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幼児教育の無償化に関する質問主意書
衆議院 第197回 第121号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×1
質問本文
安倍政権は平成二十九年の衆議院議員総選挙において、平成二十四年の「社会保障と税の一体改革」で決定した消費増税分の税収の使い道の変更について、国民の信を問うた。将来世代への借金先送りを改めるためにも「財政再建」に充てるとされていた金額の一部を「幼児教育の無償化」に充てることがその変更の目玉であった。その後閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」(平成二十九年十二月八日)には、その具体的な政策として、�@三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園・保育所・認定こども園の費用を無償化する、�A〇歳から二歳児については当面、住民税非課税世帯を対象として無償化を進める、と記されている。
少子化の進むわが国にとって、消費増税分の貴重な税収を少子化対策に真に効き目のある政策に活用することは極めて重要である。かつて民主党政権下において「子ども手当」が創設された際、現金給付が本当に少子化対策となるのか否かが議論となった。その歴史的経緯も踏まえ、今回の幼児教育の無償化について、平成二十四年の「社会保障と税の一体改革」において立法府の意思として合意された三党合意を覆してまで使途を変更し実施するならば、政府にはどのように少子化対策に繋がるのか説明する責任があると考える。
以上の問題意識の下、幼児教育の無償化政策の効果について、以下質問する。
一 「幼児教育の無償化」の政策目的は何か。「新しい経済政策パッケージ」では、「保育の受け皿拡大を図りつつ、幼児教育の無償化をはじめとする負担軽減措置を講じることは、重要な少子化対策の一つである」とされているが、幼児教育の無償化によって、例えば合計特殊出生率がどれほど上昇すると見込んでいるのか。幼児教育の無償化政策の「少子化対策」としての効果に関する合理的な説明を求める。
二 三歳から五歳までの幼稚園・保育所・認定こども園の利用者負担に関しては、既に生活保護世帯は無償化、また住民税非課税世帯は第一子を除き無償化が実施されている。それ以上の所得の世帯については所得区分ごとに累進性を設け、所得に合わせた負担料となっている。一方で、内閣府による「結婚・家族形成に関する意識調査」によれば、「子供が欲しくない理由」として「育児にかかる費用が心配」と答えた割合は年収四百万円未満の夫婦が最も高く、年収が上がっていくにつれて、その割合は下がっている。すなわち低所得世帯は金銭的な負担を理由に子供をもうけない割合が高いが、その大半が既に無償化の対象となっている。このため無償化政策は出生率を上昇させる少子化対策とはならないのではないか、お尋ねする。
また、収入の高い世帯にとっては、金銭的な問題以外の理由(例えば「現時点で、もともと欲しいと思っていた人数の子どもがいる」)で子供をもうけない割合が比較的高い。以上より、幼児教育の無償化政策は、既に子供のいる世帯については何らかの家計支援にはなるが、新たに子供をもうけるインセンティブになりにくいのではないか、お尋ねする。また第一子・第二子・第三子以降を一律に無償化するのではなく、子の数に応じて傾斜配分をした方が多産となる契機になるのではないか、お尋ねする。
三 今回の幼児教育の無償化は、〇歳から二歳までの子供に対しては「当面、住民税非課税世帯を対象として無償化を進める」としており、三歳から五歳までの子どもと比較して支援が十分となっていない。内閣府による「結婚・家族形成に関する意識調査」によれば、「子供が欲しくない理由」のうち経済的な理由以外でとりわけ割合が高いのは、女性で正規雇用者の「仕事にさしさわりが出そう・仕事を続けるのが難しくなりそう」となっている。少子化対策としては、育児負担が最も重い〇歳から二歳までの子育て期間に、女性の職場復帰をしやすくすることで、キャリア形成にマイナスにならずに、出生率の向上も見込めると考える。それゆえ例えばベビーシッターや、フランスにおける「メゾン・ママ」(マンションの一室を借り上げ、複数の保育ママが共同で保育する仕組み)等、〇歳から二歳児までの幼児期において働く親を支えるサービス給付の方が、第二・第三子をもうける後押しになると考えられる。以上より限られた財源の中では、無償化や手当支給より、子育て支援のサービス支給の方がより効果的な少子化対策になると考えるか、如何か。
右質問する。
政府答弁書
一について
「「幼児教育の無償化」の政策目的」に関するお尋ねについては、今般の幼児教育の無償化は、�@幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障することは大変重要であること、�A幼児教育が将来の所得の向上や生活保護受給率の低下等に著しい効果をもたらすことを示すエビデンスもあること及び�B幼児教育の負担軽減を図ることは重要な少子化対策の一つであることという趣旨から実施するものである。また、「合計特殊出生率がどれほど上昇すると見込んでいるのか」とのお尋ねについては、合計特殊出生率の将来動向には様々な要因が影響するものであることから、一概にお答えすることは困難であるが、「新しい経済政策パッケージ」(平成二十九年十二月八日閣議決定)においては、「二十代や三十代の若い世代が理想の子供数を持たない理由は、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が最大の理由であり、教育費への支援を求める声が多い。・・・子育てや教育にかかる費用の負担が重いことが、子育て世代への大きな負担となり、我が国の少子化問題の一因ともなっている」と示しているところである。
二について
「無償化政策は出生率を上昇させる少子化対策とはならないのではないか」及び「幼児教育の無償化政策は・・・新たに子供をもうけるインセンティブになりにくいのではないか」とのお尋ねについては、一についてでお答えしたとおりである。また、「子の数に応じて傾斜配分をした方が多産となる契機になるのではないか」とのお尋ねについては、その具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
三について
お尋ねについては、「少子化社会対策大綱」(平成二十七年三月二十日閣議決定)において、「少子化の進行は・・・様々な要因が複雑に絡み合っており、きめ細かい少子化対策を網羅的に推進することが重要」との考えを示しており、保育の受皿の整備、長時間労働の是正等の働き方改革の推進、育児休業等の取得を促進する機運の醸成等の施策によっても子育ての負担の軽減を図っているところである。
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