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障がい者の所得の確保に関する質問主意書

参議院 第168回 第55号お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×1承知していない ×1検討してまいりたい ×3

提出者
参議院
提出日
2007年11月12日
内閣転送 2007年11月14日
答弁書受領日
2007年11月20日
提出から8日
答弁の項目数
11
質問 2,439字/答弁 2,569字

質問本文

二〇〇六年四月に施行された「障害者自立支援法」(以下「自立支援法」という。)により、政府は障がい者に負担だけ押し付け、所得の確保に関する取組はほとんど進んでいない。

そこで、以下質問する。

一 障がい者の所得の確保について、自立支援法に対する参議院厚生労働委員会の附帯決議では、「障害者の所得確保の在り方について速やかに検討し、三年以内に結論を得る」とあるが、これは決議日の二〇〇五年十月十三日から三年、つまり二〇〇八年十月という意味であり、自立支援法附則第三条第一項が示す施行後三年という時期とは明らかに異なる。ところが厚生労働省の「障害者の所得の確保に係る施策の検討チーム」はまだ二回しか会合を開いていない。政府はあと一年間で具体的な結論を得て、附帯決議の期限を守るつもりがあるかないか明らかにされたい。

二 障害年金について何点か質問する。

1 現在の障害基礎年金は、二級で年額七十九万二千百円と子の加算額、一級で九十九万百円と子の加算額であるが、現状では、これは非常に低い水準と認識する。諸外国と比較して、政府はこの水準をどのように認識しているか明らかにされたい。また、政府はこの水準を見直す考えはないか明らかにされたい。

2 障害厚生年金があるにもかかわらず、自営業者の年金の二階建て部分である国民年金基金に障害年金の制度がない理由を明らかにされたい。

3 厚生年金加入者は被用者であることから、厚生年金加入者が障害者となった場合、一般的に仕事を辞めねばならず、再就職先もすぐ見つけるのは困難という考え方に立って障害厚生年金の制度があると聞いている。しかし、今や国民年金加入者も、家族の補佐等により商売を続けられ、ある程度の収入を維持できるような自営業者だけではなく、フリーターや非正規雇用者が増えている。障がい者の所得確保を考える上で、所得比例部分である年金制度の二階建て部分に障害年金の制度がある必然性はないのではないか。むしろ障害基礎年金を充実する方が、多様なライフスタイルと転職が当たり前の時代には、公平なのではないか。政府の認識を明らかにされたい。

三 障がい者の特定求職者雇用開発助成金や法定雇用率、職業能力開発事業において、障害者手帳(以下「手帳」という。)がないと制度の適用を受けられないという声を以前から聞いている。つまり手帳のない発達障がい者、高次脳機能障がい者、難病者等にとっては使えない制度である。手帳の基準と就労上の制限にギャップがあるにもかかわらず、違う基準で対象者を排除するような運用はあってはならない。本年一月三十一日、私はこの問題を、参議院本会議で難病者の就労支援として取り上げ、安倍内閣総理大臣(当時)は「障害者の就労支援策においては、障害手帳の有無にかかわらず、それぞれの方の障害の状況に応じて様々な支援を実施し、また強化しているところであります。」との答弁をしている。

1 現時点で、全国十九校の障害者職業能力開発校のうち、手帳を持たない発達障がい者、高次脳機能障がい者、難病者等を受け入れた実績のある学校は何校あり、手帳の所持を応募資格から外した学校は何校あるかそれぞれ明らかにされたい。

2 障がい者の特定求職者雇用開発助成金や法定雇用率等の対象に、手帳を所持しない発達障がい者、高次脳機能障がい者、難病者等を加えるべきではないか。政府の見解を示されたい。

3 精神障がい者に対して医師の診断書を根拠に対象としているように、社会生活上の制限が同程度認められる場合は、手帳のない発達障がい者、高次脳機能障がい者、難病者等においても医師の診断書等により制度を利用できるようにするべきではないか。政府の見解を示されたい。

四 障がい者の能力開発の成果を、実際の就労につなげるためには、企業とのつながりを握っている職業安定局、ハローワークがもっと連携する必要があると考えるが、国の法定雇用率二・一パーセントに対し、厚生労働省全体で二・一六パーセント、職業安定局は一・二六パーセントにすぎない。意識改革のために全国すべてのハローワークで障がい者を雇用してはいかがか。政府の見解を示されたい。

五 就労継続支援事業所や授産施設は、自立支援法の枠組みであり、自立支援法が手帳所持者しか対象としていないため、工賃倍増計画の対象施設にも発達障がい者、高次脳機能障がい者、難病者等は入所することや通所することはできない。これについても対象者の見直しを行うべきではないか。政府の見解を示されたい。

六 本年十月三十一日に、二〇〇六年度の工賃月額の実績調査結果が発表された。それによると平均は月額一万二千二百二十二円となっているが、これは二〇〇二年度の民間団体の調査結果と比べて低くなっている。少なくとも自立支援法初年度の実績は、工賃は下がったと言えるのではないか。政府の見解を示されたい。

七 従来の福祉工場は、五年間のうちに就労継続支援A型事業所に移行することが求められているが、就労継続支援A型事業所に対する報酬単価は、福祉工場に対する単価より下げられている。まだ全国に百の福祉工場があるが、今後スムースにA型に移行するには、報酬単価の引上げが不可欠と考えるが、政府の見解を示されたい。

八 精神障がい者の授産施設はその多くが今後五年以内に就労継続支援事業B型に移行することになると思われるが、現行報酬体系では、精神障がい者特有の「出席率」の低さにより、運営収入の減少を避けられない。B型の単価を引き上げる考えはあるか。あるいは報酬を月払い方式(旧支援費方式)に変更する考えはあるか。それぞれ明らかにされたい。

九 精神障がい者に対する「一人ひとりへのきめ細かな個別支援」業務を、利用する精神障がい者の再発率予防の生命線と位置づけ、精神保健福祉士加算など専門業務に対する報酬を創設する考えはあるか。政府の見解を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

障害者の所得の確保に係る施策の在り方については、御指摘の附帯決議も踏まえつつ、今後とも検討を進めてまいりたい。

二の1について

障害基礎年金の給付水準については、公的年金の中核である老齢年金とのバランスに配慮し、障害等級が二級の場合には、満額の老齢基礎年金と同額の年金額とし、障害等級が一級の場合には、介護等に必要な経費等に配慮して、満額の老齢基礎年金の一・二五倍の年金額としているところであり、適切なものであると考えている。

また、お尋ねの諸外国との給付水準の比較については、社会経済状況等の違いからそれぞれの年金制度の仕組みが異なるため、単純に比較することは困難である。

二の2について

国民年金基金制度は、自営業者等の老後生活の多様なニーズに応えるために整備され、加入員が年金の給付の種類や加入口数を選択できる任意加入で積立方式の制度である。こうした制度に、普遍的に発生する老齢を支給事由とする給付に加え、発生率の低い障害を支給事由とする給付を導入した場合、その導入に伴い掛金の引上げが必要となるが、これについて加入員の理解が得られるのかといった等の問題があり、現在、国民年金基金制度には障害年金の制度が設けられていないところである。

二の3について

厚生年金保険制度は、被用者は、自営業者等と異なり、一般に退職等により職業生活の継続が困難となった場合には生活基盤を失うものであるという事情を踏まえ、事業主が保険料の半分を負担することにより、従前の賃金に比例した額を支給するなどの手厚い年金給付を行う制度となっているが、在職中の障害事故についても、このような手厚い年金給付を行う必要があることから、障害基礎年金に加えて障害厚生年金の給付が必要であると考えている。

なお、パート労働者等の増加を踏まえ、第百六十六回国会に提出した被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案においては、正社員に近いパート労働者に適用拡大をするという考え方の下、パート労働者に対して厚生年金の適用拡大をすることとしている。

三の1について

障害者職業能力開発校における身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳(以下「手帳」という。)の有無別の受講状況は把握しておらず、お尋ねの手帳を持たない発達障害者、高次脳機能障害者、難病者等の受入れ実績のある学校の数についてお答えすることは困難である。

応募資格に係るお尋ねについては、身体障害者及び知的障害者のいずれにおいても手帳の所持者であることを要件としていたものが一校あったが、平成十九年度にこの要件を廃止したところである。また、身体障害者又は知的障害者のいずれか一方について手帳の所持者であることを要件としていたものが九校あったが、このうち、三校については、平成十九年度にこの要件を廃止し、六校については、同年度に児童相談所等の公的機関の判定や医師の診断等でも応募可能となるよう要件の見直しを行ったところである。

三の2について

障害者雇用率制度は、広く事業主に一定割合の障害者の雇用義務を課すものであり、事業主が障害者を雇用するに当たっては、当該事業主が就労支援や雇用管理を十分に行えること、障害の特性に配慮した職務が開発されていること及び障害者であることの確認が可能であることが必要となるものと考えるが、御指摘の「手帳を所持しない発達障がい者、高次脳機能障がい者、難病者等」については、現時点においては、このような条件が整っていないことから、障害者雇用率制度の対象とすることは困難であると考える。

また、特定求職者雇用開発助成金制度においては、助成金の支給に当たっては、事業主が雇用した者が障害者であることの確認が必要であるため、原則として障害者雇用率制度の対象となる障害者を対象としているところである。

三の3について

御指摘の「制度」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、仮に障害者職業能力開発校、特定求職者雇用開発助成金及び障害者雇用率制度を指すものであるとすれば、障害者職業能力開発校については、御指摘の障害者はすべて手帳の有無にかかわらず受講対象となっており、また、特定求職者雇用開発助成金及び障害者雇用率制度については、三の2についてでお答えしたとおり、現時点で御指摘の障害者をその対象とすることは困難である。

四について

厚生労働省としては、できるだけ多くの公共職業安定所に障害者を配置するよう努めてまいりたい。

五について

御指摘の「工賃倍増五か年計画」の対象となる施設は、就労継続支援B型事業所並びに障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)施行前の身体障害者授産施設、知的障害者授産施設及び精神障害者授産施設であるが、同法においては、手帳の有無にかかわらず、御指摘の発達障害者等であっても、同法第四条第一項の障害者に該当する場合には、これらの施設を利用することが可能である。

また、障害者自立支援法の対象となる障害者等の範囲については、同法附則第三条第一項等を踏まえ、検討を進めてまいりたい。

六について

御指摘の民間団体の行った調査結果とは、社会福祉法人全国社会福祉協議会全国社会就労センター協議会の「平成十五年度社会就労センター実態調査」の結果のことと考えられるが、当該調査については、厚生労働省が平成十九年に実施した調査とは、調査対象事業所の範囲が異なることなどから、これらの調査結果を単純に比較することはできないと考える。

七から九までについて

厚生労働省としては、事業者に対する報酬の支払方式について、障害者自立支援法が施行される前の月額払方式から日々の利用実績に応じた日額払方式に改めるとともに、一定の欠員等があった場合においても運営に必要な費用が賄えるよう配慮して報酬単価を設定するとともに、一定期間利用を休止している利用者に対する相談援助等を行った場合の加算措置を講じているほか、平成二十年度までの措置として、従前の月額払による報酬額等の九割を保障するなどの対策を講じているところであるが、今後の報酬のあり方については、与党の障害者自立支援に関するプロジェクトチームにおける議論等も踏まえ検討してまいりたい。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×1承知していない ×1検討してまいりたい ×3

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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