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子宮頸がん検診の方法に関する質問主意書
衆議院 第211回 第35号趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1
質問本文
子宮頸がんは、子宮の入り口である子宮頸部にできるがんで、日本では毎年一万人以上が新たに子宮頸がんと診断され、年間三千人近くが亡くなっている。
厚生労働省は、平成二十五年から約九年にわたって差し控えられていたヒトパピローマウイルス(以下、「HPV」という。)ワクチン定期接種の積極的な接種勧奨を、令和四年四月から再開した。同時に令和四年四月から、定期接種の機会を逃した方を対象に、公費助成でHPVワクチンの接種が受けられる「キャッチアップ接種」を実施している。これらについては意義があるものの、検診については不十分と考える。
子宮頸がんは、早期に発見できれば、命や子宮を守ることができる。就労や結婚、出産、子育てなど、女性にとって大きなライフイベントを迎える時期での発症率が高いため、十代からのHPVワクチン接種による予防とともに、二十歳からは定期的な子宮頸がん検診(二年に一回)を受け早期発見につなげることが非常に重要である。しかしながら、子宮頸がん検診において行われるのはほとんどが細胞診の検査であり、ウイルス検査まで行われることが少ないと思われる。これは、国ががん検診として子宮頸部細胞診を推奨しているためであり、「HPV検査を含む方法(HPV検査単独・HPV検査と細胞診の同時併用法・HPV検査陽性者への細胞診トリアージ法)は死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、対策型検診(住民検診)として実施することは勧められていません」(国立がん研究センターのホームページより)と示されている。
最近の調査によると、「細胞診」が陰性の中にも一部、前がん病変が潜んでいることが分かってきた。このため、「HPV検査」も併せて受診すればより子宮頸がんのリスクを低下させることができる。アメリカの子宮がん検診では、三十歳以上の女性に「細胞診」と「HPV検査」の併用が積極的に推奨されていると承知している。
日本でも日本産科婦人科学会、日本婦人科がん検診学会等の学術団体や日本産婦人科医会などの検診を実行している団体では、子宮頸がん検診はHPV検査併用検診を強く推奨している。
右を踏まえて、以下質問する。
一 現在、各自治体の行う子宮頸がん検診について、細胞診だけのもの、細胞診にHPV検査を含むものの比率はどの程度か。政府の把握しているところを示されたい。
二 国立がん研究センターのホームページに示されている「HPV検査を含む方法(HPV検査単独・HPV検査と細胞診の同時併用法・HPV検査陽性者への細胞診トリアージ法)は死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、対策型検診(住民検診)として実施することは勧められていません」との見解について、政府の所見如何。
三 アメリカの子宮がん検診では、三十歳以上の女性に「細胞診」と「HPV検査」の併用が積極的に推奨されているが、これについての政府の所見如何。
四 日本産科婦人科学会、日本婦人科がん検診学会等の学術団体や日本産婦人科医会などの検診を実行している団体では、子宮頸がん検診はHPV検査併用検診を強く推奨しているが、これについての政府の所見如何。
五 関係学会からもHPV検査併用検診が強く推奨されている現在、「HPV検査を含む方法(HPV検査単独・HPV検査と細胞診の同時併用法・HPV検査陽性者への細胞診トリアージ法)は死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分である」とはもはや言えないのであり、この従来の見解を変更すべきではないか。政府の見解如何。
六 五に関連して、現在、政府内で関係学会の見解を受け、従来の見解の見直し作業などに着手している事実はあるか。
七 子宮頸がん検診については、政府は、関係学会などの現時点の知見に基づいて、従来の見解を修正し、細胞診に加えてHPV検査の併用検診に公費助成の範囲を拡大して、これを行うべきである。政府の見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「細胞診だけのもの、細胞診にHPV検査を含むもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、市区町村における子宮頸がん検診の実施状況については、厚生労働省において国立研究開発法人国立がん研究センター(以下「国立がん研究センター」という。)に委託して行っている「市区町村におけるがん検診の実施状況調査」により把握しているところ、同調査においては、細胞診単独法(令和二年三月に国立がん研究センターの社会と健康研究センターが作成した「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版」(以下「令和元年度版ガイドライン」という。)における「細胞診単独法」をいう。以下同じ。)と併用法(令和元年度版ガイドラインにおける「細胞診・HPV検査併用法」をいう。以下同じ。)を区分した集計は行われていないため、市区町村において実施されている子宮頸がん検診における細胞診単独法と併用法の比率については把握していない。
二について
国立がん研究センターのホームページに示されている御指摘の記載については、平成二十一年十月に国立がん研究センターの社会と健康研究センターが作成した「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン」の記載に基づくものであり、国立がん研究センターは、現在、令和元年度版ガイドラインに記載のとおり、HPV検査単独法(令和元年度版ガイドラインにおける「HPV検査単独法」をいう。以下同じ。)や併用法を推奨しているものと承知している。
三について
米国においては、三十歳以上の女性に対し、細胞診単独法、HPV検査単独法及び併用法に当たる検査を実施することが推奨されているものと承知しているが、こうした同国の政策について、政府として見解をお答えすることは差し控えたい。
四について
御指摘の「学術団体」や「検診を実行している団体」においては、それぞれの団体の知見に基づき見解を示しているものと受け止めている。
五から七までについて
厚生労働省においては、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第十九条の二の規定に基づき市区町村が実施するがん検診として、がんの早期発見・早期治療による対象集団全体の死亡率の減少等の利益が、検査の偽陽性(がんでないにもかかわらずがんと診断することをいう。)や過剰診断(生命予後を脅かしたり、症状をもたらしたりしないようながんを診断することをいう。)等の不利益を上回ることが、科学的根拠に基づいて明らかな検診方法を推奨しており、具体的には、同省の「がん検診のあり方に関する検討会」(以下「検討会」という。)における議論を踏まえ作成した「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(平成二十年三月三十一日付け健発第〇三三一〇五八号厚生労働省健康局長通知別添。以下「指針」という。)等において示しているところである。
現行の指針においては、子宮頸がん検診について、細胞診単独法を推奨しているところ、現在、令和元年度版ガイドラインにおいて「推奨グレードA」とされたHPV検査単独法について、厚生労働科学研究費補助金がん対策推進総合研究事業の研究班において、市区町村における実施に係る課題を整理し、検討会において導入に向けた検討を進めているところであるが、令和元年度版ガイドラインにおいて「推奨グレードC」とされた併用法については、現時点で導入に向けた対応は行っていない。また、お尋ねの「HPV検査の併用検診に公費助成の範囲を拡大」の意味するところが必ずしも明らかではないが、市区町村が実施する併用法を含む子宮頸がん検診に係る費用の負担の在り方については、実施主体である市区町村において適切に判断されるべきものであると考えており、また、その判断に当たっては、指針の内容を十分に考慮することが求められると考えている。
また、政府としては、市区町村が子宮頸がん検診の初年度の受診対象者に対するクーポン券の配布等を行う事業に係る費用に対する補助を行っているところ、当該補助については、指針において推奨している検査方法を対象としており、指針において推奨していない併用法については、現時点で当該補助の対象とすることは考えていない。政府としては、引き続き、併用法も含め、子宮頸がん検診の検査方法について、国立がん研究センターとも連携しながら、科学的知見の収集に努めてまいりたい。
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