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米軍人・軍属等のマイカーに対する自動車税等の課税に関する質問
参議院 第150回 第1号承知していない ×1
質問本文
米軍人・軍属等のマイカーに対する自動車税等の課税に関する質問主意書
今年の七月、私が師事する前田哲男東京国際大学教授が「在日米軍基地の収支決算」(筑摩書房)なる本を出版した。この本の中で前田教授は、「日米安保条約にもとづく両国の同盟関係が、いったいどのような財政基盤、経費負担の下で運用されているかを分析し」、いわゆる「思いやり予算」の問題を中心に、日米安保のバランスシートを明らかにしている。
同時に、この本の中では日米安保条約第六条の「基地許与」を具体化し、日本に駐留する米軍部隊の活動に必要な基地の提供、そして軍人・軍属・家族の権利や特典について定めた日米安保条約の付属協定ともいうべき日米地位協定の問題点についても多角的に分析している。
ところで、沖縄県は二〇〇〇年八月、政府に対し「日米地位協定の見直しに関する要請」を行っている。この要請の内容は多岐に渡るが、ここでは米軍人・軍属らの私有車両に対する自動車税等の課税について、その仕組みを明らかにし、現行制度の改定を強く求めるものである。
そもそも日米地位協定に基づく米軍人・軍属とその家族らに対する税金の免除などの経済的特権付与は、課税自主権などの経済主権がアメリカによって侵害されていると言わざるを得ない。主権国家として極めて由々しき問題である。
一九五二年六月の日米合同委員会合意では「米軍人らの私有車両にたいしても日本国法が全面的に適用され、登録及び車両検査の業務は日本政府当局が行う」となっている。
米軍人・軍属とその家族らの私有車両は、日本国民の私有車両と全く同じ方法で日本国内で運行の用に供されているにもかかわらず、それらの者に対する自動車税、軽自動車税を減額しなければならない合理的理由はない。
以下、質問する。
一、二〇〇〇年四月一日現在の米軍人・軍属とその家族らが私有する車両台数及び車両の種別内訳台数について、全国と沖縄県とに分けて明らかにされたい。
二、一九九九年度実績で米軍人・軍属とその家族らが私有する車両に賦課された自動車税・軽自動車税額について、車両の種別ごとに全国と沖縄県とに分けて明らかにされたい。
三、米軍人・軍属とその家族らの私有車両に対する自動車税・軽自動車税等の課税について、日米合同委員会における合意内容を詳細に明らかにされたい。
四、米軍人・軍属とその家族らの所有する私有車両に対する税率はどのように決定されるのか。なぜ民間車両よりも著しく低い税率になっているのか、その理由を明らかにされたい。
五、一九九九年度課税実績で米軍人・軍属とその家族らの私有する車両に民間車両と同じ税率で課税した場合、自動車税・軽自動車税の差額はいくらになるか明らかにされたい。
六、政府は、米軍人・軍属とその家族らの所有する私有車両まで自動車税等を優遇し、軽減措置することが、我が国の安全保障と防衛に貢献するものであると考えているのか明らかにされたい。
七、国の要請に基づき行われた自動車税等の軽減措置によって生じた税収減分は、本来国が補てんすべきと考えるが、政府の考えを明らかにされたい。
八、沖縄県は「日米地位協定の見直しに関する要請」の中で、第十三条関係(租税)について「合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の私有車両に対する自動車税及び軽自動車税について、民間車両と同じ税率で課税する旨を明記すること」を求めているが、政府は、米国政府と日米地位協定の改正交渉をなし、沖縄県の右要請を実現する方策を有するのか明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一及び二について
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第十三条第三項及び第十四条第六項の適用を受ける者(以下「米軍構成員等」という。)の私有車両について、自動車税及び軽自動車税の賦課の対象となる平成十一年四月一日現在における車種別の車両台数並びにこれらに対する平成十一年度における自動車税及び軽自動車税の課税額は、別表のとおりである。なお、平成十二年四月一日現在の車両台数は把握していない。
三について
御質問の米軍構成員等の私有車両に対する自動車税及び軽自動車税の課税に関しては、日米地位協定第二十五条第一項に基づき設置される合同委員会(以下「合同委員会」という。)の平成十一年二月の協議において、日米地位協定第十三条第三項及び第十四条第六項の規定に関し、我が国では、税率が各種の車両による道路使用度に対応していないので、米軍構成員等は、私有車両による道路の使用について次の金額を納付し、我が国の地方公共団体は、車両の所有者である米軍構成員等から当該金額を受領する旨合意されている。
普通乗用車 一万九千円(総排気量が四・五リットルを超えるものは、二万二千円)
普通トラック 三万二千円
小型乗用車 七千五百円
小型トラック 七千五百円
軽自動車(四輪以上のもの) 三千円
軽自動車(三輪又は二輪のもの) 千円
二輪の小型自動車 千円
原動機付自転車 五百円
四について
米軍構成員等は、日米地位協定第十三条第三項又は第十四条第六項の規定により、動産の保有、使用等についての我が国における租税を免除されるが、これらの規定は、私有車両による道路の使用について納付すべき租税の免除を与える義務を定めるものではないとされている。
自動車税及び軽自動車税は、財産税と道路損傷負担金の性格を併せ持つものと解されており、このうち道路損傷負担金に相当する部分が右にいう「道路の使用について納付すべき租税」に該当するものとして、米軍構成員等の私有車両に対して課税されることとなるところ、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)に定められた標準税率のうち「道路の使用について納付すべき租税」に相当する部分を明確にするため、合同委員会における協議により具体的な税率(以下「合意税率」という。)を定めているものである。
五について
平成十一年度に、米軍構成員等の私有車両に対し、地方税法に定める標準税率で自動車税及び軽自動車税を課税した場合の課税額を試算すると、全国で自動車税二十億三千七百四十一万円、軽自動車税八百七十三万九千円であり、実際の課税額との差は、自動車税十六億千六百二十三万円、軽自動車税四百九十九万千円である。
六について
日米地位協定第十三条第三項又は第十四条第六項の規定に照らして、米軍構成員等が保有する私有車両の自動車税及び軽自動車税については、財産税に相当する部分が免除されることとなる。
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)は、我が国の安全並びに極東の平和及び安全の維持に寄与していると考えるところ、日米地位協定は、右に述べた租税の免除を含めて、全体として、同条約の目的達成のため我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)の我が国における円滑な活動を確保するため、米軍による我が国における施設及び区域の使用並びに我が国における米軍の地位につき規定しているものである。
なお、米軍構成員等に対して租税のうち財産税に相当する部分を免除することについては、北大西洋条約機構(NATO)地位協定においても類似の規定が存在しており、国際的慣行にかんがみても均衡を失しているとは考えていない。
七について
標準税率と合意税率との差異があるからといって、直ちに国による補てんが必要な収入減が生じているものとは考えていない。なお、合意税率により課税されるべき自動車税又は軽自動車税に係る地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に規定する基準財政収入額は、合意税率で課税した場合の収入額を基礎として算定されており、標準税率と合意税率との差異は、基準財政収入額の算定上反映される仕組みとなっている。
八について
日米地位協定第十三条第三項又は第十四条第六項の規定に照らして、米軍構成員等が保有する私有車両の自動車税及び軽自動車税については、財産税に相当する部分が免除されることとなるが、このように米軍構成員等に対して租税のうち財産税に相当する部分を免除することについては、北大西洋条約機構(NATO)地位協定においても類似の規定が存在しており、国際的慣行にかんがみても均衡を失しているとは考えていない。
なお、政府としては、これまでも沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告に九項目の日米地位協定の運用の改善措置を盛り込み、その後、これらすべてを実施に移す等、日米地位協定の運用の改善に真摯に取り組んできているところである。今後とも、沖縄県の要請に真摯に耳を傾けつつ、「普天間飛行場の移設に係る政府方針」(平成十一年十二月二十八日閣議決定)にあるとおり、日米地位協定の運用の改善について、誠意をもって取り組み、必要な改善に努めていく考えである。
別表 米軍構成員等の私有車両の平成十一年四月一日現在における車種別の車両台数並びにこれらに対する自動車税及び軽自動車税の課税額
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