ことばで探す › 衆議院 第142回
入国管理・難民問題に関する質問主意書
衆議院 第142回 第50号承知していない ×1個別の事案 ×2
質問本文
今国会で出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)の一部改正案が審議対象となり、これに関連して、本年四月二四日・二八日の衆議院法務委員会で難民・入管問題についての答弁がなされた(それぞれ第百四十二回国会衆議院法務委員会議録(以下「会議録」という。)第十号・第十一号参照)。
この中では、法務大臣から難民認定審査中案件の迅速処理等の注目すべき答弁がなされたものの、他方で難民認定や入管手続を巡っては未だにさまざまな問題が未解決になっていることが明らかになった。
そこで、現在指摘されている問題点を挙げ、これに対する解決の目処や取り組み状況について質問する。
一 上陸時の難民認定申請について
1 日本に上陸時に難民としての保護あるいは庇護希望した者の取り扱い
(一) パスポートを所持していない者あるいは偽造・変造パスポートを所持して来日した者が、上陸時に難民としての保護ないし庇護を求めた場合の対応はどうなっているか。上陸拒否されるのか、仮上陸させるのか、あるいは上陸許可するのか、明らかにされたい。また、ここ数年間の、具体的な件数はそれぞれ何件か、明らかにされたい。
(二) 難民認定制度の存在や申請方法、そして六〇日間の申請期間制限について、いかなる教示をしているのか。教示の有無を、また、教示しているならば、その教示担当者、教示方法を、具体的に明らかにされたい。
(三) 上陸拒否された者に対しては、その後どのような取り扱いをするのか、明らかにされたい。また、本人が日本からの退去を望まず、あくまでも庇護を求めたときはどうか、明らかにされたい。
2 上陸時の難民認定申請の具体的受付方法
(一) 上陸時に難民認定申請を希望した者がいた場合、具体的難民認定申請手続はどのように行われるのか、明らかにされたい。また、申請用紙及び申請要項の備え付け場所は何処か、申請希望者がいた場合にはその場で受け付けできるのか否か、通訳体制はどうなっているのか、それぞれ明らかにされたい。
(二) 地方港など難民調査官が常駐していない場所で上陸時に難民認定申請希望があった場合には、最寄りの難民調査官が出張してくるのか、明らかにされたい。また、その到着を待つまでの申請者の法的な地位はどうなるのか、明らかにされたい。
3 上陸防止施設収容中の者の難民認定申請
(一) 上陸防止施設収容中の者から難民認定申請の希望があった場合には、具体的にはどのように対応するのか。右2(一)と同様の点につき明らかにれたい。
(二) 上陸防止施設に収容されている者は、法律上は「上陸」していないから、上陸防止施設収容中の期間は、難民認定申請の申請期間(「上陸の日から」六〇日間以内)に算入されないという理解でよいのか、明らかにされたい。
二 上陸防止施設について
1 現在、上陸防止施設は、全国で四ヶ所ということであるが、成田空港第二旅客ターミナル内、東日本入国管理センター併設(牛久法務総合庁舎内)、関西国際空港旅客ターミナル内、西日本入国管理センター併設の四ヶ所という理解でよいのか、明らかにされたい。
2 関西国際空港旅客ターミナル内、及び西日本入国管理センター併設の二ヶ所の上陸防止施設について、その正式名称を、及び警備業務の委託の有無を、委託していれば具体的な委託先会社名を、それぞれ明らかにされたい。
3 上陸防止施設の受託警備会社は、いかなる方法で選定されているか、明らかにされたい。また、受託業務の具体的範囲を、明らかにされたい。
4 上陸防止施設の処遇運営に関する規則は存在しないとの答弁がなされている(会議録第十号七頁二段目参照)が、
(一) 過去に何らかの規則が存在したことはないのか。また、今後の規則制定の予定はないのか、明らかにされたい。
(二) 受託警備会社の警備業務の適正を担保する方法は何か、明らかにされたい。また、警備会社の警備業務の履行状況をいかなる方法で規制・チェックしているのか、明らかにされたい。
5 上陸防止施設での平均滞在期間を「三日間ぐらいではないか」(会議録第十号七頁一段目参照)との答弁がなされているが、
(一) その統計的根拠を示されたい。
(二) 朝日新聞(東京・五月一九日朝刊)では上陸防止施設に九ヶ月間収容された事例が大きく報道されており、この案件を含め、最近だけで半年以上にも及ぶ長期収容案件が三件あったと聞くが、認識しているか。また、これら三件のそれぞれにつき、異常なまでの長期収容となった理由を具体的に明らかにされたい。
(三) 最近三年間で、上陸防止施設での収容期間が一ヶ月を超えた事例は何件あるのか。また、長期収容となった原因を、それぞれ明らかにされたい。
(四) 上陸防止施設でこれまで最も長期間収容された事例の収容期間と長期収容に至った原因を、明らかにされたい。
三 難民認定手続の迅速化の問題
1 法務大臣より、現在難民認定申請中の「三百三十二名」につき、「ここ数ヶ月の間に、・・・一応のめどをつけるぐらいに・・・対処」するという趣旨の答弁がなされた(会議録第十一号一四頁二段目参照)が、
(一) この「三百三十二名」というのは、日本全国で、現在第一次申請中(不認定後の異議申し出分を除く)の人数という理解で正しいか、明らかにされたい。
(二) 右(一)のとおりだとすると、異議申し出中の者の人数は現在何人か、明らかにされたい。
(三) この「数ヶ月の間にめどをつける」というのは、数ヶ月中に右の三百三十二件の大部分につき難民認定あるいは不認定の処分を行うということを意味するのか。そうでないとすれば具体的にどういう意味か、明らかにされたい。
2 迅速化と関連して、東京入国管理局に専任難民調査官三名、専任事務官二名が集中配置されているとの答弁があった(会議録第十一号一二頁三段目参照)が、
(一) 東京入国管理局には現在難民調査に従事している職員は何人いるか。第一庁舎、第二庁舎の配置の別及び地位(専任難民調査官、兼任難民調査官等)の内訳を明らかにされたい。
(二) 東京入国管理局では、現在、臨時に他部署からの応援要員も得て難民調査に従事させていると聞くが、事実か明らかにされたい。また、これら応援要員は難民認定手続や難民関連法規(国内法・国際法)についてどれほどの経験・知識を有し、教育を受けた者か、明らかにされたい。
3 これまで長期間何らのインタビューもなされないままに置かれていた案件について、四月二四日・二八日の前記答弁以降、次々にインタビューのための呼び出しが突然なされているが、
(一) 単に機械的に供述調書を作成して、次々と不認定処分にするという結果になるのではないか、明らかにされたい。
(二) 申請者に対し、十分な説明・準備・証拠提出の機会を保障する方策をとっているのか、とっているとすれば、その内容を具体的に明らかにされたい。
四 難民認定数の絶対的な少なさの問題
1 認定数の絶対数の少なさに批判が集まっているところ、法務大臣の答弁では「・・・そういうような中で認定できる人は認定するというふうな形でやろうと・・・法務省としての方針を決めました」(会議録第十一号一四頁二段目参照)というが、
(一) これは、難民認定基準を従来よりも緩和して認定数を増加させるという方針を意味しているのか、明らかにされたい。そうでないとすれば、具体的にはどのような方針なのか、明らかにされたい。
(二) 難民認定基準を緩和する場合、従来から懸案事項とされている申請期間制限規定(「六〇日要件」)についても、その解釈適用を緩和するのか、明らかにされたい。
2 六〇日要件について
(一) 六〇日要件の例外規定である「やむを得ない事情」は、あくまでも、「六〇日間」を過ぎてしまったこと自体についてのやむを得ない事情のみが対象とされ、迫害の危険性の大きさは関係がないというのが従来法務大臣が行政訴訟で主張してきた立場であるが、この考え方に変更はないか(会議録第十号七頁四段目、同八頁一〜三段目参照)、明らかにされたい。
(二) これに関連して、国連難民高等弁務官事務所第三十回期結論(conclusion)で「・・・形式的要件を充たさない場合も、その者の難民申請自体を検討の対象から除外する扱いはするべきではない」(会議録第十号八頁二〜三段目参照)というものがあるが、この結論が採択された際に、日本は同委員会のメンバーであったか。あったとすれば、採決に際し、賛否いずれの立場をとったのか及び留保を付したか否かをそれぞれ明らかにされたい。
(三) 右(一)の考え方に従うと、「六〇日間」を徒過したことについてのやむを得ない事情がない限りは、実質的難民該当性(迫害の危険性)がいかに大きくても形式要件のみで不認定処分となってしまう。そうすると難民条約上の「難民」には該当するが、日本では「難民」として認定されない者が発生することになると思われるが、そのような解釈で良いのか明らかにされたい。
(四) 右(三)のように条約「難民」でありながら日本で六〇日要件により不認定になった者について、条約上の不送還(ノン・ルフールマン)の原則(難民条約三三条)は適用されるか、明らかにされたい。
(五) 右(四)の者に対して、難民条約上で締約国に義務づけられた「難民」への便宜供与(第二章〜第五章)は、いかなる方法で履行されるのか、明らかにされたい。
五 難民申請中の者の地位・処遇
1 在宅で、在留資格のない状態で申請した者については、現状では審査期間中も在留資格や生活保障のない状態での長期間の生活を余儀なくされる事例が多い。諸外国では審査期間中の暫定的在留資格の付与などで対応している例があるが、日本では審査中の申請者の生活保障につき今後具体的にいかなる対処をするのか、また、暫定的な在留資格を付与する計画はないのか、明らかにされたい。
2 右1に関連して、在留資格のないミャンマー国籍の難民認定申請者が就労しようとする場合につき、東京入国管理局が電話による問い合わせに対して就労を認める回答をした事例があるが、認識しているか。また、電話ではなく、事前に書面をもって同趣旨を入国管理局が表明することは可能ではないのか、明らかにされたい。
3 アジア教育福祉財団による難民生活援助切り下げに伴い、これに代わる何らかの措置が講じられる予定はあるのか、明らかにされたい。
4 昨年、トルコ国籍クルド人が難民認定申請中であるのにもかかわらず、東京入国管理局に収容された事例があるが、
(一) これは入管が「濫用」事例と認めたから収容したものなのか(会議録第十号九頁三段目参照)、明らかにされたい。
(二) 右(一)に関連して、民族によって濫用者かどうかを判断しているということはないか、明らかにされたい。
(三) 政府委員の答弁で「収容するかどうかはケース・バイ・ケース」とあるのは、在留資格のない難民認定申請者について、「収容を原則としないもの」と確認してよいか、明らかにされたい。また、今後、「かなり濫用している可能性が高いというような状況」にない申請者については、原則として在宅で調査するものと確認してよいか、明らかにされたい。
(四) 収容の前提としての、「かなり濫用している可能性が高いというような状況」の有無は、どの機関・部署が、どのような調査によって判断しているのか、明らかにされたい。
六 難民認定された者の地位・処遇
1 難民認定された者に対し、定住促進センターその他の施設で日本語教育を始めとする自立援助等のプログラムを実施すべきではないか、また、具体的な対応計画はどうなっているか、明らかにされたい。
2 他の欧米諸国等では、認定後の難民に対していかなる処遇を行っているか、明らかにされたい。また、特に自立援助プログラムはどうなっているか、検討・調査したことはあるのか。あるならば、その結果を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1の(一)について
入国審査官は、船舶等に乗っている外国人から庇護を求める申請があった場合において、申請人が難民の地位に関する条約(昭和五十六年条約第二十一号。以下「難民条約」という。)第一条A(2)に規定する理由その他これに準ずる理由により、その生命、身体又は身体の自由を害されるおそれのあった領域から逃れて本邦に入った者であり、かつ、その者を一時的に上陸させることが相当であると思料するときは、一時庇護のための上陸を許可することができる。旅券を所持しない者あるいは偽変造旅券で上陸申請を行った者についても、同様である。
一時庇護のための上陸許可の申請件数は、平成六年から本年までの五年間で八件である。その内訳は、平成八年が一件、平成九年が三件、本年が四件であり、本年に一件が許可されている。なお、一時庇護のための上陸許可制度が設けられた昭和五十七年一月一日から本年五月三十一日までに七十二件の一時庇護のための上陸許可の申請(インドシナからのボート・ピープルによる申請を除く。)があり、うち二十八件が許可されている。
一の1の(二)について
難民認定手続に関する案内書を全国の地方入国管理官署に置いており、個別の要請に応じて入国審査官が外国人にこれを配布し、その内容を教示している。
一の1の(三)について
難民認定申請は、本邦にある外国人であればこれをすることができ、上陸を拒否された者であっても、申請があれば上陸港の入国管理官署で受理している。この場合、難民認定申請があった時点で、当該外国人に対し上陸防止のための措置(上陸防止施設等にとどめること)を執ることになる。その後、難民認定申請が不認定となったときは、当該外国人を本邦から退去させることになるが、事案によっては不認定となる以前の段階で収容することもあり得る。
一の2の(一)について
上陸時に難民認定申請が行われた場合は、上陸港を管轄する地方入国管理局(支局・出張所を含む。以下同じ。)においてこれを受理することとなる。申請用紙及び難民認定手続に関する案内書は、地方入国管理局に配備している。
また、通訳については、各種言語の通訳者の確保に努め、必要に応じて適当な者に依頼し、申請者への質問の際には、可能な限り申請者の母国語による通訳を介することとしている。
一の2の(二)について
難民認定申請の受理に係るお尋ねであると考えるが、上陸時に上陸港で難民認定申請が行われた場合には、当該上陸港を管轄する地方入国管理局においてこれを受理することとなり、難民調査官が当該上陸港に難民認定申請の受理のために出張する必要はない。
一の3の(一)について
一の2の(一)についてで述べたとおりに対応することになる。
一の3の(二)について
上陸防止施設等にとどまる者も、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六十一条の二第二項にいう「上陸」をしたものであると解されるから、当該施設にとどまる期間も難民認定の申請期間に含まれることになる。
二の1について
お尋ねの上陸防止施設としては、新東京国際空港第二旅客ターミナルビル内上陸防止施設(以下「成田空港第二PTB上陸防止施設」という。)、牛久法務総合庁舎内上陸防止施設(以下「牛久上陸防止施設」という。)、関西国際空港旅客ターミナルビル内上陸防止施設(以下「関西空港上陸防止施設」という。)及び茨木法務総合庁舎内上陸防止施設(以下「茨木上陸防止施設」という。)の四施設がある。
二の2について
お尋ねの二施設の正式名称は、二の1についてで述べたとおりである。
関西空港上陸防止施設については、警備業務は株式会社国際人流トライサービスに委託している。茨木上陸防止施設については、警備業務は委託していない。
二の3について
牛久上陸防止施設については、併設している東日本入国管理センターの警備業務と併せて、株式会社国際人流トライサービスに警備業務を委託している。東日本入国管理センターが収容施設であるという特殊性から、逃亡防止を図るため、予算決算及び会計令(昭和二十二年勅令第百六十五号)第九十九条第一号に基づき随意契約をしている。
成田空港第二PTB上陸防止施設については、株式会社アイムに警備及び移送業務を委託しており、同社については指名競争入札を実施して委託したものである。
また、関西空港上陸防止施設についても、警備業務を指名競争入札により株式会社国際人流トライサービスに委託している。
二の4の(一)について
上陸防止施設にとどまる外国人は、収容された者ではなく、本邦から出国するためのいわば飛行機待ち、船待ちの状態にある者であり、かつ、本来、同施設にとどまる期間は短いことが前提となることから、処遇に関する規則は設けておらず、当該施設の適切な管理運営を図ることを目的として個別の指導、指示を行ってきたところであり、今後も同様に対処してまいりたい。
二の4の(二)について
警備業務の適正化を図るため、受託警備会社に対して、同社との契約書において警備員の教育に万全を期すよう定めるとともに、適宜、職員が施設内を巡回し、監督している。
また、履行状況の確認については、職員による巡回のほか、業務日誌を記載させ、必要がある場合には報告を求め、確認を行っている。
二の5の(一)について
平成九年に上陸を許可されていないため上陸防止施設にとどまった者の実人員は、八千百八十四人である。これらの者の同施設にとどまった期間別の内訳は、当日限りとどまった者八百十七人、二日間にわたりとどまった者六千十人、二日を超え一週間以内の期間とどまった者千二百五十四人、一週間を超えてとどまった者百三人である。このように、一週間以内の期間とどまった者が全体の約九十九パーセント(八千八十一人)を占めており、同施設にとどまる平均的な期間は三日間程度である。
二の5の(二)について
過去一年間において、半年を超えて上陸防止施設にとどまった者に係る案件は二件である。
そのうちの一件は、有効な旅券を所持しないで香港を経由してタイから成田空港に到着した外国人が、入管法第十八条の二に規定する一時庇護のための上陸の許可を申請し、同申請が不許可となったにもかかわらず本邦から出国せず、上陸防止施設にとどまっていたが、その後同人が入管法第六条に規定する上陸の申請を行うに至ったので、同申請を受理した当日に入管法第十三条の規定に基づいて仮上陸を許可したものであり、同人はこの間約九か月上陸防止施設にとどまることとなったものである。
他の一件は、イランからカナダに赴こうとした外国人が、マレイシアのクアラルンプール空港において所持する旅券の有効性に疑義があることを理由にカナダへ向かう航空機への搭乗を拒否され、日本航空株式会社がマレイシア当局の指示によりやむなく同社の責任において同人を成田空港まで輸送してきたところ、同空港において在日カナダ大使館職員により右外国人の所持するカナダ旅券が変造旅券であると判断され、同旅券が没収されるに至った事案である。同人は、その後、本邦から出国することなく、上陸防止施設にとどまって、在日カナダ大使館に対してカナダへの移民申請を行い、その結果を待っていたものの、結局、同申請が認められなかったため、東京入国管理局成田空港支局は、同人について入管法第二十四条第一号該当の不法入国容疑で退去強制手続を執り、入管法第三十九条の規定に基づき同人を同支局収容場に収容したが、この間約六か月同人が上陸防止施設にとどまることとなったものである。
二の5の(三)について
上陸防止施設にとどまっていた期間が一か月を超えた事例は、平成七年から平成九年までの三年間で十五件ある。その内訳は、所持する旅券が偽変造旅券であることが発覚し、在日の本国公館から本国への帰国に必要な真正な旅券の発給を受けるのに時間を要したために、一か月を超えて上陸防止施設にとどまった事例が十件(平成七年一件、平成九年九件)、一時庇護のための上陸の許可の申請の審査に時間を要したため又は同申請が不許可となったにもかかわらず出国しなかったため、一か月を超えて上陸防止施設にとどまることとなった事例が四件(平成九年四件)、第三国から我が国に到着した外国人が有効な旅券を所持していないこと等を理由に他の外国から受入れを拒否されたため、やむを得ず一か月を超えて上陸防止施設にとどまることとなった事例が一件(平成九年一件)である。
二の5の(四)について
これまでに最も長期間上陸防止施設にとどまった事例は、二の5の(二)についてで述べた香港を経由してタイから成田空港に到着した外国人の事例であり、その期間は約九か月である。
三の1の(一)について
全国において、難民認定申請を受理し、処分が行われていない件数であり、この件数には、入管法第六十一条の二の四に定める異議の申出が行われている件数は含まれていない。
三の1の(二)について
難民認定をしない処分に対して異議の申出をしている者の数は、本年六月一日現在で四十五人である。
三の1の(三)について
処理を促進し、処分につき一応のめどをつける程度まで努力したいという趣旨である。
三の2の(一)について
難民調査を担当事務の一つとしている東京入国管理局永住・難民審査部門では、本年六月一日現在、入国審査官十三名を配置して、難民調査事務に専従させており、このうちの七名について難民調査官を命じている。なお、同部門は東京都千代田区内の大手町合同庁舎第一号館内に所在している。
また、東京都北区内の第二庁舎には、審判部門に難民認定に係る異議申出事案に専従する職員が二名配置されており、これらの者は難民調査官に命じられている。
三の2の(二)について
東京入国管理局では、本年六月一日現在、他部門から六名の職員を永住・難民審査部門に応援させ難民調査事務に当たらせており、そのうち三名に難民調査官を命じている。いずれの職員も、これまでの職務経験、職員研修等を通じて、外国人の入国、在留審査について幅広い知識を有するとともに、難民調査事務を処理するための法令、実務に関する知識も併せ持っている。
三の3の(一)について
機械的に質問を行い、次々と不認定とするものではなく、認定すべき案件については難民の認定を行うこととなる。
三の3の(二)について
難民認定申請者から、申請時のみならず、申請中にも随時資料の提出を受けていることに加え、難民調査官の質問の際において、申請者に十分な申立ての機会を与えている。
四の1の(一)について
未処理案件の処理に当たって、難民として認定すべきものは認定していくという趣旨である。
四の1の(二)について
法定の申請期間の六十日を経過してなされた難民認定申請についても、やむを得ない事情があるときには、入管法第六十一条の二第二項ただし書に基づき従来から申請を受理しており、今後もこれに変更はない。
四の2の(一)について
「やむを得ない事情」とは、病気、交通の途絶等で六十日以内に難民認定申請を行うことができなかった場合が該当することとなるが、今後もこの解釈に変更はない。
四の2の(二)について
国連難民高等弁務官事務所の執行委員会の結論は、構成員の総意による合意によって採択されている。我が国は、国連難民高等弁務官事務所第三十回執行委員会が開催された際には、同執行委員会の構成員であり、我が国も、構成員として御指摘の第三十回執行委員会の結論の総意による合意に参加している。
四の2の(三)について
迫害から逃れて他国に庇護を求める者は、当該国に上陸後速やかにその旨を申し出るのが通常であり、六十日の申請期限は合理的なものであると解される。また、やむを得ない事情があるときは、上陸後六十日を経過しても難民認定の申請をすることができるのであるから、実際に難民条約上の難民でありながら入管法上の難民認定が受けられない事例は生じ難いものと考えている。
四の2の(四)について
退去強制される者の送還先については、入管法第五十三条第三項に基づき、いわゆるノン・ルフールマンの原則が適用されることとなる。
四の2の(五)について
我が国は、難民認定申請が不認定となって退去強制される者に対して、難民条約上の各種保護措置等を付与する義務を負うことはない。
五の1について
在留資格を有して適法に滞在する者については、社会保障制度の対象となる場合があるが、在留資格を有しない者については、社会保障制度の対象とはならないと解される。また、在留資格を有しない者が難民認定の申請を行った場合について、これに暫定的な在留資格を付与する計画は、現時点ではない。
なお、生活保障については、五の3についてで述べるとおりである。
五の2について
御指摘のような回答をした事実は承知していない。
なお、難民認定申請者が、在留資格を有していない場合、就労が認められることはない。
五の3について
政府としては、入管法第六十一条の二第一項に規定する難民認定の申請を行った者及び入管法第十八条の二第一項に規定する一時庇護上陸許可を受けた者の中で、生活に困窮している者に対し、生活費その他の必要経費(以下「保護費」という。)の支給をアジア福祉教育財団難民事業本部に業務委託した上で実施しているところ、昨年九月、保護費のうち、宿舎借料及び生活費の支給額について変更を行った。
宿舎借料の支払は、すべての世帯に対し一律に同額を支給するものであったが、これを支給額の上限を定めた上で受給者が実際に支払っている宿舎の借料を支給する方法に改めた。また、生活費の支給額については、物価上昇分を考慮に入れ、従来の支給額より増額して支給することとした。
この結果、例えば、成人の単身者に対する支給総額は従来より減額されたものとなったが、他方、夫婦等の二名以上で構成される世帯のうち、宿舎借料の限度額が適用される世帯については、従来の支給総額より増額されて支給されることとなった。いずれにせよ、保護費の支給総額は、我が国において生活を維持できる程度の額であると考えている。
また、アジア福祉教育財団難民事業本部においては、従来から難民認定を申請中の者の就職、医療費の支払等種々の問題について相談に応じているところ、保護費の支給額を一部変更したことを契機に、これらの者の自活を更に促す上で、入管法第十九条第二項に基づく資格外活動許可を受け適法に就労活動を行うことのできる者については、就労の機会が確実に得られるように同事業本部職員が事業所等の訪問に同行するなど従来に増してきめ細かい援護活動を行っている。
五の4の(一)について
御指摘のトルコ人は、難民認定申請中であったものの、許可された在留期間を超えて不法残留していたため、入管法第二十四条第四号ロに該当する疑いにより収容したものである。難民認定申請中の者をどの時期に収容するかについては、諸般の事情を考慮して個々の事案に即して決定しているが、本件は難民としての蓋然性の問題も含め検討した結果、早期の収容が必要であると判断したものである。
五の4の(二)について
退去強制手続において、民族を理由として取扱いに差異を設けることはない。
五の4の(三)について
難民認定手続と退去強制手続は別個独立の手続であり、難民認定申請している者が入管法第二十四条各号の一に該当する場合は、退去強制手続を執ることとなり、特定の者に対し、原則として収容をしないということはない。ただし、どの時期に収容するかについては、個々の事案に即して決定しており、事案によっては、一度収容した後仮放免した上で手続を進めることもある。
五の4の(四)について
入国警備官は、入管法第二十四条各号の一に該当すると思料する外国人があるときは、当該外国人について本人の取調べ、公務所への照会等により違反調査を行う。その調査の結果、当該外国人が入管法第二十四条各号の一に該当すると疑うに足りる相当の理由があると認めるときは、主任審査官に収容令書の発付を請求する。その請求を受けた主任審査官は、入国警備官の行った違反調査の結果に基づいて収容令書の発付の可否を判断する。
お尋ねの点も、右のような手続の中で調査、判断されることになる。
六の1について
難民と認定された者に対しての国際救援センターその他の施設における日本語教育を始めとする自立援助等のプログラムの実施については、検討する必要があると考えている。
なお、御指摘の定住促進センターについては、既に閉鎖となっている。
六の2について
欧米諸国等における認定後の難民に対する処遇については、自立援助等のプログラムを含め、特に調査は行っていない。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。