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医師、看護師、保育士の公的職業紹介事業の推進に関する質問主意書

衆議院 第204回 第218号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×3検討してまいりたい ×1

提出者
立憲民主党・無所属
提出日
2021年6月11日
内閣転送 2021年6月16日
答弁書受領日
2021年6月25日
提出から14日
答弁の項目数
7
質問 2,323字/答弁 2,718字

質問本文

有料職業紹介事業、いわゆる人材紹介事業は、求職者に比べ事業者が情報の優位性を持ち、中間搾取のおそれがあるため、労働者保護の観点から許可制となっており、職業安定法第三十二条の十一の規定により、港湾運送業務、建設業務は紹介が禁じられている。同条では「その他有料の職業紹介事業においてその職業のあつせんを行うことが当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるものとして厚生労働省令で定める職業」も禁止の対象となっているところ、現時点ではいかなる職業も省令で定められていない。

一方で、多くの医療機関においては、いわゆる医局制度の変容に伴い、医療従事者の確保を人材紹介事業者に頼っており、その紹介手数料が経営を圧迫している。昨年十月に公益社団法人全日本病院協会、一般社団法人日本医療法人協会、独立行政法人福祉医療機構が共同して行った調査によれば、医師一名の紹介を受けるための手数料が平均三百五十一万七千円(最高六百万円、最低百万円)、同じく看護師で平均七十六万円(最高百二十四万円、最低三十万円)となっている。

また看護師、保育士については、いわゆるエッセンシャルワーカーとしての職責に見合った報酬が支払われていないとして、その処遇改善が国政の長年の懸案事項となっている。

診療報酬が主な収入源となっている医療機関に勤務する医師や看護師、また賃金水準について公定価格が定められている保育士は、適正な報酬が支払われ、かつ医療機関や保育事業者の経営を紹介手数料が圧迫しないよう、無料の職業紹介を原則とするべきであり、そのためにハローワークやナースセンター、医療のお仕事Key−Netなどの公的な職業紹介事業を大幅に拡充するべきであって、例外的に有料の人材紹介が認められる場合であってもその手数料には上限を設けるべきと考える。

一 医師、看護師、保育士について、職業安定法第三十二条の十一の規定に基づき、当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがある職業として厚生労働省令で定めていない理由をそれぞれ明らかにされたい。

二 公益社団法人全日本病院協会、一般社団法人日本医療法人協会、独立行政法人福祉医療機構が、先述の調査結果を踏まえて提言しているように、医療従事者については紹介手数料の一定の基準設定、つまり上限を定めるべきではないか。このような提言はかねてより求人側から繰り返されており、厚生労働省は今年度に求人側の納得度調査を行うと承知しているが、二〇一七年の法改正による手数料引き下げの効果はどのくらいあったのか。現時点で政府として承知しているところをあきらかにされたい。

三 厚生労働省は二〇二〇年度、日本人材紹介事業協会に委託して、医療・介護・保育分野の適正な有料職業紹介事業者の基準を定め、現在その周知に努めているとのことだが、現時点では求職側は全くその存在を知らされておらず、なんのメリットもないのではないか。手数料については、金額の公表が求められているだけで上限は設定しないこととしているが、この程度の取組だけで、実際どの程度手数料の引き下げの効果が見込めると考えているのか。実効性ある制度とするためには、単に基準を公表するだけでなく、求職側にもメリットがあるよう、基準に適合した優良事業者の認定などを進めるべきと考えるが、政府の見解をあきらかにされたい。

四 ハローワークにおいては、正規職員の削減と非正規相談員の増員の傾向に歯止めをかけて、人員の拡充を行い、医療機関や保育施設など求人側への営業力をこれまで以上に増強するとともに、平日日中にハローワークに行かなくても、求職者側の登録や応募などの手続きが二十四時間いつでもスマホなどでできるよう、ハローワークインターネットサービスの改修を早急に進めるべきではないか。

五 近年ハローワークでは看護師、保育士の求人側への営業に力を入れているとのことだが、医師については特に力を入れておらず紹介実績も少ない。その理由を厚生労働省に問うと、高賃金に比例して紹介手数料も高額となるために、補完関係にある民間の人材紹介事業に任せているとの回答であった。国民が負担する保険料や窓口負担が、人材紹介事業者への高額な手数料となり、医療機関の経営を圧迫していることを踏まえれば、医師についても求人側への営業により力を入れてもよいのではないか。

六 コロナワクチン接種関連業務への潜在看護師の活用にあたり、各都道府県に設置されているナースセンターがにわかに注目されているが、いわゆる潜在看護師七十万人のうちわずか五万人しかナースセンターに登録していない。ナースセンター及び医療のお仕事Key−Netの周知が、求人側にも求職側にも十分に進んでいない原因をどのように分析し、今後どのような改善に取り組むつもりか。それぞれいつまでにどのくらいの求人数、求職者数を目指すのか、数値目標をEBPM(エビデンスに基づく政策立案)推進の観点から定めるべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。

七 人材紹介事業は、人身売買や中間搾取であるとして、長く禁止されてきた歴史的経緯があり、昨今の行き過ぎた規制緩和による弊害を踏まえれば、公的な無料の職業紹介事業を拡充しても、民業圧迫との批判は全く当たらない。ハローワークやナースセンター、医療のお仕事Key−Netが、求人側にとっても求職側にとっても民間の人材紹介サービス利用とそん色のないよう、これまで述べたような改善のほかにも、民間の優れたサービス、機能を研究し取り入れて、使い勝手の良さを極めるべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

有料の職業紹介事業については、中間搾取、強制労働等の弊害を伴うおそれがあることから、その業務の適正な運営を確保するため、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三十条第一項において、厚生労働大臣の許可を受けた者(以下「有料職業紹介事業者」という。)のみが行うことができることとされており、さらに、同法第三十二条の十一第一項において、有料職業紹介事業者は、例えば、現実に重層的な下請関係のもとに業務処理が行われている中で、雇用関係が不明確になることによる雇用管理改善への悪影響が懸念される建設業務に就く職業のように、その職業のあっせんを行うことが当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるものとして厚生労働省令で定める職業を求職者に紹介してはならないとされているところ、お尋ねについては、医師、看護師及び保育士の職業のあっせんを行うことが、これらの職業の雇用の実態等を踏まえれば、必ずしもこれらの職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるとは認められないことから、同項の厚生労働省令で定める職業として規定していないものである。

二について

職業紹介に係る手数料の水準は労働市場の需給の状況に応じて変動し得るものであり、また、職業紹介に要する経費も求人の内容に応じて様々であるため、御指摘の「紹介手数料の一定の基準設定、つまり上限を定める」ことについては、慎重な検討が必要であると考えている。また、お尋ねの「二〇一七年の法改正」は、職業紹介事業の適正な事業運営を確保するために行ったものであり、必ずしも職業紹介に係る手数料の引下げを目的としたものではないため、「二〇一七年の法改正による手数料引き下げの効果」についてお答えすることは困難である。

三について

御指摘の「医療・介護・保育分野の適正な有料職業紹介事業者の基準」については、令和二年度に、有料職業紹介事業者と業界団体が参画する「職業紹介事業に関する協議会」において、「適正な有料職業紹介事業者の基準」として、医療、介護及び保育の分野ごとに策定されたものであるところ、必ずしも職業紹介に係る手数料の引下げを目的としたものではないため、「手数料の引き下げの効果」についてお答えすることは困難である。厚生労働省としては、引き続き、求人者へのこれらの基準の周知等を通じて適正な職業紹介事業者の利用を促し、労働市場において職業紹介事業者が適切にその役割を果たせるようにしてまいりたい。また、御指摘の「基準に適合した優良事業者の認定」については、今後検討してまいりたい。

四について

厚生労働省においては、公共職業安定所の人員について、雇用情勢の変化等に的確に対応できるよう、必要な体制の確保に努めている。

御指摘の「医療機関や保育施設など求人側への営業力をこれまで以上に増強する」ことの意味するところが必ずしも明らかではないが、公共職業安定所においては、医療や保育をはじめとした人材不足の分野に係る専門窓口を拡充し、求人者の支援を実施している。また、御指摘の「ハローワークインターネットサービスの改修」については、令和三年度中に、求職の申込みや求人への応募等をスマートフォン等から二十四時間受け付けることを可能とする予定である。

五について

御指摘の「求人側への営業により力を入れ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、公共職業安定所においては、医師についても職業紹介の対象としているものの、現時点においては、公共職業安定所において医師の職業紹介を希望する求職者が極めて少ないことから、大規模な求人開拓を行う状況ではなく、求職者の要望に応じて個別に求人開拓等の対応をしてまいりたい。

六について

いわゆる「潜在看護師」(以下「潜在看護師」という。)の全てが、ある時点で就労意欲を持っているわけではなく、また、就労意欲を持っている潜在看護師は、都道府県ナースセンターのほか、公共職業安定所や民間の職業紹介事業者への求職の申込みなど多様な求職活動を行っていることから、都道府県ナースセンターの周知が御指摘のように「求人側にも求職側にも十分に進んでいない」とは一概には言えないと考えるが、政府としても、潜在看護師の活用を進める観点から、都道府県ナースセンターの周知は重要であると考えている。このため、都道府県ナースセンターにおいては、公共職業安定所や地方公共団体と連携し、ポスターやチラシの配布、新聞広告、広報誌、ホームページ等による周知広報等を行っており、厚生労働省においても、中央ナースセンターのホームページ等における都道府県ナースセンターの事業に関する広報活動に対する支援を行っているところである。特に、今般の新型コロナウイルス感染症に係る予防接種に従事する人材の確保に関する求人に当たっては、市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対する都道府県ナースセンターの周知が課題の一つであると考えられたことから、市町村等に対し、「新型コロナワクチンの接種体制の強化に向けた協力依頼について」(令和三年五月二十六日付け厚生労働省健康局及び医政局事務連絡)を発出し、都道府県ナースセンターの事業について周知を図ったところであり、引き続き、様々な手段により周知に努めてまいりたい。

また、御指摘の「医療のお仕事Key−Net」は、新型コロナウイルス感染症に対応する地域の医療機関等の求人情報を掲載したものであり、その活用状況も踏まえつつ、同省のホームページやSNS等を通じて周知を図ってきており、周知が「十分に進んでいない」とは一概には言えないと考えるが、引き続き、様々な手段により周知に努めてまいりたい。

また、御指摘の「求人数、求職者数」については、社会経済情勢によって変化するものであり、また、地域の実情によって様々であること等から、現時点で数値目標を定めることは考えていないが、看護師等の確保については、令和七年時点の看護職員の需給推計等を踏まえ、都道府県ごとに地域偏在や領域偏在等の地域の実情に応じて進めることが重要であり、新規養成、離職防止及び定着促進に関する取組を総合的に講じていくこととしている。

七について

御指摘の「公的な無料の職業紹介事業」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「ハローワーク」、「ナースセンター」及び「医療のお仕事Key−Net」については、求人のオンラインによる受付など、利用者のニーズを踏まえた利便性の向上に努めてきており、引き続き、求人者及び求職者の双方のニーズを踏まえ、サービスの向上に努めてまいりたい。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×3検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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