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日米安保の再定義と沖縄米軍基地に関する質問

参議院 第136回 第3号

提出者
参議院
提出日
1996年4月11日
内閣転送 1996年4月15日
答弁書受領日
1996年4月26日
提出から15日
答弁の項目数
5
質問 1,691字/答弁 1,254字

質問本文

日米安保の再定義と沖縄米軍基地に関する質問主意書

クリントン米大統領の来日が予定されており、日米首脳会談において冷戦後の日米安保の再定義が行われる見込みである。冷戦が終了したにもかかわらず、日米安保の軍事的役割の維持・強化がなされようとしている。そのため、本来大幅に縮小すべきはずの沖縄の米軍および米軍基地は、依然として沖縄の土地と県民の生活を圧迫している。

日米安保の軍事的役割の強化・拡大に反対し、沖縄の米軍基地の返還の推進を願う立場から以下の質問をする。

一、日米安保の再定義について

米国防次官補だったジョセフ・ナイ氏は、冷戦後の日米安保のあり方として、既存の枠組みのみならず、アジア太平洋地域における日米協力、さらにはそれを越え、全地球的規模での協力関係の強化を提唱している。そして、在日米軍の役割も部隊編制の変更や日本の領域外での出動命令などの形で、日本および極東にとどまらず、事実上、遠くペルシャ湾、東アフリカにまで拡大されている。これは明らかに、従来の政府答弁で定義づけられた「極東」の範囲である「フィリピン以北、日本およびその周辺で韓国、台湾を含む」とされている地域を大きく逸脱するものである。政府は、安保条約に基づいて駐留している在日米軍が、従来の「極東」の範囲を超える地域の作戦に使用されることについて、米側に異議を申し立てるべきであると考えるがどうか。

二、普天間基地の返還について

二月の日米首脳会談では、橋本総理は普天間基地を例示して基地の整理縮小を要請し、クリントン大統領訪日時に成果を挙げることを確認しあっている。しかし、三月末に総理は大田知事との会談で、普天間基地については秋以降に先送りすると発言している。一か月ほどの間でこのように後退した理由は何か。

また、沖縄県は返還後の普天間基地の跡地利用について、アクションプログラムを作成し、国際交流拠点として活用するという明確なヴィジョンを持っている。フィリピンの米軍基地が返還されて、その跡地利用が地域経済振興に大いに効果を挙げている例でも明らかなように、普天間基地が返還されれば、沖縄県の経済振興にも多大な効果があると考える。政府は普天間基地の返還をクリントン米大統領に強く求めるべきであると考えるがどうか。

三、嘉手納基地および普天間基地の騒音防止について

三月二八日の日米合同委員会において、嘉手納基地および普天間基地の騒音防止協定が締結された。それまでの野放し状態からは一定の前進と言えるが、厚木基地や横田基地に比べ最低高度がさらに低く設定されるなど、いわゆる「本土並み」より後退した内容となっている。沖縄県民が騒音防止について厳しい基準を求めているにもかかわらず、なぜ厚木、横田並みにさえ設定できなかったのか。また、今後これを改善するため、米側と交渉する予定はないか。

四、軍転法の改正について

米軍基地に使用されていた土地が返還された場合、「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」いわゆる軍転法第八条によれば、返還後三年間は賃貸料相当額を給付金として給付することとなっている。しかし、返還後三年間では土地の利用を確定することは困難である。また、自治体では土地の開発計画を作成しているが、一部の返還ではそれを実施することは困難である。軍転法を改正して、補償期間を延長すべきであると考えるが、政府の基本的考え方および検討状況はどうか。

五、実弾射撃訓練について

現在、金武町で実施されている実弾射撃訓練においては、不発弾の処理が全く行われていない。また、緑の濃い山肌に対しても容赦なく実弾が撃ち込まれ、山肌は荒れ放題になっている。ハワイにおける米軍の実弾射撃訓練では、不発弾の処理を行ってからでなければ次の訓練は行っていないし、緑の多い山肌には撃ち込まずに麓のほうで実施している。政府は山肌への実弾射撃訓練の中止を申し入れ、不発弾の処理と破壊された山肌の緑化対策などは米軍の責任において行うよう主張すべきだと考えるが、これに対する政府の基本的態度はどうか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

我が国に駐留する米軍は、我が国を含む極東における国際の平和と安全の維持に寄与するとの任務を現に果たしているところであるが、米軍の運用上の都合による在日米軍の部隊の極東以外の地域への移動について、日米安保条約上何ら制約がないことは、政府が従来から国会等で明らかにしているとおりである。

二について

普天間飛行場については、本年四月十二日に橋本総理がモンデール駐日米国大使と会談を行い、所要の措置が採られた後に全面返還することにつき既に合意が得られており、このことは四月十五日に日米安全保障協議委員会が発表した特別行動委員会の中間報告(以下「中間報告」という。)において確認されている。中間報告で確認された内容は、「今後五~七年以内に、十分な代替施設が完成した後、普天間飛行場を返還する。施設の移設を通じて、同飛行場の極めて重要な軍事上の機能及び能力は維持される。このためには、沖縄県における他の米軍の施設及び区域におけるヘリポートの建設、嘉手納飛行場における追加的な施設の整備、KC-130航空機の岩国飛行場への移駐及び危機に際しての施設の緊急使用についての日米共同の研究が必要となる。」というものである。

三について

米軍の各飛行場において採られている航空機騒音規制措置は、駐留している米軍の運用規則や飛行場の特性を考慮し、それぞれの運用状況を踏まえたものとなっており、必ずしも一律なものではないが、共通する事項もあることから、できる限り横田及び厚木飛行場に係る合同委員会合意を参考に、更に沖縄県に特有の要素を加味して米側と協議を重ねた結果、項目やその表現において、これらの合意とほぼ同様の内容の合同委員会合意が得られたものである。

また、右合同委員会合意において、米側との間で航空機騒音に関する状況を改善すべく今後とも最大限の努力を行っていくことを確認したところであり、政府としては、引き続き真剣に対応してまいる所存である。

四について

沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律(平成七年法律第百二号)第八条に基づく給付金については、平成八年度に初めて支給されるものであることから、まず、同条の規定に基づき適正に執行していくことが大切であると考えている。

五について

金武町で実施されている実弾射撃訓練に伴う不発弾の処理については、昨年十一月、沖縄県による地位協定見直し要請の一項目となっていることは承知している。

本件不発弾処理に関しては、特別行動委員会の場等を通じ協議をしてきたものであるが、中間報告において述べているとおり、今後、不発弾処理の具体的なガイドライン及び公表の方法について、検討作業に着手することとしている。

また、県道104号線越え実弾射撃訓練に関しては、中間報告において、これを取りやめ、本土の複数の演習場に移転することについて改めて確認したところである。なお、本件に関しては、現在、合同委員会の下に設置された特別作業班で鋭意検討を行っているところである。

参議院の原文

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