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法律等により政府に検討を義務付けられた案件の処理状況に関する質問主意書
衆議院 第177回 第120号
質問本文
前臨時国会の所信表明演説において、菅首相は「有言実行内閣」を標榜し、近年解決が滞っている課題の処理を進める方針を示されたところである。これを受けて「法律等により政府に検討を義務付けられた案件の処理状況に関する質問主意書」(第百七十六回国会質問第一四二号)において、現行法律の附則規定等によって政府に検討を義務付けられた案件のうち七項目について質問し、答弁をいただいたところである(内閣衆質一七六第一四二号)。その後、平成二十三年度予算の編成等を通じて、処理が進んだものがある反面、処理が遅れているものも見られる。菅首相の示された方針が真に実現されていくのかを注視する立場から、以下六項目にわたり質問する。
一 所得税法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第十三号)附則第百四条第一項は、「政府は、(中略)平成二十年度を含む三年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする」と規定し、同条第三項は「第一項の措置は、次に定める基本的方向性により検討を加え、その結果に基づいて講じられるものとする」と規定し、八つの方向性を定めているところである。政府は、「平成二十二年度税制改正大綱」(平成二十一年十二月二十二日閣議決定)等に沿って、税制調査会等において更に検討を進めていくこととされていたが、現状及び今後の見通しを伺う。
二 所得税法等の一部を改正する法律(平成二十二年法律第六号)附則第百四十八条は、「政府は、地球温暖化対策のための税について、(中略)平成二十三年度の実施に向けた成案を得るよう、検討を行うものとする」と規定しているところである。平成二十三年度税制改正では、「地球温暖化対策のための税」が導入され、一定の前進は見たものの、揮発油税等の税率の特例は維持された。ついては、同条に定める「当分の間規定する税率の取扱い」について、平成二十四年度以降どのような方針で臨むのか、伺う。
三 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第六十二号)により改正された国民年金法等の一部を改正する法律附則第十六条の二第一項は、「特定年度の前年度が平成二十三年度以後の年度である場合において、当該特定年度の前年度まで(平成二十二年度以前の年度を除く。)の各年度における国民年金事業に要する費用のうち基礎年金の給付に要する費用の一部に充てるため、(中略)臨時の法制上及び財政上の措置を講ずるものとする」と規定しているところである。ついては、
1 平成二十三年度の基礎年金の国庫負担引き上げ分の財政上の手当てについては、安定財源を確保する方法ではなく、臨時的措置を講ずることとされたが、その理由を伺う。
2 平成二十四年度以降どのような方針で臨むのか、伺う。
四 雇用保険法の一部を改正する法律(平成二十二年法律第二号)により改正された雇用保険法附則第十五条は、「雇用保険の国庫負担については、平成二十二年度中に検討し、平成二十三年度において、安定した財源を確保した上で附則第十三条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする」と規定しているが、実現されなかった。ついては、
1 平成二十三年度に暫定措置を廃止するに至らなかった理由を伺う。
2 平成二十四年度以降どのような方針で臨むのか、伺う。
五 平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律(平成二十二年法律第十九号)附則第二条第二項は、「政府は、平成二十三年度以降の子育て支援に係る全般的な施策の拡充について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」と規定しているところである。ついては、
1 同条に規定する措置として講じられた内容を伺う。
2 平成二十三年度も一年限りの暫定的な法律により、子ども手当を支給することとされたが、二十四年度以降に向けて恒久的な制度づくりの検討を進める考えはあるのか、伺う。
六 菅首相の「有言実行内閣」という方針には変化がないものと思うが、法律等により政府に検討を義務付けられた案件の中には処理が遅れているものも見られる現状に対する認識及び今後の取り組み方針を伺う。
右質問する。
政府答弁書
一について
政府としては、平成二十三年度税制改正において、特に、現下の厳しい経済状況や雇用情勢に対応して、経済活性化や税の再分配機能の回復、地球温暖化対策などの課題に優先的に取り組むとともに、納税者・生活者の視点などに立った改革に取り組み、全体として、税制抜本改革の一環をなす、緊要性の高い改革を実施することとしている。
また、「社会保障改革の推進について」(平成二十二年十二月十四日閣議決定)において、社会保障の安定・強化のための具体的な制度改革案とその必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成するための税制改革について一体的に検討を進め、本年半ばまでに成案を得ることとしている。
二について
揮発油税、地方揮発油税及び軽油引取税に関して租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第八十八条の八第一項及び地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)附則第十二条の二の八の規定により当分の間規定する税率については、平成二十三年度税制改正において、国及び地方の厳しい財政事情や、地球温暖化対策の観点を踏まえ、税率水準を維持することとしたところであり、今後については、これらを踏まえて検討していくこととしている。
三について
国民年金法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百四号。以下「平成十六年改正法」という。)附則第十三条第七項及び第十六条第一項においては、税制の抜本的な改革(所得税法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第十三号)附則第百四条の規定に従って行われる税制の抜本的な改革をいう。以下同じ。)により所要の安定した財源の確保が図られる年度として別に法律で定める年度(以下「特定年度」という。)以降、基礎年金の国庫負担割合を国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第八十五条第一項の規定どおり二分の一に引き上げることとされている。その上で、平成十六年改正法附則第十六条の二第一項においては、特定年度の前年度が平成二十三年度以後の年度である場合には、平成二十三年度から当該特定年度の前年度までの各年度について、二分の一の国庫負担割合に基づく負担額と三分の一に千分の三十二を加えた率の国庫負担割合に基づく負担額との差額(以下単に「差額」という。)に相当する額を国庫の負担とするよう、臨時の法制上及び財政上の措置を講ずるものとされており、平成二十三年二月十日に閣議決定した国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案においては、これを踏まえ、平成二十三年度の当該差額に相当する額について、国庫の負担とするとともに、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の国庫納付金等の財源を活用して確保するものとしている。さらに、同法律案においては、平成十六年改正法附則第十六条の二第一項の規定を改正し、平成二十四年度から特定年度の前年度までの各年度について、当該差額に相当する額を、税制の抜本的な改革により確保される財源を活用して国庫の負担とするよう、必要な法制上及び財政上の措置を講ずるものとすることとしている。
四の1について
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)附則第十三条に規定する国庫負担に関する暫定措置については、国の厳しい財政状況等を勘案し、平成二十三年度においては廃止しないこととしたものである。
四の2について
政府としては、平成二十三年二月十日に閣議決定した雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案において、雇用保険法附則第十五条の規定を改正し、雇用保険の国庫負担については、引き続き検討を行い、できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で同法附則第十三条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとすることとしている。
五の1について
子育て支援に係る施策については、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律(平成二十二年法律第十九号)附則第二条第二項の検討規定の趣旨を踏まえ、平成二十三年度予算において、地域の実情に応じた子育て支援に係る現物サービスを拡充するため五百億円の交付金を設けるほか、待機児童の解消に向け、保育所の受入れ児童数約五万人の増加を図るため、保育所の運営費を拡充するとともに、地方財政計画において保育所等の現物サービスに係る需要一千億円を勘案して歳出特別枠を拡充し、その拡充分の財源として、同額を地方交付税に加算する等の措置を講じ、現物給付の充実を図り、現金給付とのバランスを取るよう配慮している。
このほか、子ども・子育て新システム検討会議において、全ての子どもの良質な成育環境を保障し、子ども・子育てを社会全体で支援するための包括的・一元的な制度の構築について検討を行っている。
五の2について
子ども手当は、次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援するために支給するものであり、恒久的に必要な政策であると考えている。
このため、平成二十四年度以降における子ども手当の制度設計については、関係府省と地方公共団体による会議の場において、幅広く検討することとしており、十分な協議を行い結論を得てまいりたい。
六について
政府としては、「法律等により政府に検討を義務付けられた案件の中には処理が遅れているものも見られる」とは認識しておらず、今後も各種施策を適切に推進してまいりたい。
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