ことばで探す › 衆議院 第196回
技能実習生の対象職種における除染作業の是非に関する質問主意書
衆議院 第196回 第129号
質問本文
厚生労働大臣の告示するところの「技能実習制度推進事業等運営基本方針」では、技能実習制度の基本理念として、「技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とする」と示されている。
平成三十年三月六日、日本経済新聞は、「技能実習生として来日したベトナム人男性が、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染作業に従事していた」ことを報じている。この男性は平成二十七年九月に来日し、実習先である岩手県の建設会社と契約した業務内容は、「建設機械・解体・土木」であったことが報じられている。
このベトナム人男性と契約した建設会社の社長は、日本経済新聞の取材に対し、このベトナム人男性が除染作業に従事していたことを認め、「日本人がしている仕事をやらせただけ」であり、「『実習』というのは建前で、外国人側は稼げればいいというのが本音だろう」、「除染に実習生を使っている会社はほかにもある」と回答したことも報じられている。他方、ベトナム人男性は「除染作業との説明はなかった」と回答している。
「技能実習制度推進事業等運営基本方針」における技能実習二号移行対象職種に掲げる「建設機械施工」の作業の定義として、「押土・整地機械(代表機種:ブルドーザー)を使用した走行操作及び施工作業並びに点検作業」が示され、建設業法上の事業者が建設機械を使用して、押土・整地作業を行う場合、建設機械施工職種に該当するものとして、土木工事業、建築工事業、大工工事業、とび・土工工事業などが例示されている。ここではいくつかの工事業が示されているものの、技能実習生に従事させてよいのは「押土・整地機械を使用した走行操作及び施工作業並びに点検作業」であり、除染などの労務がこれに該当するとは考えることはできない。
このような観点から、以下質問する。
一 政府は、外国人技能実習生が東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染作業に従事していることを把握しているのか。その場合、「技能実習制度推進事業等運営基本方針」の理念に反するのではないか。政府の見解如何。
二 外国人技能実習生が東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染の労務作業に従事することは、技能実習二号移行対象職種のどれに該当するのか、あるいは該当しないのか。政府の見解如何。
三 実習実施機関が入国管理局に提出している実習計画に、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染の労務作業を行わせることを明示せずに、実際にこのような除染の労務作業を行わせた場合、実習実施機関は不正行為を行ったものとして処分対象になるのではないか。処分対象になる場合、どのような処分がなされ得るか、根拠法令とともに明示されたい。
四 当該ベトナム人男性と契約した建設会社の社長が日本経済新聞の取材に答えたように、「除染に実習生を使っている会社はほかにもある」と承知しているが、政府はこのような実態を把握すべきではないか。政府の見解如何。
五 四に関連して、除染作業などを行い違法な状態になっている技能実習を是正すべきではないか。政府の見解如何。
六 「技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため」のものである。然るに、日本人の労働者を集めることが困難なため、外国人技能実習生に東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染の労務作業を行わせることが現状であろう。「我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展」を望むならば、このような作業に違法に外国人技能実習生を従事させないことを徹底させるべきではないか。政府の見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
外国人技能実習生が東京電力福島第一原子力発電所事故に伴ういわゆる除染作業(以下「除染作業」という。)に従事している可能性がある事案については承知しているが、当該事案の詳細については現在事実関係を確認中である。なお、除染作業に従事することは、技能実習制度の趣旨にそぐわないと考えている。
二について
外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則(平成二十八年法務省・厚生労働省令第三号。以下「技能実習法施行規則」という。)別表第二に掲げる移行対象職種には除染作業という名称のものは存在しないが、御指摘の「押土・整地機械を使用した・・・点検作業」は、建設機械施工職種の押土・整地作業であり、除染作業においても行われることはあり得る。
三について
一般論として申し上げれば、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号。以下「技能実習法」という。)附則第十三条に基づき行われている技能実習制度において、実習実施機関が、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六条第二項、第七条の二第一項、第二十条第二項又は第二十一条第二項の規定による申請の時に提出された技能実習計画の内容と異なる作業に外国人技能実習生を従事させていることが判明した場合、出入国管理及び難民認定法施行規則等の一部を改正する等の省令(平成二十九年法務省令第十九号)による改正前の出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成二年法務省令第十六号)の法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄第一号イに掲げる活動の項第十八号の表リの項に掲げる不正行為又は法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄第一号ロに掲げる活動の項第十六号の表リの項に掲げる不正行為を行ったものとして、当該不正行為が終了した日後三年間を経過し、かつ、再発防止に必要な改善措置が講じられるまでの間、当該技能実習実施機関で技能実習を受けようとする外国人は、入管法第九条第七項の規定により上陸できないほか、入管法第二十条第三項の規定による在留資格変更許可又は入管法第二十一条第三項の規定による在留期間更新許可を受けることができず、当該実習実施機関においては、新たな外国人技能実習生の受入れができないこととなり得る。
四について
御指摘の実態把握については、今後、技能実習法を所管する法務省及び厚生労働省において、外国人技能実習機構や関係行政機関と連携しつつ、必要な取組を行ってまいりたい。
五及び六について
技能実習法においては、技能実習法第八条に規定する技能実習計画(以下「技能実習計画」という。)の認定基準として技能実習法施行規則第十条第二項第二号イにおいて、従事させる業務に関して、「当該業務の性質及び当該業務に従事させるに当たっての実習環境その他の環境に照らし、外国人に技能実習として行わせることが適当でないと認められるものでないこと」とされており、除染作業の性質上、一般的に海外で行われる業務ではなく、技能移転を通じた国際貢献にはなじまないこと、また、放射線被ばくへの対策が必要な環境は、技能修得のための実習に専念できる環境とは言い難いことから、今後、仮に除染作業を行う旨の技能実習計画の認定の申請があった場合には、当該認定基準に適合しないものと判断することとなる。また、技能実習法の規定に基づく外国人技能実習機構による技能実習法第二条第六項に規定する実習実施者及び同条第十項に規定する監理団体(以下「監理団体」という。)に対する技能実習法第十四条第一項に規定する実地検査等において、技能実習法に違反する行為が行われていることを把握した場合には、必要な指導を行うほか、技能実習法第十六条第一項に規定する技能実習計画の認定の取消し又は技能実習法第三十七条第一項に規定する監理団体に対する許可の取消し等を行うことで、外国人技能実習生が除染作業に従事することのないように努めてまいりたい。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。