ペーパートレーディング(dry-run)
実資金を使わず仮想的な売買で取引戦略を検証する運用モード。KurageのAI取引OSS群で初期検証手段として標準採用されている。
ペーパートレーディング(dry-run)とは、実資金を使わずに仮想的な残高・約定・損益で取引戦略を検証する運用モードです。外部取引所や口座へ注文を送信せず、システム内部でシミュレートされた売買を記録するため、リスクゼロでアルゴリズムの挙動を確認できます。
Kurageプロダクトでの位置づけ
kurage-repos に収録されたKurageのAIトレード系OSSでは、ペーパートレーディングが初期状態や検証手段として標準的に採用されています。各README・LPでも「ペーパートレードのみ」「実資金は一切動いていません」と明記され、損益はすべてシミュレーション上の数値であることが強調されています。kurage-lps では、各製品のLPが一貫して「ペーパートレード・24時間稼働・全過程公開」や「ペーパートレード・OANDAデモ環境・数字は全部公開」といった文言で、この検証モードを前面に打ち出しています。ここで注目すべきは、ペーパートレードが単なる機能ではなく、「全過程公開」「数字は全部公開」という透明性の約束とセットで語られている点です。KurageのAIトレード製品は、実弾を動かす前の検証記録そのものを公開し、研究素材として共有する姿勢をとっています。
- kfreqai: Freqtradeベースの暗号資産AIトレードシステム。公開リポジトリのREADMEに「This system currently runs in paper trading (dry-run) only. No real funds are traded.」と明記されており、LPには「ペーパートレード・24時間稼働・全過程公開」とあります。FreqAI(LightGBM)の価格予測エンジンに、過熱フィルタ・ペア単位の禁止・ボラティリティ調整ポジションサイズ・レジーム対応スロット上限という独自リスク管理を重ねた構成です。また、決済のたびにLLMがトレードを検死し、毎日LLM研究員が制約付き仮説DSLで改善仮説を提案して自動バックテストにかける「自己改良ループ」もペーパー環境で公開されています。判断レイヤーは
rule_based(既定)・x402・local_llmから選べますが、どのバックエンドでもペーパー上の検証を経てから実弾に近づく設計です。 - kfxai: OANDAを使うFX自動運用ボディ。公開READMEでは「初期設定は
paperです。実口座へ注文しません。」と明記され、LPでは「ペーパートレード・OANDAデモ環境・数字は全部公開」とされています。paperはOANDA Practiceの実勢価格を受け取りつつSQLite内の仮想取引で動作し、practice(OANDA Practice口座)やlive(実口座)へ移行するには、OANDA_ENVIRONMENT=liveとKFXAI_LIVE_ACK=I_UNDERSTAND_THIS_USES_REAL_MONEYのような明示的な環境設定と確認文字列が同時に必要です。LPでは「測ってから取引する」「数字は全部公開」を掲げ、方向予測モデルをロジスティック回帰・LightGBM・M15/H1/H4の3時間軸・トリプルバリアラベル等、7構成・約1万取引のwalk-forward検証で棄却した過程も公開しています。その結果、方向的中率は49〜52%(損益分岐は52.6%)で全構成が赤字となり、唯一生き残った戦略だけをペーパーで運用しています。 - nofx: オープンソーストレーディングターミナル。取引所認証情報や実資金なしで戦略テストをする場合、MEXC Paper Tradingを選択できます。MEXCの公開スポット価格を読み、1万USDTの仮想残高から残高・ポジション・手数料・損切り・利確・注文履歴をローカルでシミュレートします。MEXCへ注文を送信することはありません。この機能は「戦略は言語モデル」というNOFXの設計の中でも、モデルの判断をリスクゼロで試すための入り口として位置づけられています。
- Kurage FreqAI Trade for Hyperliquid(hyperliquid): kfreqaiのHyperliquid対応版では、ペーパートレードで先行体験できる設計になっています。LPでは「ペーパートレードで先行体験」として、実弾ゼロの仮想売買で試せ、FXペーパーはウォレット接続だけ(取引の委任は不要)で始められ、手応えがあれば実弾へ移行する入門編と位置づけられています。ウォレット1つ・サーバー不要で、非カストディで資金は自身のHyperliquid口座に置いたまま。また、毎時cryptoはkcbrain・FXはkfxbrainのAI判断ゲートが市場を判断し、見送りや逆方向の新規エントリーを止める機構も、ペーパートレード上で試せる設計です。
記事索引での言及
kurage-articles-index には、ペーパートレーディングを実際の検証手段として使った記事が複数収録されています。
- 「NOFXは数値で売買するのか、AIが決めるのか?ペーパートレードで追った判断とリスク制御の境界」— ペーパートレード上でAI判断と数値ルールの境界を可視化し、リスク制御の挙動を検証した記録。
- 「「勝率65%なのに負けている」暗号資産AI自動取引ボットのentry_thresholdを検証したら見えた罠」— 勝率だけでは見えない損失構造をペーパー上の約定履歴から分析し、エントリ閾値の設計を見直した事例。
- 「FreqAIボットに「自己反省・自己改良」のLLM3層を実装した — 制約付き仮説DSLと自動バックテストの設計」— ペーパー環境を前提とした仮説生成・バックテスト自動化の設計。
- 「勝てるbotは売らない ― コードはOSSで全公開、「判断」だけをx402で量り売りする設計」— 判断ロジックをx402 APIとして切り出す設計は、ペーパートレードでの検証を経て初めて信頼できる形になるという思想と結びついています。
この索引全体では、AIトレーディングOSSの検証記事が多数収録されており、ペーパートレードはそれらの共通の出発点として位置づけられています。たとえば「kfreqaiをHyperliquidに対応させた設計」では、非カストディ委任・1プロセス多テナント執行・kcbrain/kfxbrainのAI判断ゲートという構成がペーパートレードで試せる形で紹介され、「TradingAgents-JPを公開し、判断基盤ksbrainを独立APIにした設計」でも「画面」と「頭脳」を分離した判断APIが仮想取引で評価される流れが見て取れます。
なぜペーパートレーディングか
- リスクゼロ検証: 実資金を失うリスクなく、ロジック・パラメータ・判断バックエンドの振る舞いを確認できます。
- 安全な初期運用: kfreqaiやkfxaiのように、システムの信頼性やAPI接続、リスクゲートが十分に検証されるまで実口座を触らない設計です。nofxのMEXC Paper Tradingも、取引所資格情報なしで同じ検証を可能にします。
- 判断レイヤーの評価: ai-judgment-backend(rule_based / local_llm / x402)を切り替えながら、同じ市場データ上で判断品質を比較する土台になります。
- 透明な研究公開: kfreqaiやkfxaiはペーパートレードの過程・失敗・改善をブログやダッシュボードで公開し、仮説検証の再現性を担保しています。LPでも「全過程公開」「数字は全部公開」という言葉で、ペーパートレードの記録そのものを研究素材として扱う姿勢が強調されています。
- バイブトレーディングとの親和性: vibe-tradingの「仮説は人間、コードはAI、判定は数字」というループを回す初期環境として、ペーパートレードが標準的に使われます。
実口座への移行とtrust-boundary
ペーパートレーディングは「AI判断レイヤーが直接注文できない」というtrust-boundaryの設計思想とも親和性があります。たとえばkfxaiではAI判断レイヤーが注文API・認証情報・注文数量を持たず、最終リスク判定はOSS本体だけが行います。同様にkcbrainやkfxbrain、ksbrainなどの判断APIは「頭脳はお金に触れない」とされ、ブローカー/取引所の認証情報を持たず、注文も実行しません。nofxではGo製ランタイムがモデルの注文をハードなリスク上限で制限する構造になっており、これも同じ信頼境界の別実装です。ペーパー段階でこの境界を検証し、実口座移行後も同じ安全機構が働くことを確認します。
関連ページ
- trust-boundary
- ai-judgment-backend
- vibe-trading
- kfreqai
- kfxai
- nofx
- kcbrain
- kfxbrain
- ksbrain
- freqtrade
- mexc
- oanda
- hyperliquid
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