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待機児童の定義及びその解消のあり方に関する質問主意書
衆議院 第204回 第78号趣旨が明らかではない ×3
質問本文
少子化が進む我が国にとって、保育の受け皿を整備し待機児童を解消させることは社会における最重要課題である。政府は平成二十九年に「子育て安心プラン」、さらに令和二年に「新子育て安心プラン」を策定し、保育の受け皿を整備し、できるだけ早く待機児童を解消することを目指し対策を行っていると承知している。
一方、国が行う待機児童数調査に関して、各自治体に保育課長名で通知する「保育所等利用待機児童数調査要領」によると、登園可能な保育所の情報提供を行ったにもかかわらず、特定の保育所を希望し待機している場合は、待機児童数には含めないこととされている。さらに、登園可能な保育所とは、具体的には「例えば、通常の交通手段により、自宅から二十〜三十分未満で登園が可能など」と記載されている。このような除外類型等があることで、子育て世帯の通園等の保育環境の実態把握が困難となり、かえって待機児童の解消に支障をきたしているのではないか強い懸念がある。以上の問題意識を基に、令和三年二月二十六日の衆議院予算委員会第二分科会の質疑内容も踏まえつつ、質問する。
一 国は「自宅から二十〜三十分未満」の保育所を登園可能と定義する通知について、「あくまで例示」としているが、自治体は事実上この定義に基づき待機児童数を集計しているのではないか。自治体における集計の際の判断としてどの程度「例示」に基づいているか、国における把握の有無と国の現状認識を問う。
二 国はあくまで例示とするが、登園可能な保育所を「自宅から二十〜三十分未満」と記載しているのは、国が保護者の朝夕の往復一時間程度の送り及び迎えの負担を妥当と判断しているためということでよいのか、認識について質問する。
三 「自宅から二十〜三十分未満」の保育所は、地域や移動手段、保護者の通勤状況によっては、保護者に多大な負担がかかる場所に立地する場合もあると考えられる。こうした送り及び迎えの負担が理由で自治体から案内された保育所を保護者が断念する場合は、現行の保育課長通知「保育所等利用待機児童数調査について」によれば、待機児童数に集計されない。政府は、待機児童数は「同じ物差しで見ていったときに確実に減少している」と通知の効用を認める一方、「あくまで例示」「柔軟に解釈していただくことは可能」とも答弁している。この矛盾した状況を解決するために、国は例示において時間のみ具体的に記載する規定を改めて、保護者の負担に配慮を行い、より妥当な基準を複数例示する形に変えてはどうか。お尋ねする。
四 政府は現行の待機児童数調査に集計されない、いわば隠れた待機児童の解消について、「この定義とはまた別に、個別補助金等々で手当てをしていく」「政策の中で考えていきたい」としているが、補助金や政策のあり方ではなく、国の通知に基づく待機児童数調査による実態把握の精度そのものに原因があると考える。保護者の送迎負担の観点から往復一時間以内であれば妥当とする現実的ではない基準で待機児童数の調査が行われ、数値が保護者の実感とも乖離して出る限り、自治体は真の待機児童の実態把握が困難となる。結果として保育ニーズに十分に対応できていない現状があるのではないかと考えられる。以上より、改めて登園可能な保育所の例示のあり方を示した保育課長通知を見直してはどうか、政府の認識を問う。
五 国は通知の見直しを行わない場合であっても、保護者の実態に寄り添った真の待機児童の解消にあたっては、国の通知を基準に待機児童数を集計し、「待機児童数ゼロ」を目的化して内外に示すだけでは自治体としても保育環境を改善できない。現状待機児童には含まれず、「特定の保育所等を希望する者」としてしか把握されない方々のニーズにもきちんと対応すべきである旨、自治体に重ねて通知する必要があると考えるが、政府の見解を問う。通知の見直しを行わない場合には、あわせて「あくまで例示として国の方でお示しをしているもの」「柔軟に解釈いただくことは可能」の旨も通知するべきと思うが、お尋ねする。
六 政府として、待機児童数調査は集計上の待機児童ゼロが目的ではなく、実態を表に出し、保育環境を良くすることが目的と考えているということでよいか。質問する。
七 待機児童解消には、国の通知の問題のみならず、いかに地域の保育ニーズを踏まえ、保育所を計画的に増設するか考えることも重要である。豊田市のケースでは近年マンションを中心に子育て世帯の流入人口が多い地区に集計上の「特定の保育所等を希望する者」が偏る傾向があり、自治体が都市計画の段階より、将来の保育ニーズを踏まえた街づくりをする必要がある。しかしながら、今後、人口減少等により保育ニーズが減少することも想定されることから、積極的な設備投資を見送る自治体の現場の事情も推察できる。役割を終えた保育施設を将来、例えば介護施設に転用して有効活用することも考えられるが、施設類型によって施設基準が異なるため、柔軟な許認可に至らないケースも想定される。自治体が躊躇なく今ニーズのある保育施設を拡充するための国の支援として、将来保育施設の定員に空きが出た時の施設の有効活用等の支援策として何が考えられるか、例示願いたい。その際、財政支援及び規制緩和の観点から自治体は国に何を期待できるのか、方向性も併せてお示し願いたい。
八 政府の進める「新子育て安心プラン」はできるだけ早く待機児童の解消を目指すとしているが、具体的に国はどのような施策を行う予定なのか。とりわけ国の通知を基にした待機児童数調査では捉えきれない潜在的待機児童を少しでも減らすための施策としてどのようなものを想定しているのか。子育て世帯が流入する地域には特に計画的な認可保育所の増設が求められている。国は各地域の実態を把握し、都市計画の段階から自治体と協力して財政支援を含め保育所の増設を後押ししてはどうか。それぞれ政府の見解を問う。
右質問する。
政府答弁書
一について
全国の保育所等の待機児童数を把握するための調査(以下「保育所等利用待機児童数調査」という。)における待機児童数から除く児童の取扱いについては、「保育所等利用待機児童数調査要領」(令和二年三月十六日付け子保発〇三一六第一号厚生労働省子ども家庭局保育課長通知別紙。以下「調査要領」という。)において示しているとおり、「保護者の意向を丁寧に確認しながら、他に利用可能な保育所等の情報の提供を行ったにも関わらず、特定の保育所等を希望し、待機している場合」等を待機児童数に含めないこととした上で、「他に利用可能な保育所等」について、「立地条件が登園するのに無理がない」ことをその要件の一つとしているところ、当該要件に該当するかは「地域における地理的な要因や通常の交通手段の違い等を考慮した上で、通勤時間、通勤経路等を踏まえて判断する」こととしており、「例えば、通常の交通手段により、自宅から二十〜三十分未満で登園が可能」との記載は、当該要件の例示として示しているにすぎず、各地方公共団体は、当該例示のみによらず、地域における地理的な要因や通常の交通手段の違い等を考慮した上で、通勤時間、通勤経路等を踏まえて、当該要件に該当するかを判断した上で、待機児童数を把握しているものと認識している。
二について
御指摘の「自宅から二十〜三十分未満」の記載は、一についてでお答えしたとおり、「他に利用可能な保育所等」についての要件の一つである「立地条件が登園するのに無理がない」ことの例示にすぎず、保護者の「送り及び迎えの負担」の程度に関する一律の解釈を示したものではない。
三から五までについて
御指摘の「より妥当な基準」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「自宅から二十〜三十分未満」の記載は、一についてでお答えしたとおり、「他に利用可能な保育所等」についての要件の一つである「立地条件が登園するのに無理がない」ことの例示にすぎず、調査要領においても、各地方公共団体は、地域における地理的な要因や通常の交通手段の違い等を考慮した上で、通勤時間、通勤経路等を踏まえて当該要件に該当するかを判断するものであることを明示しているところである。また、待機児童数に含めない児童についても、保護者の保育ニーズに応じた適切な保育の提供が重要であることから、厚生労働省においては、各地方公共団体に対し、令和三年一月の全国厚生労働関係部局長会議において、同年四月一日時点の保育所等利用待機児童数調査について「各市区町村におかれては、引き続き、保護者に「寄り添う支援」の実施等により保護者のニーズを丁寧に把握」するようお願いしているところである。
六について
保育所等利用待機児童数調査は、待機児童数等を把握することを目的として行っているものである。
七について
お尋ねの「財政支援及び規制緩和の観点から自治体は国に何を期待できるのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「厚生労働省所管一般会計補助金等に係る財産処分承認基準」(平成二十年四月十七日付け雇児発第〇四一七〇〇一号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知別添一)において、「急速な少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化に対応するとともに、既存ストックを効率的に活用した地域活性化を図る」ため、保育所等の廃止等に際して必要となる児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第五十六条の四の三第二項に規定する交付金に係る「財産処分」について、「経過年数が十年以上である施設等」を他の社会福祉事業等に使用する場合には、「国庫納付に関する条件を付さずに承認する」ものとすること等を示しているところである。なお、御指摘の「人口減少等により保育ニーズが減少」している地域への対応については、令和二年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「人口減少地域等における保育に関するニーズや事業継続に向けた取組事例に関する調査研究」において、地域の保育ニーズに対応した保育の受皿の確保や安定的な保育所等の運営に向けた取組に関する事例等を把握し、各地方公共団体に周知することとしている。
八について
お尋ねの「待機児童数調査では捉えきれない潜在的待機児童」及び「都市計画の段階から自治体と協力して財政支援を含め保育所の増設を後押し」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和二年十二月二十一日に公表した「新子育て安心プラン」においては、令和三年度から令和六年度までの四年間で約十四万人分の保育の受皿を整備するほか、地域の特性に応じた支援、魅力向上を通じた保育士の確保及び地域のあらゆる子育て資源の活用について各種取組を推進し、できるだけ早く待機児童を解消することを目指すこととしている。また、「大規模マンションにおける保育施設の設置促進について」(平成二十九年十月十八日付け子保発一〇一八第一号・国都計第七十五号・国住街第百十五号厚生労働省子ども家庭局保育課長並びに国土交通省都市局都市計画課長及び住宅局市街地建築課長連名通知)において、各地方公共団体に対し、「容積率緩和の特例措置を活用しようとする大規模マンションの建設時には、特に保育施設に対する局所的な需要増が生じる可能性があることから、周辺地区の状況を含めた保育施設の必要性の有無、必要な規模等について検討し、建設に関する都市計画の立案時点や、総合設計制度等の許可申請時点から、都市計画部局、建築部局及び保育部局で連携し、情報共有に努めること」等について要請しているところである。なお、国土交通省においては、立地適正化計画(都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第八十一条第一項に規定する立地適正化計画をいう。)に基づく都市機能誘導区域(同条第二項第三号に規定する都市機能誘導区域をいう。)において市町村が行う保育所等の整備に要する費用の一部を補助する支援を行っているところである。
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