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航空自衛隊の初等練習機の選定過程に関する質問主意書
衆議院 第145回 第3号お答えすることは困難 ×1承知していない ×5
質問本文
航空自衛隊による初等練習機の選定過程に対する疑念が表明されている。これは単に防衛庁のみならず、従来から疑問視されてきた、日本国としての政府調達における公平性と透明性に対する国際的な信頼を大きく損なうものである。日本の政府調達に対する国際社会からの疑念は、我が国の国益に関わる重大な問題であり、看過できない。
したがって、次の事項について質問する。
一
1 一九九五年に、防衛庁は、T ― 3に代わる次期初等練習機の経費見積りを、富士重工に求めたが、いつ、誰が、どのような目的でこれを求めたか。
2 これに対して、富士重工は、いつ見積りを提出したか、また一機当たりの価格(単価)、及び性能を含むその見積りの明細を答えよ。また、その内訳の中で官給品の価格を答えよ。
3 それを基にして、防衛庁はいつ試算を行ったか、またその単価及び明細を答えよ。
4 次期初等練習機の選定過程において、前項の富士重工の見積り、及び防衛庁の試算は、各々どの様な意味を持っているか。
二
1 次期初等練習機のエンジンについて入札前に調査を行ったことはあるか。行っているとすれば、調査の日時、担当者、予算額、目的、内容を答えよ。
2 前項に関連して、アリソン社のエンジンに関する調査は行っているか。行っているとすれば、それは防衛庁が独自に行ったか、それとも富十重工など業者に委託したか、また、その調査の日時、担当者、予算額、目的、内容を答えよ。
三
1 一九九八年五月の説明会の際に、航空幕僚監部は、IRAN方式の採用を提案各社に対して要請したとされるが、これは事実か。また、誰が、いつ、どの様な形で要請したか。また、同方式の採用を求めた理由は何か。
2 航空幕僚監部による「初等練習機に対する要求性能等」に、IRAN方式の採用を求める旨の記述はあったか。
3 防衛庁の航空機のIRANを請け負う航空機整備会社は国内に何社あるか。また、その社名を答えよ。
4 前項の航空機整備会社に、過去十年間に再就職した防衛庁職員、自衛官の詳細を答えよ。
5 海上自衛隊によるT ― 5に対する「要求性能等」でも、同様にIRAN方式の採用を求める旨の口頭又は文書での要求はあったか。また、当時富士重工が示したT ― 5一機当たりの価格及び性能を含む見積りの明細を答えよ。また官給品の明細を答えよ。
四
1 一部報道で、航空幕僚監部関係者が入札前、富士重工に「今回の入札は価格が勝負」と助言したとされるが、このことに関する事実関係を答えよ。また、もし事実関係を把握していないならば、防衛庁は事実調査を行うのか。
2 次期初等練習機選定の職務権限を、有していたのは誰か。選定委員会の様な組織が存在しているならば、その構成員の氏名、役職、役割担当を答えよ。また実際の決定は、いつ誰が行ったか。
3 次期初等練習機に絡み、防衛庁装備局及び航空幕僚監部関係者が中島洋次郎衆院議員から公式・非公式に請託を受けた事実はあるか。その詳細を答えよ。
4 一九九八年十二月に発覚した航空幕僚監部関係者による資料隠し問題において、次期初等練習機関連資料が移動された事実関係を、予算関係を含めて答えよ。
五
1 一九九八年六月十五日の提案書提出の段階で、T ― 7は形式証明を受けていたか。
2 これまで防衛庁による航空機調達で、形式証明の無い航空機に関する提案書を受けたことがあるか。あれば全て答えよ。
3 一九九八年五月十五日に、津典装備部長が提案6社に対して、「海外の会社も、自由にやって下さい。」と述べたといわれるが、これは事実か。またこのことは整備方式も自由にすることを意味するのか。
4 本件の初等練習機調達は、「公募(=国際入札)」に当たるのか、それとも「随意契約」に該当するのか、答えよ。
六 一九九七年夏、ピラタス社から防衛庁に、名古屋空港などでのPC7mkIIの試験飛行への招待がなされたと言われている。この招待を受けたならば、同試験飛行を見学に訪れた防衛庁職員、自衛官の氏名と役職を答えよ。また、その際に、PC7mkIIに対してなされた性能を含む評価の内容を答えよ。また仮に、この招待を断っているならば、その理由を答えよ。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
防衛庁において航空幕僚監部及び富士重工業株式会社の当時の担当者に確認したところ、平成七年春から夏頃にかけて、当時、現有の初等練習機T ― 3(以下「T ― 3」という。)のエンジンが生産中止となっていたことから、航空幕僚監部担当者から初等練習機の製造実績のある富士重工業株式会社に対して、異なるエンジンを装備した上でT ― 3と同等の性能を有する航空機を調達する場合の経費の試算を求めている。これは、中期防衛力整備計画(平成八年度〜平成十二年度)について(平成七年十二月十四日安全保障会議決定、平成七年十二月十五日閣議決定。以下「中期防」という。)の策定に当たって、中期防対象期間中にT ― 3の後継機の調達が必要となることが見込まれたことから、中期防の実施に必要な防衛関係費の総額の限度を把握する作業の一環としてT ― 3の後継機に関する所要経費を試算するためであった。
一の2について
防衛庁において航空幕僚監部及び富士重工業株式会社の当時の担当者に確認したところ、富士重工業株式会社が航空幕僚監部の当時の担当者に一の1についてで述べた試算を提出した時期は、平成七年春から夏頃にかけてであった。当該試算は、当時、T ― 3のエンジンが生産中止となっていたことから、異なるエンジンを装備した上でT ― 3と同等の性能を有する航空機であることをその前提として行われ、第一次契約における平均機体価格は約五億五千万円であり、このうち機体部分は約四億六千万円、富士重工業株式会社において官給品となり得ると判断したエンジン、プロペラ及び搭載通信電子機器分は約八千万円であった。また、全契約を通じた平均の機体価格は約四億四千万円であり、このうち機体部分は約三億五千万円、エンジン、プロペラ及び搭載通信電子機器分は約八千万円であった。
一の3について
防衛庁において航空幕僚監部の当時の担当者に確認したところ、航空幕僚監部において試算を行った時期は、平成七年夏頃であった。同試算の第一次契約における平均機体価格は約五億四千万円であり、このうち機体部分は約四億六千万円、エンジン、プロペラ及び搭載通信電子機器分は約八千万円であった。
一の4について
一の1についてで述べた平成七年に行った試算は、一の1についてでお答えしたとおり、中期防の策定に当たって中期防の実施に必要な防衛関係費の総額の限度を把握する目的のために実施したものである。他方、平成十年に実施したT ― 3の後継機の機種選定に当たっては、当該航空機について公正かつ適切な機種選定を行うため、各提案会社から候補機種に係る価格及び経費を含め必要な資料を提案書の形で提出を受けたところである。機種選定における提案書と中期防策定時における試算は関係がない。
二について
御指摘の入札は機種選定手続と考えられるが、防衛庁においては、機種選定手続に入った平成十年四月以前にT ― 3の後継機のエンジンについて調査を行っていたという事実は、現在のところ、把握していない。
三の1について
防衛庁において、御指摘の説明会における説明者に確認したところ、当該説明会において航空幕僚監部から提案会社に対して、御指摘のIRAN(航空機の機体の整備を一定の間隔で集中して行うことをいう。以下同じ。)方式の採用を要請したという事実は、把握していない。
三の2について
御指摘の「新初等練習機に対する要求性能等」においてIRAN方式の採用を求める旨の記述はない。
三の3について
現在、防衛庁が保有する航空機の御指摘のIRAN等の定期修理を請け負っている会社は、川崎重工業株式会社、新明和工業株式会社、株式会社ジャムコ、日本飛行機株式会社、富士重工業株式会社及び三菱重工業株式会社の六社である。
三の4について
離職した自衛隊員の再就職に関し、防衛庁において、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第六十二条の規定による自衛隊員の再就職の規制に関して把握している昭和六十三年度から平成九年度までに離職した行政職(一)十級相当以上の事務官等及び一佐以上の自衛官の離職後二年間における再就職の状況は、平成十年十一月一日現在において次表のとおりである。
三の5について
海上自衛隊の練習機T ― 5の導入に際しては、航空自衛隊のT ― 3の後継機を選定した時のような機種選定は行っていない。したがって、お尋ねの事項を含む提案要求書は作成していない。
四の1について
防衛庁においては、現在確認を行っているところであるが、これまでのところ御指摘のような事実は把握していない。
四の2について
航空機の機種選定において機種を決定するのは防衛庁長官であるが、防衛庁長官が機種を決定するに当たり、その諮問に応じるため、防衛庁に航空機機種選定会議が置かれている。T ― 3の後継機の機種選定に関して平成十年八月十九日に開催された航空機機種選定会議に出席した構成員の役職(氏名)は次のとおりであり、議長に防衛事務次官が充てられ、委員は、それぞれの所掌事務の観点から審議に加わるものである。
防衛事務次官(秋山昌廣)(当時)
長官官房長(藤島正之)(当時)
防衛局長(佐藤謙)
経理局長(大森敬治)(当時)
装備局長(及川耕造)
防衛力整備計画を担当する参事官(伊藤康成)(当時)
技術研究開発を担当する参事官(青山謹也)
航空幕僚長(平岡裕治)
統合幕僚会議議長(夏川和也)
人事教育局長(坂野興)
また、防衛庁長官が機種決定を行ったのは、平成十年八月二十七日であった。
四の3について
防衛庁においては、現在のところ、御指摘のような事実は把握していない。
四の4について
御指摘のような事実はない。
五の1について
御指摘の平成十年六月十五日において、富士重工業株式会社の提案機種であるT ― 3改は、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第十二条第一項の型式証明を受けていない。
五の2について
防衛庁の航空機の調達においては、例えば要撃戦闘機F ― 15や要撃戦闘機F ― 4のように型式証明を受けていない航空機もあるが、これまでのすべての事例についてお答えすることは、該当する資料がないものもあり困難である。
五の3について
防衛庁において、御指摘の者に確認したが、御指摘のような事実は把握していない。
五の4について
御指摘の調達は機種選定手続と考えられるが、機種選定手続は次年度以降の予算要求等のため、提案書に基づいて候補機種の評価及び最適の機種の選定を行うものであり、選定された機種の航空機の調達は、次年度以降の予算の成立後に、その執行過程において契約行為がなされるものであるので、機種選定と契約行為として行われる入札及び随意契約とは別個のものである。
なお、一般論であるが、機種選定を経た上で行われる航空機の調達は随意契約により行われているところである。
六について
御指摘の試験飛行は、平成九年七月に名古屋空港及び宇部空港で実施されたPC ― 7MkIIの展示飛行と思われるが、防衛庁においては、現在までのところ、名古屋空港の展示飛行については、丸紅株式会社から航空幕僚監部防衛部防衛課の幹部職員に案内状が送付されたことは確認したが、航空幕僚監部からの見学者がいたことは確認していない。見学しなかった理由は、平日に遠隔地で実施されたこと及び業務が多忙であったことによるものと把握している。また、宇部空港の展示飛行については、案内の有無、防衛庁からの見学者の有無等を確認中である。
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