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内閣総理大臣の選出と国民主権、憲法第十五条第一項との関係に関する再質問主意書

参議院 第177回 第230号

提出者
参議院
提出日
2011年7月14日
内閣転送 2011年7月20日
答弁書受領日
2011年7月26日
提出から12日
答弁の項目数
5
質問 1,584字/答弁 1,008字

質問本文

政党は、憲法第二十一条に規定する結社の自由を根拠として自律的活動が保障されており、「政治上の意見を同じくする人々が、政治権力に参加して、その意見を実現するために組織する集団」(清宮四郎「法律学全集 憲法Ⅰ〔第三版〕」七十一頁)とも定義される。

しかし、議院内閣制を採用する日本国憲法において、政党が議会と国民とを媒介する政治的役割を果たしてきたことを踏まえれば、公的な機能を担う存在であることを否定できないと考える。

民主党の代表選挙においては、投票権を党員・サポーターに付与しているが、それらの資格に国籍要件を設けていない。また、昨年九月の代表選挙の広報ポスターには、二名の候補者の写真とともに「あなたが選ぶ総理大臣」との文言が掲げられていた。

このようなことから、内閣総理大臣の選出と国民主権、憲法第十五条第一項との関係について、本年六月十五日に質問主意書(質問第一九九号)を提出した。

この質問に対し政府から、「お尋ねは、政党の代表者の選出という政党内の手続に関するものであり、政府としてお答えする立場にない」旨の答弁書(内閣参質一七七第一九九号。以下単に「答弁書」という。)を受領した。この答弁書の内容を踏まえ、以下再質問する。

一 政党助成法、政治資金規正法、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律は、政党が公的な機能を担う存在であることを踏まえ制定されたと考えるが、政府は、政党が公的な機能を担う存在であることを肯定するのか、それとも否定するのか。その理由は何か。

二 政治資金規正法第二十二条の五の規定は、我が国の政治や選挙が外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しようという趣旨で設けられた。この規定は、国民主権、憲法第十五条第一項の規定を担保する意義があると考えるが、政府は、国民主権、憲法第十五条第一項の規定との関係で政治資金規正法第二十二条の五の規定の意義をどのように考えているか。

三 前述の広報ポスターの「あなたが選ぶ総理大臣」との文言は、党員・サポーターが直接内閣総理大臣を選び出すことを想起させるものであり、「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する」との憲法第六十七条第一項の規定に抵触し、適切ではない。

政党が公的な機能を担う存在であることと「あなたが選ぶ総理大臣」との文言を踏まえれば、民主党の代表選挙は、「政党内の手続に関するもの」と割り切ることはできないと考える。政府は、それにもかかわらず、当該代表選挙を「政党内の手続に関するもの」と考えるのか。その理由は何か。

四 昨年九月の民主党の代表選挙で外国人が投票権を行使し得たという事実とその代表が内閣総理大臣に指名されたという事実を踏まえれば、内閣総理大臣の選出過程において外国の勢力によって影響を受けたと考えられるのではないか。このことはまさに国民主権、憲法第十五条第一項の規定に違反すると考えるが、政府の認識はどうであるか。内閣総理大臣の地位の正統性が問われる問題であるので、その理由を併せて示されたい。

五 答弁書には、「なお、内閣総理大臣は、憲法第六十七条の規定により、国会議員の中から国会の議決で、これを指名することとされている」とある。この答弁は、外国人にも代表選挙の投票権を与える政党の代表が内閣総理大臣となることについて、内閣総理大臣自身が国会議員であり、国政選挙において国民による信託を得ているので、国民主権、憲法第十五条第一項の規定に反しないとの政府見解を示すものか。それとも、内閣総理大臣は、国民の信託を得た国会議員の中から国会の議決で指名されるので、国民主権、憲法第十五条第一項の規定に反しないとの政府見解を示すものか。当該答弁の真意を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

最高裁判所は、政党について、昭和四十五年六月二十四日の大法廷判決において、「政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素」であり、「同時に、政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体である」と述べており、政府も同様に考えているところである。

なお、政党助成法(平成六年法律第五号)は、議会制民主政治における政党の機能の重要性に鑑み、国が政党に対する助成を行う制度を創設することとし、これにより政党の政治活動の健全な発達を促進するとともに、その公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することが必要であるとして、政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)は、民主政治の健全な発達に寄与するため、政党等及び公職の候補者等の政治活動の公明を図り選挙の公正を確保することを目的として、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律(平成六年法律第百六号)は、議会制民主政治における政党の機能及び社会的責務の重要性に鑑み、政党が財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務を運営することに資するため、政党交付金の交付を受ける政党等に法律上の能力を与え、政党の政治活動の健全な発達の促進を図り、もって民主政治の健全な発達に寄与することが必要であるとして、それぞれ制定されたものと承知している。

二について

国民主権の原理、憲法第十五条第一項の規定の趣旨にのっとり定められている我が国の選挙制度等の下で、政治資金規正法第二十二条の五の規定は、我が国の政治や選挙が外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止する機能を有するものと考えている。

三について

現行の法令において、政党の代表者の選出の手続を定める規定はなく、その手続は当該政党に委ねられているものであることから、政党の代表者の選出についてのお尋ねは、政党内の手続に関するものであると考える。

四について

内閣総理大臣は、憲法及びその下の法令の規定に基づいて、国民が選挙により選出した国会議員の中から国会の議決で指名されるものであり、「国民主権、憲法第十五条第一項の規定に違反する」との御指摘は当たらないものと考えている。

五について

御指摘の答弁部分は、憲法第六十七条が内閣総理大臣の指名について規定しており、同条に基づき内閣総理大臣が指名されることをお示ししたものである。

参議院の原文

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