事を中心として社内一丸となり、会社再建に努力している。
五、むつ製鉄株式会社は昭和三十八年四月三菱グループとの合弁で発足した。爾来、数次にわたり、実施計画案の作成が行なわれたが、いずれの案も企業採算を得ることが困難で三菱グループの了解も得られず、成果を得るにいたらなかつた。
昭和三十九年十一月十六日にいたり、三菱グループより企業提携を辞退したい旨の申し入れが東北開発株式会社になされた。
経済企画庁においては、かかる事態にたいし、東北開発株式会社三菱グループなど関係方面とも打ち合せの上、本事業の今後の取扱いについてできるだけ早く、結論を得るべく努力している段階である。
六、岩手セメント工場の煙害の原因はシャフト・キルンによるものであるが、レポール二号の新設当初、一時的に粉じんを放出したことが加わり、問題化したものである。
現在ではレポール二号による粉じんの放出はなくなり、シャフト・キルンによる煙害防止についても集じん装置を早急にとりつけるべく、目下技術的検討を加えており、早々に着工に入る予定である。
なお、地元被害については東北開発株式会社において、日下円満解決が行なわれるよう努力している。
七、(1) 地域開発の拠点である新産業部市等について必要な工業用地等の計画的な配置造成を推進して、思惑的な地価高騰に対処するよう指導するとともに、地方公共団体の用地取得造成に対する起債措置、公共用地取得の効率化、宅地取得に関する先買制度等諸般の措置を通じて総合的な地価対策を実施してゆく方針である。
(2) 地方公共団体が低開発地域工業開発地区、産炭地振興地域または新産業都市の区域内に企業を誘致した場合は、一定の条件に応じて不動産取得税、固定資産税について税の減免を認めており、これに伴う地方公共団体の減収額については一定の基準により地方交付税の算定を通じて補てん措置を講じている。
(3) 電力料金は、電気事業の健全な発達と需用家の利益を確保するため、契約種別ごとの原価に基づき、公平に算定することとなつているので、地域開発のためとくに政策料金を設定することは困難であると考える。
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