Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 衆議院 第77回

食品添加物、農薬及び飼料添加物のよる食料の汚染とその対策に関する質問主意書

衆議院 第77回 第36号承知していない ×2検討してまいりたい ×1

提出者
衆議院
提出日
1976年5月24日
内閣転送 1976年5月24日
答弁書受領日
1976年6月4日
提出から11日
答弁の項目数
4
質問 7,001字/答弁 8,018字

質問本文

衆議院議長 前尾繁三郎 殿

食品添加物、農薬及び飼料添加物による食料の汚染とその対策に関する質問主意書

私は、これまで主に予算委員会などにおいて、「安全な食料の確保こそ、国民と人類の生存の基本」という立場から、食品添加物、農薬及び飼料添加物による食料汚染と、それに係る食品衛生、農林行政の在り方について政府当局の考えと対策を質してきた。

しかしながら、私の質問に対する政府当局の答弁は、いたずらに抽象的で具体策に欠け、私を含め食料汚染について不安と疑惑を抱いている国民を納得させるものではない。また、この問題についての政府の取り組み方も、極めて不十分であると言わざるを得ない。

食品添加物、農薬及び飼料添加物に対して今程、国民の疑惑の眼が向けられている時はない。

特に、食品添加物については、最も安全であるとされていた色素剤赤色二号が、米国においてその発ガン性によつて使用が禁止されたことを契機にして、すべての食品添加物の安全性が疑われるに至つている。

また、農薬については、一定の規制基準が作られているものの、同基準が全く不十分である上、現場に対する行政指導の不徹底の結果、農薬の過剰大量使用が依然として行われ、農薬による土壤・農作物の汚染、地力の低下及び生態系の破壊ひいては人間の健康に対する重大な障害等、諸問題が一向に解決されていない。

また、現に国民が摂取している食品(農作物、食肉など)が農薬によつてどの程度汚染されているのかについて国民は、目隠しにされている現状であると言わざるを得ない。

さらに、飼料添加物についても、安全性そのものが検証されずに無制限に使われてきた上に、家畜を太らせるために人体用抗生物質が乱用されるなど“家畜の薬漬け”が一層進行し、不健全な飼育法と相まつて、奇形家畜、流産死の発生及び異常肉の大量発生の背景となつている。

現在行われている食品添加物等の化学物質の安全性の再評価と取消しは、これまでの食品添加物等が安全性よりも経済上のメリットを追求することに重点が置かれて認可されてきたことを示すものであり、企業サイドに偏つた認可行政の実態を暴露するものでしかない。現在認可されている食品添加物、農薬及び飼料添加物も完全に安全性が証明されているものは何一つないといつて過言ではなく、国民は危険な物質を毎日摂取させられているというのが実情である。このまま推移するならば人間と生物と環境に対して取返しのつかない重大な悪影響を与えるであろうことを私は強く警告したい。人間、生物界における先天的異常、ガン等の諸病の急増及び生命自体の弱体化はその予兆と言うべきであろう。

私は、三木総理大臣が、第七十七回国会の施政方針演説で述べた「生命をいたわる人間尊重主義の徹底」という題目に共鳴することにやぶさかではないが、題目と理念に終らせないためには、政府当局の確たる態度と施策の大転換が必要である。食料の汚染を防ぎ生命の安全と健康を守るために次の事項について質問をするものである。

一 食品添加物、農薬及び飼料添加物の安全性と規制の強化について

1 食品添加物、農薬及び飼料添加物の安全性について

(1) 食品添加物、農薬及び飼料添加物は、食品や食肉を通して直接的に人体に摂取されるが故に、人体に対する安全性が徹底的に確認されなければ認可されるべきではないことはもち論のこと、安全性が疑わしい場合においても認可されるべきでないことは言うまでもない。

政府は現在認可されている、これら食品添加物、農薬及び飼料添加物について完全に安全性を確認したと言えるかどうか見解を示されたい。また、「疑わしきは認可せず」との厳しい態度で臨むべきだと思うが基本的な行政方針を明らかにされたい。

(2) 食品添加物、農薬及び飼料添加物の安全性の確認のために、毒性(急性・慢性)、次世代間影響、催奇形性、発ガン性、染色体異常、突然変異性、代謝物質毒性、残留性及び相乗毒性等の考えられるあらゆる面からのチェックをすべきと考えるがどうか。

(3) 現在認可されている食品添加物、農薬及び飼料添加物は、前(2)のチェック事項のうちどの事項において安全性が確認されているのか。また、確認されていないのか、その根拠も併せて示されたい。

(4) 現在認可されている食品添加物、農薬及び飼料添加物のすべてについて数年おきに、最高の科学的水準に照らして安全性の再チェックをすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

(5) 政府は、現在認可されている食品添加物、農薬及び飼料添加物の中で、どの物質が安全性が疑わしいと考えているのか。それらの物質についての再評価の具体的方針を明らかにされたい。

(6) 食品添加物、農薬及び飼料添加物、医薬品について三年ないし五年ごとの安全性の再評価を行うことを制度化すべきと考えるが政府の見解を示されたい。

(7) 現在、食品添加物の幾つかが再評価されているが、その当該食品添加物は評価が終るまで一時、使用を見合せるべきと考えるがどうか。

(8) 食品添加物、農薬及び飼料添加物の使用量については、一部の食品添加物に使用量の上限や対象食品の限定が設けられているのみで、無制限な使用が許されているが、食品添加物、農薬及び飼料添加物のすべてについて使用量の上限を設ける“総量規制”を行うべきではないか。

2 研究体制の抜本的強化について

(1) 食品添加物三百三十三種類、農薬約四百数十種類、飼料添加物百六種類のすべてについて早急に安全性を再チェックすべきと考えるが、一年間で三〜四の食品添加物しか再評価が行えないような現在の貧弱な調査研究体制では、到底不可能である。政府は五十一年度において食品添加物の再評価については「新規十品目、継続十品目、延べ三十二試験の検査を実施する」(昭和五十一年二月二日の予算委員会における私の質問に対して厚相の答弁)と言つているが、極めて少ないと言わざるを得ないが、食品添加物に限らず食品添加物、農薬及び飼料添加物等についての毒性調査を約三年〜五年間で完了するだけの研究調査予算と対策を抜本的に拡充すべきである。政府の見解を示されたい。

(2) 現在の研究体制では、食品添加物、農薬及び飼料添加物等の安全性再評価及び新規物質の安全性の確認の早期作業は不可能である。このことを可能にするためには、�@大規模な食品安全のための研究所、例えばマウス十万ケージ程度を維持できるような研究所�A人間の発生状況も調査できる基礎研究所が必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 食品添加物問題及び食品衛生行政について

1 食品添加物について

(1) 現在認可されている食品添加物の安全性について、WHO及びFAOはどのような評価を下しているか。

(2) 色素剤赤色二号は、最近米国において禁止されたが、我が国においても早急に禁止すべきではないか。また、食品衛生調査会において米国のデータを取り寄せ検討していると聞くが、米国のデータに対する評価とその他赤色二号の取り扱いに対する結論について明らかにされたい。

(3) 現在行われている食品添加物の再評価試験の見通しとその予算措置について明らかにされたい。

(4) タール系色素は、これまでも赤色一、四、五号を始め十三種類の色素剤が発ガン性や安全性が確認されていないという理由で、すでに禁止されているが、赤色二号の安全性に対する疑惑が提起された以上、その他のすべてのタール系色素についても早急に安全性の再評価をすべきであると思うがその予定について明らかにされたい。

(5) 食品衛生法において禁止されている赤色百三号、二百三号、二百十三号は、化粧品の色素、特に口紅として使われているが、口紅は体内に容易に入り危険であり、何らかの規制が必要であると考えるが、これに対する政府当局の見解を示されたい。

2 食品衛生調査会の在り方について

(1) これまで食品衛生調査会(以下調査会)によつて安全とされた食品添加物の中で五十一種類に及ぶ食品添加物が毒性や発ガン性などのために指定を削除されてきた。これは、調査会における結論の誤りと、安全審査の未徹底を示すものである。調査会は誤りなき結論を出すために最大限の努力をなすべきであることは言うまでもないが、そこにおのずと限界がある。従つて、その誤りを最小限にするために、広く国民(専門家、非専門家を問わず)の意見を聞くことが大事であると考える。そのために、次のことを早急に政府が制度化すべきである。すなわち、調査会において得られた結論と、その理由を公表し、それに対する反論や意見を国民に求め、それに対して政府が回答するというようなことを食品衛生法の中にはつきりと規定すべきであると考えるが、これに対する政府当局の見解を示されたい。

3 合成殺菌料AF2による被害の実態調査と救済対策について

昨年十二月十五日、「AF2被害者の会」が結成され厚生省に対して信頼できる医師団による豆腐業者の集団健康診断を行うよう要求しているが、これに対する政府の見解を示されたい。また、AF2と健康障害の因果関係について政府当局の見解を示されたい。

三 農薬問題について

1 農薬の生産、使用実態に関する次の事項を明らかにされたい。

(1) 過去十年間の農薬生産額、生産量、製造認可数(化学物質数、銘柄数)の推移

(2) 過去十年間の種類別農薬使用量の推移

(3) 過去五年間の単位面積当たりの農薬使用量とその国際比較について

(4) 過去十年間の農薬の延べ利用面積の推移

(5) 過去十年間の病害虫発生状況(被害量、被害面積、被害額)と病害虫防除費用の推移

2 農薬の残留対策等について

(1) 農作物中の農薬残留基準は、現在、二十四農薬、五十二農作物について設けられているが、これは全農薬の約六%、全農作物の約〇・五%に過ぎない。今後の設定方針を明らかにされたい。

(2) 環境庁長官が定めている農薬の登録保留基準を食品衛生法へ移管すべきと思うが如何。

(3) 家畜等の食肉の農薬残留基準は、現在一つも設けられていないが、早急に設けるべきである。その方針を明らかにせよ。

(4) 農作物の農薬残留のチェックについて現在、どのように行つているか。過去五年間の実績と調査結果について明らかにされたい。

(5) 農薬のチェックは、生産地及び消費地において常時監視できるような体制を作るべきであると考えるが如何。

(6) 食肉中の農薬の残留状況について最近の状況を示されたい。

(7) DDT、BHC、パラチオン、テップなどすでに禁止されている農薬の残留基準はNDであるべきであり、年々現在の規準を見直し強化をすべきであると考えるが如何。また、その他の物質についても残留基準の見直しを行うべきであると思うが如何。

(8) ひ酸鉛、エンドリン、アルドリン及びディルドリンなどは、非常に毒性や残留性の強い危険な農薬である。これらの農薬に代る毒性の弱い農薬もすでに開発されていることからして前述の農薬は使用を禁止すべきではないか。

3 農薬中毒事故とその対策について

(1) 厚生省がまとめた農薬事故の統計によると散布中の中毒及び死亡事故は、昭和四十年から昭和四十九年の九年間で、それぞれ二千五百二十八人、百十七人、誤用による中毒及び死亡事故は、同じ十年間でそれぞれ、二百二十七人、二百三十五人となつているが、この数は、農薬散布従事者の四二・三%が、何らかの中毒症状を訴えているという日本農村医学会の調査あるいは現実の被害の状況から推定すると非常に少ないように思えるが、厚生省の統計はどのような方法、基準で行うのか。また、「農薬による中毒事故」の定義について明らかにされたい。また、農林省が行つた調査があれば、それを明らかにされたい。

(2) 日本農村医学会あるいは農村在住の医師等の調査、研究によれば、かなり多くの農薬散布者が農薬による健康被害を受けていることが明らかにされている。しかしながら、これらの健康被害者に対して何ら救済の手が差し伸べられていない現状である。政府は、これらの被害者を救済するためにどのような具体策を持つているか。また、農薬による急性・慢性の健康被害者の救済について、国、地方公共団体及び農薬製造業者がそれぞれ応分の責任を持つべきと考えるがどうか。

4 農薬の安全使用徹底について

(1) 農林省は、今後、農薬の使用基準を守らせていくためにどのような具体策を持つているか。また、現状において農家等に農薬の使用基準を守らせ、それを個別に確認することは、非常に困難であり、かつ、病害虫の防除は公共性が強いので、農薬の販売、使用については、一定の資格を備えた「農薬防除士制度」を作るよう関係法令(農薬取締法等)を改正すべきであると考えるが如何。

(2) 農産物の検査を行う行政機構、設備、人員が非常に手薄であるが、政府はこれをどう充実させていくのか方針を示されたい。また、農産物の安全性確保の観点から農業生産資材全般にわたる国の分析調査機関を農業事情に合わせて全国数ブロックに設置すべきであると考えるが如何。

(3) これらの安全性の研究に当たつては、膨大な費用を要するが、国の研究機関はバラバラでしかも弱体であり、法人研究所に依存しているのが現状である。しかし、これも限界がきているので、今後の毒性研究の促進のためには国の総合的な研究所を設置すべきであると考えるが如何。

5 有吉佐和子著「複合汚染」に関する件

(1) 新聞報道によれば、農林省は有吉佐和子著「複合汚染」に対する反論、見解を「部外秘」としてまとめたとされているが、事実か。

(2) 有吉氏は「複合汚染」の中で、農林行政や農薬等に対する農林省の態度などについて厳しく批判している。有吉氏の告発、批判については国民も多くの不安と共感を持つている。従つて、農林省は「複合汚染」で述べられた有吉氏の主張、批判に対して真しに耳を傾けるべきではないか。

6 農薬と化学肥料に過度に依存した現在の農法を改め、自然の循環、生態系を重視した農法へ転換するため、政府は技術的、経済的観点からの研究を積極的に推進すべきだと考えるが如何。

四 飼料添加物問題について

(1) 飼料及び飼料添加物の安全性をチェックしていく肥飼料検査所は、全国的にもその数が少ないが、今後どのようにチェック体制を整備充実していくのか。また、肥飼料検査所等における飼料及び飼料添加物の審査基準及び認可基準とはどのようなものか。

(2) 飼料及び飼料添加物の安全性を確保するためには食品添加物と同一水準の審査基準などが必要と考えるが如何。また、新飼料の品質改善法に規定する特定飼料等についての検査基準、安全基準を明確にされたい。

(3) 特定飼料等としてどのような飼料等を考えているのか。

(4) 第七十五回国会において政府は「飼料添加物、特に抗生物質等につきましては、もう一回総洗いをいたしまして数を整理していきたい」(昭和五十年五月七日農林水産委員会沢辺政府委員答弁)と発言しているが、その後、どのように検討し、どのような結果を得ているのか、明確にされたい。

(5) 家畜等に対して安易に抗生物質、ホルモン剤等が乱用されていることは由々しき問題であるが、現在、家畜における耐性菌の発生状況について政府はどのようには握しているか。また、食肉等における抗生物質の残留状況のチェックは、どのように行われているか、調査結果と併せて明確にされたい。

(6) 抗生物質は、人体用と動物用をはつきり分離して使わせるべきであると考えるが如何。

(7) 現在使われている飼料添加物は、人体に対してどのような影響を与えるかについて、どのような研究が行われているのか。

(8) ニトロフラン系化合物であるフラゾリドン、パナゾール等はAF2と同様な危険性を持つと考えるが、政府は、何故早急に禁止しないのか。

(9) 飼料の品質改善法第二条の二に規定する有害畜産物とは、人の健康を損なう恐れのある食肉等食用に供される生産物とされているが「人の健康を損なう恐れのある」生産物とは具体的にどのようなものを指すのか。また、どのレベルにおいて人の健康を損うと判断するのか。

(10) (9)と関連して、現在、各地において家畜の胃潰瘍、肝膿瘍、ガン等の疾病の発生、あるいは、「むれ肉」「ふけ肉」とか呼ばれる肉質異常の家畜の大発生が問題にされているが、これは「人の健康を損なう恐れのある」有害畜産物とされるのかどうか。

(11) (10)で述べた家畜の疾病状況、病畜状況について種類別、疾病別に過去五年間の実態を明らかにされたい。また、政府は、これらの原因についてどう考えるのか。対策と併せて見解を示されたい。

(12) 新聞報道によれば、フランスでは家畜の成長促進剤として使うホルモン剤を禁止する法律が可決されたとされているが、政府はこの問題についてどう考え、どのような措置を講じているか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

1(1)から(6)まで

ア 食品添加物のうち化学的合成品であるものについては、食品衛生調査会の意見を聴いて、人の健康を損なうおそれのない場合に限りその使用等が認められることとされており、その指定に当たつては、最新の科学的水準を踏まえてその安全性を確認してきているところである。

農薬については、農薬取締法の規定により、最新の科学的水準を踏まえて、当該農薬の毒性及び残留性等に関する厳正な検査を実施し、安全性の確認されたものについてのみ登録をすることとされている。

飼料添加物については、本年七月から飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(以下「飼料安全法」という。)により法的規制が行われる予定であり、現在、飼料添加物の指定、その使用の方法等についての基準及び成分についての規格の設定等につき、農業資材審議会飼料部会において、内外のデータを基に慎重な審議が行われているところである。今後、飼料添加物の指定等に当たつては、同法の趣旨に則し、その安全性を確保する見地から慎重に対処する方針である。

イ 食品添加物については、昭和三十七年度より最新の科学的水準を踏まえて、必要に応じ慢性毒性試験等各種の試験を行い、その安全性の再評価を実施してきているところである。食品添加物の安全性並びに医薬品の有効性及び安全性の再評価は、今後とも科学的水準の向上に応じて進めることとしており、当面、定期的に再評価を行うことを制度化することは考えていない。

農薬については、農薬取締法による登録の有効期間が三年となつており、その再登録に際しては、科学的水準の向上等に即して、必要に応じ、毒性及び残留性に関する検査等によりその安全性につき再評価を行うこととしている。

飼料添加物については、飼料安全法第二条の二第三項の規定の趣旨を踏まえ、科学的水準の向上に応じて、その安全性につき所要の再評価を行つていくこととしている。

(7) 化学的合成品である食品添加物は、食品衛生法に基づき、食品衛生調査会の意見を聴いて人の健康を損なうおそれのない場合に使用等が認められるものであり、現に使用等が認められているものについては、その安全性を否定する特段の根拠がない限り、その使用等を禁止し、又は中止させることは考えていない。

(8) 食品添加物については、従来より食品衛生法に基づき、公衆衛生の見地から必要なものについて、使用量の制限や対象食品の限定を内容とする使用基準の設定を行つてきているところである。

農薬については、農薬取締法に基づき、環境庁長官が農薬の農作物中に残留することが許容される基準等を設定し、農林大臣は、これらの基準に適合するよう、必要に応じ当該農薬の使用対象農作物の範囲、その使用時期及び使用回数等につき審査の上、登録することとしている。

飼料添加物については、飼料安全法により、安全性を確保する見地から、これを使用する飼料の製造の方法の基準等を設定し、これらに適合する場合に限り、飼料又は飼料添加物の使用等を認めることとしており、現在、これらの基準等につき農業資材審議会飼料部会において慎重な審議が行われているところである。

2 食品添加物の安全性の確保については、試験研究体制の拡充強化に努めてきているところであるが、当面総工費約二十五億円を投じ国立衛生試験所の施設整備を図ることとしており、今後とも安全性確保対策の充実に努めることとしたい。

農薬については、農産物中の残留農薬の毒性研究を推進する等のため、昭和四十五年に財団法人残留農薬研究所が設立され、国は同研究所に対し、慢性毒性試験施設の整備に必要な経費につき助成したところであるが、その後も同研究所に対し、農薬の安全性評価新技術を確立するため経費助成措置を講じているところであり、今後ともこれらの措置を通じて安全な農薬の開発実用化を促進することとしたい。

飼料添加物については、その安全性の確認を推進するため、昭和四十九年度に国の助成により財団法人畜産生物科学安全研究所を設立し、引き続き同研究所の整備充実に努めているが、今後とも国の諸研究機関と大学、民間研究機関との密接な連携により安全性確認の推進に努めることとしたい。

二について

1(1) FAO/WHO合同食品規格委員会においては、国際的に流通する食品に使用される食品添加物を順次取り上げて、安全性の評価を行つてきているものであり、これまでのところ我が国で使用を認められている食品添加物のすべてが評価の対象とされるには至つていない。

なお、我が国はFAO/WHO合同食品規格委員会の安全性評価を尊重して指定を行つてきているところである。

(2) 食用赤色二号について米国食品薬品庁(FDA)は、昭和五十一年二月、食品等への使用を禁止したが、この根拠となつた実験結果に関して専門家に食用赤色二号のがん原性についての検討を依頼した結果、米国食品薬品庁の実験からはがん原性があるとする評価はできないとの結論を得たところである。したがつて現在のところ食用赤色二号の使用等につき禁止措置を講ずる考えはない。

なお、食用赤色二号はFAO/WHO合同食品規格委員会においても、その安全性が確認されているところである。

(3) 食品添加物の安全性に関する再評価については、必要に応じて慢性毒性試験等各種の試験を行うこととしており、昭和五十一年度においては予算総額五千九百五十二万三千円を計上し、新規十品目、継続十品目について延べ三十二試験を行うこととしている。

(4) タール色素については、既に慢性毒性試験等によりその安全性を確認しているところであるが、今後とも科学的水準の向上を踏まえて食品添加物の再評価を行うという一般的方針に従い、必要に応じて再評価を行うこととしたい。

(5) 御質問に係る赤色二〇三号、赤色二一三号、赤色二三〇号の(1)及び赤色二三〇号の(2)については、口紅等の化粧品に着色料として使用されることは、安全であると考える。

2 食品添加物の安全性等に関する重要問題については、高度に専門的かつ科学的判断を要するものであるので、食品衛生法に規定されているとおり、学識経験のある者から構成される食品衛生調査会の判断を求めることが最も適当であると考えており、現在のところ御指摘のような制度化については考えていない。

3 「AF2被害者の会」が主張するAF2と健康障害との因果関係はないと考えている。また、豆腐業者の集団健康診断を行うことは考えていない。

三について

1 別表第1から別表第5までのとおりである。

2(1) 食品に残留する農薬については、繁用されている農薬及び主要農作物から重点的に基準を設定してきたところであるが、今後とも必要な調査を行い順次基準を設定してまいりたい。

(2) 農薬取締法に基づき、環境庁長官が定めるいわゆる農薬の登録保留基準は、環境保全上問題を生ずるおそれがある農薬の製造等を未然に防止する見地からのものであり、他方、食品衛生法に基づき厚生大臣が定める食品の規格中の農薬の残留基準は、食品についての公衆衛生の見地からのものであり、このように両者の設定目的が異なることから、現行制度が適当であると考える。

(3) 現在飼料用作物に使用されている農薬は、既に禁止された有機塩素系農薬に比し、分解性も早く、残留性も少ないので、現在のところ食肉の農薬残留基準を設定する必要性はないものと考えられる。

(4)及び(5) 農産物の生産段階においては、農産物の安全性を確保するため、都道府県等を通じて、農薬の使用方法等についての指導の徹底に努めており、特に、農薬取締法に基づき指定されている作物残留性農薬等について同法により使用の規制を行うとともに、必要に応じ同法に基づく農薬安全使用基準を設定し、安全な農産物の生産の確保を図つているところである。更に、昭和五十一年度からは、都道府県に対し新たに野菜等の生鮮農産物の産地を中心に農家の農薬適正使用について濃密な指導と農薬の残留調査を行う生鮮農産物農薬安全使用推進対策事業につき助成し、安全な農産物の生産を確保することとしている。

流通段階においては、食品衛生法に基づき、農薬の残留基準が定められた野菜、果実等の食品につき、基準に適合しているかどうかについて、必要に応じて都道府県等において試験、検査等を実施しているところであるが、その全国的な実施状況については承知していない。

(6) 食肉中に残留する有機塩素系農薬について、一部の都道府県市で実施した調査の結果のうち現在承知しているものを取りまとめると別表第6のとおりである。

(7) 食品の農薬残留基準については、今後とも必要に応じて基準値の検討を行つてまいりたい。

(8) エンドリン、アルドリン及びデイルドリンについては、代替農薬の開発等もあり、現在製造されていない。

ひ酸鉛については、農薬取締法に基づき、作物残留性農薬に指定し、用途及び使用方法について厳しく規制しているところである。

3(1) 御指摘の調査は、厚生省が毒物及び劇物の取締りに資するため、毒物又は劇物に該当する農薬による中毒事故の実情をは握することを目的として行つているものであり、中毒患者の診断を行つた医師からの連絡を保健所を通して各都道府県衛生主管部局が取りまとめ、その結果を厚生省へ報告する方法によつている。

また、農林省は、農薬の安全使用の見地から農薬全般についての事故調査を行つており、その結果は別表第7のとおりである。

(2) 農薬による事故の未然防止については、従来から農薬危害防止運動を進める等の措置を講じているところであるが、不幸にして中毒事故等農薬事故が発生した場合の救済措置については、国は、昭和四十九年度から農薬事故対策調査事業を実施し、事故の実態を調査分析するとともに、専門家の協力を求めて事故救済の方途を検討しているところである。

4(1) 農薬の安全使用については、2の(4)及び(5)について述べたところであるが、特に、昭和五十一年度から新たに実施する生鮮農産物農薬安全使用推進対策事業において、生鮮農産物等の主要産地ごとに農業協同組合の職員等六千名を農薬安全使用指導員として委嘱し、濃密な指導の徹底を期することとしており、また、農薬の販売業者及び防除業者についても、昭和五十年度から農薬の安全使用のための研修指導につき都道府県に対し助成しているところである。

今後とも、これらの施策により農薬安全使用の徹底を図つてまいりたい。

(2) 農薬の分析、調査及び検査体制については、国の農薬検査所による農薬検査体制の強化及び財団法人残留農薬研究所の活用を図るとともに、都道府県における農薬の残留調査体制を整備することとし、農薬残留分析機器の設置、農薬分析担当者の研修及び農薬残留安全追跡調査について、助成を強化しているところであり、今後ともこのような体制で農産物の安全確保に努めてまいりたい。

(3) 農産物中の残留農薬に関する毒性研究については、一の2について述べたとおりである。

5ア 小説「複合汚染」が昨年新聞紙上に掲載された当時、有機農法あるいは農産物の安全性についての外部からの問い合わせが多く、これに対応するための資料を関係部局の担当者により、部内参考資料として取りまとめたことがあるが、農林省で小説「複合汚染」に対する反論ないしは見解として取りまとめたものはない。

イ 国民食糧の安定的な確保を図つていく上で、食糧の安全性について十分な配慮を加え、安全な食糧を供給することは極めて重要である。このため農林省においても農薬取締法に基づく農薬の登録、農薬安全使用基準の設定等を通じてその安全性の確保を図るとともに、「土づくり運動」の全国的な展開等により、土地生産力の増強にも努めているところである。

今後とも、広く各界の御意見を承り万全を期してまいりたい。

6 農林省においては、農薬、化学肥料の施用技術に関する研究を実施するとともに、天敵、性誘引物質等を積極的に利用し、農薬の使用量を低減させながら総合的に病害虫防除を行うための研究等を実施しており、また、地力の維持増強を図る観点から有機物の施用方法についても研究を実施しているところである。

今後とも自然の循環及び生態系を重視した研究に取り組んでまいりたい。

四について

(1)ア 飼料安全法により飼料添加物の安全性に関する規制が強化されることに伴い、従来の飼料の品質検査に加え、新たに飼料添加物の検査を実施するとともに、有害物質等の検査をより強化するため、昭和五十一年度において国の肥飼料検査所の組織人員、施設につき、抗生物質の検定業務を新たに行うことに伴い拡充する等所要の措置を講じたほか、都道府県の検査体制の整備についても必要な措置を講じたところであるが、その重要性にかんがみ、今後ともその体制の整備強化を図つてまいりたい。

イ 飼料及び飼料添加物については、従来その安全性を確保する見地等から、これらの使用等につき必要な指導を行つてきたところであるが、飼料安全法による使用の方法等についての基準及び成分についての規格(以下「基準及び規格」という。)の設定と関連し、飼料及び飼料添加物の効果、安全性を判断するに当たつての評価基準及び試験基準(以下「評価基準等」という。)についても、現在農業資材審議会飼料部会において慎重な審議が行われているところである。

(2) 飼料及び飼料添加物の基準及び規格については、飼料安全法に基づき、飼料の使用又は飼料添加物を含む飼料の使用が原因となつて、有害畜産物が生産され、又は家畜等に被害が生ずることにより畜産物の生産が阻害されることを防止する見地から定めることとしており、食品に直接使用される食品添加物とはその安全性を判断するに当たつての評価基準等の内容において異なることがありうると考える。

なお、現在、飼料及び飼料添加物の基準及び規格の設定と関連し、評価の基準等についても、現在農業資材審議会飼料部会において慎重な審議が行われているところである。

(3) 飼料安全法第二条の四に規定する特定飼料等として当面予定しているものは、抗生物質及び発がん物質であるアフラトキシンの汚染のおそれのある輸入落花生油かすである。現在、これらのものについての安全性を確保する見地からの基準及び規格の設定についても農業資材審議会飼料部会において慎重な審査が行われているところである。

(4)及び(6) 飼料添加物については、飼料安全法により新たに法的規制が行われることとなつたことに伴い、現在使用している飼料添加物全般につき安全性を確保する見地から改めて農業資材審議会飼料部会において慎重な審議が行われているところであるが、そのうち、特に抗生物質については、薬剤耐性の問題をも考慮し、その種類、使用範囲等を必要最小限にとどめることを基本方針として同部会の審議が進められているところである。

(5) 家畜における薬剤耐性菌の時系列的な調査については、昭和五十一年度から動物用抗菌製剤耐性菌対策事業に着手し、統一的な手法による全国的な調査を実施することとしている。なお、一部研究者の部分的な調査によつて、鶏、豚及び牛から分離された一部のサルモネラに耐性があると報告されていることを承知している。

食肉については、食品衛生法第七条第一項の規定に基づく食品、添加物等の規格基準において抗生物質を含有してはならないものとされており、これに適合しているかどうかについては必要に応じて都道府県等において試験検査等を実施しているところであるが、その全国的な実施状況については、承知していない。

(7) 安全な食品を国民に供給するという観点から、農林省の畜産試験場、家畜衛生試験場等においては、飼料及び飼料添加物の安全性確認手法の確立等に関する研究、有害物質の毒性に関する研究、抗生物質等の家畜体内における消長に関する研究等を進めており、昭和五十一年度には、これらの研究の推進に資するため、畜産試験場及び家畜衛生試験場の研究体制の整備を行つたところである。

また、このような研究は、大学を始めとする関係試験研究機関との協力を図ることが重要であり、今後とも十分な連携のもとに研究を進めていくこととしたい。

(8) 飼料添加物として現在一定の指導の下に使用されているニトロフラン系物質は、フラゾリドン、パナゾン及びフラミゾールの三種類であるが、これらの物質については、従来の知見では飼料添加物としての使用量程度では畜産物への残留は認められない。しかし、更にその使用の方法等につき徹底を期するため、本年三月からはサルモネラ汚染等の抑制上特に必要な幼動物用の飼料にその使用を限るよう指導した。

なお、飼料添加物については、その安全性を確保する見地から、現在、その指定、基準及び規格の設定等につき、農業資材審議会飼料部会において慎重な審議が行われているところであり、フラゾリドン等のニトロフラン系物質についてもこの審議の対象とされているので、審議結果を踏まえ、慎重に対処してまいりたい。

(9) 飼料安全法第二条の二第一項に規定する人の健康をそこなうおそれがある有害畜産物であるか否かについては、食品衛生上の知見を前提として、個々に判断すべきものである。

なお、飼料安全法により、このような有害畜産物の生産等を防止する見地から、飼料及び飼料添加物の基準及び規格の設定等につき、現在、農業資材審議会飼料部会において慎重な審議が行われているところである。

(10) 獣畜の肉等であつて食品衛生法第四条又は第五条に該当するもの以外のものについては、人の健康を損なうおそれはなく食用に供して差し支えないものと考えている。また、いわゆる「むれ肉」又は「ふけ肉」については、現在のところ人の健康に影響があるとは考えていない。

(11)ア 御指摘の疾病の発生状況についての具体的資料はなく、豚の胃潰瘍の原因についても、飼料中の粗繊維の不足、濃厚飼料の粒子の大小、飼養環境不全等によるストレス、栄養のアンバランス等種々の要因が挙げられているものの、現在のところ明確な原因は明らかにされていない。このため、当面、これらの要因を極力少なくするように飼養管理の改善等を図ることとしている。

また、牛の肝膿瘍の原因としては各種の細菌感染が主要なものとされているので畜舎環境及び飼料給与の改善を励行することにより疾病の発生を防止することとしている。

なお、がんについては、現在のところ発生状況、原因とも明らかにされていない。

イ なお、「むれ肉」又は「ふけ肉」と呼ぼれる豚肉についてはその呼称は区々で、発生状況等は必ずしも明確でなく、その発生要因も多元的とみられるので、まず、早急にその判定基準の技術的確立を行い、あわせて発生要因の解析に努めることとしている。

この発生防止対策については基本的には原因の究明をまつことになるが、このための調査研究を進めるとともに、当面の措置として早急に関係者からの情報の収集等を行い、その結果、発生の抑制に効果があると認められる措置例があればその実施について指導を行うこととしたい。

(12) 我が国においても、肥育又は肉質改善を目的とする動物用医薬品として従来使用されていたジエチルスチルベストロールについては発がん性の疑いがあるため、昭和四十八年から、その製造・販売を禁止しているところである。

右答弁する。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×2検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 2001年2月23日 長妻 昭(民主党・無所属クラブ) 答弁 2001年3月16日
衆議院 第151回 第30号
提出 1989年12月2日 藤原房雄 答弁 1989年12月12日
衆議院 第116回 第14号
提出 1970年2月13日 横山利秋 答弁 1970年2月20日
衆議院 第63回 第1号
提出 2001年6月5日 長妻 昭(民主党・無所属クラブ) 答弁 2001年6月19日
衆議院 第151回 第86号お答えすることは困難 ×1
提出 1975年6月16日 瀬野栄次郎 答弁 1975年6月24日
衆議院 第75回 第22号
提出 1979年12月7日 藤田スミ 答弁 1979年12月14日
衆議院 第90回 第4号

件名の語が重なる質問主意書

提出 2022年3月30日 長妻 昭(立憲民主党・無所属) 答弁 2022年4月8日
提出 2004年11月17日 佐藤謙一郎(民主党・無所属クラブ) 答弁 2004年12月7日
衆議院 第161回 第40号承知していない ×2
提出 2002年7月26日 長妻 昭(民主党・無所属クラブ) 答弁 2002年8月27日
衆議院 第154回 第162号お答えすることは困難 ×1
提出 1997年1月28日 長内順一 答弁 1997年2月28日
衆議院 第140回 第2号
提出 1996年12月17日 荒木 清寛 答弁 1997年1月24日
参議院 第139回 第3号承知していない ×3
提出 1996年12月12日 竹村 泰子 答弁 1997年3月21日

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる