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震災対策に関する質問
参議院 第80回 第26号検討してまいりたい ×1
質問本文
震災対策に関する質問主意書
現在、関係研究機関や専門学者の多くが、東海および関東地方に、比較的近い時期に、一九二三年関東地震のような巨大地震の再来があるだろうと指摘し、また、直下型地震の可能性についても警告されており、過密地帯、コンビナート地帯をかかえる埼玉、千葉、東京、神奈川など南関東一円の地域では、このような地震が発生した場合の甚大な被害が心配されている。
神奈川県防災会議の試算した被害想定によれば、関東地震と同じ規模の地震が発生すれば、神奈川だけでも木造建物の五一・三%、七〇万棟近くが倒壊し、同じく五六・六%、七六万棟が焼失し、罹災者数は全県民の七九・三%、五〇八万人に達するものとみられている。さらに関東震災時とくらべて、大都市における人口の激増、高層建築物の増大、自動車交通の激増と渋滞等の悪条件が加重され、また、工場施設の増大、とりわけ石油コンビナート施設の激増は火災、爆発、化学作用等の二次災害をきわめて大きいものとする要因となつている。
これら予想される災害の被害を最少限にくいとめるために、国と地方自治体の地震対策の根本的な強化がつよく求められており、とくに、巨大地震発生の可能性が時間の経過とともにつよまる事態のもとで、まず住民の安全を確保するための避難地や避難道路の整備、コンビナート地帯の防災遮断帯整備、老朽校舎の改築、消防体制の強化などは、とりわけ緊急なものとなつている。
しかし、これらの対策は、都市の改造ともふかくかかわり、逼迫した地方財政の手にあまる巨額の経費を必要とするため、各地方自治体の努力にもかかわらず、その実施はきわめて困難な状況にある。このような状況を打開するために、関東各都県知事や川崎、横浜をふくむ大都市の各市長が、国費の大幅な増額、特別法の早期制定など震災対策の強化をつよく国に要望しているのは道理のあることである。
本来、国民の生命をまもることは国政上の基本であり、なによりも優先されなければならない。まして、今日の大都市圏における震災の危険性の増大は、人口と産業の集中、都市の巨大化と過密の進行、災害によわい都市の形成など国の高度成長政策のもとでつくり出されてきたものであり、震災対策の責任が第一に国にあることは明白である。
今日の緊急事態にそなえて、政府が必要な制度の改革、思い切つた国庫支出の増大など震災対策を抜本的に強化しなければならないことは、災害対策基本法の「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」(第三条)とする主旨からしても当然である。
そこで、以下の事項について質問する。
一 中央防災会議に、震災対策を専門で担当するため関係省庁職員、専門委員(地質、地理、土木、建築、耐震、都市計画、交通、通信、コンビナート保安などの専門家)と関係地方公共団体職員で構成する大都市震災対策部会(仮称)を設け、国と地方が一体となつて防災の計画、実施の推進を図るべきであると考えるがどうか。
二 国は、避難広場、避難道路の整備、コンビナート防災遮断帯の整備、学校、病院その他の重要施設の補強、初期防火体制の強化などをふくむ都市防災事業五ケ年計画(仮称)を策定し、人命の安全にかかわる事業の緊急かつ計画的な実施を図るべきであると考えるがどうか。
三 避難広場を確保するための用地取得にあたつては、現行三分の一の国庫補助率を三分の二に引上げ、避難広場周辺や避難道路沿道の耐震化、不燃化を促進する補助制度の創設など緊急の特別措置を講ずるべきであると思うがどうか。
四 防災遮断帯整備は巨額の経費を要し、横浜市と川崎市だけで一兆九千億円といわれており、現行制度による国の補助事業では事業の早期完成は不可能である。「石油コンビナート等災害防止法」を抜本的に改正し、防災緑地の実施地域の拡大、原因者である企業負担の引上げ、国の補助率の引上げを行うなど地方自治体の負担を軽減するとともに、とくに京浜コンビナートの防災遮断帯については特別の財政措置を講ずる必要があると思うがどうか。
五 自然科学、社会科学の両面から地震をふくむ災害防止を総合的に調査研究する国立の防災総合研究機関を新設するつもりはないかどうか。また、地域の自然的、社会的条件に応じた防災研究、防災体制の強化、防災関係技術者の養成などのために、人口密集地帯、コンビナート地帯、災害常襲地帯をかかえた都道府県には、この研究機関の地域研究機関を設けてはどうか。
六 災害対策の中心は未然防止でなければならない。震災で甚大な被害の予想される人口密集地域の防災対策は緊急に強化する必要がある。そのために、防災のための民主的な都市改造、防災救援体制の確立、総合的な補助制度の創設と国の大幅な財政支出等を内容とする「大都市防災対策特別措置法」を早急に制定すべきであると考えるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の大都市震災対策部会(仮称)の設置については、現在、中央防災会議事務局に設置されている関係省庁の担当職員から成る大都市震災対策連絡会議等を中心に、関係地方公共団体とも密接な連携を図り、各種防災計画の策定及び実施の推進を図つているところである。
二について
都市防災化事業の推進等については、地震対策緊急事業計画に基づく避難広場、避難道路の整備等を始めとし、緊急度の高いものから計画的な推進を図つているところであるが、今後とも一層の努力を続けてまいりたい。
三について
避難広場の確保及び周辺建築物の不燃化等については、公園事業及び市街地再開発事業の実施、防火地域の指定等現行制度を組み合せ、積極的に対処することによつて一層推進するよう努力してまいりたい。
四について
石油コンビナート等災害防止法により緩衝緑地を整備する場合、三分の一の事業者負担が課せられ、残りの事業費についても通常の緑地整備に比べ国庫補助率が高く、地方公共団体の負担が軽減されることになつており、また、公害防止対策事業として必要な緩衝緑地を整備する場合についても公害防止事業費事業者負担法による事業者の負担及び公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律による地方公共団体の負担軽減措置が講じられることになつている。
防災上必要な緩衝緑地については、右の制度を活用することにより、その整備に努めてまいりたい。
五について
防災科学技術の研究については、関係各省庁の試験研究機関において、それぞれの所掌に応じ、特色を生かしつつ、これを進めている。また、大学においても関連の基礎研究を進めている。特に、国立防災科学技術センターにおいては、関係機関との協力のもとに、自然科学的な研究のみならず、防災科学技術と災害に関する社会的事象等の分析結果との総合的研究も含め、幅広い研究を進めるとともに、大型共同研究施設の整備、共同研究の実施、資料の収集、提供等を通じて、関係機関における災害対策研究の総合的な促進を図つている。
また、御指摘の地域に即応した研究については、各研究機関において、諸地域の具体的な問題解決に役立つ研究に重点を置き、地域性を加味して研究を行つている。
今後とも、関係都道府県等と連絡を密にしつつ、必要な研究を推進していく所存である。
六について
都市地域の防災対策の強化のためには、現行諸制度を有効に活用して計画的に対処していくことが必要であると考えている。
なお、これらの施策の推進に当たり、対処する必要がある問題が生じてきた場合には、必要な措置を検討してまいりたいと考えている。
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