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入院医療に関する質問主意書
衆議院 第136回 第6号
質問本文
高齢社会の進行で、介護に対する国民の要求はますます切実なものとなっており、質の高い介護対策を行うことは、緊急の課題となっている。
しかし、一九九四年の健康保険法等の「改正」により、原則として一九九五年度末までに、付添看護を廃止することとされた結果、入院医療の現場では「要介護者が入院できない」状況が広がっている。
厚生省は、付添看護廃止に当たって、「患者が付添婦を雇わざるを得ないという状態を解消し、重い保険外負担を解消するとともに、病院の責任の下に病院のスタッフによって必要な看護・介護サービスが提供できる体制を確立しようとするもの」と説明していた。ところが、患者・国民からは、国公立等の基準看護(新看護)病院でも、「家族への付き添いの強要が行われ、それがヤミ付き添いにつながっている」などの指摘がされている。
一方、医療機関からは、「必要な看護・介護サービスを提供しようと思っても人手を集められず、病床を廃止するか、要介護者を断るか、家族に付き添いをお願いするかしか選択肢がない」との声が寄せられている。こうした状況を放置しておけば、入院医療の確保が困難となり、患者や家族に大きな影響がもたらされることが予想される。
従って、次の事項について質問する。
一 厚生省がまとめた看護職員の需給見通しでも需給バランスがとれるのは平成十二年である。衆議院厚生委員会でも要求してきたが、少なくとも平成十二年までは、付添看護廃止の経過措置を延長するべきではないか。
二 基準看護病院や新看護病院でも、「家族付き添いの強要」が行われたり、「要介護者が入院できない」との指摘がある。厚生省は、「その際は、個別ケースごとに状況を確認し、積極的に指導を行う」としているが、この原因は、看護職員不足と、看護体制の低さにある。従って、看護職員の公的養成を強め、看護職員不足を早急に解決した上で、二対一の看護職員体制を医療法標準とし、一対一以上の看護職員体制を診療報酬上で認めるようにするべきではないか。
三 付添看護廃止に伴う点数として、「特別介護料」や「特別看護料」が設定されているが、これらの点数を算定できる医療機関は、「その他看護病院」や「三種(II)看護料の診療所」に限られており、対象患者数にも制限がある。「家族付き添いの強要」や、「要介護者が入院できない」状況を早急に解決するためには、「特別介護料」や「特別看護料」の制限をなくし、人件費に見合って点数を引き上げ、全ての入院医療機関で算定できるようにすべきではないか。
四 現行の看護料・看護補助料は、看護職員の人件費にも満たない。従って、看護職員の給与等の改善を図り、看護職員の安定的確保を図るために、全ての病院の看護料・看護補助料を人件費が支払えるよう引き上げるべきではないか。
五 地方においては、看護職員がほとんどいない地域もある。こうした地域で付添看護を廃止すれば、入院医療の確保が困難になることが予想される。少なくとも、へき地等においては特別の措置が必要ではないか。
六 老人の追い出しや、たらい回しの原因は、長く入院すればするほど、一日あたりの医療費が減額(入院時医学管理料の逓減)されることにもある。従って、入院時医学管理料の逓減制をやめ、老人と若人の入院時医学管理料の格差を是正すべきではないか。
七 一月十三日付朝日新聞に、岡光保険局長が、「(診療報酬を)上げても奥さんの毛皮などに化ける病院もある」と発言し、その後日本医師会に対して陳謝したと報道されている。国民医療のために、日夜奮闘している医師・医療従事者の努力を、無視したとも思える保険局長の発言について、どのように考えるのか、明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
保険医療機関の従業者以外の者が提供する看護(以下「付添看護」という。)については、保険医療機関において主として看護補助者を雇用する等その看護体制を充実しつつ、付添看護を解消するため、平成六年十月から診療報酬において、新看護料及び看護補助料を新規に設けるとともに、保険医療機関が付添看護解消計画を策定した場合の計画期間に係る加算並びに特別看護料及び特別介護料の設定等の支援措置を講じているところであるが、これらの措置は、平成八年四月からの診療報酬においても継続することとしたところである。また、健康保険法等の一部を改正する法律(平成六年法律第五十六号)附則等により、保険医療機関が付添看護解消計画を策定している等の要件に該当する場合には、平成八年四月以降についても、当該計画期間は引き続き付添看護が認められる経過措置が設けられているところである。
付添看護の解消の状況については、平成六年七月現在で診療報酬においてその他の看護料を算定していた病院のうち付添看護を実施していた病院は約二千五百か所であったが、厚生省が平成七年十二月に実施した調査等によれば、平成八年四月以降も付添看護を実施する病院は約二百か所と見込まれているところである。
今後とも、付添看護を解消していない保険医療機関に対して個別に指導を行うなど、付添看護の解消に向けて全力を挙げて取り組むこととしており、付添看護解消計画の期間中に限り付添看護が認められる経過措置を延長することは考えていない。
二について
看護職員の人材確保については、看護婦等の人材確保の促進に関する法律(平成四年法律第八十六号)に基づき、平成四年十二月に「看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」を策定し、看護職員需給見通しに基づいて、養成施設の整備等に対する公的助成の充実等の養成力の強化、離職の防止、就業の促進、資質の向上等の総合的な施策に取り組んでいるところである。
病院における看護職員の人員配置の標準については、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)に基づき、患者がいずれの病院においても一定水準以上の医療を受けられるよう一律に定めているところであり、現在のところ、この標準がすべての病院において遵守されるよう取り組むことが課題であり、特に見直しが必要であるとは考えていない。
診療報酬における看護体制の評価については、平成六年十月から実施された新看護体系において、患者二人に対して看護要員(看護婦、准看護婦及び看護補助者をいう。以下同じ。)一人の体制の整備を促進することとしたところである。なお、病状が重篤な患者を集中治療室において管理することに対する評価である特定集中治療室管理料を算定する場合等特別の看護体制が必要な場合においては、一対一を上回る看護体制について評価しているところである。
三について
特別看護料及び特別介護料については、付添看護の解消に取り組む保険医療機関及び一定の水準以下の看護体制の保険医療機関において、付添看護の解消の途上である等の理由により、その看護体制を補完する必要がある場合に算定できることとしたものであることから、このような事情が認められない場合にこれらを算定できるようにすることは考えていない。また、平成八年四月の診療報酬改定において、看護要員の賃金の実態等を勘案し、必要な点数の引上げを行うとともに、特別介護料については、長時間の場合の評価の充実を図ることとしている。
四について
看護料については、看護要員の賃金の実態等を勘案して設定しているところであり、平成八年四月の診療報酬改定においても、このような考え方に基づき、所要の点数の引上げを行うこととしている。なお、診療報酬については、全体として、看護要員の人件費を含む医業経営に要する費用が賄われるようその改定を行っているところである。
五について
厚生省が実施した事例調査等によれば、へき地にある病院においても関係者の努力により付添看護の解消が図られた事例もある等へき地が都市部と比べて必ずしも付添看護の解消が遅れているわけではないと承知しており、このような状況の下でへき地において特別の措置を講ずることは考えていない。
六について
入院時医学管理料については、老人診療報酬においても老人以外の患者に係る社会保険診療報酬と同様に、一般的に入院の早期においては集中的な医療が必要であるのに対し、入院期間が経過するに従い医学的管理の必要な程度が低下する傾向があることから、入院の早期における医療を重点的に評価しているところである。
入院時医学管理料については、医療機関の機能に応じた評価を行うという考え方に基づき、一般病棟については急性期にある患者の治療を中心に行うものとして設定する一方、老人病棟については老人の心身の特性を踏まえ、老人慢性疾患患者にふさわしい医療を提供するものとして設定することとしているものであり、平成八年四月の診療報酬改定においては、一般病棟に長期入院している患者で老人以外のものに係る入院時医学管理料については老人入院患者に係る入院時医学管理料より高く設定する一方で、老人病棟に入院している老人患者に係る入院時医学管理料については老人以外の患者に係る入院時医学管理料より高く設定することとしている。
七について
御指摘の局長の発言の中には、医療の現場における医師等の努力を考慮すると表現方法に適切でないところがあったと考えている。今後とも、医療の現場における医師を始めとする関係者の努力に十分配慮するとともに、看護体制の充実等を推進し、国民に良質かつ適正な医療を効率的に供給できるよう医療保険制度の安定的な運営に努めてまいりたい。
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