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食品の安全確保に関する質問主意書

衆議院 第116回 第14号

提出者
衆議院
提出日
1989年12月2日
内閣転送 1989年12月6日
答弁書受領日
1989年12月12日
提出から10日
答弁の項目数
11
質問 2,361字/答弁 1,724字

質問本文

衆議院議長 田村 元 殿

食品の安全確保に関する質問主意書

食品の摂取は、人間生存の必須条件であるが故に、その安全性は何よりも重視されなければならない。食品に有毒・有害物質が含まれていた場合、国民に対していかに深刻な被害をもたらすかは、かつての森永ひ素ミルク事件や、カネミ油症事件、近年のオーストリア産ワインの不凍液混入事件、アメリカ産豚肉からのスルファジミジン検出、さらにチェルノブイリ原発事故による放射能汚染食品問題などの発生によって明らかである。

今こそ政府は、国民が食品の安全性について抱いている不安を解消するとともに、安全な食品の確保と供給を図るために積極的な食品安全行政を展開すべきである。

現行の食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)及び関連法規は、衛生上の腐敗や細菌による危険防止が主たる目的とされ、食品の生産、保存、輸送などの過程で使用される化学物質などによる発ガン性、遺伝毒性物質などの危険に対する対応については、極めて不十分である。さらに、近年の食生活をめぐる社会的状況の変化への取組みも著しく立ち遅れている。

よって、次の事項について質問する。

一 適正な表示について

1 食品衛生法第十一条によって表示の基準が定められ、名称、製造者住所氏名、使用した添加物、製造年月日などの表示が義務付けられている。また、その他にも業界が自主的に規制して作ったものもあり、それらの表示の取扱い官庁は、厚生省、農水省、公正取引委員会など一本化していない。

適切な表示の実施を図る上からも、食品の安全性等の表示については、一本化ないし表示基準の統一が必要であると考えるがどうか。

2 食品によっては、表示が見にくい場所に掲示されていたり、輸入食品の中には輸出国で付けられた印刷物の上に輸入商社名等の表示が貼られているなど極めて判読し難い場合もある。食品衛生法に基づく表示の基準が遵守されるよう監視指導を強化すべきではないか。

二 食品添加物の安全性及び残留農薬の検査等について

1 食品衛生法第六条に基づき化学的合成添加物は指定性が採られ、安全性が十分に評価されたもののみが使用を認められている。また、同法第七条に基づいて成分規格、使用基準等も定められている。

しかしながら、着色料、保存料等の食品添加物は、複雑かつ複合的な使われ方がされており、その使用実態や残留状況が明確にされていない。政府はどのような調査を行い、どのような調査結果が得られたか。また、その結果に対しどのような措置を講じたのか伺いたい。

2 食品添加物の安全性の見直しについて、現在どこまで進捗したか。物質名と評価結果及びそれに対して採った措置の概要を報告されたい。

3 新たな食品添加物の指定については、安全性について十分に検討し慎重な対応を行うべきであるが、現行における安全評価の体制、手続、認可基準等について伺いたい。

4 平成三年七月一日から本格施行される食品添加物の新規則が、平成元年十一月二十八日に告示された。新規則によると、三百四十七品目の合成添加物全部に物質名の表示を課しているが、用途名の表示を一部の合成添加物にしか義務付けていない。すべての食品添加物について用途名の表示を義務付けるべきではないか。

5 食品添加物は、アメリカ等では合成・天然添加物に分けず添加物として一本化し、安全性の試験を実施し、規格・基準を明確にしている。我が国でも、天然添加物の安全性のチェックを行うとともに、平成三年七月の規制を早めて平成三年一月から実施するようにすべきであると考えるがどうか。

6 輸入農産物の残留農薬についても早急に安全基準を設定すべきであると思うが、政府の見解を伺いたい。

三 食品監視体制について

1 食品衛生法第十九条に基づいて食品衛生監視員を置くこととされているが、現在全国における食品衛生監視員の総数はおよそ六千八百七十人と言われている。しかし、そのうちのほとんどが保健所業務との兼務職員であり、実際上の食品衛生監視に当たっている食品衛生監視員の総数は未だ十分であるとは言い難い。

従って、腐敗・有害食品を専門的に監視する食品衛生監視員の大幅な増員を図るべきではないか。

2 チェルノブイリ原発事故やチリ産ブドウのシアン混入事件の発生等により、一段と関心が高まっている輸入食品の安全性のチェックは全国二十一ヵ所の港湾・空港等の検疫所で行われている。昭和六十二年の食品の輸入は千三百四十一万トン、輸入届け出件数は五十五万件、うち検査件数は八万六千件で一六%である。不合格件数は五百七十二件であった。膨大な輸入量に対し検査員は八十九人、検査機器等も旧式化していると言われている。

放射能汚染食品や農薬等に汚染された穀物、果物等が問題になっている中ではあまりにも少ない。輸入食品監視員の大幅な増員を図るべきであると思うが、政府はどのように考え、どのように対処しようとしているのか伺いたい。また、最新の検査機器を導入しその能力の向上を図る必要があると思うがどうか。

四 食品用容器等の安全性について

1 食品衛生法第九条及び第十条で有害な容器の販売を禁止するとともに、規格や基準を定めている。しかし、樹脂食器からホルマリンの検出、缶入りミカンジュースによる錫中毒事件等の発生など、容器の安全性について必ずしも万全であるとは言い難い。

合成樹脂容器の使用過程における有害物質の溶出に関する実態調査を行う必要があるのではないか。

2 電子レンジの過熱による溶出など、どのような問題が発生しているのか、その安全性の調査をより一層進めるとともに、規格・基準の見直しや必要に応じた新たな基準の整備を行うべきではないか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

食品の表示については、安全性の確保、品質表示の適正化、公正な競争の確保等種々の観点からなされており、その目的によって所管官庁は異なっているが、食品の安全性の観点から義務付けられている表示については、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)に基づく基準に従い統一的になされているところである。

一の2について

食品衛生法に基づく表示基準の遵守については、従来から食品衛生監視員による監視指導が行われているが、今後とも、その周知徹底を図り、必要な監視指導をしてまいりたい。

二の1について

化学的合成品たる添加物については、昭和五十一年度から国公立の試験研究機関において、市販食品の分析による一日摂取量調査研究を継続して行ってきているが、昭和五十一年度から昭和六十年度までの十年間の調査結果をみると、特に問題は認められなかった。

なお、昭和六十一年度以降も食品の摂取実態の変化を踏まえ、引き続き調査を実施しているところである。

二の2について

化学的合成品たる添加物については、昭和五十一年度以降、グリチルリチン酸二ナトリウム等約四十品目についての慢性毒性試験、没食子酸プロピル等約二十品目についての代謝に関する試験等の安全性再評価を実施してきたが、その結果、安全性に疑念のあるようなものは現在までのところ認められていない。

二の3について

新たな化学的合成品たる添加物の指定については、食品衛生調査会において、国民の健康確保の観点から必要なものについて個別に有用性及び安全性について科学的検討を行った上で、慎重に対処することとしている。

二の4について

添加物の表示については、食品衛生法施行規則等の一部を改正する省令(平成元年厚生省令第四十八号)によって、化学的合成品であるか否かにかかわらずすべての添加物について同様の表示を義務付けることとしたところであり、食品の取扱い及び選択の観点から特に表示の必要性が高い着色料等八用途の目的で使用される添加物については、化学的合成品であるか否かを問わず、物質名に加えて用途名の表示を義務付けることとしたところである。

二の5について

化学的合成品以外の添加物については、従来から安全性についての試験を実施してきたところであるが、今後もこれまでに摂取経験の少ないものについて重点的に実施し、必要に応じ規格基準の整備を進めてまいりたい。また、新しい添加物表示については、包装資材への印刷のための改版等に多大の時間を要するため、実施に際し、食品関係営業者等に混乱を生じることのないよう約一年半の経過措置期間を設けたものである。

二の6について

輸入農産物に使用される収穫後使用(ポストハーベスト)農薬の残留については、平成元年度から、輸入時の農産物及び市場流通段階における加工食品について残留実態調査を行うとともに、安全性に関する情報等を収集しており、関係国と協議の上、その基準を設定していくこととしている。

なお、穀物等主要農産物については平成三年度を目途に基準を設定することとしている。

三の1について

国民の食品の安全性確保に対する関心が一段と高まっていることにかんがみ、都道府県等に対し食品衛生監視員の増員等の要請など効率的、計画的監視指導体制の充実を図っているところである。

三の2について

輸入食品の安全対策の推進は、極めて重要な課題と考えており、従来から検疫所の監視体制の整備を図ってきたところであるが、今後とも食品衛生監視員の増員、検査機器の整備等、輸入食品監視体制の充実に努力してまいりたい。

四の1及び2について

食器等に使用される合成樹脂に関しては、使用時の溶出等をも考慮した規格を設定し、更に十二種の合成樹脂についてはより詳細な規格を個別に設定しており、また、製品については地方公共団体における収去検査や業界団体の自主的な検査が行われていること等から、御指摘のような実態調査については当面考えていない。

なお、十二種以外の合成樹脂についての個別の規格や電子レンジ等での使用を考慮した規格の設定については、これまでの調査研究の結果等を踏まえ、今後検討することとしている。

衆議院の原文

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