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ふるさと納税が地方財政を圧迫している問題に関する質問主意書
衆議院 第210回 第34号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
令和四年九月二十二日、総務省は「ふるさと納税制度の適正な運用について」と題した通知を地方自治体のふるさと納税担当部長宛に発送し、「ふるさと納税制度の適正な運用を行っていただくようお願いします。」と依頼している。具体的には、「寄附金募集のための宣伝広告や情報提供の方法について」や「経費総額五割以下基準について」、「返礼割合三割以下基準について」などが示されている。
しかし、「ふるさと納税制度」は納税といいながら、住民税の納付先を居住自治体からそれ以外に変更するだけで返礼品等を受け取るものになっており、ふるさと納税制度と住民税の趣旨からかけ離れたものであり、さらには地方財政全般を圧迫することになっていることなど、根本的な問題を有すると考えるところ、以下質問する。
一 総務省のホームページにおいて、「ふるさと納税制度は、ふるさとや地方団体の様々な取組を応援する納税者の気持ちを橋渡しし、支え合う仕組みであるとともに、地方団体が自ら財源を確保し、様々な施策を実現するために有効な手段であり、我が国において人口減少が深刻化する中で、地域資源を最大限活用し、地域経済を再生させていく上で、重要な役割を果たす制度です。」と説明している。「ふるさとや地方団体の様々な取組を応援する」のであれば、ふるさと納税制度において返礼品等は不要と考えるが、政府の見解は如何に。
二 国税庁のホームページでは、税金の趣旨として、「国や都道府県、市区町村では、私たちが健康で文化的な生活を送るために、個人ではできない様々な仕事(公共サービス等)をしています。このような公共サービスや公共施設を提供するためには、多くの費用が必要になります。その費用をみんなで出し合って負担しているのが税金です。」と説明している。一方で、総務省の「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和四年度実施)」によれば、ふるさと納税の受入額が八千三百二億円、ふるさと納税の募集に要した費用が全国の合計で三千八百五十一億円となっており、受入額の四十六・四%になっている。本来地方税収として行政サービスに充てられるべき財源が特定の個人への返礼品等の経費に使われており、税金の趣旨とは異なると考えるが、政府の見解は如何に。
三 財務省のホームページにおいて、住民税について「住民税は、広く、その地域に住む人たちが、地域社会の費用を分担するもの」と説明している。ふるさと納税は、居住地とは異なる自治体に納税するものであり、住民税の趣旨を損なうものと考えるが、政府の見解は如何に。
四 主に都市部の自治体では、ふるさと納税制度で流出した税収の四分の三は地方交付税で措置されているため、地方自治体の財政への悪影響はある程度は配慮していると考えられる。しかし、地方交付税制度そのものの財源は慢性的に不足しており、臨時財政対策債の発行が続いている。ふるさと納税制度が、増加すればするほど地方交付税の財源が不足することになると考えるが、政府の見解は如何に。
五 総務省のホームページにおいて、「地方交付税は、本来地方の税収入とすべきであるが、団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障する見地から、国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する、いわば「国が地方に代わって徴収する地方税」(固有財源)という性格をもっています。」と説明している。地域間の税収格差は、地方交付税制度などによって調整させるべきもので、ふるさと納税のような制度を設ける必要はないと考えるが、政府の見解は如何に。
六 ふるさと納税において、所得が多ければ多いほど、控除される納税額も大きくなる。具体的には、配偶者と大学生と高校生の扶養家族三人をかかえる場合、年収が三百万円の場合には控除される納税額はゼロであるが、年収が二千万円の場合には五十三万六千円も納税が控除される。すなわち、ふるさと納税制度は、高所得者ほど追加的な負担がなく多額の返礼品等を受け取れる一方で、低所得者には恩恵がないところ、ふるさと納税制度は経済格差を拡大させるものであり税制として不適切と考えるが、政府の見解は如何に。
七 ふるさと納税については、ポータルサイトのテレビCMが頻繁に放映されるなど多額の広告費が費やされ、当該ポータルサイトにおいては「人気お礼品おすすめランキング」や「お礼品から探す」などの仕様となっており、返礼品の販売競争となっており、「ふるさとや地方団体の様々な取組を応援する」というふるさと納税制度の趣旨からはかけ離れていると考えるが、政府の見解は如何に。
八 ふるさと納税制度において返礼品となっている地場の特産品は、ふるさと納税制度によって実質的に無料で貰えることとなる。そうすると、ふるさと納税の返礼品として提供している商品とその類似品は、わざわざお金を出しては買われなくなるリスクがある、さらにはデフレの遠因になりうると考えるが、政府の見解は如何に。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねについては、ふるさと納税制度(個人が都道府県等(都道府県、市町村又は特別区をいう。以下同じ。)に対し寄附を行った場合に、当該寄附に係る寄附金について個人住民税の寄附金税額控除を適用する制度をいう。以下同じ。)は、返礼品等(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号。以下「法」という。)第三十七条の二第二項及び第三百十四条の七第二項に規定する返礼品等をいう。以下同じ。)の提供の有無にかかわらず適用される仕組みであり、返礼品等の提供は、法第三十七条の二第二項及び第三百十四条の七第二項の規定による指定を受けた都道府県等の判断で行われているものである。
二及び七について
お尋ねについては、ふるさと納税制度は、ふるさとやお世話になった地方団体に感謝し、若しくは応援する気持ちを伝え、又は税の使いみちを自らの意思で決めることを可能とすることを趣旨として創設された制度であり、寄附を行った者に対する返礼品等の提供を含め、寄附金の募集については、法第三十七条の二第二項及び第三百十四条の七第二項並びにこれらの規定に基づいて定められた特例控除対象寄附金の対象となる都道府県等の指定に係る基準等を定める件(平成三十一年総務省告示第百七十九号)第二条の規定に基づき、都道府県等においてふるさと納税制度の趣旨を踏まえて適切に判断いただくものと考えている。
三について
ふるさと納税制度は、住所所在地の都道府県等に納める個人住民税の一部を他の都道府県等に実質的に移転させる効果を持つものであるが、住所所在地の都道府県等に納付される個人住民税額が大きく減少することがないよう、特例控除額(法第三十七条の二第十一項及び第三百十四条の七第十一項に規定する特例控除額をいう。)の上限は、個人住民税所得割の額の二割と定められているところである。これにより、個人住民税の大半は住所所在地の都道府県等に残ることとなり、ふるさと納税制度は、個人住民税における応益課税の考え方も踏まえた仕組みとなっていることから、「住民税の趣旨を損なうもの」との御指摘は当たらないと考えている。
四について
御指摘の「ふるさと納税制度が、増加すればするほど地方交付税の財源が不足することになる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地方財政計画上、地方税の収入見込額については、標準的な収入見込額を計上しているところ、ふるさと納税制度に係る寄附金税額控除額については、他の税制上の特例措置と同様に、個人住民税の収入見込額を計上する際、直近の実績等を考慮して推計した控除額を反映させている。また、ふるさと納税制度に係る寄附金の受領額については、翌年度に見込まれる額の一定額を雑収入に計上している。このように、ふるさと納税制度に係る寄附金税額控除額及び寄附金の受領額を地方財政計画に適切に計上した上で、必要な一般財源総額を確保するとともに、地方交付税総額を適切に確保している。
五について
ふるさと納税制度を設けている趣旨については、二及び七についてで述べたとおりである。
六について
お尋ねについては、ふるさと納税制度は、個人住民税所得割が個人の所得に対して法第三十五条第一項及び第三百十四条の三第一項に定める率を乗じて課税することにより、高所得者ほど税額が大きくなる仕組みであることを前提として、三についてで述べたとおり、個人住民税所得割の額の二割を上限に税額控除を行うものであり、所得に応じて税負担を求める仕組みの性格を損なうものではないと考えている。
八について
ふるさと納税制度における返礼品等として地場産品を提供することについての影響については、地域における雇用の創出や新たな地域資源の発掘等により、地域経済の活性化等につながる効果があるものと考えている。
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