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教科書の検定と採択制度及び其れに関する問題についての質問主意書
衆議院 第112回 第34号
質問本文
衆議院議長 原 健三郎 殿
教科書の檢定と採擇制度および其れに關連する問題についての質問主意書
戰後我が國の教育制度はアメリカ教育使節團の助言により改革されて以來、憲法と教育基本法に則りつつも數次の改變を加へられ今日に至つてゐる。ことに先般の臨時教育審議會の答申は多くの示唆に富むと雖も、なほ充たざるもの少しとせず、最も中心的課題たる「教科書の檢定及び採擇制度」とその運用については、抜本的な改革が急がれてゐるとの所信に基づき政府の見解を質したい。
仍つて質問する。
一 教科書檢定制度とその運用について
(一)教科書檢定基準のうち、昭和五十七年、中國よりの指摘により檢討し追加された�N「近隣のアジア諸國との間の……國際理解と國際協調」の項を廢止される考へはないか。
(二) 文部省及び檢定官が國の教育方針に基づいて記載を要するとした記述が原稿本に缺落してゐる場合にあつては、之を記述するやう、著者に對し積極的に勸告できる道を開くべしと考へるが政府の所見如何。
(三) 先年の、日本を守る國民會議編「新編日本史」の檢定に際して經驗した、總理大臣、外務大臣など、文部省以外の機關が檢定に關して指示又は助言など影響力を行使し得ないやう排除の規定を加へるべきと思ふが所見如何。
(四) 近現代史等の記述においては、世上行はれてゐる有力な學説、見解等については、その代表的所論を併記し、以つて子弟をして中正廣汎な學識を養はしめるべきと思ふが所見如何。
二 教科書の採擇制度について
(一) 最近教科書採擇をめぐる不祥事、又は不正、壓力、妨害等が多發してゐる事實に鑑み、これらのことの再び生じないやう制度を改善される用意はないか。
(二) 右については、殊に地方教育委員會の質的強化と、右の如き事件につき罰則を定めることが必要と思ふが所見如何。
三 指導要領について
(一) 指導要領の改定の有無。改定ありとすればその骨子を示されたい。
(二) 國語教育において常用漢字、現代假名遣ひにこだはらず廣く正統漢字及び正假名遣ひを學ばしめるやう改める考へはないか。
四 教育基本法について
(一) 教育基本法を改定される用意はないか。
(二) 教育基本法において比較的に問題とされ、將來檢討される可能性ありと思はれる點はいづれか。
右質問する。
政府答弁書
一について
(一) 御指摘の教科用図書検定基準の項は、日韓共同コミュニケ及び日中共同声明の精神を尊重する立場に立つて発表された昭和五十七年八月二十六日の「『歴史教科書』についての官房長官談話」の趣旨を受け、教科用図書検定調査審議会の答申に基づき設けられたものであり、現在、この項を廃止することは考えていない。
(二) 教科書検定は、教科書の記述が、教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)に定める教育の目的及び方針並びに学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に定めるその学校の目的及び学校教育の目標に一致したもの、学習指導要領にのつとつたもの、客観的かつ公正なもの、児童・生徒の理解力など心身の発達段階に照らして適切な教育的配慮が施されたものとなるようにとの立場から教科用図書検定基準に基づき行つているところであるが、文部大臣は、原稿本審査合格の条件として、修正意見を付することができることとされている。
(三) 御指摘の原書房発行の「新編日本史」教科書の検定に際しては、内閣総理大臣から文部大臣に対して、昭和五十七年の官房長官談話の趣旨に配慮して適切に行うようにとの一般的な指示が行われ、また、外務省からも右官房長官談話の精神を踏まえ検定作業が行われることが必要であるとの考え方が伝えられ、右官房長官談話の趣旨に対する配慮を更に深めて文部大臣が本件教科書の検定を実施したものである。
教科書検定については、従来から、法令の規定による文部大臣の権限に基づき、適切に実施してきているところである。
(四) 歴史教科書の検定においては、広く受け入れられている学問研究の成果に基づき記述されているかどうかという観点から審査を行つており、必要な場合は、児童・生徒の発達段階に即して、多様な考え方があることを理解させる記述となるよう配慮しているところである。
二について
教科書の採択については、臨時教育審議会の「教育改革に関する第三次答申」の趣旨も踏まえ、本年度、学識経験者等の協力を得て教科書採択の在り方に関する調査研究を行い、適切な採択の在り方について検討することとしている。
また、教科書の採択は、都道府県教育委員会及び市町村教育委員会が、それぞれの権限と責任に基づき、適正かつ公正に行うべきものであり、その職務の適切な執行を妨害する行為等により採択結果が左右されることのないよう適切な対応がなされなければならない旨指導しているところである。
なお、現在、御指摘のような罰則を設けることは考えていない。
三について
(一) 学習指導要領については、昭和六十二年十二月の教育課程審議会の答申を受けて、現在、改訂のための検討を行つているところであり、小学校及び中学校については昭和六十三年末を目途に、また、高等学校については昭和六十四年春ごろに、それぞれ告示する予定である。
(二) 小学校、中学校及び高等学校の国語科の教科書において、仮名遣いについては、現代口語文においては「現代仮名遣い」(昭和六十一年内閣告示第一号)を用いることとし、文語文においては原則として歴史的仮名遣いを用いることとしている。また、漢字については、使用する漢字の範囲及びその使用法は「常用漢字表」(昭和五十六年内閣告示第一号)によることとし、原典をそのまま載せる必要がある場合などにはこれによらないことができることとしている。これらの扱いについては、現在、適切なものと考えている。
四について
教育基本法は、我が国の教育の理念と基本原則を定めたものであり、今日、広く定着しているところである。現在、教育基本法の改正を行うことは考えていない。
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