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財団法人海外技術者研修協会の運営に関する質問主意書
衆議院 第154回 第186号
質問本文
私は二〇〇〇年四月三十日の衆議院決算行政監視委員会で当時の通産省所管の財団法人海外技術者研修協会における研修センターの運営(旅館業法違反)問題、研修生の来日に伴う渡航費(補助金適正化法違反)問題について質問を行うとともに、質問主意書で三回にわたり質し答弁書を受領したが、それら答弁内容はいずれも疑惑の当事者である財団からの聞き取りのみに終始し、不十分であるばかりでなく事実に反するものも少なからずあった。
二〇〇〇年九月四日には通産省から行政指導が行われ、財団は三億四三〇〇万円に上る補助金と加算金を国庫に返納し、私の指摘した不正を一部認める結果となった。二〇〇一年十月一日に財団は経済産業省に対して「全て措置が終了いたしました」とする報告書を提出しこの問題の対処を終了したと聞いている。
ところが渡航費の調査や同窓会との関係改善など、その後も財団の対処は極めて不透明で補助金適正化法違反の疑いが晴れたとは言いがたい。これまで三回の質問主意書を踏まえ政府に対し、明確な答弁を求めるものである。
一 これまでの答弁書及び渡航費問題について
『財団法人海外技術者研修協会の運営に関する質問主意書に対する答弁書』(二〇〇〇年九月五日付)にはいくつもの矛盾点がある。以下具体的に質したい。
1 『答弁書』一の(6)で「インド研修生から航空券に関する訴えがあったとの事実はない」、ただし「普通料金の航空運賃を支払ったにもかかわらず、同窓会から制限付きの航空券が配布されたとの話があった」と答弁されたが、この「話はあった」が「事実はなかった」ということなのか。この点についていかなる調査をしたのか明らかにされたい。
2 『答弁書』一の(7)から(9)までにおいて、財団職員がブルガリア同窓会会長に対して航空券代請求の是正措置を行ったが、この是正措置に財団相談役は関与しなかったとされている。これは事実か再確認したい。
3 ブルガリア同窓会へ渡航費の是正措置を申入れた財団職員とブルガリアを同時期に訪問していた財団相談役は当同窓会が不正請求を行っていたことを認識していたのではないか。そうであれば同窓会の申請を受け付けたのは財団海外業務部長(当時)であり、受理したのが財団理事長なので、財団は不正の存在を十分承知しながら放置していたことになる。このことについて監督官庁としての経済産業省の見解を問う。
4 財団に対して一九九九年度から過去五年にさかのぼって行われた渡航費確定調査では日本企業からの渡航費の不正請求はなく、同窓会だけが九百十八件の不正請求が発見された。
渡航費に関して日本企業には申請時の「航空券及び領収書」の両方の提出を求めたが、同窓会には申請時に、財団海外業務部長(当時)から「航空券または領収書」のいずれかの提出を求め受理していたというダブルスタンダードがあったという事実がある。これら日本企業と同窓会との差別化の理由を明確に示すとともに、監督官庁としてこの判断に対する見解を述べられたい。
5 財団は同窓会を「イコールパートナー」と位置付け、同窓会専用の特設管理コースを設定し、参加する研修生から賛助金を得ていた。渡航費と賛助金収入は密接な関係にあり、渡航費が高ければそれだけ財団の収入増となる。同窓会が研修生を送り込んだというよりは、財団が同窓会と事前に渡航費の金額などを打ち合わせ、参加研修生に同窓会購入の航空券で来日するよう指導するなどして同窓会の利益誘導をはかった。これらは財団が収入増のため同窓会を利用したというべきである。このことに対する見解をうかがいたい。
二 財団の運営並びに経済産業省の関与について
1 山本長昭元財団理事長は中国大連市名誉市民の称号を受け、ブルガリア、マレーシア、アルゼンチンなどから勲章を授与されている。同窓会と財団との関係を強化したのはこの元財団理事長と聞いている。この元財団理事長に関連して、ネパールに同氏の名を冠した「ヤマモト研修センター」、インドのデリーには「ヤマモトホール」、スリランカに同氏夫人の名を冠した「レイコ山本ホスピタル(病床提供)」があるのは事実か。こうした施設はそれぞれ山本氏個人の献金によるものか。あるいは財団経費が使用されているか調査報告されたい。
2 当時の通産省は財団に対する行政指導として、過去五年にさかのぼり渡航費調査を行い、補助金等を国庫に返納させた。これら不正請求には財団関与の疑惑が濃厚だが、補助金適正化法違反で告発しなかった理由はなぜか。
3 財団発足以来、四十年以上にわたって会計責任・担当者である会計課長・出納長のポストが旧通産省、経済産業省の天下りの指定席になっていたのは事実か。公正な監督を妨げるので改めるべきという指摘もあったが、二〇〇一年七月以来天下りが無くなったのはそうした声を受けての改善策なのか。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
御指摘の財団法人海外技術者研修協会の運営に関する質問に対する答弁書(平成十二年九月五日内閣衆質一四九第一六号。以下「平成十二年九月の答弁書」という。)のお尋ねの部分における「事実はないと承知している」とは、在インド日本国大使館に対して、財団法人海外技術者研修協会(以下「財団」という。)の実施する研修にインドから参加する研修生から航空券に関する訴えがあったとの事実はないと承知しているという趣旨であり、「話があったことを聞いている」とは、同大使館の館員が、財団の研修生以外の者から、財団の研修生が普通料金の航空運賃を支払ったにもかかわらず、財団の実施する研修の修了者がそれぞれ自国において自主的に組織している団体(以下「同窓会」という。)から制限付きの航空券が配布されたという話を聞いたという趣旨である。
旧通商産業省においては、財団の実施する研修事業等について、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号。以下「補助金適正化法」という。)第十五条の規定に基づく補助金の額の確定(以下「補助金額の確定」という。)のための調査等において、渡航費の請求額と国際航空運送協会の定める運賃に空港税等を加算して合理的に推定される金額との比較、旅行代理店への照会、航空会社の搭乗証明等の確認等を行ったところである。その結果、インドからの研修生の財団に対する渡航費の請求については二件の不当な請求が確認されたが、これらは研修生が普通料金の航空運賃を支払ったにもかかわらず同窓会から制限付きの航空券が配布されたという事例ではなかった。
一の2について
「平成十二年九月の答弁書」一の(7)から(9)までについて及び海外技術者研修協会の運営に関する質問に対する答弁書(平成十二年十二月二十六日内閣衆質一五〇第七五号)二の(1)及び(2)についてでお答えしたとおりである。
一の3について
財団からは、財団の相談役及び職員がブルガリアを訪問した平成十一年九月の時点では、ブルガリアの同窓会からの渡航費の請求額が実勢価格に比べて高過ぎるという認識はあったものの、同同窓会が不正な請求をしていると明確に判断し得る状況にはなかったと聞いている。旧通商産業省が補助金額の確定のための調査等を行った結果、財団が不正の存在を知りながらこれを放置していたという事実は確認されておらず、その時点での財団の対応に特段の問題があったとは考えていない。
一の4について
お尋ねの調査期間における財団の内部規程では、渡航費の請求に当たっては「渡航費申請書に必要な証憑を添付して協会に支払いを申請する」こととされていたところ、財団においては、我が国企業に対しては航空券及び領収書の両方の写しの提出を求める一方で、同窓会及び同窓会を通じて申込みをした個人に対しては、研修生の事務負担を軽減する等の理由から、金額の記載された航空券又は領収書のいずれかの写しの提出をもって足りるとする運用を行っていたと聞いている。旧通商産業省は、このような運用は補助事業の執行として不適切であるとの認識の下、すべての請求について航空券及び領収書の両方の写しの提出を求めることを規程上明確にするよう財団を指導しており、財団において所要の措置が講じられたと聞いている。
一の5について
財団からは、渡航費の精算をより効率的に行うために、同窓会に事前に見積りを提示させ、又は同窓会を通じて渡航費の精算を行う場合には同窓会購入の航空券で来日するよう研修生に説明したことはあるが、財団が同窓会の利益を図り、又は財団の収入増のために同窓会を利用するという意図はなかったと聞いている。
二の1について
財団からは、ネパールに「ヤマモト研修センター」と呼ばれる研修施設が、スリ・ランカに「レイコヤマモト病棟」と呼ばれる医療施設が、また、インドのデリーの同窓会の事務所の中に建設当時は「ヤマモトホール」と呼ばれていた教室が存在し、このうち、ネパールの研修施設とスリ・ランカの医療施設についてはその開設に際し、山本長昭元財団理事長から施設の設置機関に対し寄附が行われたと聞いている。お尋ねの財団の経費の使用については、財団は、ネパールの同窓会に対し研修施設の建設費用として平成六年に三万ドルを貸し付け平成九年までに返済を受けたほか、平成八年度及び平成九年度に同同窓会に対し同研修施設の運営費用として年三千ドルの資金の援助を行い、また、デリーの同窓会に対し教室の建設費用として平成八年に三百三十万ルピーを貸し付け平成十三年までに返済を受けたと聞いている。
二の2について
旧通商産業省が補助金額の確定のための調査等を行った結果、同窓会や研修生による不当な渡航費の請求が明らかになったものの、かかる不当な渡航費の請求への財団の関与は認められなかったため、補助金適正化法違反を理由とする告発は行わなかったところである。
二の3について
財団からは、財団の会計事務を担当する職員については、会計事務を適切に処理できる者を選任することとしてきた結果、昭和三十四年十二月から昭和五十一年六月までは会計課長に、また、昭和五十一年七月から平成十三年六月までは出納長(昭和五十二年三月までは出納室長)に旧通商産業省の職員であった者が在職していたことは事実であり、現在も業務に必要な者を適材適所で配置していると聞いている。
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