ことばで探す › 参議院 第112回
地下鉄の防災・安全対策に関する質問
参議院 第112回 第10号
質問本文
地下鉄の防災・安全対策に関する質問主意書
昨年十一月十八日ロンドンの地下鉄で発生した火災は、三十二人の死亡者、数百人の負傷者を出す大惨事となり、地下鉄火災の恐ろしさをまざまざと示した。この事故は、地下鉄網が発達しているわが国の東京をはじめとする大都市の地下鉄事業や地下街の安全対策に多くの教訓と課題を与えている。本年一月より営団地下鉄が終日禁煙にしたことは一定の改善であり、乗客にも喜ばれている。しかしながら、依然として地下鉄の火災予防は万全とはいえない。例えば、一九八三年八月十六日名古屋の地下鉄・栄駅の変電室からの出火により、煙に巻かれた消防隊員二名が死亡する事故が発生している。このように地下の火災は油、塗料、配線被覆、燃えなくてもくすぶると有毒なガスや煙を発生し、たちまち大惨事に発展するおそれがある。また、人的被害は幸いにして少ないものの、今まで軽微なものを含めると、地下街及び地下鉄の火災は多数発生している。
消防庁の資料によれば、昭和五十四年から昭和六十一年までに、地下街における火災は四十九件も発生している。また、地下鉄道における火災件数は、昭和五十二年十二月から昭和六十二年十一月までの十年間に八十六件も発生している。
周知のように地下鉄網が発達したわが国では、朝夕のラッシュ時だけでなく、終日多くの国民が地下鉄を利用しており、火災等の大惨事を未然に防止するために、排煙設備やスプリンクラーの設置をはじめ、日常の災害訓練はもとより万全の安全対策が講じられなければならない。また、必要な保安要員の確保もきわめて不十分である。これは地下鉄事業者はもちろん、政府の責務でもある。
ところが、現状は依然として出入口が一ヶ所しかない駅が長年放置されているなど、安全対策はけつして十分とはいえない。
そこで、以下質問する。
一 ロンドンの地下鉄火災を機会に地下鉄の防災、防火対策について総点検を実施したと思うが、その際明らかになつたさまざまな問題点と教訓、それらに対する対策を明らかにされたい。
二 昭和五十年一月三十日付けの運輸省鉄道監督局長から各陸運局長にあてた通達「地下鉄道の火災対策の基準について」によれば、「新設はもとより、既設の地下鉄も火災対策上二ヶ所以上の避難通路が必要である」としている。ところが現実には、出入口(改札口)が一ケ所しかない地下鉄駅が依然として放置されている。火災時等の避難口の確保ということからも、またホームの安全性という点からも、出入口(改札口)の増設を最優先の課題として早急に実施するよう地下鉄事業者に対し指導すべきであると考えるがどうか。
三 具体的な例をあげると、営団地下鉄銀座線の外苑前駅周辺は、ここ数年の間に『間ビル』『伊藤忠本社ビル』など大型オフィスビルが増えている。その結果、乗降客も営団地下鉄の資料によれば、一九八〇年の一日あたり五万二千七百五人から一九八六年の六万六千九百五人へと大幅に増えている。ところが、ホームは狭く、出入口は一カ所しかないため、朝夕のラッシュ時の混雑はすさまじいものがある。しかも近隣には神宮球場、国立競技場、秩父宮ラグビー場があり、競技があるときには一層混雑を増しており、ホーム転落事故の危険性を絶えず内包している。また、火災発生時には大惨事を招くおそれ大である。多くの利用者が出入口(改札口)の増設、ホーム拡張の署名運動を行つているのも当然である。
ところが営団地下鉄側の計画では、依然として遠い将来の計画になつている。
また、丸ノ内線の中野坂上駅や中野新橋駅、中野富士見町駅、本郷三丁目駅などは改札口が一カ所しかないため、この駅を利用する通勤、通学や主婦、老人など一般乗客は万が一火災等が発生した場合、非常に危険であると不安を訴えている。
このような欠陥ともいえるような駅は、前記通達の趣旨に照らしても、安全対策最優先の立場から一日も早く営団地下鉄に対し、駅の出入口の増設、ホーム拡張や連絡通路の建設など安全対策を早急に行うよう指導すべきであると考えるがどうか。
四 首都東京の中心部を走る銀座線、丸ノ内線は終日乗降客の多い路線である。ところが、これら両線における各駅の排煙設備及びスプリンクラーの設置状況は、運輸省の調査によつても、きわめて不十分であることが明らかになつている。例えば排煙設備の場合、銀座線で十七駅中九駅、丸ノ内線では二十四駅中十六駅が未設置である。
また、スプリンクラーのない駅は銀座線では十七駅中七駅、丸ノ内線は二十四駅中十二駅もあり、排煙設備もスプリンクラーもないという駅は銀座線では七駅、丸ノ内線では十二駅もある。
スプリンクラーなどの設備は、火災の初期には非常に効果があることは周知の事実である。
地下という一種の密室状態での突発事故は、初動時に適切な処置を施さなければ、大惨事になるおそれがある。これら危ない駅は、一刻も早く排煙設備やスプリンクラーを設置し、燃えない近代的な駅に改善すべきである。
鉄道事業者に対し、早急に事業計画を具体化するよう指導を強化すべきであると考えるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
昭和六十二年十一月にロンドンにおいて地下鉄道の火災事故が発生した後、直ちに、国内の地下鉄道の消火設備、避難設備等の火災対策設備の整備状況を調査したところ、昭和五十年一月三十日付けの運輸省鉄道監督局長通達「地下鉄道の火災対策の基準について」が出された後に計画された駅においては、既にこれらの火災対策設備の整備がなされており、また、同通達が出される前に計画された駅においても、建造物の不燃化等がほぼ達成されているなど、一部の設備を除き相当程度整備が進んでいることを確認したところである。
二から四までについて
避難通路、排煙設備、スプリンクラー設備等の整備が十分でない地下鉄道の駅については、従来から早期に改善措置を講ずるよう指導してきており、前記通達の趣旨に沿つて逐次整備が進められてきたところである。これらの火災対策設備の整備については、今後とも引き続き関係鉄道事業者を指導していく所存である。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。