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海外技術者研修協会の運営に関する質問主意書

衆議院 第150回 第75号

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2000年12月1日
内閣転送 2000年12月1日
答弁書受領日
2000年12月26日
提出から25日
答弁の項目数
16
質問 2,920字/答弁 3,639字

質問本文

通産省が現在、(財)海外技術者研修協会の研修生に対する渡航費補助事業に関して不当な請求があったとして過去五年間分にわたる業務監査を行っている。

この問題に関して通産省から、九月四日付文書「(財)海外技術者研修協会の補助事業にかかる研修生の渡航費の不当請求等に対する措置について」、平成十一年度分の不当請求の内訳及び一部の海外同窓会による問題関与が明らかになったとして、十月十二日付文書「(財)海外技術者研修協会の補助事業にかかる研修生の渡航費の不当請求について(平成十一年度分)」が出て、状況が公表された。

一方、当方はこれらの報告を受けながら引き続き様々な調査をした結果、この問題は研修生や海外同窓会だけではなく海外技術者研修協会役員の体質に問題があるのではないかと疑問をもつに至った。外交的にも問題がおきる危険があり、政府の明確な答弁を求めるものである。

一 平成十一年度分確定検査結果

(1) 十月十二日付通産省文書で不当請求が明らかになった国十一ヶ国のうち、ベトナム・カメルーン・ネパール・ブルガリア・ボリビアの五同窓会による渡航費の不当請求への関与が明らかになったが、関与が明らかになった判断根拠を具体的に示されたい。

(2) またバングラデシュ・インド・エジプト・ルーマニア・チェコ・スロバキアの研修生が不当請求をしたと明らかになった判断根拠を具体的に示されたい。

二 海外技術者研修協会(財団)による渡航費問題対応

(1) 平成十一年九月に財団の山本長昭相談役と財団職員がブルガリアを訪問し同国同窓会に航空券代請求が高すぎることについて是正するよう伝えたとある。常勤役員ではない山本相談役(前理事長)が、なぜブルガリアを訪問し是正を要請したのか。

(2) またこの時、文書のやりとりによる確認はしたのか。

(3) 是正を求めた後の価格は適正なものになったのか。是正を求める前の航空券金額とその後の航空券金額を具体的に並べ、適正化を示されたい。

(4) 他国同窓会に対しても同じように財団役員が渡航し、是正要請をしたのか。

三 財団における渡航費補助事業関係

(1) 平成十二年八月八日提出質問主意書に対する答弁書では「航空券及び航空券購入の際の領収書を確認する旨を定める内部の規程は存在しない」とあるが、補助金の交付を受け事業を実施する団体が事業を実施するにあたり証憑を確認する規程も無しで執行していることになる。このことに対して監督官庁はどう考えるか。

(2) しかし、財団内での規程集、支給金等支給要領第五条(1)渡航費では「渡航費申請書に必要な証憑を添付して支払いを申請する」という記載があると聞くが事実かどうか確認したい。これが事実ならば、財団がしっかり対応していなかったということになる。政府としての見解を述べよ。

(3) 平成十二年五月二十三日「財団法人海外技術者研修協会の運営に関する質問主意書」に対する答弁書では「渡航費等研修の参加に要する費用の精算を同窓会との間で行うこととしている場合もあると聞いている」とのこと。精算しているすべての同窓会名を述べよ。

(4) 「また、その中には同窓会との間で外貨交換率を定めているものもあると聞いているが、これはフィナンシャル・タイムズに記載されている為替指標を利用していると聞いており、特段の問題はないものと考えている」とあるが、外貨交換率を定めているすべての同窓会名を述べよ。

(5) こうした外貨交換率の決定を財団独自の判断で行ったのか。

(6) フィナンシャル・タイムズに記載されている為替指標、例えばイラン・イスラム共和国の指標はイランが生活物資輸入及び石油輸出用にしか使用しない制限公定レートであるフローティングレートである。イラン国内には三つの為替レートがあり、他にイラン政府の公定レートであるエキスポートレート、日本商社が取り引きで使用している実勢レートであるTSEレートがある。一番割高であり、制限公定レートであるフローティングレートを使う財団の判断は、状況を認知して行っているのであれば恣意的な運用と思われる。この件に関して政府の見解を問いたい。

四 同窓会による事務手数料

同窓会推薦研修生からは一定金額を事務手数料として徴収し、同時にそれを運営資金として同窓会が活用するということが行われているようだが、この金額が高すぎるのではないか。

例えば、アフリカや南アメリカ諸国では一〇〇〇US$、東南アジアや南アジアでは五〇〇US$を徴収されるとのこと。研修生が生活する現地での生活費に比べて高額なものだと思われるがこの金額が適正な料金かどうかを述べよ。

五 財団及び通産省の今後の対応と財団の関与疑惑

(1) 渡航費については、財団において過去五年間にさかのぼり調査中であり、不当請求に対しては、通産省及び財団において適切に対応するとのことだが、具体的な対応措置内容を述べよ。

(2) 渡航費不正請求は、同窓会推薦研修生及び同窓会の行為とされ、平成十二年八月八日提出「財団法人海外技術者研修協会の運営に関する質問主意書」に対する答弁書では「財団が不正領収書の発行について助言したという事実はないと聞いている」「財団から不正領収書を作成するよう助言されたことはないと言っていると聞いている」とのことだが、この問題は財団と一部同窓会の癒着、財団による一部同窓会への補助金横流し疑惑と考えられる。この「事実はないと聞いている」「言っていると聞いている」との政府の確認は、それぞれ誰に対しての事実確認だったのか。海外同窓会関係者に対するものだったのか。

(3) また、海外技術者研修協会における同窓会窓口の部署はどこか。担当役員は誰か。この担当役員からも通産省は事情を聞いているか。聞いていれば内容を述べよ。

六 同窓会への財政支援発覚

(1) インド同窓会連合会に対する無担保貸付が不適切な行為として早急な措置を講じるとの通産省の是正措置が九月四日付文書で出たが、現在この貸付の保証は誰が行っているのか。財団の山本長昭相談役(前理事長)、野崎紀元専務理事、勝山隼前常務理事の三名がこの融資に対して連帯保証を行っているとのことだがこれも事実なのか確認されたい。

(2) 北京同窓会に対しても九七年七月、北京事務所自動車買い替え費用として五〇〇〇〇US$、天津同窓会に対しても九八年四月、事業運転資金として一二〇〇〇US$が融資されていることがわかった。政府はこれらの件を把握していたか。把握していたなら詳細を述べよ。

(3) これは財団の佐藤正文業務担当常務理事名で先の通産省措置にともない、急遽「無担保貸付是正」を伊藤寛一理事長へ提示したものである。政府としてはこのような事態を受け、どう対応されるのか。

(4) 渡航費補助の問題もあるが、新たな問題が出てきた。これらはいずれも財団役員の体質によるものだが、これらは財団の理念をねじまげるものであり、原因と責任の所在が明らかになった場合は厳正なる対処をすべきと考えるが、政府の見解を聞きたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

財団法人海外技術者研修協会(以下「財団」という。)が平成十一年度における研修生の渡航費の請求についての調査(以下「財団による平成十一年度調査」という。)を行ったところ、インド、ヴィエトナム、エジプト、カメルーン、スロヴァキア、チェッコ、ネパール、バングラデシュ、ブルガリア、ボリヴィア及びルーマニアの十一か国の研修生の渡航費の請求について、渡航費の申請金額が国際航空運送協会の定める運賃に空港税等を加算して合理的に推定される金額を超過していること、航空券を研修生に販売した旅行代理店から当該研修生の申請金額よりも低い金額が航空券代等として支払われていたとの通知を受けたこと、航空会社が当該航空券の販売を否定したこと等から、当該渡航費の請求中に不当請求のあったことが確認されたとの財団からの報告を受けるとともに、通商産業省において、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号。以下「補助金適正化法」という。)第十五条の規定に基づく補助金額の確定(以下単に「補助金額の確定」という。)のための現地調査を行った上で当該渡航費の請求中に不当請求があったと判断したものである。

また、財団による平成十一年度調査の結果に基づいて、財団が、財団の実施する研修の修了者がそれぞれ自国において自主的に組織している団体(以下「同窓会」という。)のうち右十一か国における同窓会の幹部や現地連絡代表に照会した結果、御指摘の五同窓会について、当該同窓会の役職員による不当請求への関与を認める内容の返答が得られたとの報告を受けたものである。

二の(1)及び(2)について

財団の山本長昭相談役は、スロヴァキアで開催された欧州諸国の同窓会の連合会議に出席した帰路、ブルガリアで実施された海外研修の開校式に出席するため、同国を訪問したと聞いている。

ブルガリア同窓会会長に対する航空券代請求の是正要請は、財団の職員によって口頭で行われたものであり、山本長昭相談役はその場に同席していなかったと聞いている。

二の(3)について

ブルガリア同窓会推薦の研修生の渡航費の請求については、財団の職員がブルガリア同窓会会長に対して航空券代請求の是正要請を行う前においては四千三百四十六米ドルであり、当該是正要請を行った後は二千九百米ドルに修正されたと聞いている。しかしながら、財団による平成十一年度調査に対して、ブルガリアの旅行代理店が実際の渡航費の金額は九百八十六米ドルから千三百三十一米ドルまでの間の金額であると通知してきたと聞いている。通商産業省においては、補助金額の確定を行った上で、当該是正要請後のブルガリア同窓会推薦の研修生の渡航費についても、確定額を超えて交付されていた補助金の返還を命じたところである。

二の(4)について

財団の役員が同窓会を訪問し、航空券代請求の是正要請を行ったことはないと聞いている。なお、財団の職員が、スロヴァキアで開催された欧州諸国の同窓会の連合会議に出席した際に、スロヴァキア、マケドニア旧ユーゴスラヴィア共和国及びルーマニアの同窓会幹部に対して、航空券代請求の是正要請又は金額の確認を行ったことがあると聞いている。

三の(1)及び(2)について

御指摘のとおり、「渡航費申請書に必要な証憑を添付して協会に支払いを申請する」との規程は存在するものと承知している。

財団による研修生に対する渡航費の支給について、通商産業省においては、不当請求の再発を防止するため、平成十二年九月四日付け通商産業省通商政策局長通達(平成十二年九月四日通局第一号。以下「指導文書」という。)をもって、速やかに、渡航費支給に係る関係諸規程の見直し等を行い、その結果を報告するよう財団に対して指導したところである。なお、財団においては、平成十二年度から、航空券の購入方法を改善して、同窓会の推薦を受けた研修生の渡航に係る航空券を原則として財団が購入することとしていると承知している。

三の(3)について

通商産業省においては、財団から、指導文書に従い、研修の参加に要する費用の精算手続に対する同窓会の関与を排除することとしたとの報告を受けていることから、現在は、精算手続に関与している同窓会は存在しないと承知している。なお、財団法人海外技術者研修協会の運営に関する質問に対する答弁書(平成十二年五月三十日内閣衆質一四七第三三号)一の(6)についてでお答えした時点において精算手続に関与していた同窓会は、イラン同窓会、スリ・ランカ同窓会及び大連同窓会であったと聞いている。

三の(4)及び(5)について

現在、財団との間で渡航費等研修の参加に要する費用の精算のために外貨交換率を定めている同窓会は存在しない。これまでに外貨交換率を定めていたことがある同窓会は、イラン同窓会であり、当該外貨交換率については、財団とイラン同窓会の間の話合いによって決定されていたものと聞いている。

三の(6)について

財団においては、渡航費の支給に際しては、広く利用されている為替指標としてフィナンシャル・タイムズに掲載されている為替指標を用いることを原則としており、フィナンシャル・タイムズにおいては、現在、イランの通貨の為替指標としてフローティングレートを掲載しているため、財団は、これを利用して費用の精算を行っていたと聞いている。しかしながら、イランの通貨については、財団が利用していた為替指標を用いることが必ずしも適当でない期間があったことが判明したため、通商産業省においては、当該期間において財団が利用していた為替指標を用いたために過大に交付されていた補助金については返還を命ずる等適切に対応したところである。

四について

御質問は、同窓会が研修生から徴収する事務手数料等に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。なお、財団と同窓会との関係について抜本的見直しを行うために財団に設置された監査委員会の報告においては、研修生の日本への派遣準備支援のために同窓会が徴収している事務手数料等の金額については、おおむね妥当であるとされている。

五の(1)について

平成七年度から平成九年度までの間の渡航費の不当請求に係る補助金の交付については、補助金適正化法第十七条等の規定に基づき、交付決定の一部を取消し、補助金の返還及び加算金の納付を命じたところである。

平成十年度及び平成十一年度の渡航費の申請については、補助金額の確定を行った上で、確定額を超えて交付されていた補助金の返還を命じるなどしたところである。

五の(2)について

通商産業省において、カメルーン同窓会推薦の研修生に係る渡航費の不当請求について、財団の役員に確認したところ、財団が不正領収書の発行について助言したという事実はないとの回答を得、また、カメルーンにあるJULLYヤウンデ支店及び同窓会会長が財団からの問い合わせに対して、財団から不正領収書を作成するよう助言されたことはない旨回答してきたと聞いたものである。

五の(3)について

財団における同窓会の推薦研修生の受入れに係る業務を所掌している課は業務部海外業務課、同窓会との連絡に係る業務を所掌している課は海外部海外統括課であり、これらの業務を担当する役員は佐藤正文常務理事である。同常務理事からは、同窓会推薦研修生の受入れ、同窓会との連絡及び活動支援等に関して必要な報告を受けている。

六の(1)について

インド同窓会連合会に対する財団の貸付けについては、現在、財団の山本長昭相談役、野崎紀元専務理事及び勝山隼前常務理事の三名が連帯保証人となっているとの報告を受けている。

六の(2)について

財団は、北京同窓会に対して平成九年七月に五万米ドル、天津同窓会に対して平成八年四月に一万二千米ドルの貸付けを行ったが、いずれの貸付けも、返済は既に完了しているとの報告を受けている。

六の(3)について

財団においては、指導文書による指導を受けて、無担保貸付けについて連帯保証人を立てるか又は繰上返済を受けるという措置を講じていると考えている。また、通商産業省においては、財団による無担保貸付けの再発防止のため、財団に対する業務監査において、財団が同窓会に対して行う支援に関する規程を整備するよう指導したところである。

六の(4)について

通商産業省においては、財団に対して、渡航費に係る補助金の返還命令、無担保貸付けの是正指導等を行ってきたところであり、財団においては、関係役職員に対する厳正な処分を行ったとの報告を受けている。また、研修生の渡航費の不当請求、財団の同窓会への無担保貸付け等の再発防止を確保するため、指導文書において関係諸規程の整備等を指導したところであり、今後とも、財団の適切な事業運営のため財団を指導監督していくこととしている。

衆議院の原文

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