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請願権問題に関する質問主意書

衆議院 第112回 第4号

提出者
衆議院
提出日
1988年1月28日
内閣転送 1988年1月30日
答弁書受領日
1988年2月16日
提出から19日
答弁の項目数
3
質問 2,313字/答弁 563字

質問本文

衆議院議長 原 健三郎 殿

請願権問題に関する質問主意書

周知のように請願権は、諸国の憲法において伝統的な国民の参政権的権利として広く保障されている。我が国では、現行憲法が、請願権を侵すことのできない国民の基本的人権として保障(憲法第十六条)するとともに、この憲法規定を施行するため、一般法たる請願法(昭和二十二年法律第十三号)等を制定している。

私は、一九八四年、「国民の請願権問題に関する質問主意書」(昭和五十九年三月三十一日提出・質問第一〇号、以下「質問書」という。)で、現行請願法の解釈・運用全般について政府の見解をただしたところであるが、今日なお、請願法の立法趣旨はもとより、質問書に対する政府答弁(昭和五十九年五月八日受領・答弁第一〇号、以下「答弁書」という。)に違背する事態が随所でみられる。

そこで、以下質問する。

一 請願の相手方たる「官公署」について

現行請願法は、何人もすべての「官公署」に請願を提出することができる旨を定めている。この「官公署」について政府は、現行請願法が制定された当時の帝国議会で「公共組合等」を含むと答弁し(金森国務大臣)、私の質問書に対する答弁書では、「請願法(昭和二十二年法律第十三号)の『官公署』には、国及び地方公共団体の機関のほか、公権力の行使の事務をつかさどる公法人を含むものと考える」と答えている。

�@ 法律により直接に設立され又は特別の法律により政府が命ずる設立委員によつて設立すべきものとされる法人で、その新設・目的の変更・当該法律の定める制度の改廃等が総務庁の審査対象とされているいわゆる特殊法人は、政府が必要と認めて行う事務・事業のうち、「その性格が企業的経営になじむものであり、これを通常の行政機関に担当せしめては、各種の制度上の制約から能率的な経営を期待できない」などの理由で設立されたもの(総務庁『特殊法人総覧』)であるから、当然、請願法の「官公署」、つまり、政府が答弁書でいう「公権力の行使の事務をつかさどる公法人」に該当することは明白であると考えるがどうか。これら特殊法人のうち請願法の「官公署」に該当しないものがあれば、当該法人名と「官公署」に該当しないとする法的根拠を法人ごとに明らかにされたい。

�A 民営化された国鉄・電電・専売の旧三公社の後継法人である日本国有鉄道清算事業団、北海道・東日本・東海・西日本・四国・九州の各旅客鉄道株式会社、日本貨物鉄道株式会社、新幹線保有機構(以上旧国鉄関係)及び日本電信電話株式会社(旧電電公社関係)並びに日本たばこ産業株式会社(旧専売公社関係)が、請願法の「官公署」に該当するかどうかをめぐつて若干の疑義が生じている。これら旧三公社の後継法人は、�@に該当する特殊法人であり、かつ、塩専売やたばこ専売にかかる各種の規制や許認可などの「公権力の行使の事務」(答弁書)をつかさどる「公法人」(同前)であるから、当然、請願法の「官公署」に該当すると考えるがどうか。これら旧三公社の後継法人のうち請願法の「官公署」に該当しないものがあれば、当該法人名と「官公署」に該当しないとする法的根拠を法人ごとに明らかにされたい。

�B 日本銀行や下水道事業団など、�@に該当する特殊法人ではないが、特別の法律に基づいて設置される広義の特殊法人たるいわゆる認可法人も、「国家経済総力ノ適切ナル発揮ヲ図ル為国家ノ政策ニ即シ通貨ノ調整、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成」(日本銀行法第一条)などの「公権力の行使の事務」(答弁書)をつかさどる「公法人」(同前)であり、請願法の「官公署」に該当すると考えるがどうか。認可法人のうち請願法の「官公署」に該当しないものがあれば、当該法人名と「官公署」に該当しないとする法的根拠を法人ごとに明らかにされたい。

二 地方議会が関係行政庁に提出する意見書の扱いについて

地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)は、その第九十九条第二項で、地方議会は「当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を関係行政庁に提出することができる」と定めている。だが、各省庁とも、地方議会の意見書の取扱いや処理にかかる法令上の規定が未整備であることなどもあつて、国会が、受理した意見書の処理内容を明らかにするよう資料要求してもその具体的な内容を明らかにできないなど、極めてずさんな取扱いをしている。

地方議会の意見書は、地方自治法上の意見書であると同時に、請願法上の請願でもある。現に政府は、私の質問書に対する答弁書で「氏名及び住所を記載した文書であつて、官公署を提出先とし、かつ、請願としての内容を備えたものは、請願書である旨を明示していないものであつても、請願書として扱うべきものと考える」と答えている。したがつて各省庁は、地方議会の意見書を請願法上の請願として扱い、これを「誠実に処理しなければならない」(請願法第五条)ものと考えるがどうか。

三 人格なき社団の請願について

法人が官公署に請願を提出する権利を有することは、憲法第十六条及び請願法の規定により明白であるが、法人格を取得していない労働組合など、いわゆる人格なき社団が請願権を行使できるかどうかをめぐつて若干の疑義が生じている。人格なき社団であつても、団体名及び主たる事務所の所在地(事務所がない場合は代表者の氏名及び住所)を記載した文書であつて、官公署を提出先とし、かつ、請願としての内容を備えたものは、請願法上の請願として「これを受理し誠実に処理しなければならない」(請願法第五条)ことはいうまでもないと考えるがどうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

請願法(昭和二十二年法律第十三号)にいう「官公署」については、昭和五十九年五月八日付け内閣衆質一〇一第一〇号の答弁書の一についてにおいて、「国及び地方公共団体の機関のほか、公権力の行使の事務をつかさどる公法人を含むものと考える」と述べたところであるが、法律により直接に設立される法人、特別の法律により特別の設立行為をもつて設立すべきものとされる法人及び設立について行政庁の認可を受けるべきものとされる法人には多種多様なものがあり、設立についてそのような取扱いがなされるということにより、これらの法人が当然に同法にいう「官公署」に当たるものであるということはできない。

二について

地方公共団体の議会の意見書の提出については、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第九十九条第二項の規定により認められているものであり、請願法の適用はないと考えるが、意見書の提出を受けた関係行政庁においてこれを誠実に処理すべきものであることはいうまでもない。

三について

いわゆる人格なき社団にあつては、例えばその代表者を請願者とし、その者の氏名及び住所を記載した文書によつて行われたものと認められ、その文書が官公署を提出先とし、かつ、請願としての内容を備えたものである場合は、請願としてこれを受理し、誠実に処理すべきものと考える。

衆議院の原文

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