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航空幕僚長の「そんなの関係ねえ」発言と官房長官の「戦闘地域で民間航空機が飛ぶはずがない」発言に関する質問主意書
衆議院 第169回 第319号お答えすることは困難 ×2承知していない ×1
質問本文
田母神俊雄航空幕僚長は、四月一八日に行われた定例記者会見において、航空自衛隊のイラクでの空輸活動をめぐり、活動の一部が憲法第九条第一項に違反するという判断を含んだ名古屋高等裁判所判決について、以下のように発言した。(四月一八日付・産経ニュース)
「純真な隊員には心を傷つけられた人もいるかもしれないが、私が心境を代弁すれば大多数は『そんなの関係ねえ』という状況だ」(発言一)
さらに町村信孝官房長官は会見で、以下のように発言した。(四月一八日付・asahi.com)
「バグダッド飛行場には商業用の飛行機が多数出入りしている。本当に戦闘地域で、俗な言葉で言うと、危険な飛行場であれば、民間機が飛ぶはずがない」(発言二)
一般的に「そんなの関係ねえ」という「心境」は、当該判決に一定の正当性を認めながら、しかし自らの行動規範とする意思はない、と表明する態度と考えられる。航空自衛隊のトップが司法判断を揶揄したととられかねない発言をしたことは、海上自衛隊所属のイージス艦「あたご」衝突事件や情報漏えいなどが続く自衛隊のシビリアンコントロールについて、重大な疑いをもたらすものである。
従って、以下質問する。
一 《発言一》について
1 田母神航空幕僚長は、どのようにして「大多数」の自衛隊員の心境を把握したのか。本件について調査を行ったのか。それとも「大多数」の自衛隊員から自発的に報告があがったのか。根拠を示されたい。
2 「大多数」の自衛隊員は、当該判決の内容を知っているか。知っているならば、それは、いつ、どのような手段・内容の告知によるものか。また、誰の判断で、なぜそのような告知を行ったのか。
3 田母神航空幕僚長が「大多数」の自衛隊員の心境を代弁するに足る根拠を保持していた場合、「大多数」の自衛隊員が司法判断に対し「関係ねえ」という心情を抱く「状況」にあることについて、法令順守の観点から適切な隊員教育が行われていると考えるか。不適切であると考えるならば、具体的にどのように改善すべきと考えるか。福田総理の認識を示されたい。
4 田母神航空幕僚長が「大多数」の自衛隊員の心境を代弁するに足る根拠を保持していなかった場合、シビリアンコントロールの観点から適切な幹部教育および人事が行われていると考えるか。不適切であると考えるならば、具体的にどのように改善すべきと考えるか。福田総理の認識を示されたい。
5 「航空自衛隊のイラクでの空輸活動をめぐり、活動の一部が憲法第九条第一項に違反する」という判決について、田母神航空幕僚長自身も「そんなの関係ねえ」と考えるか。幕僚長の判断を示されたい。
二 《発言二》について
1 現在バグダッド空港を離発着する民間航空機は、どこの会社の、どこを結ぶ便が、どのような頻度であると町村官房長官は把握しているか。
2 町村官房長官が、バグダッド空港を「非戦闘地域」とする根拠は、民間航空機が離発着しているからか。その他バグダッド空港を「非戦闘地域」とする根拠があれば、具体的に示されたい。
3 民間航空機が離発着を中止した場合、バグダッド空港は「非戦闘地域」ではなくなるのか。町村官房長官の見解を示されたい。
4 これまでに、一時的あるいは永続的にバグダッド空港で民間航空機が離発着を見合わせたことはあるか。見合わせた理由も含め、政府の把握する事例を挙げられたい。
5 これまでに、バグダッド空港で過去に戦闘が行われたことがあるか。政府の把握する事例を挙げられたい。
6 歴史的に見て、「戦闘地域」で民間航空機が離発着したことはあるか。政府の把握する事例を挙げ、本件との相違点を述べられたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の名古屋高等裁判所の判決(以下「本件判決」という。)は、控訴人らから被控訴人である国に対する自衛隊のイラク派遣等の違憲確認請求及び差止請求について不適法なものであるとして却下し、損害賠償請求について棄却した第一審判決に対する控訴を棄却する旨の国側勝訴の判決であり、本件判決の御指摘の部分は、判決の結論を導くのに必要のない傍論にすぎず、政府としてこれに従う、従わないという問題は生じないと考える。
政府としては、航空自衛隊のイラクでの活動は、憲法の範囲内でイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「イラク特措法」という。)に基づき適法に行われているものと認識している。
田母神航空幕僚長は、政府と同様のこのような認識に立った上で、平成二十年四月十八日の記者会見において、部隊からの報告を踏まえ、本件判決後のイラク復興支援派遣輸送航空隊の雰囲気について、必ずしも正確な表現ではないが、自らの言葉で御指摘のような発言をしたものと承知している。
また、防衛行政については、シビリアン・コントロールの下、法令に基づき、適切に行われている。
二の1について
平成二十年四月二十一日現在、バグダッド飛行場においては、イラクの国内線についてはイラク航空のエルビル、スレイマニヤ及びバスラとの間を結ぶ便が週七日、また国際線についてはイラク航空のアンマン、ダマスカス、テヘラン、ドバイ、カイロ及びベイルートとの間を結ぶ便がそれぞれ週二日から七日、またロイヤル・ヨルダン航空のアンマンとの間を結ぶ便が週七日、離発着していると承知している。
二の2及び3について
お尋ねの「非戦闘地域」とは、イラク特措法第二条第三項における、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域をいうと考えられるが、政府としては、対応措置(同条第一項に規定する対応措置をいう。以下同じ。)を実施しているバグダッド飛行場については、これまでに我が国が独自に収集した情報、諸外国等から得た情報等を総合的に判断し、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に該当すると考えている。
その上で申し上げれば、仮に戦闘行為が行われているような地域であり危険な飛行場であれば、民間航空機が多数航行するような状況は一般的には想定し難いと思われ、内閣官房長官はこうした趣旨を述べたものである。
二の4について
バグダッド飛行場における民間航空機の運航の詳細については承知していないが、一般的には、砂嵐等の天候不良により離発着を見合わせる場合があると承知している。
二の5について
お尋ねの「戦闘」の意味が必ずしも明らかではなく、お尋ねにお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、我が国がバグダッド飛行場においてイラク特措法に基づく対応措置を開始した以降においては、同飛行場は二の2及び3についてで述べた、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に該当すると認識している。
二の6について
政府としては、イラク特措法に基づく対応措置を実施しない地域について、当該地域が二の2及び3についてで述べた、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に該当するか否かにつき判断を行っておらず、お尋ねにお答えすることは困難である。
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