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心身障害者の雇用促進とリハビリテーションの充実強化に関する質問

参議院 第85回 第7号お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

提出者
参議院
提出日
1978年10月21日
内閣転送 1978年10月21日
答弁書受領日
1978年10月27日
提出から6日
答弁の項目数
9
質問 2,653字/答弁 1,865字

質問本文

心身障害者の雇用促進とリハビリテーションの充実強化に関する質問主意書

心身障害者の雇用促進対策は、昭和五十一年秋の身体障害者雇用促進法の改正により、制度的には大きく前進したとされているが、その後今日に至るまでの推移を見ると、必ずしも法改正による実効はあがつておらず、却つて、わが国のリハビリテーションに対する行政施策の立ち遅れ等新たな問題点を浮き彫りにした面も少なくない。従前から熱心に取り組んできたごく一部の企業に加えて、昨年六月一日現在の雇用状況報告では障害者の雇用率が低かつた業種の企業がそれなりに前向きに取り組む兆しが見え始めたこと、新規学卒身障者に対する雇用促進会が軌道に乗りつつあること等、新しい要素が生まれてきた点は一応評価する。しかしながら、これらによつて雇用の機会が開かれるのは障害の程度の軽度な者に限られる傾向が顕著であり、また障害の程度のほか職種、性別、地域性等との条件もからんで、求職と求人がかみあわず、心身障害者の雇用促進がムードのみに流れている傾向があることも見逃せない。さらに、障害者が適切な教育・訓練・リハビリテーションを受けて社会経済活動に参与するという本来一貫した施策のもとになされるべきものが、労働、厚生、文部等各省に所管がまたがつているため、一貫性、総合性を欠くきらいがある。こうした中で、より障害の重度な者はますますとり残されるという印象を深めているのである。私はこれまで、身体障害者雇用納付金の使途等につき政府の見解を質してきたが、それに対する答弁は到底満足できるものではなかつた。この際、当面する諸問題のいくつかと共に、長期的視野に立つて検討・研究すべき問題点をも含めて質問するので建設的かつ誠意ある答弁をされたい。

一 心身障害者の雇用状況の実態把握について

現行の雇用状況報告は、単に、常用労働者となつている障害者の数のみを問題としており、障害の程度及び状態、賃金、職種、企業内における身分等の雇用の実態の詳細を把握することは困難である。雇用率を達成していても、障害者であるが故に補助的業務のみであつたり、低賃金であつたり、率だけでは決して問題が解決されないのは明らかである。より適切な施策の推進のためには、人数のみにとどまらない実態把握が必要であると考えるが如何。

二 雇用率未達成企業への指導について

未達成企業に対しては雇入れ計画の作成を命ずることとなつているが、これまでにどのような基準にもとづき、どれだけの企業に命令したか。その根拠及び今後の方針を含めて伺いたい。

三 解雇の届出について

事業主が心身障害者を解雇する場合、公共職業安定所に届出ることとなつているが、自己退職の形となるケースが多く、制度の意味が実質的に薄れてしまつている。職場環境の整備に問題があつたり、心身障害者に対する職場の人々の理解の不足が原因であつたり、自己退職の場合であつても放置すべきではない。解雇に限らず、退職者についても報告するよう義務づける等の改善をすべきではないか。

四 助成制度について

法改正前の昭和四十年代から障害者を多数雇用し、先駆的な役割を果たしてきた企業がある。助成制度は新規雇用に対してのみ対象としているが、古くから貢献してきた企業に対してより一層の充実を図るため何らかの方策を講ずるべきと考える。今後検討する考えはないか。

五 職業訓練について

現在実施されている障害者のための職業訓練は、職種が少なく、しかも時代の変化に即応していない。訓練科目や訓練期間は、それぞれの障害者の適性や残存能力に合わせて決められるべきであるが、現状ではむしろ逆であると言つても過言ではない。訓練校のあり方を抜本的に見直すべきであると同時に、民間企業への委託等多様な形態を採り入れるべきと考えるが如何。

六 特定職種について

障害等級は、欠損した機能に着目するものであつて、その有する能力を評価するものではない。重度障害者であつても、職場環境の整備、補助器具の使用等によつて、健体者と全く同等あるいはそれ以上の労働能力を発揮できる職種は少なくない。こうした点に鑑み、特定職種の制度をもつと生かして活用すべきと思うが、その考えはないか。

七 福祉工場、授産施設等について

厚生省所管のこれらの施設は、一般企業に雇用されることの困難な者を対象としているとされているが、その就労の実態を見ると、一般の労働者と変らない所も多く存在している。また、その目的は、自活に必要な訓練、技能の修得をさせ、職業を与え、自活させることであるはずでありながら、一般企業への雇用に結びつける施策は充分ではない。これらの施設に対しては、労働行政の立場から検討を加えるべき点が多いと考えるものであるが、政府の見解を伺いたい。

八 いわゆる保護雇用制度について

障害があつても、適正なリハビリテーションにより、健体者と同等の職業に就くことができるし、そのような道を追求することが雇用促進の主軸となるべきであるが、障害によつては、労働能力において一定の限界のある場合も多い。前項の質問で触れた福祉工場、授産施設等は、おおむね、そうした人々を対象としていると見ることもできる。そこで、年金制度等をもその視野に含めながら、英国等に見られる保護雇用制度や勤労障害者を対象とした所得保障制度について、わが国においても検討すべき時期が来ていると考えるものであるが、政府にその意思はないか。

九 専門職員の養成等について

心身障害者の雇用促進に関して、身体障害者雇用審議会の答申においても、専門職員による職業紹介体制の強化をうたつているが、マンパワーに対する要求はこの面ばかりにとどまらない。わが国におけるリハビリテーションは急速にその水準を高めているが、その各分野において従事者の量的質的な充実が求められている。しかしながら、リハビリテーションの医学的、教育的、社会的、職業的分野のいずれにも、養成制度、専門職制度、身分及び資格制度が整備されているとは言えない。一貫性、総合性が重要な問題であるだけに、政府は、関係各省庁の連絡調整を図るのは勿論のこと、学識経験者の意見をも充分に聴き、強力なプロジェクト・チームを作る等の方策をとるべきだと考える。その意思はあるか。

心身障害者の雇用促進対策を長期的視野で考えた時、決定的に重要な問題点であると確信するので、政府の真摯なる答弁を求めるものである。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

政府としては、心身障害者の雇用対策の企画推進の資料とするため、これらの人々の就業の実態は握のための調査を行うことは必要であると考えており、本年も十月一日現在の状況を障害の程度、就業状況、賃金、職種等について詳細に調査することとしている。

二について

政府としては、身体障害者雇用率の達成について事業主に対する指導に努めているところである。この指導の一環として、実雇用率が特に低く、また、雇い入れるべき身体障害者数が相当数にのぼる事業主に対しては、労働者の新たな雇入れが予定される場合に、身体障害者雇用促進法に基づく身体障害者の雇入れ計画の作成を命ずることとしている。

昭和五十二年度においては約六百五十企業に対し命令を発し、これにより、今後約一万五千人の身体障害者の雇入れが予定されているところであり、今後は、同計画の適正実施を指導するとともに、その積極的な活用を図つてまいりたい。

三について

身体障害者の解雇の届出制度は、昭和五十一年の身体障害者雇用促進法の一部改正により設けられたものであり、新たな義務づけは考えていないが、同制度のより一層の周知徹底を図り、適正な運用に努めてまいりたい。

四について

身体障害者雇用納付金制度に基づく助成金制度は、身体障害者の新規雇入れに伴う事業主の経済的負担の軽減を図ることを通じて、身体障害者の雇用の促進を図ろうとするものであり、身体障害者の雇用に古くから貢献している事業主についても身体障害者の新規の雇入れがある場合には当然にこの助成の対象となり得るものであるが、改正法施行前の事実に対して助成措置を講ずることは困難である。

五について

身体障害者に対しては、身体障害者職業訓練校を中心として公共職業訓練施設において、特別の配慮を加えつつ、その能力、適性に応じた職業訓練を行つているところである。また、昭和五十四年度開所予定の国立職業リハビリテーションセンター(仮称)においては、医療的リハビリテーションと連携しつつ、特に重度の身体障害者の職業的自立の促進を図るための職業訓練を行うほか、身体障害者に適した訓練技法の研究開発も併せて行うこととしている。

民間企業における訓練の委託等については、現行の職場適応訓練制度を積極的に活用するほか、国立職業リハビリテーションセンター(仮称)における研究成果等を踏まえて多様な形態の職業訓練を進めるよう努力してまいりたい。

六について

特定職種については、重度障害者の能力に適する職種の研究、開発を通じて、今後、その範囲について慎重に検討を加えてまいりたい。

七について

福祉工場、授産施設等の入所者のうち、一般企業において就労することが可能になつた者については、公共職業安定所を中心に福祉事務所、身体障害者更生相談所等の関係機関が組織的な連携を保ち、各種の援護措置をも活用し、一般企業への早期就職が可能となるよう十分な行政指導に努めてまいりたい。

八について

身体障害者で、雇用されることの困難なもの等については、これを収容し、又は通所させて、必要な訓練を行い、適切な就労の場をつくりだすため、今後とも、身体障害者授産施設等の整備・拡充を図つてまいりたい。また、一般雇用になじむ身体障害者に対しては、雇用対策の面から、身体障害者雇用促進法を中心として各種の施策を講じているところであり、当面は、同法の円滑な運用を図ることにより、対処したいと考えている。また、福祉工場については、今後同法に基づく助成の対象とすることを検討しているところである。

御指摘の保護雇用制度等については、これらの施策の充実とあいまつて、今後の検討課題といたしたいが、勤労障害者を対象とした所得保障制度の検討は、当面考えていない。

九について

理学療法士、作業療法士等リハビリテーション関係専門職員の養成確保については、従来より、その緊急性にかんがみ、努力してきたところであるが、更に、昭和五十四年度開所予定の国立リハビリテーションセンター(仮称)及び国立職業リハビリテーションセンター(仮称)において、医療、職能、職業等の総合的リハビリテーションに係る専門職員の養成及び国内関係施設職員等の各種研修・講習を実施し、関係職員の充足とその資質の向上を図ることとしている。

なお、御指摘の専門職員の養成等のためのプロジェクトチームは、この国立リハビリテーションセンター(仮称)及び国立職業リハビリテーションセンター(仮称)において実質的に実現できるものと考える。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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