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水環境に関する質問

参議院 第143回 第14号検討してまいりたい ×4

提出者
参議院
提出日
1998年10月16日
内閣転送 1998年10月16日
答弁書受領日
1998年11月13日
提出から28日
答弁の項目数
7
質問 1,589字/答弁 1,611字

質問本文

水環境に関する質問主意書

二十一世紀に向かって持続可能な社会を維持していくため、大量生産・大量消費・大量廃棄社会から循環型社会への転換を図ることが極めて重要な課題となっている。

その中で、水環境又は水循環の問題が本格的に取り組まれてきていない。

水と安全はただという我が国の常識がもたらした水の浪費的使用は、水源地や水辺の環境を大きく変え、また、湖沼、河川、湿地を十分な浄化処理や保全措置を行わずに最終処理場として利用してきたことが、人の健康のみならず、生態系、生物多様性といった根本的な問題に対する影響を深刻なものとする状況をもたらしつつある。

これに対処するためには、水環境及び水循環の保全を循環型社会構築のための大きな課題と位置づけ、人の健康のみならず、生態系、生物多様性の視点から水環境の保全を図り、水源涵養森林など水源地の保全、農業用水、都市用水の利水調整や下水の再利用などの有効利用を進める必要がある。

さらに、このような水環境及び水循環を保全するため、従来の規制による水質汚濁防止対策では十分対応できなかったノン・ポイントソースの汚染排水に対する課徴金制度などの導入、流域単位による水管理制度を創設し、上流、下流の地域交流を深め、経済面、生活面などでの相互依存性を確認し、一体性を確立していくことが求められている。

こうした観点から、水環境行政の目標の核をなす環境基準のあり方について根本的な点検をもとめるとともに、その実現のための政策手段の多様化を図ることが重要であると考える。

そこで、次のことを質問する。

一、環境基準等に関し、次の項目について政府の見解を明らかにされたい。

(1) 欧米では、人の健康の保護の観点のみならず、水生生物の保護の観点からの水質基準も設定されている。我が国でもこのような基準を設定することが必要ではないか。

(2) 人の健康保護についても、有害化学物質だけではなくクリプトスポリジウム等の病原性微生物に係る環境基準の設定が必要ではないか。

(3) 水環境の構成要素である水質、水量、水生生物、水辺地の保全のうち、水質については基準があるが、その他のものについては明確な基準がない。その保全基準や指針等の設定についても積極的に検討するべきではないか。

(4) 水質に係る有害化学物質等についてはその毒性情報等について各省庁や研究所などでばらばらに管理されている。きちんとした情報の交換・共有のシステムをつくり、有害化学物質等に係る効率的なリスク管理の基盤をつくるべきではないか。

二、政策手段の多様化に関し次の項目について政府の見解を明らかにされたい。

(1) 有機性の水質汚濁に関しては、我が国ではこれまで、環境基準の設定と排水規制の実施という規制的手法及び下水道等の整備を大きな柱として水質管理を行ってきたが、特定施設等で規制できる産業系の汚濁対策が進んできた結果、有効な対策手段が少ない農地や道路といった、いわゆるノン・ポイントソースによる水質汚濁対策が相対的に立ち後れてきていると考える。このような分野については、欧米でも見られるような課徴金等の経済的措置などの新たな手法の検討・導入により効果的な対策を行っていく必要があると考えるがどうか。

(2) また、合併浄化槽が普及する一方で、単独浄化槽の設置も根強く行われている現状に鑑みると、特に必要な地域においては、単独浄化槽の設置の禁止など思い切った措置を講ずる必要があるのではないか。

(3) 今後の水環境の効果的な管理を考えると、矢作川沿岸水質保全協議会のような流域を単位とした地元関係者による水管理に係る活動が極めて重要になってくると考える。行政としてこのような流域協議会のような活動を水管理の体系の中に積極的に位置づけていく必要があると考えるがどうか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の(1)について

水質の汚濁については、従来から、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定に基づき、人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境の保全も考慮して生活環境の保全に関する環境基準を定めているところであるが、御指摘の水生生物の保護の観点からの基準の設定に関しては、環境基本計画(平成六年十二月十六日閣議決定)に基づき、水生生物への影響にも留意した環境基準等の目標について、欧米における取組を参考にしつつ、科学的知見の充実を図り、調査検討を推進してまいりたい。

一の(2)について

水質汚濁に係る環境基準(昭和四十六年環境庁告示第五十九号)においては、病原性微生物による水質の汚濁の状況の指標として大腸菌群数に関する基準を定めているところであるが、近年のクリプトスポリジウム感染者の発生等に見られるように、大腸菌群数では評価できない病原性微生物による水質の汚濁が生じていることから、これに対応した環境基準の設定について検討が必要となっている。

このため、環境庁において、現行の環境基準の項目である大腸菌群数と異なる病原性微生物による水質の汚濁の基準について検討しているところである。

一の(3)について

御指摘の水量等の保全基準等の設定については、環境基本計画に基づき、環境庁において、平成七年度から水質、水量、水生生物及び水辺地を含めた水環境の現状を総合的に評価する手法について検討しているところである。

一の(4)について

水質に係る有害化学物質等の毒性等の情報については、これまでも各省庁や研究所の間において情報交換を行っているところであるが、より効率的な情報の交換及び共有化を図っていくことが重要と認識しており、近年整備が進みつつある行政機関内の情報通信網も活用しつつ、より密接な連携を図ってまいりたい。

二の(1)について

御指摘の農地、道路等の非特定汚染源への対策に関しては、農地における肥料施用量の削減に資する緩効性肥料の使用等の推進、道路や市街地における初期雨水を収集、貯留、処理する施設の設置等の新たな対策を導入してきているところであり、これらの対策について、更なる汚濁負荷削減効果の把握、技術開発及び普及に努めてまいりたい。

二の(2)について

厚生省においては、単独処理浄化槽の新規設置が廃止されるよう、従来から、地方公共団体における取組状況を分析して、地域の実情に合わせた対策の推進について指導するとともに、合併処理浄化槽の整備に関する国庫補助制度により合併処理浄化槽の設置を促進しているところである。また、浄化槽製造業者に対しては、単独処理浄化槽の整備の廃止について要請し、これを受けて浄化槽製造業者及びその関係団体において、平成九年九月から、単独処理浄化槽の製造の廃止に向けた自主的な取組が行われているところである。

また、水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律(平成六年法律第八号)においては、合併処理浄化槽の整備に関する事業等を水道原水水質保全事業として位置付け、水道事業者が都道府県に対して合併処理浄化槽の設置等の促進を要請することができること及び要請があった場合に、都道府県は区域を定めて水道原水水質保全事業の促進についての計画を定めるものとされているところである。

今後とも、地方公共団体、関係団体等との協力及び連携の強化を図り、これらの取組を推進するとともに、更に必要な施策について検討してまいりたい。

二の(3)について

近年、御指摘の矢作川沿岸水質保全対策協議会のように、流域の関係者が連携して水環境の管理に取り組む事例が見られるようになってきている。水環境を管理するためには流域単位でその関係者が参加した取組が効果的であり、こうした取組事例を参考としつつ、今後の水環境の管理に係る効果的な施策の在り方について、現在検討しているところである。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

検討してまいりたい ×4

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