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ただし書きで除染を「差し支えない」としたことに関する質問主意書
衆議院 第198回 第222号趣旨が明らかではない ×4
質問本文
国土交通省と法務省が二〇一九年三月につくった「特定分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領−建設分野の基準について−」の「特定技能外国人が従事する業務」に関する留意事項(以後、留意事項)として、除染については、「建設業への従事を目的とした受入れに該当しないことから(略)建設分野においては受入れ対象外」とした。しかし、「ただし」書きで「同じ特定技能所属機関に雇用され、特定技能外国人と同様の業務に従事する他の技能者が従事している場合、特定技能外国人に同程度の範囲内で従事させることは差し支えありません」とした。
「差し支えない」かどうかは国土交通省と法務省が判断すべきことではないため、以下質問する。
一 建設分野として受け入れ、ただし書きで、除染に従事させられる可能性が特定技能外国人にはあることを、送り出し国に伝えているか。また、「差し支えない」との回答を得ているのか。
二 受け入れ側の現場の判断で、説明も合意も教育もないままに、特定技能外国人が除染をさせられることがあってはならない。四月二十四日の衆議院厚生労働委員会でこの問題を取りあげた際、「付随して除染などをやる場合に、お手元に国土交通省の特定技能受入計画というものをお示しいたしましたが、副大臣に伺いますが、ここでもし建設業以外に、例えば左官とか型枠とかいろいろありますね、それ以外に除染も何割かやっている場合、それはここのどこに記載されるんでしょう」との質問に対し、大塚高司国土交通副大臣が、「それの三番の部分、補足事項があれば記載をしますという部分の記入のところに当たるというふうに思います。それ以外、外国人に対しまして、事前に所定の様式により、業務内容、処遇等を、先ほどお話がございましたように、母国語等で説明することになっております。それプラス、国土交通大臣への受入計画の認定申請の際に、当該様式の写しもあわせて提出することを受入れ企業に義務づけているところでございます」と答弁を行った。
1 特定技能外国人を受け入れる企業は、除染を付随して行わせる可能性がある場合、国土交通大臣への特定技能受入計画の認定申請の際に、三番の部分に補足事項として書き、それを母国語で説明することが義務であると考えて間違いはないか。
2 その義務に反して、説明も合意も教育もないままに特定技能外国人が、除染業務を付随的に従事させられることがないことを、誰がどのように確認を行うのか。明文化した規定はあるか。
3 義務に違反した受入れ企業にはどのような処分があるか。
三 留意事項には、「労働安全衛生法に基づく特別教育又は技能講習等が必要とされている業務について、特定技能所属機関は、特定技能外国人に対し、当該教育又は講習等を修了させなければなりません」との記述がある。
1 除染が必要になる、放射線量の高い区域で仕事をする場合、必ず、労働安全衛生法に基づく特別教育又は技能講習等が必要となるという理解で間違いはないか。
2 除染従事者のための「除染等業務特別教育テキスト」は、日本語で二百三十一ページあり、日本人が読んでも難しい内容である。一方、特定技能外国人に求められる日本語のN4レベルとは、「読む能力」は「基本的語彙漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる」、「聞く能力」は「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」程度であるとされている。「除染等業務特別教育テキスト」は、「日常生活の中でも身近な話題の文章」とはかけ離れているが、「読んで理解することが」できなくても、差し支えないのか。
3 除染現場では、被ばく防護のためにマスクなどを装着し、日本人でもコミュニケーションは困難であるとの指摘がある。N4の聞く能力で被ばく防護に支障をきたさずに除染業務を行えるかどうか、誰がどのように確認するのか。
4 建設分野で受け入れる特定技能一号外国人は、実際には日本語能力試験を受けずに技能実習生から移行してくる方々がほぼ百パーセントと見込まれている。そのため、労働安全衛生法に基づいて自らを被ばくから守るために十分な日本語が身についていないとの声が寄せられている。被ばく防護に必要な日本語能力や現場での危険回避に必要な日本語能力を誰がどのように確認するのか。
四 特定技能外国人が除染等業務や東京電力の福島第一原発の放射線管理区域で被ばく労働に従事した場合、被ばく線量の記録や放射線管理手帳が容易に理解できる言語で提供されることを政府はどう確認するのか。
五 放射線被ばくによってどのような病気にかかるおそれがあるかを被ばく労働者に周知しておくことが、予防にも、万が一の場合の労災認定申請にも重要であるが、日本人なら読むことができる「放射線被ばくによる疾病についての労災保険制度のお知らせ」の多言語化については、厚生労働省は「検討する」としている。早急に多言語化をする必要があるのではないか。
六 特定技能外国人が日本で被ばく労働に従事し、被ばくを原因とした病気を帰国後に発症した場合を想定し、あらかじめ送り出し国に対して日本における労働安全衛生法体系を説明し、医療機関による診断から労災認定まで特定技能外国人が日本に戻らずに必要な手続が可能となるようシームレスな体制を整えておくべきではないか。
七 二〇一九年五月二十三日の朝日新聞記事「福島原発『特定技能』就労見送り 東電、国通達翌日に転換」によれば、ベトナムでは、自国の労働者が外国で働くことを禁じる地域として、東京電力第一原発を含め放射能汚染地域が明示されているという。このことについて、除染業務が付随する可能性のある建設分野で特定技能外国人を受け入れようとする建設業界に対して、どのように周知徹底していくか。
右質問する。
政府答弁書
一について
これまで政府においては、「特定技能」の在留資格をもって在留する外国人(以下「特定技能外国人」という。)の送出国となり得る国との間で、「特定技能」の在留資格に係る制度について様々な協議を行っているところ、個別のやり取りの詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり、差し控えたい。
なお、御指摘の「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領―建設分野の基準について―」(平成三十一年三月法務省・国土交通省編。以下「運用要領」という。)の「第1 特定技能外国人が従事する業務」の「留意事項」にある「差し支えありません」との箇所は、我が国の国内法令における適法性について述べたものである。
二の1について
建設分野に係る特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関(以下「建設特定技能所属機関」という。)は、「建設特定技能受入計画」について、その内容が適当である旨の国土交通大臣の認定を受けることを要し(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令及び特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令の規定に基づき建設分野に特有の事情に鑑みて当該分野を所管する関係行政機関の長が告示で定める基準を定める件(平成三十一年国土交通省告示第三百五十七号。以下「告示」という。)第二条第一号)、当該認定を受けるには、「一号特定技能外国人に対し、特定技能雇用契約を締結するまでの間に、当該契約に係る重要事項について、様式第二により当該外国人が十分に理解することができる言語で説明していること」が必要である(告示第三条第三項第三号)ところ、当該様式においては、業務内容を記載することとされていることから、建設特定技能所属機関に対しては、御指摘の「除染」を含め、従事させる業務について、特定技能外国人が十分に理解することができる言語で説明することが義務付けられている。また、認定の申請に際しては、建設特定技能所属機関に対して、当該様式の写しを添付すること(運用要領第4の2(2))及び告示様式第一3により宣誓すること(告示第三条第一項)が義務付けられている。
二の2について
告示第三条第三項に基づく建設特定技能受入計画の審査の際に、告示様式第二に記載された就労予定場所や従事させる業務内容を踏まえ、当該様式には記載されていないものの、特定技能外国人を御指摘の「除染業務」に付随的に従事させることがうかがわれる場合には、国土交通省において、従事させる業務内容の詳細を確認することとしている。
二の3について
建設特定技能所属機関が告示様式第二による説明とは異なる業務に特定技能外国人を従事させるなど、告示第二条第一号の認定を受けた建設特定技能受入計画が適正に実施されていない場合や、不正の手段により認定を受けた場合等には、告示第八条に基づき、国土交通大臣は建設特定技能受入計画の認定を取り消すことができる。
三の1について
御指摘の「除染が必要になる、放射線量の高い区域で仕事をする場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則(平成二十三年厚生労働省令第百五十二号。以下「除染電離則」という。)第二条第七項に規定する除染等業務(以下「除染等業務」という。)又は同条第八項に規定する特定線量下業務(以下「特定線量下業務」という。)を行う事業者が除染等業務又は特定線量下業務に労働者を就かせるときは、除染電離則第十九条又は第二十五条の八に規定する特別の教育を行わなければならないこととされている。ただし、労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第三十七条の規定により、当該特別の教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別の教育を省略することができることとされている。
三の2から4までについて
御指摘の「「読んで理解することが」できなくても」の意味するところが必ずしも明らかではないが、特定技能外国人の安全衛生の確保に関する取組については、「外国人労働者に対する安全衛生教育の推進等について」(平成三十一年三月二十八日付け基発〇三二八第二十八号厚生労働省労働基準局長通知)による改正後の「安全衛生教育及び研修の推進について」(平成三年一月二十一日付け基発第三十九号労働省労働基準局長通達)において、「外国人労働者に対し安全衛生教育を実施するに当たっては、当該外国人労働者の母国語等を用いる、視聴覚教材を用いる等、当該外国人労働者がその内容を確実に理解できる方法により行うこと」及び「事業場内における労働災害防止に関する標識、掲示及び表示等については、図解等を用いる、母国語で注意喚起語を表示する等、外国人労働者がその内容を理解できるようにするとともに、当該内容が確実に理解されるよう留意すること」を外国人労働者を使用する事業者に求めることとしているところである。
四について
本年五月二十一日に厚生労働省労働基準局安全衛生部長から東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)に対し、「特定技能外国人労働者を発電所構内外の放射線業務等に従事させることについては、極めて慎重な検討を行うとともに、検討結果を当職まで報告するようお願い」する旨文書で通知しており、同月二十二日には東京電力から同部長に対し、当面の間、東京電力福島第一原子力発電所で「特定技能外国人労働者の就労は行わない」とする旨の報告を受けたところである。
一方で、御指摘の「容易に理解できる言語で提供されること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、除染等業務に従事する労働者(以下「除染等業務従事者」という。)の被ばく線量については除染電離則第六条第二項及び第三項の規定により、特定線量下業務に従事する労働者(以下「特定線量下業務従事者」という。)の被ばく線量については除染電離則第二十五条の五第二項及び第三項の規定により、それぞれ事業者が算定し、これらを記録し、三十年間保存するとともに、除染等業務従事者又は特定線量下業務従事者に当該線量を知らせなければならないこととされている。
また、「放射線管理手帳」については、公益財団法人放射線影響協会と放射線管理手帳発効機関及び当該制度に参加している事業者との間で、契約に基づき自主的に運用されているものであると承知している。
五について
御指摘の「「放射線被ばくによる疾病についての労災保険制度のお知らせ」の多言語化」については、特定技能外国人の受入れ状況等を踏まえつつ、検討していく考えである。
六について
御指摘の「あらかじめ送り出し国に対して日本における労働安全衛生法体系を説明」及び「シームレスな体制」の意味するところが必ずしも明らかではないが、労働者災害補償保険制度において、「特定技能外国人が日本で被ばく労働に従事し、被ばくを原因とした病気を帰国後に発症した」際には、当該特定技能外国人は我が国に戻らずに医療機関による診断を受け、かつ同制度に基づく保険給付の請求に係る手続を行うことは可能である。
七について
全ての建設特定技能所属機関は、告示第十条の登録を受けた法人(特定技能外国人受入事業実施法人)又は当該法人を構成する建設業者団体に所属することとなっている(告示第三条第三項第一号ハ)ところ、御指摘の点を含め、建設分野に従事する特定技能外国人の受入れに際して留意すべき事項がある場合には、当該法人を通じて、建設特定技能所属機関に周知してまいりたい。
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