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尾瀬分水反対に関する質問主意書
衆議院 第109回 第25号
質問本文
衆議院議長 原 健三郎 殿
尾瀬分水反對に關する質問主意書
本來、自然的資源は、それぞれ其の地域に住む人々が、共有してその生存に利すべきものである。然るに文明人智の發達は、やゝもすればこの大自然の道理に逆行し、自然を破潰するの誤を犯して來た。この結果は、人類の破滅に至るであらふことは疑ふべくもないところである。
ここに我國の都市構造と國土利用の現状は、首都圏など一部の都市が、人口の異常な過密による自然の缺乏を餘儀なくされてゐる一方、東北などの地域は滅亡的な人口の過疎を來してゐる。
政府はこの程、第四次全國總合開發計畫を作定して、この病的現象の是正を圖るとしたが、その志は理解し得るところである。
然しその一面には、その志に逆行する動きも少くなく、尾瀬沼の水を分流して首都圏の利用に供せんとする運動の如きも未だ終局してゐない。
もしもかゝる暴擧が實現する時は、世界に誇るべき尾瀬の自然を破壞する虞れがあるのみならず、首都圏の人口過密を助長し、越州・會津などの過疎を一層深刻なものとすることは必定である。
かゝることは四全總計畫に反するばかりでなく、天地自然の理法に反逆する非文明的蠻行である。
この時政府が速かに尾瀬分水の如き愚昧の案を斥けることこそ、今日的國政の急務である。
仍つて之につき質問する。
一 尾瀬分水は之を絶對に行はないことを明確に表明すべきである。仍つて關係地方住民の不安を一掃すべきである。所見如何。
二 首都圏の病的な人口集中を排除するため、官廳・學校・工場などの半強制的移轉をも含めた人口分散計畫を確立すべきである。所見如何。
三 首都圏の恒久的水利用計畫を策定すべきである。又、その爲の公共事業などを具體化すべきである。所見如何。
四 尾瀬の自然を保全し、その水資源確保のため萬全の計畫を速かに確立すべきである。所見如何。
五 尾瀬水系、ことに、只見川、阿賀野川等の流域の總合開發に力を注ぎ、公共的投資を大幅に擴大すべきである。之によつて、地域の健全な發展を期し、民心を安んじ、首都圏に流出してゐた人口の地方復歸を圖るべきである。所見如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
尾瀬分水は、自然保護との調和及び流域変更という問題を含んでいるため、関係県の意見を十分尊重して対応してまいりたい。
二について
政府は、おおむね昭和七十五年を目標年次とする第四次全国総合開発計画(以下「四全総」という。)を、昭和六十二年六月三十日に閣議決定したところである。
この四全総においては、東京圏への諸機能の集中を抑制し、分散を促進するため、工業の分散・再配置政策の推進、政府機関の移転再配置等の検討、推進などの施策を示すとともに、地域別人口については、計画期間後半には、東京圏から地方圏へ人口純流出となることを目指し、昭和七十五年の東京圏の人口の目標を三千三百万人程度と設定したところである。
三について
首都圏の水需要の大半は、利根川水系及び荒川水系によつて賄われている。両水系における水資源開発は、「水資源開発基本計画」に基づき従来から積極的に実施してきており、今後ともその促進に努めてまいりたい。
四について
尾瀬については、我が国を代表する優れた自然の風景地として、その厳正な保護を図つている地域であり、今後とも、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第十二条第一項の公園計画に基づき、適切に保全してまいる所存である。
五について
只見川、阿賀野川等の流域においては、大川ダム等の治水事業の推進のほか、野岩鉄道会津鬼怒川線の開通(昭和六十一年十月九日)、道路事業についても東北横断自動車道(いわき新潟線)等の整備がなされているところであり、これらを踏まえ、本地域の総合的な開発振興に向けての取組が今後一層進められていくものと考えられる。
国としても、地元地方公共団体等との連携の下、所要の事業の推進を図る等、豊かな地方定住の場の形成に向けて、鋭意取り組んでまいる所存である。
右答弁する。
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