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原子力損害賠償法に関する質問主意書
衆議院 第200回 第128号お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×7仮定の質問 ×1
質問本文
東京電力ホールディングス株式会社(以下、「東電」という)の福島原子力発電所事故による損害賠償と損害損失は、現時点で二十二兆円と見積もられている。これらの負債にかかわらず、原子力損害の賠償に関する法律(以下、「原賠法」という)第七条(損害賠償措置の内容)と第十六条(資金の援助)に基づき成立した原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(以下、「支援機構法」という)の原子力損害賠償交付金(以下、「交付金」という)等による対応により東電は事業継続している。
支援機構法第四十一条(資金の申込)第一項の一には「当該原子力事業者に対し、要賠償額から賠償措置額を控除した額を限度として、損害賠償の履行に充てるための資金を交付すること(以下「資金交付」という。)」と書かれている。
そして、二〇一六年十二月二十日に閣議決定された「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(以下、「閣議決定」という)では、二十三頁の注十二で「現時点において、・・・交付国債の発行により対応すべき費用としては、被災者・被災企業への賠償費用は約七.九兆円程度、除染特措法に基づく除染の費用は約四.〇兆円程度(・・・補償金約〇.二兆円による充当分を除いた額)、中間貯蔵施設の費用は約一.六兆円程度と見込まれる。これらを踏まえ、・・・交付国債の発行限度額(現行九兆円)を十三.五兆円に引き上げる。」とされている。
同じく閣議決定の二十四頁では「交付国債の償還費用の元本分は、原子力事業者の負担金を主な原資として、支援機構の利益の国庫納付により回収される。」と書かれている。さらに二十六頁では、「被災者・被災企業への賠償については、電力自由化が進展する環境下における受益者間の公平性や競争中立性の確保を図りつつ、国民全体で福島を支える観点から、福島第一原発の事故前には確保されていなかった分の賠償の備えについてのみ、広く需要家全体の負担とし、そのために必要な託送料金の見直し等の制度整備を行う。」となっている。
これらの法令等の適用、解釈、運用などの確認のため以下質問する。
一 交付金は、要賠償額から賠償措置額を控除した額を限度として交付すると規定されている。支援機構法上で規定される要賠償額とは、現時点では損害賠償費用七.九兆円、除染の費用四.〇兆円、中間貯蔵の費用一.六兆円の計十三.五兆円ということか。費用が違うとすればいくらになるか明らかにされたい。
二 閣議決定では、被災者・被災企業への賠償費用、除染費用、中間貯蔵施設の費用を十三.五兆円の交付国債で対応するとしている。原賠法上、除染費用、中間貯蔵施設の費用は、損害賠償費用といえるのか。損害賠償費用であるとすれば、原賠法上の法的根拠は何によるのか示されたい。また、除染費用、中間貯蔵施設の費用は、損害賠償費用ではなく損害損失費用であり、損害保険でカバーするべき費用ではないのか。政府の見解を示されたい。
三 原子力損害賠償補償契約に関する法律(以下、「補償契約」という)に基づき東電に支払われた補償金は、福島第一原子力発電所分千二百億円、福島第二原子力発電所(以下、「福島第二原発」という)分六百八十九億円が支払われているが、福島第二原発から原賠法の賠償対象となる放射性物質の放出はあったのか。放射性物質の放出がないとすれば、福島第二原発への補償金六百八十九億円は、何に対して、何を根拠として支払われたのか。何故、福島第二原発の支払い補償金は千二百億円ではなく六百八十九億円なのか。
四 支援機構法第四十一条にのっとれば、要賠償額から賠償措置額千八百八十九億円を控除した十三.五兆円は、原賠法第六条の損害賠償措置の不足額との認識で良いか。
五 損害賠償措置に必要な要賠償額を、仮に十三.五兆円とするならば、賠償措置額千二百億円は、少なくとも十三.五兆円にしなければ、原賠法第六条(損害賠償措置を講ずべき義務)のいう損害賠償措置は担保されないのではないか。担保されるとするのであれば、その理由を示されたい。
六 賠償措置額千二百億円を見直さない理由を示されたい。
七 政府の補償契約の補償金額を十三.五兆円に見直すことにより、損害賠償措置は担保されると言えるのではないか。その見直しができないのであれば、損害賠償措置が担保されているとは言えず、原子力損害賠償法に基づき、原発を運転することはできないのではないか。政府の見解を示されたい。
八 現時点での東電の事故炉等処理費用は八兆円と見積もられている。原子力施設、設備などの損失をカバーする原子力財産保険があるが、今回、東電は原子力財産保険に加入していたのか。加入していなかったとすれば、その理由は何か。明らかにされたい。また、加入していたならば、今回、原子力財産保険から東電に保険金はいくら支払われたのか。加えて、現在、東電は原子力財産保険に加入しているのか。加入していないとすれば、その理由は何か。政府として承知していることを明らかにされたい。
九 原子力事業者で二〇一一年以前に原子力財産保険に加入していた事業者はどこか。また、二〇一一年以降に加入した事業者はあるか。政府として承知していることを明らかにされたい。
十 二〇一一年の福島原発事故後に、原子力財産保険の保険料及び保険金は見直されたのか。政府として承知していることを明らかにされたい。
十一 原子力事業者が八兆円の負債を抱えて法的整理した場合、誰が事故処理等をするのか。原子力損害損失に対してはどのような措置をとることとなっているのか。原賠法とは別に原子力財産保険等の損害損失保険の制度化が必要なのではないか。政府の見解を示されたい。
十二 東電の事故炉等処理費用八兆円は、送配電事業の超過利潤を廃炉等積立金として積み立てられており、電力消費者が負担させられているが、これは本来、原子力財産保険で対処されるものではないか。政府の見解を示されたい。
十三 閣議決定において「交付国債の償還費用の元本分は、原子力事業者の負担金を主な原資」にするとしている。これは「東電への交付金の返済は負担金で行う」との理解で良いか。また、「交付国債の償還費用の元本分」とは、交付金十三.五兆円との理解で良いか。
十四 東電には交付金の返済義務はあるのか。東電に交付金の返済義務があるとすれば、東電は交付金を特別利益として計上することは出来ないのではないか。反対に、東電に交付金の返済義務がないとすれば、閣議決定の「交付国債の償還費用の元本分は、原子力事業者の負担金を主な原資」とすることはできないのではないか。政府の見解を示されたい。
十五 支援機構の交付国債の償還費用を負担金で回収するということは、実質的に東電の損害賠償交付金十三.五兆円の返済を東電以外の原子力事業者も負担することになる。なぜ、東電と利害関係のない他原子力事業者が東電の負債である損害賠償費用を分担負担しなければならないのか。また、東電の負債である損害賠償費用を東電以外の原子力事業者が負担することは、原賠法第四条(責任の集中)に抵触するのではないか。政府の見解を示されたい。
十六 現時点での交付国債十三.五兆円の負担金による回収は何年間になる見通しか。その間、原子力事業者が法的整理、統合などがされた場合、負担金の分担負担はどうなるのか。政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成二十三年法律第九十四号。以下「機構法」という。)第四十一条第一項に規定する要賠償額は、令和元年九月二十六日時点で、十一兆三千五百三十四億千七百万円と承知している。
二について
お尋ねについては、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(平成二十八年十二月二十日閣議決定。以下「基本指針」という。)における「除染・中間貯蔵施設事業の費用」は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号。以下「放射性物質汚染対処特措法」という。)第三十条の規定に基づく除染等の措置等の実施等に要するものであり、これらは、放射性物質汚染対処特措法第四十四条の規定に基づき、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号。以下「原賠法」という。)第三条第一項の規定により関係原子力事業者(放射性物質汚染対処特措法第二条第一項に規定する関係原子力事業者をいう。)が賠償する責めに任ずべき損害に係るものとして、当該関係原子力事業者の負担の下に実施されるものである。
また、「除染費用、中間貯蔵施設の費用は、損害賠償費用ではなく損害損失費用であり、損害保険でカバーするべき費用ではないのか」とのお尋ねについては、「損害損失費用」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
三について
平成二十四年七月二十三日付けの「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」の最終報告により、東京電力株式会社の福島第二原子力発電所(以下「福島第二原子力発電所」という。)からの放射性物質の放出はなかったと認識しているが、原賠法第二条第二項に規定する原子力損害は、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用(これらを摂取し、又は吸入することにより人体に中毒及びその続発症を及ぼすものをいう。)により生じた損害であり、放射性物質の放出の有無にかかわらず、相当因果関係がある限り、原子力損害となる場合がある。
その上で、福島第二原子力発電所の事故に係る補償金は、原子力損害賠償補償契約に関する法律(昭和三十六年法律第百四十八号)に規定する原子力損害賠償補償契約に基づき、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第十五条第三項に規定する避難のための立退き等の指示等に伴う住民の避難の損害等を東京電力株式会社が賠償することにより生ずる損失に対する補償として、東京電力株式会社に支払われたものである。
さらに、御指摘の「福島第二原発への補償金六百八十九億円」については、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所(以下「福島第一原子力発電所」という。)の事故と福島第二原子力発電所の事故に係る避難指示区域の一部の重複、福島第二原子力発電所に係る避難指示期間、福島第一原子力発電所における事故の影響度合い等を考慮し、福島第二原子力発電所における事故に起因した避難指示等に伴う損害等について算出を行ったものである。
四について
お尋ねの「原賠法第六条の損害賠償措置の不足額」の意味するところが必ずしも明らかではないが、原賠法第七条第一項に規定する賠償措置額として東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)が受領している金額を控除した金額は、令和元年九月二十六日時点で、十一兆千六百四十四億九千三十三万円と承知している。
五から七までについて
お尋ねの「賠償措置額千二百億円を見直さない理由」の意味するところが必ずしも明らかではないが、原賠法第七条第一項に規定する賠償措置額については、国際水準に照らして十分高い水準であること、原子力損害賠償責任保険に係る国内外の保険市場の動向に照らして引上げが困難な状況にあること等を勘案した結果、平成三十年の原賠法改正時においては、当該賠償措置額については見直しを行わないと判断したためである。
また、お尋ねの「損害賠償措置は担保されない」及び「損害賠償措置が担保されている」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、原賠法第十六条には、原子力事業者(原賠法第二条第三項に規定する原子力事業者をいう。)が原子力損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額を超えたときに政府は援助を行うことが規定されており、同条を具体化した機構法においては、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下「機構」という。)が、原子力事業者(機構法第三十八条第一項に規定する原子力事業者をいう。以下同じ。)から負担金を徴収するとともに一定期間をかけて国庫に納付することを前提に、原子力損害の賠償のための資金を交付する等の仕組みが整備されており、損害を賠償するために必要な資金は確保できることとされている。
八から十まで及び十二について
お尋ねの「原子力財産保険」は、民間企業の経営判断に基づく私契約によるものであると承知しており、政府としてお答えする立場にない。なお、御指摘の「東電の事故炉等処理費用八兆円は、送配電事業の超過利潤を廃炉等積立金として積み立てられており、電力消費者が負担させられている」との点については、国民負担を最大限抑制する観点から、廃炉・汚染水対策は、原則として、東京電力によるグループ全体での総力を挙げた合理化等で必要な資金を確保することとしていると承知している。
十一について
お尋ねの「原子力事業者が八兆円の負債を抱えて法的整理した場合、誰が事故処理等をする」、「原子力損害損失」及び「損害損失保険」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
十三の前段及び十四について
お尋ねの「交付金」が意味するところが必ずしも明らかではないが、基本指針において「交付国債の償還費用の元本分は、原子力事業者の負担金を主な原資として、支援機構の利益の国庫納付により回収される」こととしている。また、東京電力は、機構法第四十一条第一項第一号の規定に基づいて交付された資金については、機構に対する返済の義務を負っていないが、当該返済の義務の有無にかかわらず、原子力事業者は、機構法第三十八条第一項の規定に基づき、機構に対して負担金を納付する義務を負っており、基本指針は、当該負担金を主な原資として、機構の利益の国庫納付により、交付国債の償還費用の元本分を回収する旨を定めたものである。
十三の後段について
お尋ねの「交付金」が意味するところが必ずしも明らかではないが、「交付国債の償還費用の元本分」は、機構法第四十九条第二項の規定に基づき政府が償還した金額である。
十五について
全ての原子力事業者が機構に対して負担金を納付する義務を定める機構法第三十八条第一項の規定は、損害賠償に備えた原子力事業者の相互扶助の考えに基づいたものであるが、福島第一原子力発電所の事故による損害を賠償する直接的な責任を東京電力以外の原子力事業者に負わせるものではないことから、「原賠法第四条(責任の集中)に抵触するのではないか」との御指摘は当たらないと考える。
十六について
お尋ねの「負担金」の額は、機構が運営委員会の議決を経て事業年度ごとに定めることとしており、「回収は何年間になる見通しか」についてお答えすることは困難である。また、お尋ねの「原子力事業者が法的整理、統合などがされた場合、負担金の分担負担はどうなるのか」については、仮定の質問であり、お答えすることは困難である。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×7仮定の質問 ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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