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感染症対策に関する質問主意書
衆議院 第156回 第58号承知していない ×1
質問本文
今年二月下旬、上海、香港からハノイに到着した中国系米国人が、原因不明の重症急性呼吸器症候群で三月一三日に死亡して以来、新型肺炎の重症急性呼吸器症候群(以下「SARS」という)が香港と中国広東省を中心に世界的に広がりつつある。国際化が進み、海外への渡航者および海外からの入国者が増えているわが国においては、SARSに限らず、今後新しい感染症が蔓延する可能性がある。
ところが、現在の厚生労働省および医療・診察機関はかならずしも新感染症に適切かつ迅速に対応できる体制にはなっていない。また、新感染症に対する医療スタッフの知識・経験不足から、患者が診療・治療体制に不安を抱いているというのが実情である。
よって、次のとおり質問する。
一 世界保健機関(WHO)のガイドラインによれば、SARSの感染患者は病原菌などが外部に漏れないよう圧力を低くした陰圧室や浴室を完備した病室に隔離するのが望ましいとしているが、現在わが国において、陰圧室や浴室を備えた病室は何床あるのか、その数を陰圧室および浴室を備えた病室、陰圧室のみを備えた病室、浴室のみを備えた病室に分けてそれぞれ示されたい。
二 現在わが国には、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関等の感染症指定医療機関があるが、新感染症に迅速かつ適切に対応するためには、医療・診察機関のいっそうの充実を図り、都道府県と一体となってこれまで以上に研究・治療体制および医療・診察体制を強化するべきであると考えるが、政府の見解はどうか。
三 二で、政府がこれまで以上に研究・治療体制および医療・診察体制を強化するべきであるという見解であるのであれば、どのような計画等を策定するつもりがあるか。
四 一九九九年に新しい感染症に対処すべく新感染症法が施行されたが、それに基づいた施策(研究体制・治療体制)は不十分であると考えるが、政府はどう考えているのか、その見解を問う。
今後SARSに限らず新しい感染症がわが国において流行・蔓延するおそれがあるが、わが国の厚生労働省における新感染症対策の体制はかならずしも十分とは言えず、今後人員の増員も含めて新感染症対策の体制を拡充する必要があると考えるが、政府の見解はどうか。
五 薬害エイズでは、政府の情報の隠蔽と医療機関の診療拒否、さらに政府によるセンセーショナルなマスコミ報道への誘導が激しく差別・偏見を引き起こしたのは周知のことである。
今回SARSが世界的な広がりを見せるなか、国民が不安に感じていることは、正確な情報が公開されているのかどうかという点と診療拒否等によって適切な検査・治療が受けられないのではないかということである。診療拒否は患者の健康・生命に危険を及ぼすだけでなく、国民に対して誤った意識を植え付け、差別・偏見を生む可能性もある。患者が発生した場合に患者の健康・生命を守り、差別・偏見を生まないためには、各医療・診察機関に感染症に関する情報の周知徹底を図ることによって診療拒否等、患者の受診行為の妨げになるようなことがないようにすることに加えて、国民に対しても、ホームページ等による情報の公表だけではなく、積極的にあらゆるチャンネルを通じて迅速かつ十分な情報を提供することが重要であると考えるが、政府の見解はどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)に規定する感染症指定医療機関が有する病室のうち、陰圧室で浴室を備えているものは三百十室(三百八十九床)、陰圧室で浴室を備えていないものは八十九室(百五十八床)、陰圧室以外で浴室を備えているものは三百四十三室(四百六十七床)である。なお、感染症指定医療機関以外の医療機関が有するこれらの病室の数は承知していない。
二及び四について
感染症法第三条においては、国及び地方公共団体の責務として、感染症に関する研究の推進等を図るとともに感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるように必要な措置を講ずることが定められており、この規定を踏まえて、感染症に関する研究体制及び医療提供体制の充実に取り組んでいるところである。
このうち、新感染症を含む感染症に関する研究については、世界保健機関(WHO)との情報交換、国際的な疫学調査への協力等を進めている。また、新感染症の患者に対する医療提供体制については、平成十五年四月七日付けで新たに国立国際医療センターを特定感染症指定医療機関に指定するなど、患者の受入れが可能な医療機関の拡充に努めるとともに、新感染症が発生した場合には、疫学及び臨床医学の専門家を関係都道府県に派遣して指導及び助言を行うこととしている。
今後とも引き続き、都道府県等と密接な連携を図りつつ、新感染症を含む感染症に迅速かつ適切に対応できるよう努めてまいりたい。
三について
感染症法に基づき、厚生労働省において、感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針(平成十一年厚生省告示第百十五号)を策定するとともに、同指針に即して、全都道府県が感染症の予防のための施策の実施に関する計画を定めているところであり、同指針及び同計画に沿って、研究体制及び医療提供体制の一層の充実を含む感染症対策を講じてまいりたい。
なお、SARS(重症急性呼吸器症候群)については、「ハノイ・香港等における原因不明の「重症急性呼吸器症候群」の集団発生に伴う対応について(第七報)」(平成十五年四月七日付け健感発第〇四〇七〇〇一号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)において、SARS患者が発生した場合の具体的な事例を想定し、患者の搬送方法や、有症状者への医療提供体制等に関する具体的な行動計画を作成し、公表するよう都道府県に要請したところであり、既に全都道府県が行動計画を作成し、公表しているところである。
五について
感染症の患者が不当な差別を受けることのないよう、感染症に関する正しい知識の普及を図ることは重要であると考えており、厚生労働省及び各検疫所のホームページ、政府広報等を通じて、幅広く国民に対する情報提供を行うとともに、検疫所における海外渡航者向けのパンフレットの配布、SARS患者への適切かつ具体的な対応方法等を定めたSARS管理指針の医療機関への周知等を行っているところである。今後とも、個人情報の保護に留意しつつ、情報提供等の充実に努めてまいりたい。
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