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東京電力の再建計画に対する政府の認識に関する質問主意書
衆議院 第186回 第5号趣旨が明らかではない ×2
質問本文
本年一月十五日、政府は東京電力の新たな総合特別事業計画を認定した。
右を踏まえ、質問する。
一 東電の再建計画は、被災した方々への賠償金や除染、廃炉研究、廃炉作業、凍土壁建設に係る費用を政府が援助すべく最大九兆円を貸し付け、国費、つまり税金により救済する余地を増やす一方で、その返済には企業、家庭への電気料金を値上げして得た利益を充てる等、東電自身の負担を減らす内容であると承知するが、東電に注入される国費の総額をはじめ、改めてその内容を説明されたい。
二 再建計画は、東電が現在停止中の新潟県柏崎刈羽原発の一、五、六、七号機を再稼働することを前提としたものであると承知する。二〇一一年三月十一日の東日本大震災により発生した福島第一原発事故の原因究明、被災民への賠償等、その検証並びに総括は未だ完遂していない。そのような中で、当事者である東電が別の原発を再稼働することを前提として作成した再建計画を、政府として認定した理由は何か。
三 本年一月二十三日、東京都知事選挙が告示された。候補者の中には、原発を即時ゼロにすることを訴える者もいるが、脱原発を掲げる候補者が、東電の株主でもある東京都の新たな都知事となった場合、原発再稼働を前提とした東電の再建計画は立ち行かなくなるのではないのか。政府の認識如何。
四 各種報道によると、東電社員の平均年収は、二〇一一年の東日本大震災並びに福島第一原発事故が起きる前は六百五十三万円であり、その後管理職で三〇%、一般職員で二〇%がカットされているとのことであるが、政府として右の事情を詳細に把握しているか。
五 四の東電社員の平均年収は、カットされた後でも日本国民全体の平均年収と比較して高い水準にあると考えるが、政府の見解如何。
六 再建計画によると、東電としてコスト削減が予想を上回った場合、社員の年収を上げる仕組みを導入することを盛り込んでいるとのことである。またその一方で、柏崎刈羽原発の再稼働が遅れた場合は、企業、家庭向けの電気料金を上げ、一般の負担を増やすことも盛り込まれていると承知する。右は、東電が自ら身を切る努力が十分でないのに、他に負担を転嫁するという無責任なものであると考えるが、政府の見解如何。
七 本年一月一日の新聞報道では、東電が海外の発電事業に投資して得た利益を、免税制度のあるオランダに移して我が国政府への納税を回避し、その利益約二百十億円を蓄積していたことを報じている。また右は震災後も続けられていたとのことであるが、政府としてその実情を把握しているか。
八 税金による支援を受ける東電は、七で触れたように多額の租税回避を行い、利益を外国に蓄積している。その東電に対し、二〇一二年、政府は原子力損害賠償支援機構を通じ、一兆円の税金を投入して東電の株式を取得している。今回の再建計画でも、多額の税金が投入される予定となっている。右は、国民の理解を得られるものではないと考えるが、政府の見解如何。
九 福島第一原発事故の検証並びに総括もなされていない中で原発再稼働を想定し、社員の平均年収カット等、自身が身を切る努力も不十分であり、更には多額の租税回避がなされている実態もある東電の現状を鑑みる時、今回の再建計画はあまりにも甘く、それを政府が認めたことは国民の理解を得られるものではないのではないか。政府の認識如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
政府が原子力損害賠償支援機構法(平成二十三年法律第九十四号。以下「機構法」という。)に基づき平成二十六年一月十五日に変更の認定を行った東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の特別事業計画(以下「本計画」という。)については、平成二十五年十二月二十日に閣議決定した「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」も踏まえつつ、原子力災害からの福島の再生に向けて、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施、東京電力の福島第一原子力発電所の廃止措置及び同発電所におけるいわゆる汚染水への対応(以下「廃炉・汚染水対策」という。)の着実な実施、更に踏み込んだ経営合理化等に係る取組等が盛り込まれている。
また、お尋ねの「東電に注入される国費の総額」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、原子力損害賠償支援機構(以下「機構」という。)において、本計画の認定に合わせ、機構法の規定に基づき、東京電力に対し、原子力損害の賠償の履行に充てるための資金(以下「賠償資金」という。)として約九千九百九十五億円を交付することを決定しており、その結果、機構から東京電力に対する賠償資金の交付額の累計は約四兆七千八百八十八億円となる。
なお、機構が賠償資金の交付を行うために必要となる資金の確保に用いるため、政府は、これまでに合計五兆円の国債を機構に交付しており、平成二十六年度政府予算案において、機構に交付する国債の発行限度額を九兆円に引き上げることとしている。
二から六までについて
本計画については、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図る上で適切なものであること、経営の合理化のための方策が賠償資金を確保するため最大限の努力を尽くすものであること等の機構法に定める要件を満たすことから、認定を行ったものである。当該認定を行うに当たっては、主務大臣である経済産業大臣において、機構の理事長及び運営委員長並びに東京電力の代表執行役社長に対し、「柏崎刈羽原発の再稼働の時期等については、安全確保が最優先であり、あくまでも収支計画上の仮定としておかれたものと理解している。今回の機構法に基づく計画の認定は、再稼働のタイミングなどについて予断を与えるものではない。」旨を伝達している。
御指摘の柏崎刈羽原子力発電所を含む原子力発電所の再稼働に当たっては、その安全性を確認することが大前提であり、専門的な知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会において、所定の法令等に基づき、原子力発電所の安全性について評価を行い、必要な判断を行うこととなるところ、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が遅れた場合における電気料金の値上げについては、本計画において、「今後、実際の再稼働時期や費用削減余地について見極め、判断していくこととなる」とされている。仮に、東京電力から電気料金の値上げに係る認可申請が行われた場合には、経済産業省において、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電気料金審査専門小委員会における中立的、客観的な検討を踏まえ、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)に基づき、能率的な経営の下における適正な原価に基づくものかどうか等の観点から厳正に審査を行うこととなる。
また、お尋ねの「日本国民全体の平均年収」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、同省において、平成二十四年における東京電力の電気料金の値上げに係る認可を行うに当たっては、電気料金の原価に算入される東京電力の従業員の平均年間給与については、平成二十三年賃金構造基本統計調査における常用労働者が千人以上の企業における平均値等とも比較しつつ、審査を行ったものであるところ、東京電力においては、その結果等を踏まえ、これまでに、管理職の基本給等について三十パーセントの削減を、一般職の基本給等については二十パーセントの削減を、それぞれ行ってきたものと承知している。その上で、本計画においては、「一・四兆円のコスト削減深掘りの挑戦に向けたインセンティブとして、・・・コスト削減計画を超過達成した場合、超過分の一定割合を半期毎に個人業績に応じ処遇に反映する「処遇制度の改編」を実施する」とされており、この取組は、東京電力における更なる経営の合理化に資するものと承知している。
七及び八について
平成二十五年十月に会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)の規定に基づき会計検査院長から参議院議長に対して報告された「東京電力株式会社に係る原子力損害の賠償に関する国の支援等の実施状況に関する会計検査の結果について」において、「東京電力は、従来、新興国のIPPが実施する事業への出資に係る配当等について、東京電力の百パーセント子会社であるテプコインターナショナル社に留保し、(中略)これまでの利益の蓄積である利益剰余金が約二億米ドルとなっており、」との記載があること及び「東京電力の置かれた状況に鑑み、子会社における内部留保を有効に活用する観点から同資金の処分について十分な検討が必要である。」との記載があることについて承知している。
九について
本計画については、機構法に定める要件を満たすことから、認定を行ったものであり、福島の再生には、原子力損害の賠償、除染及び汚染土壌等の中間貯蔵に係る事業等の十分な資金がなくては進まない事業が多い状況を踏まえ、政府としては、廃炉・汚染水対策や原子力損害の賠償等を着実に実施して福島の再生を加速するとともに、電力の安定供給に万全を期しつつ、国民負担を最大限抑制していくとの考え方に基づき、東京電力による本計画の履行の確保を図ってまいりたい。
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