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象牙の違法輸出に関する再質問主意書
衆議院 第198回 第254号承知していない ×2
質問本文
六月十四日に受け取った答弁書に対して、以下再質問する。
一 先の答弁書の一において、国際条約の委員会に提出する報告書については、行政手続法の規定に基づく意見公募手続きを実施する必要がある場合には該当しないとの答弁であったが、行政手続法の対象ではない場合でも、行政の任意の判断によりパブリックコメントを行った事例はあると承知しているが、いかがか。
二 そのような事例を承知しているのであれば、なぜ今回は行政の任意の判断によりパブリックコメントを行わず、科学的知見や国民の意見を広く公募しないのか、その理由をあきらかにされたい。
三 先の質問主意書の問一にある決議一〇・一〇の履行状況に関する報告に関連しては、「適正な象牙取引の推進に関する官民協議会」参加機関のうち唯一の民間団体が日本の市場の現状は同決議で閉鎖を勧告する市場に該当するとの見解を第五回会合において報告しているほか、ワシントン条約第六十九回常設委員会および、第十八回締約国会議の議題においてもケニア等によって日本の国内市場の問題が名指しで指摘されるなど国内外で議論を呼んでいることは承知のとおりである。このように日本が国際条約に取り組む姿勢を問われるような議題においては、経済、環境および社会的に均衡の取れた対応を十分に検討することが真に国益に資すると考えるが、今後、ワシントン条約に関する政府対応においては、広く市民社会、専門家および一般市民からも意見聴取を行うべきではないか。
四 先の質問主意書の問二は、日本から中国に輸出され押収された象牙が違法取引にあたると認識しているかを問うものであったが、中国当局が押収した象牙については「事実関係について、政府として確認する立場にないため、お答えすることは困難である」との答弁のみであり、違法取引として認識しているかどうかについて答弁はなかった。しかしとりわけ中国に向けた日本からの違法な輸出の存在は、二〇一七年十一月に東京港で象牙を違法に国外に持ち出そうとした中国籍の船員が逮捕された事例からもあきらかであり、政府自身もこうした動向への対処として中国当局との連携強化について先の質問主意書の問一で指摘した委員会への報告書でも言及していることを踏まえれば、連携先の中国当局の押収量についても把握しているのが当然なのではないか。中国当局が押収した象牙について違法取引にあたるかどうか回答できないということであれば、日本政府が把握し、ワシントン条約上の報告義務に基づき条約事務局に報告した二〇一一年以降の輸出段階での押収(中国向けに限らない)の実績の有無をあきらかにされたい。有る場合には、その押収量についてあきらかにするとともに、これは決議一〇・一〇のRegarding trade in elephant specimensの3.にあるpoaching or illegal tradeのうちの後者、illegal tradeつまり「違法取引」にあたると政府は認識しているかどうか、あきらかにされたい。
五 先の質問主意書の問三は、全形牙以外の製品の取引を含むインターネット上の取引への対策に関するものであったが、答弁にある該当条文は、全形牙の取引にかかる規制と事業者に対する規制のみであり、全形牙以外の象牙製品を非事業者が取引する行為は規制の対象となっていない。インターネットオークションでは、実際の氏名・名称、住所等を特定しない匿名性の高い取引が可能となっていることを踏まえると、この規制内容は不十分と考える。
五の一 事業者の規制においては、事業者登録番号等の表示を義務付ける等の規制がなされているとのことだが、個人情報が秘匿される取引において、登録事業者番号を表示しないで取引を行う者が登録義務の対象にあたるか否かを実際どのように確認しているのか、また、インターネット上で取引を行う登録事業者の数を把握しているかあきらかにされたい。
五の二 全形牙以外の象牙製品の取引については、非事業者が取引をする場合に規制がされていないことになるが、このような取引がインターネットオークションで活発に行われている。例えば、象牙市場を閉鎖していないEUでは一九四七年以降に製造された象牙製品の取引に対し、全形牙のみならず製品一点一点に政府の証明の取得を義務付けている。日本でも全形牙以外の象牙製品の取引にも合法性の証明を求める(もしくは全形牙と同様に種の保存法第十二条第一項の規定による譲渡し等が制限される対象に含める)など、より厳格な規制の導入を検討すべきではないか。
右質問する。
政府答弁書
一及び二について
御指摘の「行政手続法の対象ではない場合でも、行政の任意の判断によりパブリックコメントを行った事例」があることは承知しているが、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(昭和五十五年条約第二十五号)第七十回常設委員会に提出されたゾウ標本の取引に関する決議一〇・一〇(以下「決議一〇・一〇」という。)の我が国の実施状況に関する報告書については、同条約第六十九回常設委員会から決議一〇・一〇の履行状況について報告を求められたことを踏まえ、我が国における法制度面の強化、象牙取扱事業者の取締り、法制度の周知など、違法な象牙取引対策のために講じている措置について記載したものであり、御指摘の「科学的知見や国民の意見を広く公募」することが必要な場合には当たらないと判断したものである。
三について
象牙の取引に関し、お尋ねの「広く市民社会、専門家および一般市民からも意見聴取を行う」機会として、御指摘の「適正な象牙取引の推進に関する官民協議会」を開催しているところ、当該協議会では象牙の取引に関係する複数の民間団体、専門家及び政府機関が参画し、象牙の国内取引に関する適切な制度運用をこれまで以上に徹底するという観点から意見交換を行っており、今後も必要に応じて同協議会を開催していくことを考えている。
四について
御指摘の「報告書」に記載のとおり、中国の政府当局との間で象牙・象牙製品の違法取引防止のための協力について協議を継続しているが、お尋ねの「中国当局の押収量」については政府として把握していない。
一方、お尋ねの「ワシントン条約上の報告義務に基づき条約事務局に報告した二〇一一年以降の輸出段階での押収・・・の実績」及び「その押収量」については、平成二十三年以降現在までで七百五十七個、約百三十一キログラムである。
また、御指摘の決議一〇・一〇の三で定める「違法取引に寄与している合法的な国内象牙市場」における違法取引に関するお尋ねについては、この押収の実績が示すとおり我が国の水際対策は機能しており、我が国の国内象牙市場は厳格に管理されていることから、我が国の国内象牙市場は当該「違法取引に寄与している合法的な国内象牙市場」には当たらないものと認識している。
五の一について
お尋ねの「確認」については、例えば、関係省庁職員による監視や、インターネット取引の運営会社からの情報提供を通じて、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号。以下「法」という。)第三十三条の十一第三項に規定された登録番号等の表示の義務に違反する可能性がある広告を見つけた場合は、当該広告を行っている者に連絡し、事実関係を確認している。また、お尋ねの「インターネット上で取引を行う登録事業者の数」については把握していない。
五の二について
御指摘の「全形牙以外の象牙製品」の譲渡し又は引渡しの業務を伴う事業を行おうとする者は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律(平成二十九年法律第五十一号)による改正前の法第三十三条の二の規定により届出の対象とされていたが、その改正後においては、「全形牙以外の象牙製品」は法第三十三条の六第一項に規定する特別特定器官等として、その譲渡し又は引渡しの業務を伴う事業を行おうとする者には同項に基づく登録が義務付けられたことにより、より厳格な規制が導入されたところであり、現在、法の適正な運用に努めているところである。
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