ことばで探す › 衆議院 第189回
集団的自衛権行使容認等に関する質問主意書
衆議院 第189回 第333号お答えすることは困難 ×6承知していない ×1個別の事案 ×5
質問本文
一 政府は、今回審議中の安全保障法制における集団的自衛権行使の要件として新三要件を規定している。そこでお尋ねする。
1 武力攻撃を受けた、密接な関係にある他国からの要請、又は同意は、新三要件の要件に含まれるのか。
2 ニカラグア判決等、国際司法裁判所の判決において、集団的自衛権行使の要件として、「他国の同意」という要件は見当たらないが、何を根拠に「要請」でなく、「同意」でも集団的自衛権の行使が可能となるのか。
3 「同意」とは、我が国が、密接な関係にある他国に、「攻撃国に対して、いっしょに武力行使をしてもよろしいか」という趣旨の同意を書面で、求めると理解してよろしいか。
4 具体的に現在、他の要件を満たせば、どの国とであれば、「要請」でなく、「同意」だけでも集団的自衛権の行使が可能なのか。
5 「要請」または「同意」は、それぞれ、どのタイミングでなされなければならないのか。
二 新三要件の「必要最小限度」についてお尋ねする。
1 存立危機武力攻撃を排除するためには、万策尽きてやむを得ず、他国の領域での武力行使をすること以外に道はないとなった場合、他国の領域での武力行使はするのか。あるいは、憲法上の要請があるために、他国領域での武力行使はあきらめて、存立危機武力攻撃は排除できなくても仕方がないとするのか。
2 憲法の制約で、一般に外国の領域で武力行使はしないとするが、新三要件の下での集団的自衛権行使において密接に関係する他国の領域内での武力行使は、外国の領域であっても味方国であり、この場合、必要最小限度を満たせば許されるのか。
三 個別的自衛権における、「我が国への武力攻撃の着手」についてお尋ねする。
1 「着手」についての過去の国会答弁すべてをお示し願いたい。また、その答弁は現在も変わっていないか。
2 公海上における米艦船への攻撃が、「我が国への武力攻撃の着手」となる可能性についての国会答弁をすべてお示し願いたい。
3 公海上における米艦船への攻撃が、「我が国への武力攻撃の着手」となる可能性についての主な国会答弁として以下のものがある。
〇平成十五年五月十六日衆議院安全保障委員会における秋山法制局長官答弁「先ほどから申し上げていることは、我が国に対する武力攻撃の発生ということでございまして、我が国を防衛するために出動して公海上にある米国の軍艦に対する攻撃が、状況によっては、先ほど申しましたような、我が国に対する武力攻撃の端緒といいますか、着手といいますか、そういう状況として判断されることがあり得るのではないかということを申し上げているわけでございます」
〇平成十六年六月十日参議院イラク人道復興支援特における秋山法制局長官答弁「お尋ねのような、我が国に来援のために向かっている米軍が公海上で攻撃を受けたという場合に、我が国としてどのような対応ができるかという問題は、そのような攻撃が自衛権発動の要件のうち、我が国に対する武力攻撃の発生に該当するかどうかということで決まるわけでございます。それで、理論的にはこれが我が国に対する組織的、計画的な武力の行使と認定されるかどうかという問題でございまして、個別の事実関係において十分慎重に判断すべきものでありますが、仮に当該攻撃が我が国に対する武力攻撃に該当すると判断されるということも法理としては排除されないというのが政府の考え方でございます。この場合には、我が国として自衛権を発動して武力を行使し、我が国を防衛するための行為の一環として当該米艦の防衛をすることもあり得る、法理的にはあり得るものと考えます」
また、「着手」については平成二十七年六月八日、政府統一見解として「我が国に対する武力攻撃とは、基本的には我が国の領土、領海、領空に対する組織的計画的な武力の行使をいう。武力攻撃が発生した場合とは、攻撃のおそれがあるにとどまるときではなく、また現実に被害を受けたときでもなく、他国が我が国に対して武力攻撃に着手したとき。どの時点で武力攻撃の着手があったと見るべきかは、そのときの国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等による」とある。
この統一見解における、「着手」認定の基準である四要素である「国際情勢」「相手方の明示された意図」「攻撃の手段」「攻撃の態様等」について、それぞれ詳しく説明願いたい。例えば、「国際情勢」とは日本周辺の情勢のことなのか、「明示された意図」とは、その意図が明示されていない場合は認定されないのか、「攻撃の手段」とは核兵器であるか否かなども関係するのか、「攻撃の態様等」とはどのような意味なのか、などについてお示し願いたい。
4 国会で安倍首相があげた米艦船防護の事例の中で、我が国への武力攻撃の着手として読み得る可能性のある事例はあったのか否か。
5 具体的には、米艦船に対するどのような攻撃が、我が国への武力攻撃の着手と認定されるのか。事例をお示し願いたい。
6 国会で岸田外務大臣が二〇〇五年国連サミットについて答弁された。そこで触れた「攻撃が急迫」とは、我が国における武力攻撃事態の切迫事態と同じ概念として答弁されたのか。また、どのような意図での答弁だったのか。
7 我が国への武力攻撃の着手をどう認定し、どのような武器使用や部隊行動を取るのか等について、自衛隊はROE(交戦規定、日本では部隊行動基準という)で規定しているのか。
ROEの作成等に関する訓令(平成十二年十二月四日)によるとROEとは「自衛隊の部隊等がとり得る具体的な対処行動の限度を示す」とあり、「部隊行動基準は、状況に応じて部隊等に示すべき基準をまとめたものであって、行動し得る地理的範囲、使用し又は携行し得る武器の種類、選択し得る武器の使用方法その他の特に政策的判断に基づく制限が必要な重要事項に関する基準を定めたものとする」とある。
8 防衛省の説明によると我が国への武力攻撃の着手とは、ポイント・オブ・ノーリターンであって我が国への武力攻撃が不可避の時点である、とのことだが、これは正しい説明なのか。
9 我が国の艦船が、公海上で、相手国艦船の射程にありレーザー照射でロックオンされたときは「着手」と読み得るのか。
10 主要先進国G7、それぞれの国で、個別的自衛権における「我が国への武力攻撃の着手」の認定は、同じなのか。異なるのか。
11 G7、それぞれの国の「我が国への武力攻撃の着手」についての認定基準の違いを大まかにでも、ご存じであれば、それぞれ、簡単にお示し願いたい。
四 日本はROEは一切非公開であるが、米国では標準のSROEは公開されている。日本でもSROEを示す予定はないのか。国会で政府は、どの国も手の内を明かしていないと答弁するが、標準的なROEを公表している国が何か国あるかご存じであればお示し願いたい。
五 我が国の七十年前の戦争についてお尋ねする。
1 間違った戦争を起こさないためにも、自衛隊の最高指揮官である首相が、七十年前の戦争の教訓を正しく胸に刻むことが重要と考える。政府は、先の戦争の教訓は何だと考えているか、お示し願いたい。
2 また、具体的な以下の三つの事案について政府は、今から見ると間違った政策だったとお考えか、それぞれお示し願いたい。
・昭和六年の柳条湖事件(関東軍の謀略)
・昭和十一年の軍部大臣現役武官制の導入
・昭和十五年、政党が解散となり、大政翼賛会が結成された
六 衆議院平安特での野党からの強い指摘を受けて、「イラク復興支援活動行動史第1編、第2編」陸上幕僚監部平成二十年五月という資料が公開された。しかし、これまでの情報公開においては、一部は公開ミスがあったとはいえ、部分公開とされ、多くは黒塗りで公開されずにいた。今回、委員会の指摘を受けて全面公開となったが、もともと黒塗りで出すべきものではなかったのではないか。これまでが情報公開の精神に反した対応だったのではないか、と指摘せざるを得ない。かつて黒塗りで公開されなかった部分それぞれについて、かつて公開しなかった理由(情報公開法に基づく理由)と、今回、一転、公開した理由について具体的にお示し願いたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)でお示しした「武力の行使」の三要件(以下「新三要件」という。)は、憲法第九条の下で「武力の行使」が許容されるための要件であり、国際法上の要件をお示ししたものではなく、国際法上集団的自衛権の行使の要件とされる武力攻撃を受けた国(以下「被攻撃国」という。)の要請又は同意は明記されていないが、我が国による「武力の行使」が国際法を遵守して行われることは当然であり、「武力の行使」の国際法上の根拠が集団的自衛権となる場合には、被攻撃国の要請又は同意が必要となる。
この被攻撃国の要請又は同意は、一般国際法上、集団的自衛権の行使の要件として必要であると考えられているものであり、御指摘の千九百八十六年六月二十七日のニカラグア事件に関する国際司法裁判所の判決は、集団的自衛権の行使の要件について、必要性及び均衡性の要件に加え、自らが武力攻撃の犠牲者であるとする国による要請が必要であるとしているが、これは、集団的自衛権を行使することについての被攻撃国の同意をその要件から排除するとの趣旨ではないと考えられている。この同意は、条約等の形式によるものを含むが、一般国際法上、その形式について具体的な定めがあるわけではない。また、被攻撃国による要請又は同意が行われるべき時期については、個別具体的な状況によるものであり、一概に申し上げることは困難であるが、条約等の形式により被攻撃国に対する武力攻撃が発生する前にあらかじめ同意を与えておくことも認められるものと考えている。
新三要件を満たす場合には、被攻撃国からの要請又は同意に基づき、国際法上の根拠が集団的自衛権となる「武力の行使」を行うことが認められるが、いかなる場合に我が国が「武力の行使」を行うことができるかについては、個別の状況に応じて判断すべきものであり、あらかじめ定型的類型的にお答えすることは困難である。
二について
従来から、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる「海外派兵」は、一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないが、他国の領域における武力行動でいわゆる自衛権発動の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動をとることが許されないわけではないと考えてきており、この趣旨は、昭和三十一年二月二十九日の衆議院内閣委員会で示された政府の統一見解によって既に明らかにされているところである。このような考え方は、新三要件の下で行われる自衛の措置としての「武力の行使」にもそのまま当てはまるものと考えられる。
なお、新三要件を満たす場合に例外的に外国の領域において行う「武力の行使」については、ホルムズ海峡での機雷掃海のほかに、現時点で個別具体的な活動を念頭には置いていない。
三の1から5まで、8及び9について
我が国に対する武力攻撃の発生、すなわち武力攻撃の着手については、国会で累次にわたりお答えしてきており、答弁を網羅的にお示しすることは困難であるが、御指摘の答弁のほかに、例えば、平成十五年五月七日の参議院決算委員会における石破防衛庁長官(当時)の「東京を火の海にするぞと言ってミサイルを屹立させ、燃料を注入し始め、それが不可逆的になった場合というようなのは、一種の着手であり不可逆的な状態なのだろう」との答弁がある。
いずれにせよ、政府として、これまで一貫して、どの時点で武力攻撃の着手があったと見るべきかについては、その時点の国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるものであり、個別具体的な状況に即して判断する必要があることから、一概にお答えすることは困難である旨お答えしているところであり、お尋ねの「国際情勢」、「相手方の明示された意図」、「攻撃の手段」及び「攻撃の態様等」のそれぞれについて、どのような内容が含まれるか、あらかじめ確定的にお答えすることは困難である。
三の6について
平成二十七年七月三日の衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会における岸田外務大臣の「国連の議論においても、例えば、イミネント、切迫した状況において着手と認められることができるのではないか、こういった議論が行われました。しかし、結局は反対に遭って、これは成果文書に盛り込むことができなかった。国際的にも、こうした切迫した事態というのは、着手、武力攻撃の発生としては認められない、こういった議論が行われています」との答弁は、武力攻撃が発生していなくともそれが急迫していれば国際連合憲章(昭和三十一年条約第二十六号)第五十一条にいう個別的又は集団的自衛の固有の権利を行使できるとの考え方が国際的に確立されていないことを例を挙げて述べたものであり、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号。以下「事態対処法」という。)第二条第二号に規定する「武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態」を念頭に置いて述べたものではない。
三の7について
お尋ねの「部隊行動基準」については、個別の状況につきその存否や具体的な内容を明らかにすることにより、今後の自衛隊の運用に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えすることを差し控えたいが、どの時点で武力攻撃の着手があったと見るべきかということは、その時点の国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等から政府が個別具体的な状況に即して判断するものであり、自衛隊の部隊が判断する事項ではないため、自衛隊の部隊等がとり得る対処行動の限度をあらかじめ当該部隊等に示すことを目的とした「部隊行動基準」により定められるものではない。
三の10及び11について
武力攻撃の発生時期については、各国は、個別具体的な事案に即して総合的に判断するものと理解している。
四について
御指摘の米国の「SROE」については、政府としてコメントする立場にないが、我が国において、自衛隊による「武力の行使」及び武器の使用に関する一般的な考え方については、事態対処法及び自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)等の個々の法律の規定やそれらの規定に関する政府見解等により明らかにされているところである。
また、お尋ねの「標準的なROEを公表している国」の数については、政府として把握していない。
五について
お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。いずれにせよ、安倍内閣としては、平成七年八月十五日及び平成十七年八月十五日の内閣総理大臣談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる。
六について
御指摘の行政文書に関する行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)に基づくこれまでの開示請求に対しては、当該行政文書に記録された情報のうち、個人に関する情報が同法第五条第一号に掲げる不開示情報に、部隊の編成、現員、行動、運用、教育訓練、情報、指揮系統等に関する情報及び他国部隊に関する情報が同条第三号に掲げる不開示情報にそれぞれ該当するものと判断し、当該不開示情報が記録されている部分については不開示としてきたところである。
その後、本年五月に行った当該行政文書の開示の際、当該部分に誤って黒塗りを施さずに開示請求者に開示した経緯を踏まえ、政府として一層の説明責任を果たしていくため、改めて検討を行った結果、これまで不開示としていた部分を含め当該行政文書の全てを開示することとしたものである。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。