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安全保障会議等に関する質問主意書
衆議院 第104回 第25号お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1
質問本文
衆議院議長 坂田道太 殿
安全保障会議等に関する質問主意書
安全保障会議設置法案(以下「法案」と言う。)に関連して、次のとおり質問する。
一 五月八日の内閣委員会において私が指摘した、昭和三十五年当時、国防会議事務局内に設置されていた「心理戦研究会」について、次の事項を明らかにされたい。
(1) 設置の目的及び根拠
(2) 設置及び解散年月日
(3) 構成員の氏名及び役職名
(4) 「心理戦機構に関する研究」以外に報告書を作成していれば、その名称
(5) 主な活動内容
二 五月八日の質疑で私が指摘したように、昭和三十六年七月十八日の国防会議及び閣議で決定された「第二次防衛力整備計画について」には、次のような秘密の了解事項が付されていたことが明らかになつている。
「国民の防衛意識の高揚、基地対策、関係諸法令の整備、冷戦対策の推進、防衛産業の育成等に関する施策に努め、必要物資の備蓄、道路の整備、その他運輸、通信、建設、教育、科学技術関係の諸計画に国防上の配慮を加えるとともに全国的規模における民間協力組織について検討を行うものとする」
これについて
(1) この了解事項の閣議での扱いは、「閣議決定」「閣議了解」「閣議報告」のうちのどれか。国防会議での扱いはどうか。
(2) 昭和三十五年から昭和四十九年の間に行われた閣議決定のうち、不公表とされている閣議決定の各年毎の件数はいくつあるか。
三 国防会議事務局によれば、今回の「法案」に関連して、同事務局の三井参事官らが昨年、調査のため米国を訪問したという。このことについて、次のことを明らかにされたい。
(1) 訪問の目的及び成果
(2) 訪米団の人数及び構成
(3) 出発及び帰国年月日
(4) 米国での訪問先
(5) 今回の「法案」に関連して、米国以外にも訪問した国があれば、その国名
四 政府のハイジャック等非人道的暴力防止対策本部が行つた次の四つの決定について、それぞれの全文及びその閣議決定等の年月日を明らかにされたい。
(1) 「ハイジャック等防止対策について」(昭和五十二年十一月八日決定)
(2) 「ハイジャック等に対する対処方針」(昭和五十三年八月二十五日決定)
(3) 六月十四日決定)
(4) 「ハイジャック等非人道的暴力防止対策について」(昭和五十六年九月二十六日決定)
五 ハイジャック等非人道的暴力防止対策本部の本部会議、幹事会、関係省庁会議の、それぞれの構成員を明らかにされたい。
六 内閣官房の説明によれば、ハイジャック対処に関しては既にマニュアルが存在していると言うが、それについて次のことを明らかにされたい。
(1) マニュアルは何種類作成されているのか。
(2) それぞれの名称
(3) それぞれの内容
(4) ハイジャック対処以外で、緊急事態対処のマニュアルが作成されているものとしては如何なるものがあるか。
七 今回、内閣官房の内閣審議室を内政調整室、外政調整室、安全保障室に再編するのに対応して、総理大臣官房審議室も同じく、内政調整室、外政調整室、安全保障室に分割する計画があると承知しているが、具体的にはどのようなことを考えているのか。
八 塩田政府委員は、「従前の国防会議で取り扱つたことはそのまま安保会議で取り扱うようになります」(四月二十二日、衆議院内閣委員会)と述べているが、このことは、次のものもそのまま安全保障会議に引きつがれることを意味するのか。
(1)昭和四十七年十月九日閣議決定「文民統制強化のための措置について」の第一項
(2)昭和五十一年十一月五日閣議決定「防衛力の整備内容のうち主要な事項の取扱いについて」
九 昭和五十一年十一月五日閣議決定「防衛力の整備内容のうち主要な事項の取扱いについて」で指定されたもの以外に、これまで国防会議又は閣議によつて、防衛庁設置法第六十二条第二項第五号の「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」に該当する事項として指定されているものには何があるか。また、それ以外で、慣例的にこの「国防に関する重要事項」として扱われ、あるいは扱われることになつているものには、何があるか。
十 今日までに、防衛庁設置法第六十二条第三項に基づいて、国防会議が内閣総理大臣に対して意見を述べた例はあるか。
十一 後藤田官房長官は、関東大震災級の大災害に際して、「災害対策本部で、それじや自衛隊をひとつ治安出動で出してもらおうかとか、あるいはまた警察の緊急非常宣言を発せさせるかということになると、それができないわけなんですよ。したがつて、そういつた事態の場合には、今度設けようとしておる安全保障会議にかけまして、そしてそこで一応の基本の方針を決める」(五月八日、衆議院内閣委員会)と述べている。ところが塩田政府委員によれば、「治安出動を要するような状態……であれば第一項の私どもが言いますところの国防事態ということになろう」(四月二十四日、衆議院内閣委員会)とされており、この両者から考えると政府は、大災害を、重大緊急事態ではなく、国防事態として扱つていこうとしているように思われる。
そこで問う。
(1) 大災害時でも、治安出動が必要とされれば、それはすべて「法案」第二条第一項の「国防事態」という扱いになるのか。
(2) 重大緊急事態の段階で、自衛隊が治安出動することはあり得ないのか。
十二 重大緊急事態対処の一環として、自衛隊が、自衛隊法第八十二条に基づく海上警備行動を行うことはあり得ないか。あり得るとすれば、それはどのような場合に行われるのか。
十三 一九七〇年の赤軍派による「よど」号ハイジャック事件の際は、自衛隊の戦闘機が「災害派遣」を名目に出動しているが、あのような事態は、重大緊急事態にはあたらないのか。
十四 内閣法第六条は、「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する」として、内閣総理大臣が各省庁を指揮監督するにあたつては、「閣議にかけて決定した方針」に基づかねばならないことを明らかにしている。これは、総理大臣が、閣議決定を経ることなく、たとえば安全保障会議の決定のみに基づいて各省庁を指揮監督することを禁止した規定であり、中曽根首相もこのことを正しく理解されて、安全保障会議の性格について、「行政の最高機関は閣議でございまして、この閣議に対しまして諮問に応じてその意見を表明していただく」ものだと述べておられる(三月二十五日、衆議院本会議)。西廣政府委員が「各省に行政事務がいろいろ分配されておるわけでございますが、その分配されておる事務の中で、ある種のものについて総理が重要事項だということで取り上げられて、これを諮問機関、たとえば国防会議なり今度できますとする安全保障会議なりに諮問をされたということになりますと、その所掌事務に関しては内閣に一応吸い上げた形になりますので、会議に諮問され答申されたことを受けて決定される段階では、それをもう一回行政に移す段階では閣議決定が必要であろうというふうに考えております」(四月二十二日、衆議院内閣委員会)と答弁しているのも、このことを確認したものと思われる。
ところが後藤田官房長官は、安全保障会議で方針を決定した場合でも、「それほどの大方針といつたようなものでない場合には閣議には報告しない場合もあり得る」(五月八日、衆議院内閣委員会での私に対する答弁)と、安全保障会議で決定した方針が閣議を経ることなく各省庁で実施されることもあり得ることを明言しており、また塩田政府委員も、「事態によつては閣議にかけないで、この安全保障会議の答申を受けて総理が直ちに各省に指示するということによつて、各省が動くという案件もあろうかと存じます」(四月二十二日、衆議院内閣委員会)と、中曽根首相や西廣政府委員とは異なつた答弁を行つている。
そこで、この問題についての、政府としての統一見解を求めたい。
十五 後藤田官房長官は、「従来から国防会議は、これで決定をすれば直ちに閣議に上げて、閣議でそれを確認をして決定をしていくという仕組みになつております。したがつて、その点は国防事案については変わりはございません。」(四月二十二日、衆議院内閣委員会)と述べているが、これは、「法案」第二条第一項第五号の「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」についても、安全保障会議で決定したことはすべて閣議に諮るという意味か。
十六 「日米防衛協力のための指針」に言う、極東有事の際に「日本が米軍に対しておこなう便宜供与」に関して、それが「法案」第二条第一項第五号の「国防に関する重要事項」であると判定されれば、安全保障会議の「答申が出る、答申が出れば、これが政府の方針だ、各省それに従つて進めろ、こういうことになるわけですか」との質問に対して塩田政府委員は「一般論として申せば御指摘のとおりだと思います」(四月二十二日、衆議院内閣委員会)と答弁している。政府はこのような場合は閣議の関与は必要ないと考えているのか。
十七 安全保障会議で超法規的措置を決めることもあり得るのではないか、との質問に対して、後藤田官房長官は、「超法規的なような事態もあり得るのではないかと言われれば、それは先例がございますからそういう場合もあり得る、こう答えざるを得ないと思います」(四月二十二日、衆議院内閣委員会)とした上で、その場合には「国会に報告すべき筋合いのものであろう」(同委員会)と答えているが、安全保障会議で超法規的措置を決めた場合に、閣議には諮らないのか。
十八 塩田政府委員は、安全保障室で作成されるマニュアルが「閣議に報告されるということにはならない」(四月二十二日、衆議院内閣委員会)とした上で、内閣官房長官及び総理大臣には報告される可能性があると述べている(同委員会)が、
(1) 内閣総理大臣及び内閣官房長官以外の安全保障会議の議員は、マニュアルを閲覧できるか。
(2) 安全保障会議の議員以外の国務大臣はマニュアルを閲覧できるか。
(3) 国務大臣以外の国会議員はマニュアルを閲覧できるか。
十九 政府は今回の「法案」審議の中で、自衛隊の治安出動に関して、「間接侵略につきましては、現行の国防会議においても、国防に関する重要事項として……総理大臣が必要と認める場合には審議の対象とされております」(三月二十五日、衆議院本会議)、「治安出動なんというものは……やはりこの安全保障会議にかけて、それらを十分審議をしてやらなければならない、こういうことを考えておる」(二月十四日、参議院予算委員会)として、治安出動に関しては従来から首相が必要と考えた場合には国防会議で審議されることになつており、また安全保障会議でも同様、審議されることになる旨述べている。
しかし、従来からの国会答弁を見ると、たとえば、「(防衛庁設置法第六十二条第二項第五号の)その他国防に関する重要なる事項というふうに治安出動の場合は考えていない」(昭和四十二年七月四日、衆議院内閣委員会、増田国務大臣答弁)、「(治安出動は)国防会議にはかける必要はない」(昭和四十四年六月二十四日、衆議院内閣委員会、有田国務大臣答弁)と、治安出動は国防会議にはかけないことが明言されてきた経緯がある。
そこで問う。
(1) 従来、国防会議には付議しないこととしていた治安出動を、付議することとした、政府としての意志の変更は、いつ、どのような形式で行われたのか。
(2) これについての国会での答弁の変更は、いつ行われたのか。
二十 政府は、「治安出動の可否」(二月十四日、参議院予算委員会)、「警察法第七十一条に基づく緊急事態の布告」(四月二十二日、衆議院内閣委員会)を総理大臣が決定するにあたつては、安全保障会議に諮るべきであるとしている。それでは、次の事項の決定については、安全保障会議に諮ることはあるか。
(1) 内閣総理大臣の防衛招集の承認(自衛隊法第七十条)
(2) 防衛庁長官の防衛招集命令(同)
(3) 内閣総理大臣が行う自衛隊の撤収の命令(同第七十六条第三項)
(4) 内閣総理大臣の防衛出動待機命令の承認(同第七十七条)
(5) 防衛庁長官の防衛出動待機命令(同)
(6) 内閣総理大臣の自衛隊の撤収の命令(同第七十八条第三項)
(7) 内閣総理大臣の治安出動待機命令の承認(同第七十九条)
(8) 防衛庁長官の治安出動待機命令(同)
(9) 内閣総理大臣の海上保安庁の統制(同第八十条)
(10) 内閣総理大臣の統制の解除(同第八十条第三項)
(11) 内閣総理大臣が自衛隊法第八十一条第二項に基づいて行う治安出動の命令
(12) 内閣総理大臣の撤収の命令(同第八十一条第四項)
(13) 内閣総理大臣の海上警備行動の承認(同第八十二条)
(14) 防衛庁長官の海上警備行動の命令(同)
(15) 内閣総理大臣が自衛隊法第百三条第二項に基づいて行う告示
(16) 「日米防衛協力のための指針」に言う「日本に対する武力攻撃がなされるおそれのある場合」に行われる「調整機関の開設」
右質問する。
政府答弁書
一について
国防会議事務局内に、御指摘のような研究会が設置された事実はない。
二について
(1) 御指摘のようなことは、国防会議としての意思を決定したものではなく、閣議にも付議されていない。
(2) 昭和三十五年から四十九年までの間に閣議に付議された案件のうち、各省庁からの申出に基づき、その公表が国の安全、利益に損害を与えるおそれがあるもの等として、不公表とされているものの件数は、次表に掲げるとおりである。
三について
(1) 米国の国家安全保障会議等の調査を目的とし、米側より説明を聴取した。
(2) 国防会議事務局参事官一名、同事務局事務官一名、計二名である。
(3) 昭和六十年十二月三日に出発し、同年同月十一日に帰国した。
(4) 国家安全保障会議事務局、国務省、国防省等である。
(5) 米国以外に訪問した国はない。
四について
別紙のとおりである。
五について
本部会議の構成員は、次のとおりである。
(本部長)
内閣官房長官
法務大臣
外務大臣
大蔵大臣
運輸大臣
国家公安委員会委員長
内閣法制局長官
内閣官房副長官(政務)
内閣官房副長官(事務)
警察庁長官
海上保安庁長官
幹事会の構成員は、次のとおりである。
内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長
内閣官房内閣広報室長
内閣官房内閣調査室長
内閣法制局第一部長
法務省刑事局長
法務省入国管理局長
外務大臣官房領事移住部長
外務省国際連合局長
大蔵省関税局長
運輸省航空局長
警察庁刑事局長
警察庁警備局長
海上保安庁次長
関係省庁会議の構成員は、次のとおりである。
内閣審議官(内閣官房内閣審議室)
内閣審議官(内閣官房内閣広報室)
内閣調査官(内閣官房内閣調査室)
法務省刑事局公安課長
外務大臣官房領事移住部領事第一課長
運輸省航空局首席安全監察官
警察庁警備局警備課長
六について
ハイジャック事件については、ダッカ事件の教訓を活用して対処することとしており、「マニュアル」は作成していない。
七について
今回の内閣官房の再編成に伴い、内閣総理大臣官房審議室については、これを廃止するとともに、内閣総理大臣官房に御指摘のような三室を設置する方針であり、これら三室の所掌事務等について、現在、所要の検討を行つているところである。
八について
必要に応じ所要の措置を講ずるべく、現在検討中である。
九について
「防衛力の整備内容のうち主要な事項の取扱いについて」(昭和五十一年十一月五日国防会議・閣議決定)により指定された事項以外に、防衛庁設置法第六十二条第二項第五号に該当する事項として指定され、又は、慣例的に扱われるものはない。
十について
御指摘の例はない。
十一及び十二について
自衛隊の治安出動及び海上における警備行動について安全保障会議に諮る場合は、安全保障会議設置法第二条第一項第五号の規定による。
十三について
御指摘の赤軍派による「よど」号ハイジャック事件については、重大緊急事態には当たらないものと考える。
十四から十七までについて
安全保障会議の答申の取扱いについて、閣議を経るべきものについては、これを閣議に付議する。
なお、重大緊急事態への対処措置は、憲法及び法律の枠内で行われることとなる。
十八について
いわゆるマニュアルについては、安全保障会議設置後、検討することとなる。
十九について
治安出動の可否については、国防会議に諮るべきことが明文で規定されているわけではないが、防衛庁設置法第六十二条第二項第五号「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」に当たる場合は会議に諮られることとなる。
二十について
御指摘の事項の決定について安全保障会議に諮るか否かは、具体的状況によつて異なるので、一概に述べることは困難である。
右答弁する。
別紙
ハイジャック等防止対策について
昭和52年11月8日
ハイジャック等非人道的
暴力防止対策本部決定
政府は、今次日本赤軍による日航機ハイジャック事件の終息後直ちに、関係閣僚を主体とする「ハイジャック等非人道的暴力防止対策本部」を発足させ、この種の非人道的暴力に対して断固たる決意のもとに、内外にわたる世論の動向を踏まえ、その防止対策に万全を期すべく取り組んできたところである。
防止対策の基本は、第一に事件をひき起こした日本赤軍の根源を絶つこと、第二に国際協力体制を強化すること、第三に国内諸対策を徹底することである。このような基本方針のもとに、10月13日に第1次の対策について決定し、10月20日に緊急を要する法律改正事項について決定したところであるが、今回さらに下記アンダーラインの措置を加え、関係省庁は、相互に緊密に連携協力し、速やかにこれら諸対策の推進を図るものとする。
なお、対策本部は、以下の対策の実施状況を常時点検するとともに必要な措置を講ずるため今後とも常設的なものとして運営することとする。
第一 日本赤軍対策
1.日本赤軍に対する情報収集および取締りを強化する。このため早急に所要の専従組織を発足させる。
2.国際手配に関し、ICPO(国際刑事警察機構)を積極的に活用する。
ICPOの逮捕手配の活用に関し、相互主義の立場から必要な法的整備の方策について検討する。
第二 国際協力の推進
1.ハイジャック等防止関連3条約(東京条約、へ一グ条約、モントリオール条約)にすべての国が加盟するよう外交ルートを含めあらゆる機会を捉えて、積極的に努力する。
とくに、これらの条約の未加盟国との新規航空協定の締結または改訂等の交渉に際しては、これらの条約への加盟を強く働きかけるものとする。
2.条約の作成を含め、国連等におけるハイジャック・人質等の防止対策の推進に積極的に参加貢献することとする。
3.関係各国の当局との一層緊密な連絡関係の確立により海外の関連情報収集を強化する。その一環として、各国関係者の交流を促進する等の措置を講ずる。
4.IATA(国際航空運送協会)において、加盟各社がハイジャック防止のための対策を遵守するとともに、対策の一層の強化を図るよう強力に働きかける。
5.わが国航空機の寄港地における安全検査の徹底について、実情に応じ、必要な協力が得られるよう関係国当局に要請する。(現に寄港している空港の安全検査体制等ハイジャック防止対策について十分な措置がとられない場合には、寄港中止、相手国企業の乗入れ再検討等の対応措置を考慮する。)
6.日本赤軍の手配資料、偽造旅券判別の手引きを外国官憲等に急送して協力を依頼する。
第三 安全検査等の徹底
1.ボディ・チェック及び手荷物検査の強化並びに客室内持込品の制限の徹底を図る。
2.わが国航空機が寄港している外国空港において、給油等現地作業に対する日本航空等わが国航空会社(以下「日航等」という。)職員による監視体制を強化するとともに、実情に応じ日航等の手によるダブル・チェックの実現を図る。
3.警察、出入国管理、税関、空港管理者等関係機関による空港施設内外の監視体制を強化する。
4.操縦室を客室から完全分離するため、さしあたり施錠の励行を図る。
5.検査用機器及び地上作業監視用機器の開発・改善を含む有効な検査監視方法について早急に具体的研究を開始するとともに緊急事態に対処するための機器の開発について検討する。
6.運輸省においては、日航等のハイジャック防止体制を査察するほか関連の防止対策を強力に推進するため、「ハイジャック防止対策室」を設置する。(11月2日設置済み)
第四 出入国規制等
1.旅券法を改正し、旅券の発給制限事由の範囲の拡大を図るとともに旅券法を一層厳正に運用する。
2.新様式による旅券の発給について検討する。
3.在留邦人の在外公館への登録の励行のため必要な措置を講ずる。
4.出入国管理令を活用してわが国の公安を害するおそれのある外国人の入国を阻止する。
第五 国民に対する理解と協力の要請
ハイジャック等防止対策について、国民の理解と協力を得るための広報を強化する。
第六 在外公館等の警備の強化等
1.在外公館及び日航を含む海外進出企業の警備の強化を図る。
2.在外公館の情報収集活動を強化し、本省及び現地日本人会等との連絡の一層の緊密化を図る。
3.外交官等保護条約へのわが国の加入につき検討する。
第七 法律改正
1.今臨時国会において航空機強取等防止対策を強化するため次の3法律の一部改正を図る(関係法案を10月28日国会提出済み。)。
�@ 航空機の強取等の処罰に関する法律
�A 航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律
�B 旅券法
2.今後次の事項について検討する。
�@ 刑事訴訟の迅速化を図るための刑事訴訟法の一部改正
�A 航空機強取者の人質強要行為に関し死刑をもつて臨む場合を設けること。
�B 航空機以外の場における人質強要罪の新設
(注)1.航空保安官制度については、実際の運用上危険を伴う可能性があるが、その予防効果も見逃し難いので、なお検討することとする。
2.安全検査の徹底については、今後の実施状況をみて必要に応じ法的措置等の対策を講ずることとする。
ハイジャック等に対する対処方針
昭和53年8月25日
ハイジャック等非人道的
暴力防止対策本部決定
1.ハイジャック等の国際テロリズムに対しては、国際協力体制を強化することが特に重要であるが、先般、ドイツ連邦共和国ボンで開催された7か国首脳会議において発せられた「航空機ハイジャックに関する声明」は、そのような観点に立ち、わが国を含む7か国政府が国際的規模のハイジャック犯罪の処理に関し、犯人の引渡し等を拒絶する国に対し、共同して具体的な対抗措置をとる旨の決意を表明したものである。政府としては、関係各国政府と協力して、速やかにこの声明に盛られた措置の実施手続等について準備を整えるとともに、他の諸国に対してもこの措置の実施に参加するよう強く要請して行くこととする。
2.ハイジャック等のテロリズムに対しては、飽くまでも犯人につけいるすきを与えないよう防止対策に万全を期することが第一であり、政府としては、このための努力を引き続き強力に推進する。しかしながら、不幸にして万一事件が発生した場合には、政府としては、あらゆる可能な方策を講じて、人質の安全救出のため、最大限の努力を払うことはもとよりであるが、同時に、上記のような国際協力体制強化の情勢をも踏まえ、法秩序の維持のため、犯人の不法な要求に対しては断固たる態度をもつて臨む決意である。
3.以上の方針に対し、国民各位の理解と協力を要請する。
ハイジャック等非人道的暴力事件処理対策について
昭和54年6月14日
ハイジャック等非人道的
暴力防止対策本部幹事会決定
1.事件対策本部の設置
ハイジャック等人質を盾とした非人道的暴力事件が発生した時は、これに対処するため、速やかに内閣に事件対策本部(以下「本部」という。)を設置する。
2.本部の構成員
本部の構成員は、次のとおりとする。ただし、本部長は、必要があると認めるときは、構成員を追加することができる。
本部長
内閣官房長官
本部員
法 務 大 臣
外 務 大 臣
運 輸 大 臣
国家公安委員長
内閣官房副長官
(政務)
〃
(事務)
警 察 庁 長 官
3.本部の任務
ハイジャック等に対する対処方針(昭和53年8月25日ハイジャック等非人道的暴力防止対策本部決定)に立脚し、内閣総理大臣の命を受け、当該事件に係る基本的事項について処理方針を協議決定する。
4.幹事会の設置
本部に幹事会を置く。
5.幹事会の構成員
幹事会の構成員は、次のとおりとする。ただし、幹事会長は、必要があると認めるときは、幹事を追加することができる。
幹事会長
内閣官房副長官(事務)
幹事
内閣官房内閣審議室長
内閣官房内閣広報室長
内閣官房内閣調査室長
法務省刑事局長
外務大臣官房領事移住部長
運輸省航空局長
警察庁警備局長
6.幹事会の任務
幹事会は、当該事件に係る基本的事項についての処理方針等を協議検討する。
7.事務局の設置
(1) 本部の事務を処理するため、事務局を設ける。
(2) 事務局員は、関係省庁の職員をもつてあてる。
8.事件に関する広報
(1) 広報にあたつては、事件処理上支障が生じないよう発表の内容、時期、方法等につき十分配慮するものとする。
(2) 事件処理に係る基本的事項については、本部において行うものとし、その他の事項については、本部との緊密な連携の下に、それぞれの関係省庁において行う。
ハイジャック等非人道的暴力防止対策について
昭和56年9月26日
ハイジャック等非人道的
暴力防止対策本部決定
政府は、日本赤軍によるハイジャックをはじめとする非人道的暴力行為の防止に万全を期するため、関係閣僚を主体とするハイジャック等非人道的暴力防止対策本部を発足させ、「ハイジャック等防止対策について(昭和52年11月8日本対策本部決定)」を定めて諸対策を推進するとともに、「航空機のハイジャックに関する声明(昭和53年7月於ボン・サミット)」が出されたのを受けて「ハイジャック等に対する対処方針(昭和53年8月25日本対策本部決定)」を策定し、更に「ハイジャック等非人道的暴力事件処理対策について(昭和54年6月14日本対策本部幹事会決定)」を定めて非人道的暴力事件に備えてきたところである。その後においても、「外交官人質問題に関する声明及びハイジャックに関する声明(昭和55年7月於ヴェニス・サミット)」及び「テロリズムに関する声明(昭和56年7月於オタワ・サミット)」が出されるなど、非人道的暴力行為の防止に関し国際協力体制強化の方向が一段と強く打ち出されているが、関係省庁は、今後このような情勢の推移を踏まえ、相互に緊密に連携協力し下記対策の一層の推進を図るものとする。
なお、本対策本部は、これらの対策の実施状況を常時点検するとともに、必要な対策について更に検討を行うものとする。
記
第1 国際協力体制の強化による防止対策の推進
1 国家代表等に対する犯罪防止条約及び人質行為防止条約の早期締結を図る。そのための関連国内法の整備等について検討する。
2 ハイジャック等防止関連3条約(東京条約、ヘーグ条約、モントリオール条約)にすべての国が加盟するよう外交ルートを含めあらゆる機会を捉えて積極的に努力する。
特に、これら3条約の未加盟国との新規航空協定の締結又は改訂等の交渉に際しては、これらの条約への加盟を強く働きかけるものとする。
また、1の両条約について、できるだけ多数の国がその締約国となるよう外交的努力をする。
3 航空機のハイジャックに関するボン声明、外交官人質問題に関するヴェニス声明、テロリズムに関するオタワ声明等の実施などを含む国際的なハイジャック・在外公館占拠・人質行為等の防止対策の推進に積極的に参加貢献することとする。
4 IATA(国際航空運送協会)において、加盟各社がハイジャック防止のための対策を遵守するとともに、対策の一層の強化を図るよう強力に働きかける。
5 我が国航空機の寄港地における保安検査の徹底について、実情に応じ、必要な協力が得られるよう関係国当局に要請する。(現に寄港している空港の保安検査体制等ハイジャック防止対策について十分な措置が採られない場合には、寄港中止、相手国企業の乗入れ再検討等の対応措置を考慮する。)
第2 日本赤軍等に対する情報収集活動の強化等
1 発足した専従組織の活動等により、日本赤軍等に対する情報収集及び取締りを強化する。
2 関係各国当局との一層緊密な連絡関係の確立等により海外の関連情報収集を強化する。その一環として、各国関係者との交流の一層の促進、在外公館の情報収集活動の積極化等の措置を講ずる。
3 国際手配に関し、ICPO(国際刑事警察機構)を積極的に活用する。
ICPOの逮捕手配の活用に関し、相互主義の立場から必要な法的整備の方策について検討する。
第3 検査、監視、警備活動の強化等
1 乗客に対するボディ・チェック及び手荷物検査の強化並びに客室内持込品の制限の徹底を図る。
また、機内の保安体制の強化を図る。
2 我が国航空機が寄港している外国空港において、給油等現地作業に対する日本航空等我が国航空会社(以下「日航等」という。)職員による監視体制を強化するとともに、実情に応じ日航等の手によるダブル・チェックの実現を図る。
3 警察、出入国管理、税関、空港管理者等関係機関による空港施設内外の監視体制を強化する。
4 在外公館及び日航を含む海外進出企業の警備の強化を図る。
5 検査用機器及び地上作業監視用機器の開発・改善を含む有効な検査監視方法等についての具体的研究を推進する。
また、保安検査の徹底を図るため、今後必要に応じ法的措置等の対策について検討することとする。
第4 出入国規制の強化
1 在留邦人の在外公館への登録の励行を図るため引き続き必要な措置を講ずる。
2 我が国の公安を害するおそれのある外国人の入国を阻止するため、査証制度、出入国管理制度等の活用を図る。
第5 国民に対する理解と協力の要請
ハイジャック等防止対策について、国民の理解と協力を得るための広報を強化する。
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