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新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する質問主意書

参議院 第201回 第78号お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

提出者
参議院
提出日
2020年3月17日
内閣転送 2020年3月23日
答弁書受領日
2020年3月27日
提出から10日
答弁の項目数
7
質問 2,614字/答弁 3,346字

質問本文

去る三月十三日に新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「同法」という。)が改正されましたが、同法の「緊急事態宣言」に基づく措置が重大な人権侵害をもたらすのではないかという強い懸念があります。現在、社会的に議論されている移動、集会、表現等の自由権の制限、あるいは、所有権の制限だけでなく、私たち障害者や高齢者などにとっては、生存権そのものが脅かされるものと危惧します。

同法第四十五条では、学校とともに、「社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)」の「使用の制限若しくは停止」を、都道府県知事が要請あるいは指示できることになっています。

通所施設やショートステイ施設は、入所施設でなく地域で暮らす障害者や要介護の高齢者に、介護・入浴・余暇活動の提供等の重要な役割を果たしています。在宅生活を支えるホームヘルプが恒常的に不足している状況のなか、事実上、いのちを支えるものとなっています。通所施設やショートステイ施設の利用が制限もしくは停止されても、代替え策のホームヘルプが十分に提供される体制にはとうていなっておりません。また、通所施設・ショートステイ施設の職員が代替え策で自宅を訪問するとしても、通所施設と自宅では環境も違う上に必要なスキルも異なり、対応が難しいと考えます。今後、全国の通所施設で感染が広がる可能性もあり、一刻も早く、さらなる対応策を打ち出すべきです。

さらに、今回の学校一斉休校という措置のなか、仕事を休めない親に代わって学童保育、障害児の放課後等デイサービスなどが子どもたちの生活を何とか支えていますが、これすらも停止されれば、家族全体の生活が崩壊します。

同法の緊急事態宣言は、二年間とされており、さらに一年間の延長ができるとされています。通所施設やショートステイ施設は、日々の利用者の人数に応じて報酬が支払われる仕組みとなっており、一カ月間利用を停止されただけでも、存続が不可能となる施設も出てくるでしょう。

こうした状況のなかで、障害者及び障害児は、施設入所という隔離を選ぶか、いのちを落とすかの二者選択という状況に置かれます。こうした状況への政府としてのご認識を、以下伺います。

一 同法の第一条において「国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とする」と規定されていますが、緊急事態宣言の下で、障害者及び障害児や高齢者の通所施設やショートステイ施設の利用を制限したり停止した場合、施設利用者の生活はもちろん命をも奪うことになります。こうした状況が生まれることについての政府の認識をお聞かせください。

二 同法が成立した二〇一二年に、衆議院と参議院の内閣委員会では、「独居世帯を含めた在宅患者への薬剤処方の在り方を明示し、周知徹底を図るとともに、在宅の一人暮らしの高齢者や障害者など社会的弱者に対しては、市町村と協力し、見回り、介護、訪問診療、食事提供、搬送等の適切な支援を図ること。」との附帯決議を行っています。本附帯決議から八年近くが経過していますが、社会的弱者に適切な支援を行うための準備を政府はこれまでに行ってこられましたでしょうか。準備を行っていれば、その詳細をお示しください。

三 現時点においても、障害者や高齢者の在宅介護・看護及び通所介護を巡り、以下の(1)から(9)までのような様々な問題が起こっています。以下の(1)から(9)までのような事態や意見に対して、現時点で政府はどのような対策を取っているのかそれぞれお示しください。

(1) 平熱が高い脳性麻痺患者が、移動支援を行う事業者からサービス提供を拒否され、通所施設に通えなくなっている。

(2) 知的障害者や認知症高齢者の中には、水分不足や着込みすぎで、体調管理が適切にできない方もおり、水分を摂ればすぐに体温が下がる場合も多い。介護が必要な利用者さんを一人にできるわけもなく、介護不足で生活が破たんし、生命の危機が発生するため、一律に体温三十七・五度以上でサービスの利用を制限するのでなく、風邪症状がない場合は利用を受け入れるべきではないか。

(3) 小規模の訪問介護事業所、通所事業所において消毒薬やマスク等が不足しているため、訪問ヘルパーが感染源になる可能性があり、訪問ヘルパー自身を感染から護ることもできない。感染のリスクを減らすため、原価よりも高い価格で転売されている消毒液やマスクを買わざるを得ない状況がある。

(4) 訪問看護事業所では発熱者への訪問の際、全身を覆う使い捨てガウンが必要であるが、不足している。消毒液やマスクだけでなく使い捨てガウンの配布も必要である。

(5) 在宅の人工呼吸器利用者にとって深刻なのは、痰の吸引等、医療的ケア時になくてはならないアルコール、使い捨て手袋の不足である。通常、必要な備品は二週間分くらい備蓄しているが、新型コロナウイルス感染が長期化して、全く手に入らなくなった。三・一一のときは患者・障害者団体のネットワークを通じて非被災地から救援物資として送ってもらえたが、今回は全国的に一般の方々も買おうとするため、いつ欠品が解消されるのか見通しが立たない。

(6) 訪問介護事業所ではヘルパーが感染した場合、シフトの穴埋めをチームで行わなければならず、超過勤務をする人が出てくる。うちの場合は正社員がほとんどなのでぎりぎり調整できるが、登録ヘルパー中心の事業所では、サービスが組めないと聞いている。

(7) 厚生労働省は二月二十四日の事務連絡で三十七・五度以上の発熱の場合、介護職員の出勤停止を要請しているが、人員基準を下げたところで、元の基準でもそもそも人材不足により業務が回っていないのに、これでは本当に回らない。

(8) ヘルパーの中には「自分が新型コロナウイルスを媒介したらどうしよう」と思い、長期の休暇を申請し、利用者の家族が介護のために仕事を休む事態になった例がある。政府からの適切な情報提供がないと、現場がパニックを起こす。

(9) 新型コロナウイルスの影響で、各地で喀痰吸引等第三号研修が中止されている。感染が拡大し、収束の目途が立たないなか、この状態が長期化すると、元々の人材不足に加え、研修ができないために現場で働けず、在宅介護・看護の崩壊が一気に来てしまう。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第四十五条第二項の規定に基づく特定都道府県知事(同法第三十八条第一項に規定する特定都道府県知事をいう。)による施設の使用の制限等の要請に当たっては、同法第五条に規定されているとおり、「その制限は当該新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものでなければならない」ものと考えている。

二について

御指摘の「社会的弱者」に対する支援については、新型インフルエンザ等対策特別措置法第六条の規定に基づき定められた「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(平成二十五年六月七日閣議決定)において、「国は、市町村に対し、地域感染期における高齢者、障害者等の要援護者への生活支援(見回り、介護、訪問診療、食事の提供等)、搬送、死亡時の対応等について、都道府県と連携し要援護者の把握とともにその具体的手続きを決めておくよう要請する」こととしている。同計画を踏まえ、政府としては、「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」(平成二十五年六月二十六日新型インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議決定)を作成し、市町村に対して、要援護者の把握、要援護者への支援内容等の検討を要請している。今後も必要に応じて、同ガイドラインの周知徹底を図ってまいりたい。

三の(1)及び(2)について

令和二年二月十七日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が取りまとめた「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」を踏まえ、社会福祉施設等における感染が疑われる者の発熱の目安を三十七・五度としている。ただし、発熱の判断をする際には、平熱に個人差があることについて留意することが必要であると考えており、「訪問系サービスにおける新型コロナウイルス感染症への対応について」(令和二年三月十九日付け厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課事務連絡)により、御指摘の「平熱が高い脳性麻痺患者」及び「体調管理が適切にできない」知的障害者を含む、平熱が高い障害者等の対応については、主治医と相談するとともに、判断に迷う場合は帰国者・接触者相談センターに相談の上、対応するよう周知しているところである。

三の(3)から(5)までについて

厚生労働省においては、障害者施設等について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、都道府県、指定都市及び中核市(以下「都道府県等」という。)が、障害者施設等に配布するために、御指摘の「消毒薬」、「使い捨てガウン」、「使い捨て手袋」等(以下「消毒薬等」という。)を一括して購入等する場合に必要な費用の補助を行っており、また、介護施設等についても、都道府県が介護施設等へ配布するために消毒薬等を一括して購入する場合に必要な費用の補助を行っている。なお、消毒薬等の安定的な供給のため、厚生労働省においては、都道府県等に対して、「新型コロナウイルスに関連した感染症の発生に伴うマスク・消毒用アルコール等の高齢者施設等への供給について」(令和二年二月二十一日付け厚生労働省医政局経済課、老健局総務課認知症施策推進室、老健局高齢者支援課、老健局振興課及び老健局老人保健課事務連絡)を発出し、備蓄している消毒薬等について、管内の訪問看護事業所を含む高齢者施設等への放出を検討するよう依頼しているところである。また、障害者施設等や介護施設等におけるマスクの不足の解消を図るため、再利用可能な布製マスクを一括して購入し、当該施設等に配布しているところである。

さらに、「新型コロナウイルスに関連した感染症の発生に伴う手指消毒用エタノールの優先供給について」(令和二年三月十三日付け厚生労働省医政局経済課、医薬・生活衛生局総務課、医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課、子ども家庭局総務課少子化総合対策室、子ども家庭局保育課、子ども家庭局家庭福祉課、子ども家庭局子育て支援課、子ども家庭局母子保健課、社会・援護局保護課、社会・援護局福祉基盤課、社会・援護局障害保健福祉部企画課、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、老健局総務課認知症施策推進室、老健局高齢者支援課、老健局振興課、老健局老人保健課、文部科学省初等中等教育局幼児教育課及び初等中等教育局健康教育・食育課事務連絡)により、都道府県、保健所設置市及び特別区は、厚生労働省に対して手指消毒用エタノールの供給の要請を行うことができることとしており、日常的に人工呼吸器や喀痰吸引、経管栄養等の医療的ケアを必要とする者に対し、手指消毒用エタノールが確保されるよう取り組んでまいりたい。

三の(6)及び(7)について

新型コロナウイルス感染症の影響により社会福祉施設等において職員の確保が困難である場合には、「社会福祉施設等における職員の確保について」(令和二年二月十七日付け厚生労働省子ども家庭局総務課少子化総合対策室、子ども家庭局保育課、子ども家庭局家庭福祉課、子ども家庭局子育て支援課、子ども家庭局母子保健課、社会・援護局保護課、社会・援護局福祉基盤課、社会・援護局障害保健福祉部企画課、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、老健局総務課認知症施策推進室、老健局高齢者支援課、老健局振興課及び老健局老人保健課事務連絡)により、法人間の連携等による他施設からの職員の応援が確保されるよう協力を依頼しているほか、「新型コロナウイルス感染症に係る障害福祉サービス等事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第三報)」(令和二年三月十日付け厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課事務連絡)や「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」(令和二年二月十七日付け厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室、老健局高齢者支援課、老健局振興課及び老健局老人保健課事務連絡)等により、障害福祉サービス等事業所及び介護サービス事業所については、障害福祉サービス等報酬や介護報酬、人員、施設・設備及び運営基準等について柔軟な取扱いを可能としている。また、職員が不足する事業所等に対し、都道府県が介護職員等の応援派遣を調整する場合に必要な費用の補助を行っている。

三の(8)について

居宅を訪問してサービスを提供する職員については、「社会福祉施設等(入所施設・居住系サービスを除く。)における感染拡大防止のための留意点について」(令和二年二月二十四日付け厚生労働省健康局結核感染症課、子ども家庭局家庭福祉課、社会・援護局福祉基盤課、社会・援護局障害保健福祉部企画課、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、老健局総務課認知症施策推進室、老健局高齢者支援課、老健局振興課及び老健局老人保健課事務連絡)において、出勤前に各自で体温を計測し、発熱が認められる場合には出勤しないことや、サービスの提供に当たってはその前後に手洗いやうがい、マスクの着用、エプロンの着用等感染機会を減らすための工夫を行うこと等について周知しているほか、「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について」(令和二年三月六日付け厚生労働省健康局結核感染症課、子ども家庭局家庭福祉課、子ども家庭局母子保健課、社会・援護局保護課、社会・援護局障害保健福祉部企画課、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、老健局総務課認知症施策推進室、老健局高齢者支援課、老健局振興課及び老健局老人保健課事務連絡)において、新型コロナウイルスの感染が疑われる者に対してサービスを提供する場合における留意点等を示しているところであり、サービスを提供する者に対する情報提供に努めているところである。

三の(9)について

御指摘の「喀痰吸引等第三号研修」とは、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和六十二年厚生省令第四十九号)附則第十三条第一号ハに規定する第三号研修を指すものと考えるが、当該研修については、必要な受講機会が確保されるよう、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の予防の観点から、研修の実施に当たって留意すべき事項を整理し、その周知を図る等、必要な対応を検討してまいりたい。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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