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沖縄県島尻郡小禄村字大嶺の土地(旧日本海軍那覇飛行場用地・現那覇空港の一部)所有権回復に関する質問主意書
衆議院 第153回 第2号お答えすることは困難 ×1
質問本文
衆議院議員白保台一が平成十三年五月三十一日提出した「沖縄県島尻郡小禄村字大嶺の土地(旧日本海軍那覇飛行場用地・現那覇空港の一部)所有権回復に関する質問主意書」の答弁書(内閣衆質一五一第七七号平成十三年七月十日付)に対し、なお幾つかの疑問点が出ました。従って、次の事項について質問する。
一 第一番目の「戦時下の情勢認識」についての質問に対し、答弁では触れられていないのは何故か。質問の意図するところは、国の収用に対しその当時の所有者が「拒否」することができなかったことを強調したかったのであり、元地主(所有者)としては強制的に、つまり当時の日本国民の義務として収用に応じさせられたと認識しているが、この点について再度質問するので明らかにされたい。
二 「正当な手続き」とは、甲(国)と乙(地主)の合意がない限り契約は成立しないと考える。当時、海軍は佐世保海軍建設部長命により矢つぎ早に三命令書を発している。昭和十八年八月十七日に同部長名において沖縄県知事に対し「用地買収の件委託」の要請を行ない、八月十八日には沖縄県経済部長宛てに「用地買収委託取り扱いに関する件照会」により具体的指示を行なっている。更に昭和十八年八月二十日佐建部長(佐世保海軍建設部長)より佐経理部長宛てに「臨時資金前渡官吏任命の件照会」を発して命令を変更し、用地買収を急いでいる。このことから「小禄航空基地(仮称)」が「急速着工スべキ」喫緊の命令であった事がわかる。こうした当時の切迫した戦況の下、飛行場建設の早期完成へ向け正当な手続きがなされたのか明らかにされたい。また、三命令書に対する履行状況を明らかにできる昭和十八年以降の該地に関する旧海軍省の「公文備考」を明らかにされたい。
三 第三番目の質問に対し「・・・事情聴取が行なわれなかった理由については必ずしも明らかではないが・・・・(中略)・・アンケート調査のみが行なわれることとなったのではないかと考えられる。」と曖昧な答弁をしている内容については理解し難い。元地主にとっては、正当な手続きであったかどうかを判断する重要な裏付けとなるこの調査が曖昧でしかもはっきりしない調査結果としか認識できない。沖縄県が昭和五十三年に作成した「旧日本軍接収用地調査報告書」と比べ、大蔵省が昭和五十三年四月十七日衆議院予算委員会提出資料「沖縄における旧軍買収用地について」は、かなり実情を反映しない報告内容になっているのは何故か。まだ公表されない調査結果が存在するのであれば、大蔵省報告が示す調査結果報告書の全容並びに詳細を明らかにされたい。
四 大蔵省は、沖縄県の旧軍用財産の接収時期、接収方法等について調査を行なった。しかし沖縄県以外においては同様の調査が何故行なわれなかったのか明らかにされたい。もし調査を行なった事実があれば「旧日本軍接収用地調査報告書」の存在を明らかにされたい。
五 答弁書(内閣衆質一五一第七七号 平成十三年七月十日付)により沖縄県以外の多くの県においては、旧軍用財産について戦後処理についての流れ及びその根拠が明らかになった。そのことからも、沖縄県と他府県では戦後処理が明らかに違うことがはっきりと解かる。そこで質問する.沖縄県以外では終戦と共に戦後処理が進められ、沖縄県だけが現在に至るまで戦後処理がなされないのは何故か、そしてそれはどのような根拠によるものであったのか明らかにされたい。また、答弁書によると本土において旧軍用財産は昭和二十年八月二十八日の閣議決定「戦争終結に伴う国有財産の処理に関する件」等により戦後処理がなされたと答弁している。沖縄が本土から切り離されなければ、当然同様な処理がなされたものと推察するが見解を明らかにされたい。沖縄が復帰した時点において、沖縄の旧軍用財産についても「復帰に伴う米軍管理財産の処理に関する件」を閣議決定し土地の返還に関する特別措置法等の立法をもってこの問題の解決を図るべきであった。それが今日まで実現されない理由を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
沖縄における旧軍買収地については、元地主は、強制的に日本国民の義務として収用に応じさせられたと認識しているとの御指摘ではあるが、先の答弁書(平成十三年七月十日内閣衆質一五一第七七号)の一についてで述べたとおり、沖縄における旧軍買収地が私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になったものと判断されたのは、太平洋戦争時の緊迫した情勢の下に旧国家総動員法(昭和十三年法律第五十五号)に基づき強制接収が行われたこと等を理由として、これを旧地主に返還すべきであるとの要求が提起されていたことを踏まえて、大蔵省において関係省庁の協力を得て可能な限りの調査を実施した結果に基づくものであることを御理解いただきたい。
二について
御指摘の「用地買収ノ件委託」及び「用地買収委託取扱ニ関スル件照会」は、旧海軍が旧沖縄県知事に用地買収を委託し、その手続あるいは代金の支払方法等を示した文書であり、「臨時資金前渡官吏任命ノ件照会」は、その実施のため旧沖縄県の吏員に出納官吏を兼務させるための文書であると理解している。
先の答弁書の二についてで述べたとおり、旧那覇飛行場を含め、直接の戦闘が行われた沖縄本島における旧軍施設の新設又は拡張のための用地については、戦時中旧軍が買収したことを証する直接的な資料は発見されていないが、旧軍の軍用地買収手続あるいは代金の支払方法等に関する資料が発見されていること、旧軍が買収したという旧軍関係者、旧官公署関係者、旧地主等の陳述等があること、旧国家総動員法に基づき収用されたとする証拠は全く見当たらないこと等から、私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になったものと判断されているところである。
これと同様の判断に基づく国の主張は、嘉手納飛行場における旧軍買収地に関し旧地主が提起した土地所有権確認等請求訴訟における平成七年四月二十五日の最高裁判所の判決においても認められていると承知している。
また、お尋ねの旧海軍省の「公文備考」と呼ばれる書類については、昭和十三年以降分は発見されていない。
三について
先の答弁書の四についてで述べたとおり、沖縄県が昭和五十三年三月に作成した「旧日本軍接収用地調査報告書」の内容については承知しているが、昭和五十三年四月十七日に衆議院予算委員会に対して大蔵省が提出した「沖縄における旧軍買収地について」(以下「大蔵省報告書」という。)で示されているとおり、沖縄における旧軍買収地については、大蔵省において関係省庁の協力を得て可能な限りの調査を実施し、その結果に基づき、私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になったものと判断されていることを御理解いただきたい。
また、お尋ねの調査結果報告書については、大蔵省報告書以外に報告書は存在しない。
大蔵省報告書において公表されていない旧那覇飛行場のアンケート調査の内容については、先の答弁書の三についてで述べたもの以外に、質問項目として土地所有権委員会への所有権申請の手続の有無が掲げられており、これに対する回答内容は、手続したとするものが十五パーセント程度、手続しなかったとするものが七十パーセント程度、不明とするものが十五パーセント程度であった。
四について
大蔵省において、沖縄県以外の都道府県で沖縄における調査と同様の調査を行った事実はない。
このような調査を沖縄においてのみ行ったのは、大蔵省報告書において示されているとおり、沖縄において旧軍買収地を旧地主に返還すべきであるとの要求が提起されていたことを踏まえたものである。
五について
お尋ねの沖縄が本土から切り離されなかった場合の状況については、仮定の問題であることから、お答えすることは困難である。
沖縄の本土復帰に伴い大蔵省に引き継がれた旧軍買収地は、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和四十六年法律第百二十九号)第九十条の規定に基づき、一定の期間、従前と同一の条件で貸付等が行われ、また、小学校等の用に供されていたものは、地方公共団体に対し譲渡等が行われたところである。
さらに、沖縄振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)第九条の規定に基づき、沖縄県の振興開発計画に基づく事業で公共の用に供する旧軍買収地は、地方公共団体に対し譲渡が行われたところである。
なお、沖縄における旧軍買収地については、私法上の売買契約により正当な手続を経て固有財産になったものであり、沖縄の振興開発にとって貴重な財産であると考えられることから、今後も引き続き、その活用に当たっては、沖縄県等の利用要望等を踏まえ、関係法令にのっとり適切に対処してまいりたい。
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