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芸能関係者の労働者性判断基準についての政府解釈に関する質問主意書
衆議院 第156回 第21号
質問本文
昨年十二月二十日に受領した、芸能関係者の労働者性に関する質問に対する答弁書によると、政府は芸能関係者が労働基準法第九条に規定する労働者であるか否かを判断するに当たっては、平成八年に発表された労働基準法研究会労働契約等法制部会労働者性検討専門部会の報告「建設業手間請け従事者及び芸能関係者に関する労働基準法の『労働者』の判断基準について」(以下部会報告)に示された労働者判断基準を参考としているということである。
以下、部会報告の内容に関する政府の解釈について質問する。
一 部会報告の中の、「�U 判断基準−1 使用従属性に関する判断基準−(1)指揮監督下の労働−ハ 拘束性の有無」には、「勤務場所がスタジオ、ロケーション現場に指定されていることは、業務の性格上当然であるので、このことは直ちに指揮監督関係を肯定する要素とはならない。」とある。
(1) ここにおける「業務の性格」とはどのようなものだと解釈しているのか。
(2) 「業務の性格上当然であること」と「指揮監督関係を肯定する要素とはならないこと」との因果関係をどのように解釈しているのか。
(3) 「勤務場所がスタジオ、ロケーション現場に指定されていること」が、多くの芸能関係業務において一般的であることは容易に想像しうる。大半の芸能関係者にとってそのような労働市場しか存在しないのであるならば、この判断基準は指揮監督関係を肯定する要素を限定的にしすぎる感が否めないと考えるが、これについて政府はどう考えるか。
二 「�U 判断基準−1 使用従属性に関する判断基準−(1)指揮監督下の労働−ロ 業務遂行上の指揮監督の有無−(イ)業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無」には「俳優やスタッフなど、芸術的・創造的な業務に従事する者については、業務の性質上、その遂行方法についてある程度本人の裁量に委ねざるを得ないことから、必ずしも演技・作業の細部に至るまでの指示を行わず、大まかな指示にとどまる場合があるが、このことは直ちに指揮監督関係を否定する要素となるものではない。」とあり、芸能関係者の職業上の特殊性からくる芸術的裁量性を認めている。
しかし一方で、「�V 事例−(事例4)撮影技師B−3 『労働者性』の判断−(1)使用従属性について」においては、「業務の遂行方法について一方的な指示を受けることはなく、本人の裁量の余地が大きいこと」からこの事例では使用従属性はないものとされ、それが労働者性を弱める要素として扱われている。
部会報告中の上記二つの部分の整合性につき政府の解釈を示されたい。
三 「�T はじめに」には「俳優がいわゆるプロダクション等に所属し、それとの間に労働契約関係があると考えられる場合、あるいは、スタッフが、製作会社から業務を請け負う会社に雇用されていると考えられる場合も存するが、そのようなケースはこの判断基準では念頭に置いていない。」とあり、この部会報告がフリーの芸能関係者のみを対象とした限定的なものであることが分かる。
政府としては今後、その他の芸能関係者も含めた統一的な労働者性判断基準をつくる用意はあるか。あるならば、その具体的日程等の詳細を、ないならば、その理由を説明されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の(1)について
御指摘の「業務の性格」については、映画やテレビ番組の撮影の業務は、指定されたスタジオやロケーション現場において行われるものであることをいうものと解している。
一の(2)について
勤務場所が指定されていることは、一般的には、指揮監督関係を肯定する要素となるものであるが、映画やテレビ番組の撮影の業務に従事する俳優及び技術スタッフについては、業務の性格上当然であるので、直ちに指揮監督関係を肯定する要素とはならず、他の契約内容及び就業実態により総合的に判断すべきであることをいうものと解している。
一の(3)について
先の答弁書(平成十四年十二月二十日内閣衆質一五五第九号)一についてで述べたとおり、平成八年に取りまとめられた「建設業手間請け従事者及び芸能関係者に関する労働基準法の「労働者」の判断基準について」(以下「平成八年報告」という。)は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者(以下「労基法上の労働者」という。)に該当するか否かの判断基準について、昭和六十年に取りまとめられた「労働基準法の「労働者」の判断基準について」(以下「昭和六十年報告」という。)をより具体化したものである。
すなわち、平成八年報告は、映画やテレビ番組の撮影の業務に従事する俳優及び技術スタッフに関し、昭和六十年報告において示された労基法上の労働者に該当するか否かの判断基準について具体的な判断基準の在り方を示したものであり、勤務場所の拘束性についても、昭和六十年報告において指揮監督関係に関する判断基準として示され、一般的には、指揮監督関係の基本的な要素であるが、業務の性質上等から必然的に勤務場所が指定される場合があり、当該指定が業務の性質等によるものか、業務の遂行を指揮命令する必要によるものかを見極める必要がある旨述べられていることから、平成八年報告においてその具体的な判断基準の在り方を示したものである。
厚生労働省においては、平成八年報告を踏まえ、映画やテレビ番組の撮影の業務に従事する俳優及び技術スタッフにおける指揮監督関係の存否については、勤務場所の拘束性からは直ちに判断するものとはせず、他の契約内容及び就業実態から総合的に判断するものとしている。
二について
平成八年報告第3�Vにおける事例4の撮影技師Bが労基法上の労働者に該当するか否かについては、平成八年報告第3�U1(1)ロ(イ)における御指摘の記述を前提としつつも、撮影技師Bの業務の遂行方法について、撮影技師Bが監督等から一方的な指示を受けることはないなど、本人の裁量の余地が大きいことに加え、自らの判断で補助者を使うことが認められていること、更には社会保険に加入していないこと、税金の面で労働者として扱われていないこと等を総合的に判断して、労基法上の労働者ではないと結論付けたものと解している。
三について
平成八年報告は、芸能関係者のうち、映画やテレビ番組の製作会社との関係において労基法上の労働者に該当するか否かが特に問題となる俳優及び技術スタッフについて、昭和六十年報告において示された基準をより具体化したものであり、俳優がいわゆるプロダクション等に所属し業務を行っている場合は、昭和六十年報告において示された基準を参考にして、労基法上の労働者に該当するか否かの判断を行うものとしている。
したがって、政府としては、御指摘のその他の芸能関係者について、労基法上の労働者に該当するか否かを判断する基準を新たに取りまとめることは考えておらず、昭和六十年報告を参考にして適切な対応に努めてまいりたい。
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